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名誉に対する罪 - 解答モード

名誉毀損罪における「事実」 大判大正5年12月13日

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概要
名誉毀損罪における「事実」は必ずしも非公知のものであることを要せず公知のものであっても「事実」に当たる。
判例
事案:既に公知となっている事実を改めて摘示したという事案において、名誉毀損罪の成否が問題となった。

判旨:「名誉毀損罪ニ於ケル事実ハ必スシモ非公知ノモノタルヲ要セス公知ノ事実ト雖モ之ヲ摘示表白スル以上ハ同罪ヲ構成スルモノトス」
過去問・解説

(H29 共通 第18問 1)
摘示される「事実」は、非公知のものでなければならないから、公知の事実を摘示した場合には、名誉毀損罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.12.13)は、「名誉毀損罪ニ於ケル事実ハ必スシモ非公知ノモノタルヲ要セス公知ノ事実ト雖モ之ヲ摘示表白スル以上ハ同罪ヲ構成スルモノトス」として、公知の事実の摘示であっても名誉毀損罪が成立し得ることを示している。
したがって、「事実」は必ずしも非公知のものであることを要せず、公知事実を摘示した場合、名誉毀損罪が成立する。

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名誉毀損罪の客体 大判大正15年3月24日

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概要
名誉毀損罪又は侮辱罪の被害者は特定の自然人又は法人である。
判例
事案:法人の名誉を棄損したとされる事案において、名誉毀損罪が自然人のみならず法人にも成立するかが問題となった。

判旨:「名誉毀損罪又ハ侮辱罪ノ被害者タル者ハ或特定セル人又ハ人格ヲ有スル団体ナリトス」
過去問・解説

(H21 司法 第13問 4)
名誉毀損罪が成立するためには、人の名誉を毀損する必要があるが、法人等の団体は名誉感情を持ち得ないから、法人等の団体に対する名誉毀損罪が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(大判大15.3.24)は、「名誉毀損罪又ハ侮辱罪ノ被害者タル者ハ或特定セル人又ハ人格ヲ有スル団体ナリトス」として、法人も名誉毀損罪・侮辱罪の客体となることを示している。
したがって、法人等の団体に対する名誉毀損罪が成立する余地もある。


(H24 司法 第8問 2)
教授甲は、数百人が出席している講演会で、日頃意見の対立するV教授がX県出身であったことから、誰のことを言っているかは分からないようにしつつ、「X県人は頭が悪い。」と述べた。甲には名誉毀損罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大15.3.24)は、「名誉毀損罪又ハ侮辱罪ノ被害者タル者ハ或特定セル人又ハ人格ヲ有スル団体ナリトス」として、特定人や法人のみが名誉毀損罪・侮辱罪の客体となることを示している。
甲が述べたのは、不特定な「X県人」に関することであるから、甲に名誉毀損罪は成立しない。


(H29 共通 第18問 3)
名誉の主体である「人」は、自然人に限られるから、法人の名誉を毀損した場合には、名誉毀損罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大15.3.24)は、「名誉毀損罪又ハ侮辱罪ノ被害者タル者ハ或特定セル人又ハ人格ヲ有スル団体ナリトス」として、法人も名誉毀損罪・侮辱罪の客体となることを示している。
したがって、法人の名誉を毀損した場合にも、名誉毀損罪は成立する。


(R2 共通 第16問 1)
名誉毀損罪及び侮辱罪の保護法益は、いずれも人の外部的名誉であり、法人については、侮辱罪の客体になり得ない。

(正答)

(解説)
判例(大判大15.3.24)は、「名誉毀損罪又ハ侮辱罪ノ被害者タル者ハ或特定セル人又ハ人格ヲ有スル団体ナリトス」として、法人も名誉毀損罪・侮辱罪の客体となることを示している。

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法人に対する侮辱罪 最一小判昭和58年11月1日

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概要
侮辱罪における「人」には法人も含まれる。
判例
事案:被告人は、知人の交通事故に関し、相手方から損害賠償交渉の委任を受けている保険株式会社の顧問弁護士と交渉を続けていたところ、圧迫を加えて右交渉を有利に進めようと企て、保険会社と悪徳弁護士が結託して被害者を弾圧している旨のビラ1、2枚をビルの柱に糊で貼付し、もって公然と保険株式会社を侮辱したという事案において、法人に対する侮辱罪の成否が問題となった。

