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わいせつ及び重婚の罪(わいせつ物頒布等罪) - 解答モード
文書の猥褻性の有無 最一小判昭和48年4月12日
概要
判例
判旨:「文書の猥褻性の有無はその文書自体について客観的に判断すべきものであり、現実の購読層の状況あるいは著者や出版者としての著述、出版意図など当該文書外に存する事実関係は、文書の猥褻性の判断の基準外に置かれるべきものである。」
過去問・解説
(H29 共通 第6問 ア)
インターネットを介した書籍販売業を営む甲は、日本語で書かれたわいせつな文書である小説を、その購入を申し込んできた日本国内在住の多数の外国人に販売したところ、いずれの外国人も日本語の読解能力に乏しく、同小説の内容を理解できなかった。わいせつ物頒布罪は成立しない。
文書のわいせつ性 最二小判昭和55年11月28日
概要
②男女の性的交渉の情景を扇情的筆致で露骨、詳細かつ具体的に描写した部分が量的質的に文書の中枢を占めており、その構成や展開、さらには文芸的、思想的価値などを考慮に容れても、主として読者の好色的興味に訴えるものと認められる本件「四畳半襖の下張」は、わいせつ物頒布罪の「わいせつな文書」に当たる。
判例
判旨:「文書のわいせつ性の判断にあたっては、当該文書の性に関する露骨で詳細な描写叙述の程度とその手法、右描写叙述の文書全体に占める比重、文書に表現された思想等と右描写叙述との関連性、文書の構成や展開、さらには芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度、これらの観点から該文書を全体としてみたときに、主として、読者の好色的興味にうったえるものと認められるか否かなどの諸点を検討することが必要であり、これらの事情を総合し、その時代の健全な社会通念に照らして、それが『徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの』(前掲最高裁昭和32年3月13日大法廷判決参照)といえるか否かを決すべきである。本件についてこれをみると、本件『四畳半襖の下張』は、男女の性的交渉の情景を扇情的な筆致で露骨、詳細かつ具体的に描写した部分が量的質的に文書の中枢を占めており、その構成や展開、さらには文芸的、思想的価値などを考慮に容れても、主として読者の好色的興味にうったえるものと認められるから、以上の諸点を総合検討したうえ、本件文書が刑法175条にいう『わいせつの文書』にあたると認めた原判断は、正当である。」
過去問・解説
(R4 共通 第2問 4)
甲は、わいせつな内容を含む書籍を販売したが、その目的は作品の文芸的・思想的価値を社会に主張することであった。この場合、甲にわいせつ文書頒布罪が成立することはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭55.11.28)は、「文書のわいせつ性の判断にあたっては、当該文書の性に関する露骨で詳細な描写叙述の程度とその手法、右描写叙述の文書全体に占める比重、文書に表現された思想等と右描写叙述との関連性、文書の構成や展開、さらには芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度、これらの観点から該文書を全体としてみたときに、主として、読者の好色的興味にうったえるものと認められるか否かなどの諸点を検討することが必要であり、これらの事情を総合し、その時代の健全な社会通念に照らして、それが『徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの』…といえるか否かを決すべきである。」としている。
したがって、作品の文芸的・思想的価値を社会に主張する目的であっても、甲にわいせつ文書頒布罪が成立することがあり得る。
ビニールで包装したわいせつ文書のわいせつ性 最三小判昭和58年3月8日
概要
判例
判旨:「いわゆるビニール本を販売することも思想、良心、表現の自由として保護すべきであるとして憲法19条、21条、31条違反をいう点は、結局のところ、原判決が刑法175条の合憲性を肯定したことを論難するに帰するものであって、その理由のないことは、わいせつ文書の出版を同法条で処罰しても憲法21条に違反しないとする当裁判所大法廷判例(昭和28年(あ)第1713号同32年3月13日判決・刑集11巻3号997頁、同39年(あ)第305号同44年10月15日判決・刑集23巻10号1239頁)の趣旨に徴し明らかである。」
