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相続(相続の承認及び放棄 915条~940条) - 解答モード

再転相続における相続放棄の順序 最三小判昭和63年6月21日

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概要
Aの相続につきその法定相続人であるBが承認又は放棄をしないで死亡した場合において、Bの法定相続人であるCがBの相続を放棄して、もはやBの権利義務をなんら承継しなくなった場合には、CはAの相続につき承認又は放棄をすることはできないが、CがBの相続につき放棄をしていないときは、Aの相続につき放棄をすることができ、また、その後にCがBの相続につき放棄をしても、Cが先に再転相続人たる地位に基づいてAの相続につきした放棄の効力がさかのぼって無効になることはない。
判例
事案:死亡した者の法定相続人が、当該相続の承認又は放棄をしないで死亡した場合において、当該法定相続人を相続したいわゆる再転相続人は、いかなる態様で相続につき承認又は放棄をすることができるかが問題となった。

判旨:「民法916条の規定は、Aの相続につきその法定相続人であるBが承認又は放棄をしないで死亡した場合には、Bの法定相続人であるCのために、Aの相続についての熟慮期間をBの相続についての熟慮期間と同一にまで延長し、Aの相続につき必要な熟慮期間を付与する趣旨にとどまるのではなく、右のようなCの再転相続人たる地位そのものに基づき、Aの相続とBの相続のそれぞれにつき承認又は放棄の選択に関して、各別に熟慮し、かつ、承認又は放棄をする機会を保障する趣旨をも有するものと解すべきである。そうであつてみれば、CがBの相続を放棄して、もはやBの権利義務をなんら承継しなくなった場合には、Cは、右の放棄によつてBが有していたAの相続についての承認又は放棄の選択権を失うことになるのであるから、もはやAの相続につき承認又は放棄をすることはできないといわざるをえないが、CがBの相続につき放棄をしていないときは、Aの相続につき放棄をすることができ、かつ、Aの相続につき放棄をしても、それによつてはBの相続につき承認又は放棄をするのになんら障害にならず、また、その後にCがBの相続につき放棄をしても、Cが先に再転相続人たる地位に基づいてAの相続につきした放棄の効力がさかのぼつて無効になることはないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H26 司法 第33問 エ)
判例によれば、Aが死亡し(第1相続)、その相続の承認又は放棄をすべき期間中に、Aの相続人であるAの子Bが死亡した場合(第2相続)、Bの相続人であるBの子Cは、第2相続の承認又は放棄をすべき期間中に、第1相続と第2相続についてともに相続の承認をすることができるが、第1相続を放棄して、第2相続のみを承認することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭63.6.21)は、本肢と同種の事案において、「CがBの相続を放棄して、もはやBの権利義務をなんら承継しなくなった場合には、Cは、右の放棄によつてBが有していたAの相続についての承認又は放棄の選択権を失うことになるのであるから、もはやAの相続につき承認又は放棄をすることはできないといわざるをえないが、CがBの相続につき放棄をしていないときは、Aの相続につき放棄をすることができ、かつ、Aの相続につき放棄をしても、それによつてはBの相続につき承認又は放棄をするのになんら障害にならず、また、その後にCがBの相続につき放棄をしても、Cが先に再転相続人たる地位に基づいてAの相続につきした放棄の効力がさかのぼつて無効になることはないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Cは、第2相続の承認又は放棄をすべき期間中に、第1相続と第2相続についてともに相続の承認をすることができ、また、第1相続を放棄して、第2相続のみを承認することもできる。

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相続の放棄申述受理の無効を訴訟において主張することの許否 最三小判昭和29年12月24日

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概要
相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された場合においても、相続放棄に無効原因が存在するときは、後日、無効主張をすることができる。
判例
事案:家庭裁判所が相続放棄の申述を受理した後に、当該相続放棄に法律上無効原因が存在することが判明した場合において、当該無効を後日訴訟において主張できるかが問題となった。

