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住居を犯す罪 - 解答モード

親族関係と「人の住居」 最一小判昭和23年11月25日

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概要
強盗の目的で、家宅内に侵入した行為はそれがかつては自らも住み慣れた実父の家であっても住居侵入罪が成立する。
判例
事案:行為者と被害者とが戸籍上の家族であるが、関係が破綻し行為者による居住の実態が失われている住居に強盗の目的で侵入した事案において、かつて住んでいた住居が「人の住居」に当たるかが問題となった。

判旨:「もし被告人が家出したことを後悔して父に謝罪するつもりで涙の帰宅をしていたものとすれば、たといかかる深夜戸締りを破っての侵入であったとしても、父にとってそれは迷える羊の帰還であり、心からの歓喜そのものであったかも知れないのであつて、もとより住居侵入罪の成立しよう筈はないのである。しかし、これが強盗の目的で、…深夜家宅内に侵入したとあっては、たといそれが嘗ては自らも住み慣れたなつかしい実父の家であるとしても、父としても、世間としても、これを目して正当な『故ある』家宅の侵入とは認みえないであろう。されば原審の確定した被告人等の右所為は、…住居侵入罪を実行した場合に該当すること勿論であって、刑法130条…により問擬せらるべきものなのである。」
過去問・解説

(H24 司法 第14問 ア)
甲は、父親乙と居住していた実家から長期間家出していたが、強盗の目的で、共犯者丙と一緒に、深夜、乙方内に入った。丙には住居侵入罪が成立するが、甲には住居侵入罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭23.11.25)は、「強盗の目的で…深夜家宅内に侵入したとあっては、たといそれが嘗ては自らも住み慣れた…実父の家であるとしても…これを目して正当な『故ある』家宅の侵入とは認みえない…。」として、住居侵入罪の成立を認めている。
したがって、家出をしていた父親乙宅に強盗目的で侵入している甲にも住居侵入罪が成立する。

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「建造物」と囲繞地 最大判昭和25年9月27日

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概要
住居侵入罪の「建造物」とは、単に家屋を指すばかりでなく、その囲繞地を包含する。
判例
事案:工場内の敷地に侵入した事案において、囲繞地が「建造物」に当たるかが問題となった。

判旨:「刑法130条に所謂建造物とは、単に家屋を指すばかりでなく、その囲繞地を包含するものと解するを相当とする。所論本件工場敷地は、判示工場の附属地として門塀を設け、外部との交通を制限し守衛警備員等を置き、外来者が、みだりに出入することを禁止していた場所であることは、記録上明らかであるから、所論敷地は同条にいわゆる人の看守する建造物と認めなければならないから、論旨は採用しがたい。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第12問 4)
建造物に付属し、その利用に供される囲にょう地は、刑法第130条の規定する「建造物」に当たる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭25.9.27)は、「所謂建造物とは、単に家屋を指すばかりでなく、その囲繞地を包含する…。」としている。
したがって、建造物に付属し、その利用に供される囲にょう地は、刑法第130条の規定する「建造物」に当たる。

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住居・看守と住居侵入罪の成否 最一小決昭和28年5月14日

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概要
住居侵入罪について、居住者又は看守者が法律上正当の権限をもって居住しまたは看守するかは犯罪の成立を左右するものでない。
判例
事案:居住者又は看守者の法律上正当な権限が認められない事案において、住居侵入罪の成否が問題となった。

判旨:「住居侵入罪は故なく人の住居又は人の看守する邸宅、建造物等に侵入し又は要求を受けてその場所より退去しないことによって成立するのであり、その居住者又は看守者が法律上正当の権限を以て居住し又は看守するか否かは犯罪の成立を左右するものではない。」
過去問・解説

(H24 司法 第14問 イ)
甲は、乙が現に住んでいるアパートの居室内にのぞき目的で入ったが、同居室は乙の家賃の滞納により既に賃貸借契約が解除されていた。甲には住居侵入罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭28.5.14)は、「居住者又は看守者が法律上正当の権限を以て居住し又は看守するか否かは犯罪の成立を左右するものではない。」としている。
したがって、乙の居室の賃貸借契約が解除されており、乙が不法占有者であっても、甲には住居侵入罪が成立する。


(R2 予備 第6問 1)
「住居」というには、居住者が、法律上正当な権限に基づいて居住する必要があり、単に日常生活に使用しているだけでは足りない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭28.5.14)は、「居住者又は看守者が法律上正当の権限を以て居住し又は看守するか否かは犯罪の成立を左右するものではない。」としている。
居住者が、法律上正当な権限に基づかず、単に日常生活に使用しているだけでも「住居」といえる。