判旨:「刑法231条にいう『人』には法人も含まれると解すべきであり(大審院大正14年(れ)第2138号同15年3月24日判決・刑集5巻3号117頁参照)、原判決の是認する第一審判決が本件A株式会社を被害者とする侮辱罪の成立を認めたのは、相当である。」
過去問・解説

(H25 共通 第1問 5)
刑法各則に規定された行為の客体には、法人は含まれない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.11.1)は、「231条にいう『人』には法人も含まれる…。」としている。
したがって、刑法各則に規定された行為の客体に、法人が含まれるものもある。

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名誉毀損罪における公然性 大判昭和3年12月13日

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概要
人の名誉を毀損すべき事実を記載した文書を郵便により多数人に配布したときは現に配布を受けた者が特定できても、233条にいう公然性を妨げない。
判例
事案:人の名誉を毀損すべき事実を記載した文書を郵便により多数人に配布したという事案において、宛名人が特定していたため、公然性を満たすかが問題となった。

判旨:「人ノ名誉ヲ毀損スヘキ事実ヲ記載シタル文書ヲ郵便ニ依リ多数ノ人ニ配付シタルトキハ現ニ配付ヲ受ケタル者カ特定セルモ刑法第230条ニ所謂公然タルヲ妨ケス」
過去問・解説

(H24 司法 第8問 3)
甲は、以前交際していたV女が別の男性と婚約したことを知り、腹いせに、V女の両親に宛てて、「V女には他にも数人男がいる。V女の好色は目に余る。」などと嘘の事実を記載した手紙を匿名で郵送した。甲には名誉毀損罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭3.12.13)は、「人ノ名誉ヲ毀損スヘキ事実ヲ記載シタル文書ヲ郵便ニ依リ多数ノ人ニ配付シタルトキハ現ニ配付ヲ受ケタル者カ特定セルモ刑法第230条ニ所謂公然タルヲ妨ケス」としている。
甲は、Vのの名誉を毀損すべき事実を記載した文書を郵便により配布しているものの、これは特定かつ少数であるV女の両親に対してのみなされているから、公然性を満たさない。
したがって、甲に名誉毀損罪は成立しない。

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名誉毀損罪における公然性 大判昭和6年6月19日

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概要
多数人の面前において人の名誉を毀損すべき事実を摘示したる場合、その多数人が特定しているときでも、230条の「公然」にあたり名誉毀損罪が成立する。
判例
事案:株主総会において別の株主を前科者と摘示して名誉を毀損したという事案において、名誉棄損罪の「公然」性が認められるかが問題となった。

判旨:「多数人ノ面前ニ於テ人ノ名誉ヲ毀損スヘキ事実ヲ摘示シタル場合ハ其ノ多数人カ特定セルトキト雖刑法第230条ノ罪ヲ構成ス」
過去問・解説

(H29 共通 第18問 2)
事実の摘示が「公然」といえるためには、摘示内容を不特定かつ多数人が認識し得る状態にあったことが必要であるから、不特定ではあるが、少数人しか認識し得ない状態にとどまる場合には、名誉毀損罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭6.6.19)は、「多数人ノ面前ニ於テ人ノ名誉ヲ毀損スヘキ事実ヲ摘示シタル場合ハ其ノ多数人カ特定セルトキト雖刑法第230条ノ罪ヲ構成ス」として、多数人の面前で名誉を毀損していれば、特定者のみの面前であっても、名誉毀損罪が成立することを示している。
したがって、事実の摘示が「公然」といえるためには、摘示内容を不特定か、又は、多数人が認識し得る状態にあれば足りるから、不特定ではあるが、少数人しか認識し得ない状態にとどまる場合であっても、名誉毀損罪が成立する。

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名誉毀損罪における「毀損」の成立 大判昭和13年2月28日

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概要
名誉毀損罪は、公然と人の社会的地位を汚すに足るべき具体的事実を摘示し名誉低下の危険状態を発生させれば足り、人の名誉が現実に侵害されることを必要としない。
判例
事案:新聞紙の記載が名誉毀損に当たる場合、その人の名誉が現実に侵害されなかったという事案において、名誉毀損罪の成否が問題となった。

判旨:「名誉毀損罪ノ既遂ハ公然人ノ社会的地位ヲ貶スニ足ルヘキ具体的事実ヲ摘示シ名誉低下ノ危険状態ヲ発生セシムルヲ以テ足リ被害者ノ社会的地位ノ損傷セラレタルコトハ之ヲ必要トセス」
過去問・解説