過去問・解説
(H20 司法 第2問 1)
甲は、自己が経営する書店においてわいせつ図画である写真誌を販売するに当たり、当該写真誌をビニールで包装して、わいせつ性のない表紙だけが閲覧できるようにして陳列していた。この場合、甲には、わいせつ図画販売目的所持罪は成立しない。
マスターテープの所持と猥せつ図画販売目的所持罪 富山地判平成2年4月13日
概要
判例
判旨:「ビデオカセットテープ自体はビデオカセットデッキにより容易に猥褻な場面を視覚により認識できるものであり、本条にいう猥褻物に該当するものであり、これを不特定多数の者に販売する目的で所持すれば、猥褻文書等販売目的所持罪が成立することはいうまでもない。
そして、このマザーテープ自体を販売するのではなく、予めあるいは注文を受けた都度これをダヴィングして、ダヴィングテープを販売目的で所持するに至れば、これについて猥褻文書等販売目的所持罪が成立することは問題がない。
問題は所持にかかるマザーテープ自体を販売する目的がなくても、注文があり次第、これをダヴィングしてダヴィングテープを販売する目的で所持する場合も猥褻文書等販売目的所持罪に該当するか否かであるが、所持にかかる猥褻物と販売する猥褻物とが同一物でなくても、猥褻物を複写して複写物を販売する目的で所持するに至れば『販売の目的』及び『所持』があると認められ、猥褻文書等販売目的所持罪に該当すると解すべきである。なぜなら、本条の立法趣旨は猥褻文書等が一般社会に広く流布されることにより善良な性風俗が害されることを防止しようというにあるところ、今日の情報化社会を迎えるまでは複写物を作成することには困難が伴い、販売しようとする目的物自体を所持するに至らなければ、即ち、所持にかかる猥褻物と販売する猥褻物が同一物でなければ、これを猥褻文書等販売目的所持罪として処罰する必要性も乏しかったものであるが、今日のように猥褻物を複写することが容易になった時代においては、販売する目的物自体を所持する以前であってもこれを複写して販売する目的で猥褻物を所持するに至れば、これ自体は原本としてのみ使用し、販売する意思がなかったとしても、猥褻物が社会一般に流布される危険性は高く、販売する目的物自体を所持する場合とその危険性において違いがないと考えられるし、また、このように解しても右犯罪構成要件の文理に反するとは解されないからである。
これを本件についてみると、被告人は猥褻なビデオカセットテープを販売するに当たり、当該ビデオカセットテープ自体はマザーテープとして使用し販売する意思がなかったところ、機械を用いて若干の画質の劣化が認められるほか殆ど電磁的に同一のダヴィングテープを容易に作成することができ、注文があり次第、これを作成して販売する目的は持っているのであるから、マザーテープ自体を販売する目的でなかったとしても、既にダヴィングしたダヴィングテープを販売目的で所持する場合と猥褻物が一般社会に流布される危険性において何ら異なるものでなく、被告人の判示事実中の販売目的で本件ビデオカセットテープを所持した所為は猥褻文書等販売目的所持罪に該当すると解される。」
過去問・解説
(H23 司法 第15問 3)
甲は、わいせつな映像が録画されたマスターDVDを所持していたが、甲には、同マスターDVD内に記録されたわいせつな映像を客の注文に応じて他のDVDに複写して販売する意図はあったものの、同マスターDVD自体を販売する意図はなかった。この場合、甲にわいせつ物販売目的所持罪は成立しない。
チャタレイ事件上告審判決 最大判昭和32年1月13日
概要
②文書が「猥褻文書」に当たるかどうかは、一般社会において行われている良識、すなわち、社会通念に従って判断すべきものである。社会通念は、個々人の認識の集合又はその平成均値でなく、これを超えた集団意識であり、個々人がこれに反する認識をもつことによって否定されるものでない。猥褻性の存否は、当該作品自体によって客観的に判断すべきものであって、作者の主観的意図によって影響されるものではない。そして芸術的作品であっても猥褻性を有する場合があるし、芸術的、学問的その他の意図を有する文書は極端に猥褻なものといえども猥褻文書から除外され、猥褻文書はいわゆる春本の類に限局されることになる。作品の誠実性が必ずしもその猥褻性を解消するものとは限らない。
③175条に規定する猥褻文書販売罪の犯意がありとするためには、当該記載の存在の認識とこれを頒布、販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要とするものではない。