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「人の看守する建造物」と囲繞地 最一小判昭和51年3月4日

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概要
国立大学の構内に在る附置研究所建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が既存の門塀等の施設と新設の金網柵とを連結して完成した一連の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示された本件土地は、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止しうる程度の構造を有するものである以上、囲障設置以前における右土地の管理、利用状況等からして、それが本来建物固有の敷地と認めうるものかどうか、また、囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかを問わず、同研究所建物のいわゆる囲繞地として、建造物侵入罪の客体にあたる。
判例
事案:大学構内へ金網柵を引き倒して侵入した事案において、囲繞地として建造物侵入罪の客体に当たるかが問題となった。

判旨:「刑法130条にいう『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立するものであることは、当裁判所の判例(昭和24年(れ)第340号同25年9月27日大法廷判決・刑集4巻9号1783頁、昭和41年(あ)第1129号同44年4月2日大法廷判決・刑集23巻5号685頁)の示すところである。そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りるのであって、右囲障が既存の門塀のほか金網柵が新設付加されることによって完成されたものであったとしても、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止し得る程度の構造を有するものである以上、囲障の設置以前における右土地の管理、利用状況等からして、それが本来建物固有の敷地と認め得るものかどうか、また、囲障設備が仮設的構造をもち、その設置期間も初めから一時的なものとして予定されていたかどうかは問わないものと解するのが相当である。
 けだし、建物の囲繞地を刑法130条の客体とするゆえんは、まさに右部分への侵入によって建造物自体への侵入若しくはこれに準ずる程度に建造物利用の平成穏が害され又は脅かされることからこれを保護しようとする趣旨にほかならないと解されるからである。」
過去問・解説

(H24 司法 第14問 ウ)
甲は、門塀が設けられるとともに、看守者が置かれ出入りが制限されている工場の敷地内に窃盗の目的で立ち入ったが、工場の建物に入る前に逮捕された。甲には建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
門塀が設けられるとともに、看守者が置かれ出入りが制限されている工場の敷地内は、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されているから、囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には、建造物侵入既遂罪が成立する。


(H29 司法 第17問 オ)
甲は、会社事務所にある現金を窃取する目的で、門塀に囲まれ、警備員が配置されて出入りが制限されている同事務所の敷地内に塀を乗り越えて立ち入ったが、同事務所の建物に立ち入る前に警備員に発見され敷地外に逃走した。甲に建造物侵入罪の既遂罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
門塀に囲まれ、警備員が配置されて出入りが制限されている会社事務所の敷地は、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されている囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には、建造物侵入既遂罪が成立する。


(R2 予備 第6問 4)
「建造物」に含まれる囲繞地というには、当該建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に囲障を設置することにより、建物の付属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されているだけでは足りない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。


(R3 司法 第2問 エ)
甲は、乙会社が所有するビルに窃盗に入る目的で、同ビルに接しており、同社が設置した門扉及び金網フェンスによって、同ビルの利用のために供されるものであることが明示され、部外者の出入りが制限されている敷地部分に立ち入ったが、同ビルに立ち入る前に警備員に取り押さえられた。この場合、甲には、建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.3.4)は、「『人の看守する建造物』とは、単に建物を指すばかりでなく、その囲繞地を含むものであって、その建物の附属地として門塀を設けるなどして外部との交通を制限し、外来者がみだりに出入りすることを禁止している場所に故なく侵入すれば、建造物侵入罪が成立する。…そして、このような囲繞地であるためには、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、建物の附属地として、建物利用のために供されるものであることが明示されれば足りる…。」としている。
同社が設置した門扉及び金網フェンスによって、同ビルの利用のために供されるものであることが明示され、部外者の出入りが制限されている敷地部分は、囲繞地に当たる。
したがって、囲繞地に窃盗目的で立ち入った甲には建造物侵入既遂罪が成立する。

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雑居ビルと「人の住居」 広島高判昭和51年4月1日

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概要
1階店舗、車庫、2階事務所、居室、3階から5階まではすべて居室である判示のごとき内容の5階建ビルの階段通路および同屋上は、同ビルのうち現に住居として利用されている右各居室と一体をなして130条所定の「人の住居」にあたるものと解すべきである。
判例
事案: 住居侵入の事案において、アパート風5階建ビルの階段通路および同屋上が130条所定の「人の住居」に当たるかが問題となった。