(H21 司法 第13問 3)
名誉毀損罪が成立するためには、人の名誉を毀損する必要があるが、人の社会的評価を低下させるような事実を摘示したとしても、その人の名誉が現実に侵害されなかった場合には、人の名誉を毀損したとはいえないから、名誉毀損罪が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.2.28)は、新聞の報道による名誉毀損の事案において、「名誉毀損罪ノ既遂ハ公然人ノ社会的地位ヲ貶スニ足ルヘキ具体的事実ヲ摘示シ名誉低下ノ危険状態ヲ発生セシムルヲ以テ足リ被害者ノ社会的地位ノ損傷セラレタルコトハ之ヲ必要トセス」として、名誉毀損罪の成立に、人の名誉が現実に侵害されることを必要としないことを示している。
したがって、その人の名誉が現実に侵害されなかった場合であっても、名誉毀損罪が成立することがある。


(H29 共通 第18問 5)
人の名誉を侵害するに足りる事実を公然と摘示したとしても、現実に人の名誉が侵害されていない場合には、名誉毀損罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.2.28)は、新聞の報道による名誉毀損の事案において、「名誉毀損罪ノ既遂ハ公然人ノ社会的地位ヲ貶スニ足ルヘキ具体的事実ヲ摘示シ名誉低下ノ危険状態ヲ発生セシムルヲ以テ足リ被害者ノ社会的地位ノ損傷セラレタルコトハ之ヲ必要トセス」として、名誉毀損罪の成立に、人の名誉が現実に侵害されることを必要としないことを示している。
したがって、現実に人の名誉が侵害されていない場合であっても、名誉毀損罪が成立することがある。


(R3 共通 第12問 ウ)
人の社会的評価を害するに足りる事実を公然と摘示したとしても、その人の社会的評価が現実に害されていない場合、刑法第230条第1項にいう「人の名誉を毀損した」とはいえないため、名誉毀損罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.2.28)は、新聞の報道による名誉毀損の事案において、「名誉毀損罪ノ既遂ハ公然人ノ社会的地位ヲ貶スニ足ルヘキ具体的事実ヲ摘示シ名誉低下ノ危険状態ヲ発生セシムルヲ以テ足リ被害者ノ社会的地位ノ損傷セラレタルコトハ之ヲ必要トセス」として、名誉毀損罪の成立に、人の名誉が現実に侵害されることを必要としないことを示している。
したがって、その人の社会的評価が現実に害されていない場合であっても名誉毀損罪が成立することがある。

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侮辱罪の成否 最一小決昭和34年2月19日

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概要
甲の乙に対する発言が、乙のほかに、同人が甲を被告訴人として告訴した脅迫被疑事件の取調担当検事及び検察事務官の2人だけが捜査担当官として在室中の検事取調室内で行われたときは、230条1項又は231条にいう「公然」となされたものということはできない。
判例
事案:甲が、乙のほかに同人が甲を被告訴人として告訴した脅迫被疑事件の取調担当検事及び検察事務官の2人だけが捜査担当官として在室中の検事取調室内で、乙に対し侮辱する発言をしたという事案において、侮辱罪の公然性を満たすかが問題となった。

判旨:「本件につき、公然性を欠くものとしたのは相当であって…。」
過去問・解説

(H18 司法 第1問 エ)
執行猶予中の甲は、居酒屋で飲食中、隣のテーブルの男Aと口論になり、Aの顔面をこぶしで殴打して鼻骨骨折等の傷害を負わせたが、店員らに現行犯逮捕され、K警察署の司法警察員に引き渡された。取調室において、甲が、司法警察員Yに傷害事件の見通しを尋ねたところ、Yは「被害者の傷害の程度も重いので、軽く考えない方がいいかもしれない。」などと答えた。甲はYの話を聞き、実刑になり刑務所に収容されるかもしれないと思い、憤激のあまり、Yに対し「ばか野郎。お前らはうそつきだ。」などと怒号した。甲に侮辱(刑法第231条)が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭34.2.19)は、侮辱発言が検事取調室内で行われたという事案において、「本件につき、公然性を欠くものとしたのは相当…。」として、特定かつ少数しかいない場では公然性を満たさないことを示している。
取調室において、甲がYと二人きりであったという状況では、特定かつ少数人のYのみに告げただけで、守秘義務を負うYから伝播する可能性もなく、「公然」となされたものとはいえない。
したがって、甲に侮辱罪は成立しない。