判旨:「家庭裁判所が相続放棄の申述を受理するには、その要件を審査した上で受理すべきものであることはいうまでもないが、相続の放棄に法律上無効原因の存する場合には後日訴訟においてこれを主張することを妨げない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第34問 5)
相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された場合でも、相続の放棄に無効原因があるときは、後日に訴訟において無効であることを主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.12.24)は、「家庭裁判所が相続放棄の申述を受理するには、その要件を審査した上で受理すべきものであることはいうまでもないが、相続の放棄に法律上無効原因の存する場合には後日訴訟においてこれを主張することを妨げない。」と判示している。

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921条1号本文による単純承認の効果が生じるための要件 最一小判昭和42年4月27日

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概要
921条1号本文による単純承認の効果が生じるためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、又は少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要する。
判例
事案:被相続人が死亡したことを知らない間に、その相続人が相続財産を処分した場合において、921条1号本文の規定により単純承認をしたとみなされるかが問題となった。

判旨:「民法921条1号本文が相続財産の処分行為があつた事実をもって当然に相続の単純承認があったものとみなしている主たる理由は、本来、かかる行為は相続人が単純承認をしない限りしてはならないところであるから、これにより黙示の単純承認があるものと推認しうるのみならず、第三者から見ても単純承認があったと信ずるのが当然であると認められることにある(大正9年12月17日大審院判決、民録26輯2034頁参照)。したがって、たとえ相続人が相続財産を処分したとしても、いまだ相続開始の事実を知らなかったときは、相続人に単純承認の意思があったものと認めるに由ないから、右の規定により単純承認を擬制することは許されないわけであって、この規定が適用されるためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、または、少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要するものと解しなければならない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H25 司法 第35問 ウ)
相続人が、自己のために相続が開始した事実を知りながら、限定承認又は相続放棄をする前に相続財産の全部又は一部を処分した場合、当該処分が保存行為に該当するときであっても、単純承認をしたものとみなされる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.4.27)は、921条1号本文の適用について、「この規定が適用されるためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、または、少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要するものと解しなければならない。」と判示している。そして、同条本文は、「次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。」と規定し、同条1号本文は、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。」と規定している。
したがって、相続人が、自己のために相続が開始した事実を知りながら、限定承認又は相続放棄をする前に相続財産の全部又は一部を処分した場合は、同号本文が規定する場合に当たり、同条本文が適用されるから、原則として、単純承認をしたものとみなされる。
しかし、同号ただし書は、「ただし、保存行為…をすることは、この限りでない。」と規定している。よって、当該処分が保存行為に該当するときは、例外的に、単純承認をしたものとみなされない。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第35問 ア)
相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産に属する土地を売却したときは、その相続人は、単純承認をしたものとみなされる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.4.27)は、921条1号本文の適用について、「この規定が適用されるためには、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産を処分したか、または、少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえてその処分をしたことを要するものと解しなければならない。」と判示している。そして、同条本文は、「次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。」と規定し、同条1号本文は、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。」と規定している。
したがって、相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産に属する土地を売却したときは、同号本文が規定する場合に当たり、その相続人は、単純承認をしたものとみなされる。

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限定承認と判決主文における留保 大判昭和7年6月2日

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概要
限定承認をした相続人に相続債務の支払いを命ずる判決には、相続財産の存在する限度で支払いを命ずる留保が必要である。
判例
事案:被相続人が金銭債務を負っていたところ、限定承認がなされた場合において、裁判所が相続人に相続債務の支払いを命ずる際、判決に相続財産の限度で支払いを命ずる留保をする必要があるかが問題となった。