判旨:「原判決はその公訴事実の記載に応じ、右ビルをほぼ全体として『人の看守する建造物』として観念しているようにみられる。しかしこの点の判断は正当でない。つまり、本件のごときビルは、たしかに建物としてはその構造および利用上相互に密接な関連を有し1個の建造物としての性格を有するが、その中味は、各種の独立した部分と、それに関連する共用部分とからなり、これを刑法130条の客体としてみる場合必ずしも全体を1個の種別のものに分別して考えなければならない必然性はない。むしろ別異に解することに、たとえば『故なく』の判断などで十分実益のあるところである。このことからまず、本件Dビルのうち事務所・店舗・住居等でその構造および利用上異なる性格を有する各独立した専用部分は、特にその一方が他方に全く従属したとみられるような関係にある場合のほか、それぞれの性格に従い、『人の看守する建造物』『人の住居』などとして各別に判断すれば足るものと解される。そして次に問題の右共用部分とみられる同ビル階段通路および屋上等についてであるが、これらはまず、その構造および利用上これが右独立した部分のいずれに従属する性格のものであるかどうかのの判断を前提に、さらに、元来『人の住居』と『人の看守する建造物』との区分につき、人の住居とは、それに従属するものも含め現にこれが人の日常生活の場として利用されていることから、さらに『人の看守』といったことを必要とするまでもなく当然その管理、また平成穏の確保といったことが予定され、保護客体としての性格を具有するに至るとみられることによるものであるという観点から判別するのが相当であると考えられるところ、このような観点からすると、本件Dビルは1階と2階の一部を除くその余の同ビル大方は住居であり、現に多くの居住者があって、各居室および屋上に至る同ビル唯一の階段通路は、前記事務所関係者のほかはほぼ大方右居住者およびその関係者によって利用されているものと推知され、また右ビル屋上もほとんど専ら右居住者による利用が予定され、かつ現にほぼその家族の生活上の利便に供されているものと推知されるところで、これらからすると、右ビル階段通路および同屋上は、右住居部分に必要的に従属し、かつその居住者らによるその日常の生活での共同した事実上の監視、管理も当然予定されるところで、居住者の平成穏を配意する必要も強く認められ、結局これらからして、本件Dビルのうち前記現に住居として利用されている各居室のほか、これに附属する右階段通路および同屋上も、右と一体をなして刑法130条所定の『人の住居』にあたるものと解するのが相当であると考えられる。」
過去問・解説

(H26 司法 第12問 5)
1棟の建物の低層階に商業施設、高層階に住居がそれぞれ存在する場合、当該建物全体が刑法第130条の規定する「住居」に当たる。

(正答)

(解説)
裁判例(広島高判昭51.4.1)は、「本件のごときビルは、たしかに建物としてはその構造および利用上相互に密接な関連を有し1個の建造物としての性格を有するが、その中味は、各種の独立した部分と、それに関連する共用部分とからなり、これを刑法130条の客体としてみる場合必ずしも全体を1個の種別のものに分別して考えなければならない必然性はない。」としている。
したがって、各専有部分を住居か建造物かで分類して判断することもありうるから、1棟の建物の低層階に商業施設、高層階に住居がそれぞれ存在する場合、それぞれの専有部分が刑法第130条の規定する「住居」に当たり、当該建物全体は、「建造物」に当たる。

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「侵入」の意義 最二小判昭和58年4月8日

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概要
① 130条前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいう。
② 建造物の管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、建造物侵入罪の成立を免れない。
判例
事案:建造物の管理権者が立入り拒否の意思を積極的に明示していなかった事案において、建造物侵入罪の成否が問題となった。

判旨:「刑法130条前段にいう『侵入シ』とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れないというべきである。」
過去問・解説

(H19 司法 第16問 ウ)
甲は、乙の居宅に入ることについての乙の承諾がないのに、これがあると誤信して、乙が単身居住する乙の居宅に入った。住居侵入罪が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.4.8)は、「『侵入シ』とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいう…。」としている。
甲は、乙の承諾があると誤信しており、構成要件的故意を欠くから、住居侵入罪は成立しない。


(H28 共通 第6問 イ)
建造物への立入りが平成穏な態様で行われた場合には、管理権者があらかじめ立入り拒否の意思を積極的に明示していない限り、建造物侵入罪が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.4.8)は、「管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れないというべきである。」としている。
したがって、立入り拒否の意思を積極的に明示していなくとも、管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、建造物侵入罪が成立することがある。