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伝播可能性の理論 最一小判昭和34年5月7日

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概要
特定かつ少数人に事実を摘示した場合、不特定又は多数人に伝播する可能性があるときには名誉毀損罪が成立する。
判例
事案:確証もないのに、Xが庭先の菰に放火したものと思い込み、近所のA、B、C、D等に対し、「Xの放火を見た」、「火が燃えていたのでXを捕えることはできなかった」旨述べ不特定多数の人が視聴できる状態にしたという事案において、名誉棄損罪の成否が問題となった。

判旨:「被告人は不定多数の人の視聴に達せしめ得る状態において事実を摘示したものであり、その摘示が質問に対する答としてなされたものであるかどうかというようなことは、犯罪の成否に影響がないとしているのである。そして、このような事実認定の下においては、被告人は刑法230条1項にいう公然事実を摘示したものということができるのであり、かく解釈したからといってなんら所論憲法各法条の保障する自由を侵害したことにはならないのはもちろん(昭和31年(あ)第3359号、同33年4月10日当小法廷判決・集12巻5号830頁以下参照)、また、所論判例と相反する判断をしたことにもならない。
 …本件火災の放火犯人であると確認することはできないから、被告人についてはその陳述する事実につき真実であることの証明がなされなかったものというべく、被告人は本件につき刑責を免れることができない…。」
過去問・解説

(H21 司法 第13問 2)
名誉毀損罪が成立するためには、公然と事実の摘示が行われる必要があるが、特定かつ少数人に事実を摘示した場合には、その者らを通じて不特定又は多数人に伝播する可能性があったとしても、公然と事実の摘示が行われたとはいえないから、名誉毀損罪が成立する余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.5.7)は、特定かつ少数人に対して事実の摘示をした名誉毀損の事案において、「被告人は不定多数の人の視聴に達せしめ得る状態において事実を摘示したものであり、…被告人は刑法230条1項にいう公然事実を摘示したものということができる…。」として、事実摘示の直接の相手方が特定かつ少数であっても、その者を通して不特定又は多数人に伝播する可能性があるのであれば、公然性を充足することを示している。


(R2 共通 第16問 3)
特定かつ少数の者に特定人の名誉を毀損する事実を摘示した場合、その内容が拡散する可能性があったとしても、「公然と」事実を摘示したことにはならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.5.7)は、特定かつ少数人に対して事実の摘示をした名誉毀損の事案において、「被告人は不定多数の人の視聴に達せしめ得る状態において事実を摘示したものであり、…被告人は刑法230条1項にいう公然事実を摘示したものということができる…。」として、事実摘示の直接の相手方が特定かつ少数であっても、その者を通して不特定又は多数人に伝播する可能性があるのであれば、公然性を充足することを示している。


(R4 共通 第20問 ア)
甲(女性、16歳)は、高校の同級生A(女性、16歳)が非行グループと交際し、飲酒喫煙を繰り返していることを知り、それらのAの具体的行動を、特に口止めもせずに同級生2名に告げたところ、同人らを介して、Aの同行動がクラスの全生徒30名の知るところとなった。甲が、Aの上記行動を同級生2名に告げた行為は、特定かつ少数の者にAの名誉を毀損する事実を摘示したにすぎないことから、名誉毀損罪が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.5.7)は、特定かつ少数人に対して事実の摘示をした名誉毀損の事案において、「被告人は不定多数の人の視聴に達せしめ得る状態において事実を摘示したものであり、…被告人は刑法230条1項にいう公然事実を摘示したものということができる…。」として、事実摘示の直接の相手方が特定かつ少数であっても、その者を通して不特定又は多数人に伝播する可能性があるのであれば、公然性を充足することを示している。
甲は、Aの飲酒喫煙等の事実について、特定かつ少数の者たる同級生2名に告げただけであるが、結局特に口止めをしなかったために同人らを介して、Aの同行動がクラスの全生徒30名に伝播している。
したがって、甲の同級生に口止めせずに告げた行為は、不特定又は多数人に伝播する可能性ある特定かつ少数の者に対する摘示にあたり、公然性を充足する。
よって、甲に名誉毀損罪が成立する余地がある。

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230条の2における真実性の証明 最一小決昭和43年1月18日