判例
判旨:「著作自体が刑法175条の猥褻文書にあたるかどうかの判断は、当該著作についてなされる事実認定の問題でなく、法解釈の問題である。
…猥褻性の存否は純客観的に、つまり作品自体からして判断されなければならず、作者の主観的意図によって影響さるべきものではない。…作品の誠実性必ずしもその猥褻性を解消するものとは限らない。
…また、刑法175条の罪における犯意の成立については問題となる記載の存在の認識とこれを頒布販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要としているものでない。かりに主観的には刑法175条の猥褻文書にあたらないものと信じてある文書を販売しても、それが客観的に猥褻性を有するならば、法律の錯誤として犯意を阻却しないものといわなければならない。猥褻性に関し完全な認識があったか、未必の認識があったのにとどまっていたか、または全く認識がなかったかは刑法38条3項但書の情状の問題にすぎず、犯意の成立には関係がない。」
過去問・解説
(H20 司法 第7問 オ)
甲は、客観的にはわいせつな文書を、その意味内容は理解したものの、その程度の性的描写であれば刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断し、同文書を販売した。この場合、甲にはわいせつ文書販売罪は成立しない。
(H23 共通 第18問 3)
甲は、自己が経営する店において、わいせつな映像を録画したDVDを販売したが、あらかじめ同DVDの映像を再生してその内容を認識していたものの、この程度ではわいせつ図画に当たらないと考えていた。この場合、甲にはわいせつ図画販売罪が成立しない。
(H29 司法 第3問 ウ)
甲は、客観的にはわいせつな文書を、その意味内容は理解しつつも、刑法上のわいせつな文書に該当しないと考え、多数の者に販売した。この場合、甲にわいせつ物頒布罪の故意は認められない。
(R1 司法 第11問 4)
甲は、わいせつな映像を録画したDVDを、あらかじめその内容を再生して確認し、この程度ではわいせつ物には当たらないと考えて、多数の者に販売した。この場合、甲には、わいせつ物頒布罪が成立する。
文書のわいせつ性、「有償で頒布」の意義 最一小判昭和34年3月5日
概要
②わいせつ物所持罪の「有償で頒布」とは、不定または多数の人に対する有償譲渡をいう。
判例
判旨:「所論は、結局本件文書は、性科学書であって、…原判決が本件文書各号を検討していずれも全体として刑法175条の猥褻文書に該ると判断したのは正当であって、かかる文書の販売等が憲法21条の表現の自由に属しないことは、当裁判所大法廷の判例(判例集11巻3号997頁以下参照)に照し明白である。
…所論は、判例違反をいうが、所論引用の大審院判例にいわゆる『不定多衆』とは、原判決説示のこどく不定または多衆の意義に解するを相当とする。けだし、不定人に販売又は頒布するときは、結局多数人に行き渡る虞があるからである。されば、原判決は、所論大審院の判例と相反する判断をしていない。」
過去問・解説
(H23 司法 第15問 5)
甲は、わいせつな映像が録画されたDVDを販売する目的で雑誌に広告を出し、申し込んできた複数の客から代金の振込みを受け、宅配便で配送する手続を採ったが、配送するトラックが途中で事故を起こしたため、同DVDは、客に届かなかった。この場合、甲にわいせつ物販売罪は成立しない。
「頒布」の意義 大判大正6年5月19日
概要
判例
判旨:「不定多衆ニ対シテ有償的譲渡ヲ為ス目的ニ出ツル以上ハ単ニ1人ニ対シ1回ノ有償的譲渡行為ヲ為シタル場合ト雖モ刑法第175条ニ所謂販売ト謂フヲ妨ケサルモノトス」
過去問・解説
(H29 共通 第6問 オ)
甲がインターネットを介したわいせつな映像の販売業を営み始めたところ、その購入を申し込んできた顧客は1名だけであったが、甲は、その者に対して、電子メールに同映像のデータを添付して送信した。わいせつ物頒布罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大6.5.19)は、「不定多衆ニ対シテ有償的譲渡ヲ為ス目的ニ出ツル以上ハ単ニ1人ニ対シ1回ノ有償的譲渡行為ヲ為シタル場合ト雖モ刑法第175条ニ所謂販売ト謂フヲ妨ケサルモノトス」として、不特定多数に有償で譲渡する目的を持っていたのであれば、実際に1人に対して1回販売しただけであっても、わいせつ物頒布罪が成立することを示している。