(R2 予備 第6問 5)
「侵入し」というには、建造物等の平穏を害する必要があり、その管理権者の意思に反して立ち入ることだけでは足りない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.4.8)は、「『侵入シ』とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいう…。」としている。
したがって、「侵入し」というために、建造物等の平穏を害する必要はない。

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立ち入りの承諾と住居侵入罪 最大判昭和24年7月22日

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概要
犯人が「今晩は」とは挨拶したのに対し、家人が「おはいり」と答えたのに応じて住居に入った場合でも、犯人が強盗の意図でその住居に入った以上、住居侵入罪が成立する。
判例
事案:強盗目的で、「今晩は」とは挨拶したのに対し、家人が「おはいり」と答えたのに応じて住居に入ったという事案において、住居侵入罪の成否が問題となった。

判旨:「強盗の意図を隠して『今晩は』と挨拶し、家人が『おはいり』と答えたのに応じて住居にはいった場合には、外見上家人の承諾があったように見えても、真実においてはその承諾を欠くものであることは、言うまでもないことである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H24 司法 第14問 エ)
甲は、強盗の目的で乙方に行き、その意図を隠した上、玄関前で「こんばんは。」と挨拶したところ、乙が「お入り。」と答えたので乙方内に入った。甲には住居侵入罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭24.7.22)は、本肢と同種の事案において、「強盗の意図を隠して『今晩は』と挨拶し、家人が『おはいり』と答えたのに応じて住居にはいった場合には、外見上家人の承諾があったように見えても、真実においてはその承諾を欠く…。」としている。
乙は、「お入り。」と答えているが、強盗目的と知っていたら承諾しなかったであろうことから、真実においては管理権者乙の承諾を欠いているといえる。
したがって、甲に住居侵入罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H28 司法 第6問 ア)
強盗の意図を隠してA方の玄関前で「こんばんは。」と言ったところ、来客と勘違いしたAから「どうぞお入りください。」と言われてA方住居に立ち入った場合、住居侵入罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭24.7.22)は、「強盗の意図を隠して『今晩は』と挨拶し、家人が『おはいり』と答えたのに応じて住居にはいった場合には、外見上家人の承諾があったように見えても、真実においてはその承諾を欠く…。」としている。
Aは、「どうぞお入りください。」と答えているが、強盗目的と知っていたら承諾しなかったであろうことから、真実においては管理権者Aの承諾を欠いているといえる。
したがって、住居侵入罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(R3 司法 第2問 ウ)
甲は、強盗の目的で、面識のない乙方に行き、その意図を隠しながら、玄関前で、「こんばんは。」と挨拶したところ、これを知人による来訪と勘違いした乙が、「どうぞ入ってください。」と答えたので、乙方内に立ち入った。この場合、甲には、住居侵入罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭24.7.22)は、「強盗の意図を隠して『今晩は』と挨拶し、家人が『おはいり』と答えたのに応じて住居にはいった場合には、外見上家人の承諾があったように見えても、真実においてはその承諾を欠く…。」と判示している。本肢では、乙が「どうぞ入ってください。」と答えているが、強盗目的と知っていたら承諾しなかったであろうことから、真実においては管理権者乙の承諾を欠いているといえる。
したがって、甲に住居侵入罪が成立する。

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建造物侵入罪と不退去罪の関係 最決昭和31年8月22日

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概要
建造物に侵入する罪は、故なく建造物に侵入した場合に成立する犯罪であるから、その侵入者が退去を求められて応じなかった場合においても不退去罪は成立しない。
判例
事案:電話局建造物内に侵入してビラを勝手に貼付し、退去を求められたが退去しなかったという事案において、建造物侵入罪及び不退去罪の関係が問題となった。

判旨:「建造物侵入罪は故なく建造物に侵入した場合に成立し退去するまで継続する犯罪であるから、同罪の成立する以上退去しない場合においても不退去罪は成立しないものと解するを相当とする。」
過去問・解説

(H28 司法 第6問 オ)
住居権者の意思に反して住居に立ち入った上、その後、退去を求められたにもかかわらず数日間にわたってその住居に滞留した場合には、住居侵入罪だけでなく、不退去罪も成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭31.8.22)は、「建造物侵入罪は故なく建造物に侵入した場合に成立し退去するまで継続する犯罪であるから、同罪の成立する以上退去しない場合においても不退去罪は成立しないものと解するを相当とする。」と判示している。
したがって、住居権者の意思に反して住居に立ち入った上、その後、退去を求められたにもかかわらず数日間にわたってその住居に滞留した場合には、不退去罪は成立せず、住居侵入罪のみが成立する。