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概要
「人の噂であるから真偽は別として」という表現を用いて公務員の名誉を毀損する事実を摘示した場合、230条の2所定の事実の証明の対象となるのは、風評そのものの存在ではなく、その風評の内容たる事実が真実である。
判例
事案:「人の噂である」という表現を用いて被害者の名誉を毀損したという事案において、230条の2所定の事実の証明の対象が問題となった。

判旨:「『人の噂であるから真偽は別として』という表現を用いて、公務員の名誉を毀損する事実を摘示した場合、刑法230条ノ2所定の事実の証明の対象となるのは、風評そのものが存在することではなく、その風評の内容たる事実の真否であるとした原判断は、相当である。」
過去問・解説

(R2 共通 第16問 4)
風評の形式を用いて人の社会的評価を低下させる事実が摘示された場合、刑法第230条の2にいう「真実であることの証明」の対象となるのは、風評が存在することではなく、そのような風評の内容たる事実が存在することである。

(正答)

(解説)
判例(最決昭43.1.18)は、「『人の噂であるから真偽は別として』という表現を用いて、公務員の名誉を毀損する事実を摘示した場合、刑法230条ノ2所定の事実の証明の対象となるのは、風評そのものが存在することではなく、その風評の内容たる事実の真否である…。」としている。

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230条の2における「公共の利害に関する事実」 最一小判昭和56年4月16日

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概要
①私人の私生活上の行状にあっても、その携わる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の1資料として、230条の2第1項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たる場合がある。
②230条の2第1項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきであり、これを摘示する際の表現方法や事実調査の程度などは、同条にいわゆる公益目的の有無の認定等に関して考慮されるべき事柄であって、摘示された事実が「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たるか否かの判断を左右するものではない。
判例
事案:被害者たる宗教団体会長の女性関係が乱脈をきわめており、同会長と関係のあった女性2名が同会長によって国会に送り込まれていることなどの事実を記事に載せたという事案において、「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たるかが問題となった。

判旨:「私人の私生活上の行状であっても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法230条の2第1項にいう『公共ノ利害ニ関スル事実』にあたる場合があると解すべきである。 
 …被告人が執筆・掲載した前記の記事は、多数の信徒を擁するわが国有数の宗教団体であるb学会の教義ないしあり方を批判しその誤りを指摘するにあたり、その例証として、同会のc会長(当時)の女性関係が乱脈をきわめており、同会長と関係のあった女性2名が同会長によって国会に送り込まれていることなどの事実を摘示したものであることが、右記事を含む被告人のa誌上の論説全体の記載に照らして明白であるところ、記録によれば、同会長は、同会において、その教義を身をもって実践すべき信仰上のほぼ絶対的な指導者であって、公私を問わずその言動が信徒の精神生活等に重大な影響を与える立場にあったばかりでなく、右宗教上の地位を背景とした直接・間接の政治的活動等を通じ、社会一般に対しても少なからぬ影響を及ぼしていたこと、同会長の醜聞の相手方とされる女性2名も、同会婦人部の幹部で元国会議員という有力な会員であったことなどの事実が明らかである。
 …被告人によって摘示されたc会長らの前記のような行状は、刑法230条の2第1項にいう『公共ノ利害ニ関スル事実』にあたると解するのが相当であって、これを一宗教団体内部における単なる私的な出来事であるということはできない。なお、右にいう『公共ノ利害ニ関スル事実』にあたるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきものであり、これを摘示する際の表現方法や事実調査の程度などは、同条にいわゆる公益目的の有無の認定等に関して考慮されるべきことがらであって、摘示された事実が『公共ノ利害ニ関スル事実』にあたるか否かの判断を左右するものではないと解するのが相当である。」
過去問・解説

(R2 共通 第16問 5)
表現方法が嘲笑的であるとか、適切な調査がないまま他人の文章を転写しているなどといった、事実を摘示する際の表現方法や事実調査の程度は、摘示された事実が刑法第230条の2にいう「公共の利害に関する事実」に当たるか否かを判断する際に考慮すべき要素の一つである。

(正答)

(解説)
判例(最判昭56.4.16)は、「『公共ノ利害ニ関スル事実』にあたるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきものであり、これを摘示する際の表現方法や事実調査の程度などは、同条にいわゆる公益目的の有無の認定等に関して考慮されるべきことがらであ…る。」としている。


(R3 共通 第12問 エ)
私人の私生活の行状であっても、その携わる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度等によっては、刑法第230条の2第1項にいう「公共の利害に関する事実」に当たる場合がある。

(正答)