甲は、インターネットを介したわいせつな映像の販売業を営み始めているから、不特定多数に対して有償譲渡をする目的に出たといえ、偶然購入を申し込んできた顧客が1名だけであったにすぎないから、「頒布」に当たる。
したがって、甲に、わいせつ物頒布罪が成立する。
「頒布」の意義 大判大正15年3月5日
概要
判例
判旨:「刑法第175条所定猥褻ノ文書図画等ヲ頒布スル罪ハ不定多数ノ人ニ対シテ之ヲ配付スルコトヲ要シ其ノ文書図画等ノ配付ヲ受クヘキ人カ特定セラレスシテ当然若ハ成行上不定多数ノ人ニ配付セラルヘキモノナルトキハ其ノ現ニ配付ヲ受ケタル者カ数人ニ過キサルモ同様ニ所謂頒布アリタリト解スルヲ妨ケス」
過去問・解説
(H20 司法 第2問 4)
甲は、友人の乙が誕生日を迎えることを知り、わいせつ図画であるDVD1枚を購入した上、これをお祝いとして乙にプレゼントした。この場合、甲には、わいせつ図画頒布罪は成立しない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大15.3.5)は、「刑法第175条所定猥褻ノ文書図画等ヲ頒布スル罪ハ不定多数ノ人ニ対シテ之ヲ配付スルコトヲ要シ其ノ文書図画等ノ配付ヲ受クヘキ人カ特定セラレスシテ当然若ハ成行上不定多数ノ人ニ配付セラルヘキモノナルトキハ其ノ現ニ配付ヲ受ケタル者カ数人ニ過キサルモ同様ニ所謂頒布アリタリト解スルヲ妨ケス」として、わいせつ図画頒布罪の成立には、不特定多数者に頒布する目的が必要であることを示している。
「175条において処罰するわいせつの文書を頒布する罪が成立するには右文書を不特定多数人に対し配付することを要するはもちろんであるとこ甲は、特定かつ少数人である友人の乙に1回限り交付したにすぎず、「頒布」には当たらない。
したがって、甲には、わいせつ図画頒布罪は成立しない。
(H28 共通 第8問 3)
甲は、友人乙からの土産に対するお礼として、わいせつな映像が録画されたDVD1枚を乙にプレゼントした。この場合、甲にはわいせつ物頒布罪は成立しない。
「頒布」の意義 最三小決平成26年11月25日
概要
②不特定の者である顧客によるダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用した送信により、わいせつな動画等のデータファイルを同人の記録媒体上に記録、保存させることは、わいせつ物所持罪のわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たる。
判例
判旨:「刑法175条1項後段にいう『頒布』とは、不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいうと解される。
…不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても、その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によってわいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録、保存させることは、刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の『頒布』に当たる。」
過去問・解説
(H23 司法 第15問 2)
甲は、自己の所有するパソコンからわいせつな画像データをサーバーに送信して記憶・蔵置させた上、不特定多数の者が、インターネットを経由して同わいせつ画像データをダウンロードして、パソコンの画面上に再生して閲覧することを可能にした。この場合、閲覧する者において、閲覧の際、画像データのダウンロード等の作業をする必要があったとしても、甲にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平26.11.25)は、「不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても、…わいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録、保存させることは、刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の『頒布』に当たる。」としている。