(R3 司法 第2問 オ)
甲は、住居権者乙の意思に反し、乙方家屋に立ち入ったが、その後、乙から退去を求められたにもかかわらず数時間にわたって同家屋に居座った。この場合、甲には、住居侵入罪だけでなく、不退去罪も成立し、両罪は併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭31.8.22)は、「建造物侵入罪は故なく建造物に侵入した場合に成立し退去するまで継続する犯罪であるから、同罪の成立する以上退去しない場合においても不退去罪は成立しないものと解するを相当とする。」と判示している。
したがって、住居権者乙の意思に反し、乙方家屋に立ち入り退去を求められても退去しなかった甲には、不退去罪は成立せず、住居侵入罪のみが成立する。

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盗撮目的の立ち入りと住居侵入罪 最一小決平成19年7月2日

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概要
現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立する。
判例
事案:現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で営業中の銀行支店出張所への立入ったという事案において、建造物侵入罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人らは、現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり、そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立するものというべきである。」
過去問・解説

(H28 司法 第6問 エ)
現金自動預払機が設置されている銀行支店出張所は、一般の利用客の立入りが許容されている場所であるので、同機を利用する客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で立ち入っても、平穏な態様での立入りであれば、建造物侵入罪が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最決平19.7.2)は、本肢と同種の事案において、「被告人らは、現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり、そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立するものというべきである。」としている。
暗証番号等を盗撮する目的で立ち入ることは、管理権者の意思に反するものであることは明らかである。
したがって、たとえ平穏な態様であっても、建造物侵入罪が成立する。


(R4 司法 第5問 オ)
甲は、現金自動預払機を利用する客のキャッシュカードの暗証番号を盗撮する機器を設置する目的で、行員が常駐しない銀行出張所内に立ち入った。この場合、甲による立入りの外観が一般の利用客のそれと異なることがなければ、甲に建造物侵入罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平19.7.2)は、「被告人らは、現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入ったものであり、そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立するものというべきである。」としている。
甲は、暗証番号を盗撮する機器を設置する目的で立ち入っているところ、これが銀行出張所の管理権者の意思に反することは明らかである。
したがって、甲に建造物侵入罪が成立する。

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集合住宅と住居侵入罪 最二小判平成20年4月11日

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概要
①管理者が管理する、職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び同宿舎の各号棟の建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示しているその敷地は、130条にいう「人の看守する邸宅」及びその囲にょう地として、邸宅侵入罪の客体になる。
②各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で、職員及びその家族が居住する公務員宿舎である集合住宅の共用部分及び敷地に、同宿舎の管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって130条前段の罪に問うことは、憲法21条1項に違反しない。
判例
事案:防衛庁宿舎に立ち入りビラ配布をしたという事案において、①管理者が管理する、公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が、130条の邸宅侵入罪の客体に当たるか、②各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で公務員宿舎である集合住宅の敷地等に管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって130条前段の罪に問うことが、憲法21条1項に違反しないかなどが問題となった。

判旨:①「a宿舎の各号棟の構造及び出入口の状況、その敷地と周辺土地や道路との囲障等の状況、その管理の状況等によれば、各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は、居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり、宿舎管理者の管理に係るものであるから、居住用の建物の一部として刑法130条にいう『人の看守する邸宅』に当たるものと解され、また、各号棟の敷地のうち建築物が建築されている部分を除く部分は、各号棟の建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより、これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示していると認められるから、上記部分は、『人の看守する邸宅』の囲にょう地として、邸宅侵入罪の客体になるものというべきである(最高裁昭和49年(あ)第736号同51年3月4日第一小法廷判決・刑集30巻2号79頁参照)。
 …そして、刑法130条前段にいう『侵入し』とは、他人の看守する邸宅等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうものであるところ(最高裁昭和55年(あ)第906号同58年4月8日第二小法廷判決・刑集37巻3号215頁参照)、…被告人らの立入りがこれらの管理権者の意思に反するものであったことは、…明らかである。」
 ②「被告人らのa宿舎の敷地及び各号棟の1階出入口から各室玄関前までへの立入りは、刑法130条前段に該当するものと解すべきである。なお、本件被告人らの立入りの態様、程度は前記1の事実関係のとおりであって、管理者からその都度被害届が提出されていることなどに照らすと、所論のように法益侵害の程度が極めて軽微なものであったなどということもできない。
 …表現の自由は,民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず,被告人らによるその政治的意見を記載したビラの配布は,表現の自由の行使ということができる。しかしながら,憲法21条1項も,表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく,公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって,たとえ思想を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである…本件で被告人らが立ち入った場所は、防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平成穏を侵害するものといわざるを得ない。」
過去問・解説