(解説)
判例(最判昭56.4.16)は、「私人の私生活上の行状であっても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法230条の2第1項にいう『公共ノ利害ニ関スル事実』にあたる場合がある…。 」としている。

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インターネットと名誉毀損罪 最一小決平成22年3月15日

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概要
インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても、他の場合と同様に、行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、名誉毀損罪は成立しない。
判例
事案:商業登記簿謄本、市販の雑誌記事、インターネット上の書き込み、加盟店の店長であった者から受信したメール等の資料に基づいて、摘示した事実を真実であると誤信して被害者の名誉を毀損したという事案において、名誉棄損罪の成否が問題となった。

判旨:「個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといって、おしなべて、閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないのであって、相当の理由の存否を判断するに際し、これを一律に、個人が他の表現手段を利用した場合と区別して考えるべき根拠はない。そして、インターネット上に載せた情報は、不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり、これによる名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること、一度損なわれた名誉の回復は容易ではなく、インターネット上での反論によって十分にその回復が図られる保証があるわけでもないことなどを考慮すると、インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても、他の場合と同様に、行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって、より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない(最高裁昭和41年(あ)第2472号同44年6月25日大法廷判決・刑集23巻7号975頁参照)。これを本件についてみると、原判決の認定によれば、被告人は、商業登記簿謄本、市販の雑誌記事、インターネット上の書き込み、加盟店の店長であった者から受信したメール等の資料に基づいて、摘示した事実を真実であると誤信して本件表現行為を行ったものであるが、このような資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあること、フランチャイズシステムについて記載された資料に対する被告人の理解が不正確であったこと、被告人が乙株式会社の関係者に事実関係を確認することも一切なかったことなどの事情が認められるというのである。以上の事実関係の下においては、被告人が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるとはいえないから、これと同旨の原判断は正当である。」
過去問・解説

(R3 共通 第12問 オ)
インターネットを利用して公然と虚偽の事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合、他の表現手段を利用する場合と異なり、インターネットの個人利用者に要求される水準を満たす調査によって摘示した事実が真実か否かを確かめることなく発信したときに限り名誉毀損罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決平22.3.15)は、「インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても、他の場合と同様に、行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、名誉毀損罪は成立しない…。」としている。


(H24 司法 第8問 4)
甲は、インターネット上の書き込みを信じ、特段の調査をすることなく、誰でも閲覧できるインターネット上の掲示板に「ラーメン店Vの経営母体は暴力団Xである。」旨の真実に反する書き込みをした。甲には名誉毀損罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決平22.3.15)は、「インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても、他の場合と同様に、行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、名誉毀損罪は成立しない…。」としている。
甲は、インターネット上の書き込みを信じ、特段の調査をすることなくインターネット上の掲示板に書き込みをしているから、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるとはいえない。
したがって、甲に名誉毀損罪が成立する。

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被告人の防御権の行使と名誉毀損罪 最二小判昭和27年3月7日

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概要
被告事件の公判廷において、被告人が弁解として故意に虚偽の事実を陳述して、公然と相手方の名誉を毀損することは、被告人としての防御権を濫用するものであって、その行為につき名誉毀損罪が成立する。
判例
事案:被告人が公判廷で虚偽の事実を述べ、死者である相手方の名誉を毀損したという事案において、被告の防御権の範囲であるかが問題となった。

判旨:「被告人は被告人と白米売買の契約をしたものはAでないこと、すなわち被告人が同人に対して詐欺の告訴をしたのは人違いであったことに気付いていながら判示公判廷において、真意に反して欺罔の主張をし、公然虚偽の事実を摘示して死者であるAの名誉を毀損したというのであるからもとより、被告人としての防禦権の範囲を逸脱したもの、被告人の防禦権の濫用とみとめるべきであって、原判決が名誉毀損罪の成立をみとめたのは正当である。」
過去問・解説

(R4 共通 第16問 ウ)
虚偽告訴の罪で起訴された者が、人違いで告訴したと気付きながら、公判廷において、公然と虚偽の事実を摘示して被告訴人の名誉を毀損した場合、被告人としての防御権の行使に当たるから、名誉毀損罪が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭27.3.7)は、本肢と同種の事案において、「被告人は被告人と白米売買の契約をしたものはAでないこと、すなわち被告人が同人に対して詐欺の告訴をしたのは人違いであったことに気付いていながら判示公判廷において、真意に反して欺罔の主張をし、公然虚偽の事実を摘示して死者であるAの名誉を毀損したというのであるからもとより、被告人としての防禦権の範囲を逸脱したもの、被告人の防禦権の濫用とみとめるべきであって、原判決が名誉毀損罪の成立をみとめたのは正当である。」としている。
したがって、人違いで告訴したと気付きながら、公判廷において、公然と虚偽の事実を摘示して被告訴人の名誉を毀損した場合、防御権の範囲内とはいえず、名誉棄損罪が成立する。