判旨:「相続ノ限定承認ハ相続債務及遺贈ニ関スル相続人ノ責任ヲ相続財産ニ限定スルモノニ過キサルヲ以テ相続人ハ限定承認ヲ為シタル場合ニ於テモ毫モ被相続人ノ負担シタル債務ヲ免ルルモノニアラス相続人ハ之ヲ支払フヘキ全部ノ義務ヲ継承シ債権者ハ相続人ニ対シ其ノ全額ノ支払ヲ求メ得ルニ於テ単純承認アリタル場合ト何等差異アルモノニアラス其ノ異ルハ唯限定承認ヲ為シタル場合ニアリテハ相続人ハ其ノ固有ノ財産ヲ以テ右債務ノ弁済ヲ為スヲ要セサルコト即債権者ハ相続債務ニ付キテハ相続人ノ固有財産ニ対シ強制執行ヲ為スコトヲ得サルノ点ニ於テ存ス相続ノ限定承認ハ右ノ如ク債務ノ存在ヲ限定スルモノニアラス単ニ其ノ責任即強制執行ノ範囲ヲ限定スルモノニ過キサルカ故ニ相続ニ関スル給付ノ判決ハ相続ノ限定承認アリタル場合ト雖モ債務ノ全部ニ付キ之ヲ為スヘキモノニシテ相続財産カ総債務ノ弁済ニ不足ナルノ故ヲ以テ其ノ言渡額ヲ制限セラルヘキニアラサルト共ニ其ノ債務ハ又債務者ノ固有財産ニ対シ強制執行ヲ為シ得サルヘキ性質ヲ有スルモノナルカ故ニ其ノ執行力ヲ制限スルカ為メ之ニ対シ相続財産ノ存スル限度ニ於テ之ヲ執行シ得ヘキ旨ヲ表示スル留保ヲ附スルコトヲ相当トス蓋無留保ニテ其ノ言渡ヲ為スモノトセンカ判決ハ当然主文ノ表示スル範囲ノ請求ニ付キ無制限ノ執行力ヲ付与セラレ民法カ相続ノ限定承認ヲ認メタルノ主旨ト相反スルノ結果ヲ発生スヘキヲ以テナリ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第15問 オ)
限定承認をした相続人に相続債務の支払を命ずる判決には、相続財産の限度で支払を命ずる旨の留保をしなければならない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭7.6.2)は、限定承認をした相続人に相続債務の支払いを命ずる判決には、相続財産の存在する限度で支払いを命ずる旨の留保が必要である旨判示している。

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限定承認者の相続債権者への対抗 最二小判平成10年2月13日

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概要
不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の相続人である場合において、限定承認がされたときは、死因贈与に基づく限定承認者への所有権移転登記が相続債権者による差押登記よりも先にされたとしても、信義則に照らし、限定承認者は相続債権者に対して不動産の所有権取得を対抗することができない。
判例
事案:限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得について対抗要件を備えた場合において、この不動産の取得を、その後当該不動産に対して差押えをし、その旨の登記をした相続債権者に対抗することができるかが問題となった。

判旨:「不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の相続人である場合において、限定承認がされたときは、死因贈与に基づく限定承認者への所有権移転登記が相続債権者による差押登記よりも先にされたとしても、信義則に照らし、限定承認者は相続債権者に対して不動産の所有権取得を対抗することができないというべきである。けだし、被相続人の財産は本来は限定承認者によって相続債権者に対する弁済に充てられるべきものであることを考慮すると、限定承認者が、相続債権者の存在を前提として自ら限定承認をしながら、贈与者の相続人としての登記義務者の地位と受贈者としての登記権利者の地位を兼ねる者として自らに対する所有権移転登記手続をすることは信義則上相当でないものというべきであり、また、もし仮に、限定承認者が相続債権者による差押登記に先立って所有権移転登記手続をすることにより死因贈与の目的不動産の所有権取得を相続債権者に対抗することができるものとすれば、限定承認者は、右不動産以外の被相続人の財産の限度においてのみその債務を弁済すれば免責されるばかりか、右不動産の所有権をも取得するという利益を受け、他方、相続債権者はこれに伴い弁済を受けることのできる額が減少するという不利益を受けることとなり、限定承認者と相続債権者との間の公平を欠く結果となるからである。そして、この理は、右所有権移転登記が仮登記に基づく本登記であるかどうかにかかわらず、当てはまるものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(R2 共通 第35問 エ)
不動産の死因贈与の受贈者Aが贈与者Bの相続人である場合において、限定承認がされたときは、死因贈与に基づくBからAへの所有権移転登記が相続債権者Cによる差押登記よりも先にされたとしても、Aは、Cに対し、その不動産の所有権の取得を対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.2.13)は、本肢と同種の事案において、「不動産の死因贈与の受贈者が贈与者の相続人である場合において、限定承認がされたときは、死因贈与に基づく限定承認者への所有権移転登記が相続債権者による差押登記よりも先にされたとしても、信義則に照らし、限定承認者は相続債権者に対して不動産の所有権取得を対抗することができないというべきである。」と判示している。

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