(H28 共通 第6問 ウ)
平穏を害する態様での住居への立入りであっても、住居権者の同意に基づくものである場合には、住居侵入罪の構成要件には該当するが、違法性が阻却される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.4.8)は、「『侵入シ』とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいう…。」としている。
したがって、立入りが住居権者の同意に基づく場合には、構成要件に該当することはない。

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塀の上部に上がった行為と住居侵入罪 最一小決平成21年7月13日

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概要
警察署庁舎建物及び中庭への外部からの交通を制限し、みだりに立入りすることを禁止するために設置された高さ約2.4mの本件塀は、建造物侵入罪の客体に当たり、中庭に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部に上がった行為は、建造物侵入罪を構成する。
判例
事案:捜査車両を確認する目的で警察署の塀の上部に上がったという事案において、建造物侵入罪の成否が問題となった。

判旨:「本件塀は、本件庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに、外部からの干渉を排除する作用を果たしており、正に本件庁舎建物の利用のために供されている工作物であって、刑法130条にいう『建造物』の一部を構成するものとして、建造物侵入罪の客体に当たると解するのが相当であり、外部から見ることのできない敷地に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部へ上がった行為について、建造物侵入罪の成立を認めた原判断は正当である。」
過去問・解説

(H24 司法 第14問 オ)
甲は、交通違反の取締りに当たる捜査車両の車種やナンバーをのぞき見るため、外部からの立入りが制限され、内部をのぞき見ることができない構造になっている警察署の高さ約3メートル、幅30センチメートルのコンクリート塀の上に登り、その上部に立って中庭を見たが、塀から降りて中庭に立ち入る意思はなかった。甲には建造物侵入罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.7.13)は、「本件塀は、本件庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに、外部からの干渉を排除する作用を果たしており、正に本件庁舎建物の利用のために供されている工作物であって、刑法130条にいう『建造物』の一部を構成するものとして、建造物侵入罪の客体に当たる…。」として、建造物侵入罪の成立を肯定している。
甲は、交通違反の取締りに当たる捜査車両の車種やナンバーをのぞき見る目的で、外部からの干渉を排除するためのコンクリート塀の上に登っているから、当該行為について、甲には建造物侵入罪が成立する。


(H30 共通 第2問 ウ)
甲は、捜査車両をのぞき見て同車両のナンバーを把握するため、警察署の建物及び敷地への外部からの立入りを制限するとともに内部をのぞき見ることができない構造として作用し、建物の利用のために供されている高さ約2.5メートルのコンクリート塀を正当な理由なくよじ登り、その上部に立って同警察署の敷地内の捜査車両を見て立ち去った。この場合、甲には建造物侵入罪は成立し得ない。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.7.13)は、「本件塀は、本件庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに、外部からの干渉を排除する作用を果たしており、正に本件庁舎建物の利用のために供されている工作物であって、刑法130条にいう『建造物』の一部を構成するものとして、建造物侵入罪の客体に当たる…。」として、建造物侵入罪の成立を肯定している。
甲は、捜査車両をのぞき見て同車両のナンバーを把握する目的で、外部からの干渉を排除するためのコンクリート塀の上に登っているから、当該行為について、甲には建造物侵入罪が成立する。


(R3 司法 第2問 ア)
甲は、警察署の敷地内に駐車中の捜査用車両のナンバーを把握しようと考え、外部から同敷地内への交通を制限するために設置され、内部をのぞき見ることができない構造になっている高さ2.5メートル、幅0.2メートルの同警察署の塀をよじ登り、その上に立った。この場合、甲には、建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。

(正答)

(解説)
判例(最決平21.7.13)は、「本件塀は、本件庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに、外部からの干渉を排除する作用を果たしており、正に本件庁舎建物の利用のために供されている工作物であって、刑法130条にいう『建造物』の一部を構成するものとして、建造物侵入罪の客体に当たる…。」として、建造物侵入罪の成立を肯定している。
警察署の敷地内に駐車中の捜査用車両のナンバーを把握する目的で、外部からの干渉を排除するための塀の上によじ登っているから、当該行為について、甲には建造物侵入罪が成立する。

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