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名誉毀損罪と正当な弁護活動 最一小決昭和51年3月23日

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概要
①弁護人が被告人の利益を擁護するためにした行為につき刑法上の違法性の阻却を認めるためには、それが弁護活動のために行われたものであるだけでは足りず、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮して、法秩序全体の見地から許容されるべきものと認められなければならないのであり、かつ、その判断にあたっては、その行為が法令上の根拠をもつ職務活動であるかどうか、弁護目的の達成との間にどのような関連性をもつか、弁護を受ける被告人自身がこれを行った場合に刑法上の違法性の阻却を認めるべきどうかの諸点を考慮に入れるのが相当である。
②被告人以外の特定人が真犯人であることを広く社会に報道して、世論を喚起し、被告人を無罪とするための証拠の収集につき協力を求め、かつ、最高裁判所の職権発動による原判決の破棄ないしは再審請求の途をひらくため、右の特定人が真犯人である旨の事実摘示をした名誉毀損行為は、弁護人の相当な弁護活動として刑法上の違法性を阻却されるものではない。
判例
事案:弁護人が訴訟外での被告人の再審を認めさせるため、被告人以外が犯人であると記者会見で述べたという事案において、名誉棄損罪行為の違法性が阻却されるかが問題となった。

判旨:「名誉毀損罪などの構成要件にあたる行為をした場合であっても、それが自己が弁護人となつた刑事被告人の利益を擁護するためにした正当な弁護活動であると認められるときは、刑法35条の適用を受け、罰せられないことは、いうまでもない。しかしながら、刑法35条の適用を受けるためには、その行為が弁護活動のために行われたものであるだけでは足りず、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮して、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものと認められなければならないのであり、かつ、右の判断をするにあたっては、それが法令上の根拠をもつ職務活動であるかどうか、弁護目的の達成との間にどのような関連性をもつか、弁護を受ける刑事被告人自身がこれを行った場合に刑法上の違法性阻却を認めるべきかどうかという諸点を考慮に入れるのが相当である。
 …弁護人が弁護活動のために名誉毀損罪にあたる事実を公表することを許容している法令上の具体的な定めが存在しないことは、いうまでもない。
 …被告人らは、Xら三名が真犯人であることを広く社会に報道して、世論を喚起し、Aら両名を無罪とするための証拠の収集につき協力を求め、かつ、最高裁判所の職権発動による原判決破棄ないしは再審請求の途をひらくため本件行為に出たものであって、Aらの無罪を得るために当該被告事件の訴訟手続内において行ったものではないから、訴訟活動の一環としてその正当性を基礎づける余地もない。すなわち、その行為は、訴訟外の救援活動に属するものであり、弁護目的との関連性も著しく間接的であり、正当な弁護活動の範囲を起えるものというほかはないのである。
 …被告人らの摘示した事実は、真実であるとは認められず、また、これを真実と誤信するに足りる確実な資料、根拠があるとも認められないから、たとえAら自身がこれを公表した場合であっても、名誉毀損罪にあたる違法な行為というほかはなく、同一の行為が弁護人によってなされたからといって、違法性の阻却を認めるべきいわれはない。」
過去問・解説

(R3 共通 第12問 イ)
弁護人が被告人の利益を擁護するためにした弁護活動であれば、それが名誉毀損罪の構成要件に該当する行為であっても、違法性が阻却されるため、名誉毀損罪が成立することはない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭51.3.23)は、「刑法35条の適用を受けるためには、その行為が弁護活動のために行われたものであるだけでは足りず、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮して、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものと認められなければならない…その行為は、訴訟外の救援活動に属するものであり、弁護目的との関連性も著しく間接的であり、正当な弁護活動の範囲を起えるものというほかはない…。」として、弁護人の名誉棄損につき正当業務行為としての違法性阻却を否定している。
したがって、弁護人が被告人の利益を擁護するためにした弁護活動であっても名誉毀損罪が成立し得る。

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