現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
実行の着手(放火罪) - 解答モード
放火の実行の着手時期 大判大正12年11月12日
概要
判例
判旨:「人ノ住居ニ使用スル家屋ヲ焼燬スル目的ヲ以テ之ニ接近スル物置ニ放火シ其ノ燃焼作用ニ依リ前者ノ延焼ヲ惹起シ得ヘキ状態ニ置キタルトキハ刑法第108条放火罪実行ノ著手トナルモノトス」
過去問・解説
(H26 司法 第9問 4)
甲は、Xの住んでいる家を焼損する目的で、これと約50センチメートル隔てて隣接している木造物置小屋の中のわらや薪に灯油をまいて放火したが、物置小屋の一部を焼損するにとどまった。甲には現住建造物等放火罪の実行の着手が認められる。
(H30 司法 第12問 5)
他人所有の土地を当該他人から買い受けた事実がないのに、当該他人から盗んだ印鑑を押して登記申請に必要な書類を偽造した上、これを登記官に提出し、当該他人に無断で、自己への所有権移転登記を完了させた場合、当該土地についての詐欺罪が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大12.11.12)は、本肢と同種の事案において、「乙者甲者ノ為金員借用抵当権設定登記ヲ為スモノノ如ク装ヒテ之ヲ欺罔シ私ニ其ノ印顆ヲ不正ニ使用シテ甲者ヨリ乙者ニ対シ土地ヲ売渡シタル旨ノ証書ヲ偽造シ附属書類ト併セテ之ヲ登記所ニ提出行使シ登記官吏ヲシテ土地登記簿ノ原本ニ其ノ旨不実ノ記載ヲ為サシムル行為ハ公正証書原本ノ不実記載及其ノ行使ノ罪ヲ構成スルニ止リ土地ニ対スル詐欺罪ヲ構成スルモノニ非ス」として、登記官は土地を処分する権限をもたないため、土地を買い受けた事実がないのに、登記申請に必要な書類を偽造して登記官に提出し、当該土地につき別人へ所有権移転登記をさせた場合、詐欺罪は成立しないことを示している。
現住建造物放火未遂罪の成否 大判大正15年9月28日
概要
判例
判旨:「現ニ人ノ住居ニ使用スル建物ヲ焼燬スル目的ヲ以テ人ノ住居ニ使用セサル建物ニ放火シ之ヲ焼燬シタルモ人ノ住居ニ使用スル建物ニ延焼セシムルニ至ラサリシトキハ其ノ所為ハ人ノ住居ニ使用スル建物焼燬罪ノ未遂ヲ以テ論スヘキモノトス」
過去問・解説
(H20 司法 第10問 イ)
甲は、乙が住居として使用する乙所有の木造家屋に延焼させる意思で、同家屋に隣接し、だれも住居として使用せず、だれも現在しない丙所有の家屋に放火してこれを全焼させたが、上記乙所有の家屋には燃え移らなかった。この場合、甲には現住建造物等放火未遂罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大15.9.28)は、「現ニ人ノ住居ニ使用スル建物ヲ焼燬スル目的ヲ以テ人ノ住居ニ使用セサル建物ニ放火シ之ヲ焼燬シタルモ人ノ住居ニ使用スル建物ニ延焼セシムルニ至ラサリシトキハ其ノ所為ハ人ノ住居ニ使用スル建物焼燬罪ノ未遂ヲ以テ論スヘキモノトス」として、現住建造物に延焼させる目的をもって非現住建造物に放火した場合、現住建造物等放火未遂罪が成立することを示している。
甲は、乙所有現住建造物を燃やす目的で、隣接する丙所有非現住建造物に放火し全焼させているが、現住建造物等放火の実行の着手が認められるために現住建造物等放火未遂罪が成立し、より軽い非現住建造物等放火罪はこれに吸収される。
したがって、甲には現住建造物等放火未遂罪が成立する。
(R3 司法 第16問 4)