甲は、閲覧する者において、画像データのダウンロード等の作業をする必要はあるものの、不特定多数の者が、インターネットを経由して同わいせつ画像データをダウンロードして、パソコンの画面上に再生して閲覧することを可能にしているから、甲にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪が成立する。
(R4 共通 第2問 3)
甲は、自らが管理する動画配信サイトにわいせつな動画のデータファイルをアップロードし、同サイトを利用した不特定の顧客によるダウンロード操作に応じて、同ファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータに自動的に送信させ、同コンピュータに記録、保存させた。この場合、甲にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪が成立する。
(R6 司法 第13問 5)
甲は、インターネットを介した不特定多数の者に対するわいせつな動画の販売業を始めたが、その購入を申し込んできた客は一人のみであった。甲は、その客のパーソナルコンピュータに対し、インターネットを介してわいせつな動画データを送信し、同コンピュータに同データを受信させて保存させた。この場合、甲にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪が成立する。
「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を…公然と陳列した」の意義 最三小決昭和33年9月5日
概要
判例
判旨:「公然陳列するとは、猥褻の図画を不特定又は多数の人の観覧し得べき状態に置くことをいうものと解すべきことは、所論のとおりである…被告人が、本件所為に出たのは、猥褻映画を好む米兵を客として猥褻映画を上映し、観覧料を徴収して利益を得ることを目的としたものであり、その客を集めるについては…客の周旋方を依頼しておき、これら力車屋が動誘して連れて来る米兵達を誰彼を問わず被告人方に案内し、数人集まる毎に、観覧料を徴収した上、原判示の被告人方2階3畳の間において、猥褻映画を上映して観覧させ、これら米兵達が帰った後は、更に、力車屋らの連れて来る他の米兵達に前同様観覧させるというようなことを繰り返していたものであることが認め得られるのであって、たとえ、原判決認定の本件映画を上映していた際には、所論のように、右3畳の間と外部との交通を遮断し、かつ、観客も原判示5名の米兵に限られていたとしても、右5名は、全く不特定のうちの5名であって、結局不特定の人の観覧し得べき状態においたものというべきであるから、被告人の原判示所為は、正に、刑法第175条所定の猥褻の図画を公然陳列した場合に該当するものといわなければならない。(原判決)」
過去問・解説
(H28 共通 第8問 4)
甲は、不特定多数の通行人を勧誘して5名の客を集めた上、自宅であるマンションの一室において、外部との出入りを完全に遮断した状態で、わいせつな映像が録画されたDVDを再生し、その5名の客に有料で見せた。この場合、甲にはわいせつ物公然陳列罪が成立する。
「有償で頒布する目的」の意義 最一小判昭和52年12月22日
概要
判例
判旨:「刑法175条の規定は、わが国における健全な性風俗を維持するため、日本国内において猥せつの文書、図画などが頒布、販売され、又は公然と陳列されることを禁じようとする趣旨に出たものであるから(このことは、刑法2条、3条の国外犯の処罰例中に同法175条が掲げられていないことから明らかである。)、同条後段にいう『販売の目的』とは日本国内において販売する目的をいうものであり、したがって、猥せつの図画等を日本国内で所持していても日本国外で販売する目的であったにすぎない場合には同条後段の罪は成立しないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第15問 4)
甲は、外国で販売する目的で、日本国内においてわいせつな写真を所持した。この場合、甲にわいせつ物販売目的所持罪が成立する。
(H28 共通 第8問 2)
甲は、日本国外で販売する目的で、日本国内において、わいせつな映像が録画されたDVDを所持した。この場合、甲にはわいせつ物有償頒布目的所持罪は成立しない。
(R4 共通 第2問 5)
甲は、日本国外で販売する目的で、日本国内において、わいせつな内容を含む書籍を所持した。この場合、甲にわいせつ文書有償頒布目的所持罪が成立する。