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第199条の10
条文
① 訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。
② 前項の書面又は物が証拠調を終ったものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。
過去問・解説
(R7 予備 第15問 ア)
甲のVに対する殺人未遂の刑事裁判において、検察官の請求によりVの証人尋問が実施されたとする。
検察官は、犯行時の甲・Vの位置関係に関するVの供述を明確にするため必要がある場合において、弁護人に異議がないときに限り、犯行現場の実況見分調書に添付された現場見取図をVに示して尋問することができる。ただし、この実況見分調書についての取調べは、既に行われているものとする。
(正答)✕
(解説)
刑事訴訟規則199条の12第1項は、「訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。」と規定している。
そして、同条2項が準用する199条の10第2項は、「前項の書面又は物が証拠調を終ったものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、既に証拠調べが終了した実況見分調書については199条の10第2項の適用はなく、この実況見分調書に添付された現場見取図をVに示して尋問するためには、裁判長の許可を受ければ足り、弁護人に異議がないという要件は不要である。
(R7 予備 第15問 エ)
甲のVに対する殺人未遂事件の刑事裁判において、検察官の請求によりVの証人尋問が実施されたとする。
検察官は、犯行現場で押収された果物ナイフにつき、犯行に使用された果物ナイフとの同一性をVに尋問する場合において必要があるときは、裁判長の許可を受けずにこれを示すことができる。
(R7 予備 第15問 オ)
甲のVに対する殺人未遂事件の刑事裁判において、検察官の請求により、Vの怪我の状況を撮影した写真が添付された実況見分調書を作成した警察官Xの証人尋問が実施されたとする。
検察官は、証拠調べが終わっていない当該実況見分調書をXに示して、その成立の真正について尋問することは許されない。
(正答)✕
(解説)
刑事訴訟規則199条の10は、1項において「訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。」と規定し、2項において「前項の書面又は物が証拠調を終ったものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、本肢の実況見分調書は証拠調べが終わっていないため、同条2項が適用され、あらかじめ相手方に閲覧の機会を与えた場合、又は相手方に異議がない場合、検察官は、本肢の実況見分調書をXに示して、その成立の真正について尋問することができる。
(R8 予備 第16問 エ 改題)
甲は、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、妻である被害者Vに対し、頭部をガラス製の灰皿で1回殴る暴行を加えてけがを負わせた傷害事件で公判請求された。
甲は、第1回公判期日において、「公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいたことは間違いない。もっとも、Vに暴行を加えてけがを負わせたことはなく、Vが自分で転んでけがを負ったものである。」旨を述べて犯行を否認した。
検察官は、第2回公判期日において、立証趣旨を「本件被害状況等」として、Vの証人尋問を請求し、裁判所の証拠調べをする決定を経て、Vを尋問し、「甲は、ソファーに座っていた私の正面に立って、
私の頭のてっぺん辺りを、テーブルに置いてあった灰皿で1回殴ってきました。」とのVの証言を受けて、検察官:「その灰皿は、どういった特徴のものでしたか。」、V:「ガラス製の四角い形をした灰皿で、事件後に刑事さんに提出しました。」とのやり取りを経て、「同一性を確認するために、弁護人に開示済みの灰皿を示します。これは、あなたが証言した灰皿と同じものですか。」と尋問した。
上記の尋問による証拠物の提示は、裁判長の許可がなければ許されない。