甲は、隣人Aが居住する木造家屋を焼損しようと考え、同家屋から1メートル離れた位置にある自己が所有する無人の木造倉庫に放火してこれを焼損したが、同家屋に延焼する危険を生じさせるにとどまった。この場合、甲には、現住建造物等放火未遂罪は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大15.9.28)は、「現ニ人ノ住居ニ使用スル建物ヲ焼燬スル目的ヲ以テ人ノ住居ニ使用セサル建物ニ放火シ之ヲ焼燬シタルモ人ノ住居ニ使用スル建物ニ延焼セシムルニ至ラサリシトキハ其ノ所為ハ人ノ住居ニ使用スル建物焼燬罪ノ未遂ヲ以テ論スヘキモノトス」として、現住建造物に延焼させる目的をもって非現住建造物に放火した場合、現住建造物等放火未遂罪が成立することを示している。
甲は、A所有現住建造物を燃やす目的で隣接する自己所有の無人の木造倉庫に放火し全焼させているが、現住建造物等放火の実行の着手が認められるために現住建造物等放火未遂罪が成立し、より軽い非現住建造物等放火罪はこれに吸収される。
したがって、甲には現住建造物等放火未遂罪が成立する。
密閉された室内全体にガソリンを撒いた行為と放火罪の実行の着手 横浜地判昭和58年7月20日
概要
判例
判旨:「本件家屋は木造平成家建であり、内部も特に不燃性の材料が用いられているとは見受けられず、和室にはカーペットが敷かれていたこと、本件犯行当時、本件家屋は雨戸や窓が全部閉められ密閉された状態にあったこと、被告人によって撒布されたガソリンの量は、約6.4リットルに達し、しかも6畳及び4畳半の各和室、廊下、台所、便所など本件家屋の床面の大部分に満遍無く撤布されたこと、右撒布の結果、ガソリンの臭気が室内に充満し、被告人は鼻が痛くなり、目もまばたきしなければ開けていられないほどであったことが認められるのであり、ガソリンの強い引火性を考慮すると、そこに何らかの火気が発すれば本件家屋に撒布されたガソリンに引火し、火災が起こることは必定の状況にあったのであるから、被告人はガソリンを撒布することによって放火について企図したところの大半を終えたものといってよく、この段階において法益の侵害即ち本件家屋の焼燬を惹起する切迫した危険が生じるに至ったものと認められるから、右行為により放火罪の実行の着手があったものと解するのが相当である。
よって、右の点に関する弁護人の主張は採用できない。
(なお、前記のとおり本件焼燬の結果は被告人自身がタバコを吸おうとして点火したライターの火に引火して生じたものではあるが、前記の状況の下でライターを点火すれば引火するであろうことは一般人に容易に理解されるところであって予想し得ないような事柄ではなく、被告人はライターを点火する時に本件家屋を焼燬する意思を翻したわけでもないから、右のような経緯で引火したことにより本件の結果が生じたからといって因果関係が否定されるものではなく、被告人は放火既遂罪の刑責を免れない。)」
過去問・解説
(R2 司法 第11問 ウ)
甲は、Vが居住する木造家屋に火をつけて焼損しようと考え、同家屋台所において、プロパンガスを多量かつ長時間にわたり放出するとともに、ガソリン約18リットルを撒布したが、点火行為には至らなかった。甲には、現住建造物等放火未遂罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
裁判例(横浜地判昭58.7.20)は、「被告人はガソリンを撒布することによって放火について企図したところの大半を終えたものといってよく、この段階において法益の侵害即ち本件家屋の焼燬を惹起する切迫した危険が生じるに至ったものと認められるから、右行為により放火罪の実行の着手があったものと解するのが相当である。」としている。
甲は、乙が居住する木造家屋にプロパンガスを多量かつ長時間にわたり放出するとともに、引火性の高いガソリン約18リットルを撒布しているから、この時点で現住建造物放火罪の実行の着手が認められる。
したがって、甲には、現住建造物等放火未遂罪が成立する。