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公務の執行を妨害する罪(実行行為) - 解答モード
公務執行妨害罪の成否 最一小判昭和27年12月25日
概要
判例
判旨:「判示の米国領事館員のごときは、刑法7条、従って同法157条2項にいわゆる公務員とはいえないから、右判示行為は、刑法157条2項の未遂罪にも該当しないものといわなければならない。」
過去問・解説
(H25 共通 第16問 イ)
甲は、日本国内にある外国の大使館の職員乙がその大使館の業務に従事していた際、乙の腹部を足で蹴った。甲に公務執行妨害罪が成立する。
職務執行妨害罪における「暴行」と間接暴行 最二小決昭和34年8月27日
概要
判例
判旨:「95条1項の公務執行妨害罪が成立するには、いやしくも公務員の職務の執行に当りその執行を妨害するに足る暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問うところではない…。」
過去問・解説
(H25 共通 第16問 ウ)
甲は、警察官乙から捜索差押許可状に基づき自宅の捜索を受け、覚せい剤入りの注射器を差し押さえられた際、乙の眼前で同注射器を足で踏み付けて壊した。甲に公務執行妨害罪が成立するか。
(H27 共通 第18問 1)
【事例】
甲は、A方から高価な壺を盗み出した。Aは、これに気付いて甲を追い掛けたが、甲は、逃げ切って帰宅し、盗んだ上記壺を自宅のテーブルに置いていた。警察官は、甲の本件窃盗事件の捜査を開始した。
警察官は、甲を立会人として本件窃盗事件に係る捜索差押許可状に基づき甲方を捜索中、テーブルに上記壺が置かれているのを発見し、これを差し押さえようとして手を伸ばしたところ、甲は、腹立ち紛れにその壺を取り上げ、その場で床にたたき付けて粉々に割った。公務執行妨害罪が成立するか。
(R2 司法 第8問 イ)
甲は、警察官乙らが捜索差押許可状に基づき甲方の捜索に来た際、乙らにより甲方玄関ドアの鍵が開けられる前に、居室内にあった覚醒剤入りの注射器を足で踏み付けて壊した。甲の行為は、公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たらないので、甲に公務執行妨害罪は成立しない。
職務執行妨害罪における「暴行」の意義 最三小判昭和37年1月23日
概要
判例
判旨:「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいうのであって、被告人の本件所為が右の暴行にあたることは明らかである。」
過去問・解説
(H20 司法 第4問 ア)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、丙が付近道路に止めていたパトカーの発進を阻止するため、自己が運転していた自動車を、同パトカーが発進することの障害となる位置に移動して駐車させた。このため、丙は、職務質問後、乙を直ちに最寄りの警察署に任意同行することができなかった。
(H20 司法 第4問 ウ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、職務質問を受けている乙の左手をつかんで引っ張り、その場から走って逃走したところ、これを追いかけた丙が、走りながら、乙の右手をつかもうとして手を伸ばしたが、乙の右手をつかめずにバランスを崩して道路上に転倒した。
(H23 予備 第8問 3)
甲は、パトロールカーに乗って警ら中の警察官乙を認めるや、以前乙によって逮捕されたことを恨んでいたので、乙の乗っていたパトロールカーに石を投げ付けて同車のフロントガラスに命中させ、同ガラスにひび割れを生じさせた。甲には、器物損壊罪が成立するが、公務執行妨害罪は成立しない。
(H28 司法 第10問 3)
甲は、制服警察官乙から職務質問を受けている丙の右手をつかんで引っ張り、その場から一緒に走って逃走したところ、これを追い掛けた乙が、走りながら、丙の肩をつかもうとして手を伸ばしたが、その肩をつかめずにバランスを崩して路上に転倒した。甲の丙に対する行為は乙に対する暴行とはいえないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。
「暴行」の程度・客体 最一小判昭和41年3月24日
概要
判例
判旨:「95条1項に規定する公務執行妨害罪の成立には、公務員が職務の執行をなすに当り、その職務の執行を妨害するに足りる暴行脅迫がなされることを要するけれども、その暴行脅迫は、必ずしも直接に当該公務員の身体に対して加えられる場合に限らず、当該公務員の指揮に従いその手足となりその職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対してなされた場合もこれに該当すると解するを相当とする。」
過去問・解説
(H25 共通 第16問 オ)
甲は、執行官から確定判決に基づき居室明渡しの強制執行を受けていた際、執行官の補助者であった民間人乙の頭部を棒で殴った。公務執行妨害罪が成立する。
(H28 司法 第10問 2)
甲は、税務署の職員乙が甲宅において税務調査をしていたところ、乙の近くでその調査を補助していた民間人である丙に対し、「殺すぞ。」などと危害を加える旨申し向け、これにより乙の職務の執行を一時中断させた。甲は乙を直接脅迫したものではないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。
職務執行妨害罪の「暴行又は脅迫」の程度 最一小判平成元年3月9日
概要
判例
判旨:「被告人甲は、新運用方式の内容の説明を聞くため、また、被告人乙は、右融資制度に基づく融資申込みをするため、それぞれ右県民サロン室に赴き、融資申込みの受付事務の職務に従事していた兵庫県同和局企画調整課企画調整係長A(当時45年)から、新運用方式に基づく融資手続などの説明を受けているうち、やがてその説明に対する不満をあらわにして、同人に対し、こもごも『ぼけ』『どあほ』などと罵声を浴びせながら一方的に抗議し、同日午後2時ないし3時ころ、被告人甲は、激高した態度で所携のパンフレットを丸めてAの座っていたいすのメモ台部分を数回たたいた上、丸めた右パンフレットを同人の顔面付近に2、3回突きつけ、少なくとも1回その先端をあごに触れさせ、更に、約2回にわたり、同人が座っていたいすのメモ台部分を両手で持って右いすの前脚を床から持ち上げては落とすことによりその身体を揺さぶり、また、被告人乙は、Aがいすのメモ台部分に両手をついて立ち上がりかけたところ、これを阻止するため、その右手首を握ったというのである。 右事実を前提として、原判決における法令の解釈適用について検討すると、原判決が認定した被告人両名の右各行為は、被告人らが罵声を浴びせながら一方的に抗議する過程でなされたものであることをも考慮すれば、いずれも公務執行妨害罪にいう暴行に当たるものというべきであるから、これらが同罪にいう暴行に当たらないとした原判断は、刑法95条1項の解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。」
過去問・解説
(R2 司法 第8問 ア)
甲は、市役所の生活保護係職員乙による生活保護に関する説明に不満を抱き、同人に罵声を浴びせながら抗議するとともに、丸めたパンフレットを同人の顔面付近に2、3回突き付け、そのうち1回はパンフレットの先端が同人の顎に触れ、さらに、約2回にわたり、乙が座っている椅子を両手で持って椅子の前脚を床から持ち上げては落とすことによりその身体を揺さぶった。甲の行為は、公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たらないので、甲に公務執行妨害罪は成立しない。
職務執行妨害罪の暴行、脅迫と結果発生の要否 最三小判昭和33年9月30日
概要
②職務執行中の警察官に対する投石行為は、たとえそれが只1回であっても、95条1項の暴行に該当する。
判例
判旨:「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。(昭和24年(れ)第2898号、同25年10月20日第二小法廷判決集4巻10号2115頁参照)。そして投石行為はそれが相手に命中した場合は勿論、命中しなかった場合においても本件のような状況の下に行われたときは、暴行であることはいうまでもなく、しかもそれは相手の行動の自由を阻害すべき性質のものであることは経験則上疑を容れないものというべきである。されば本件被告人等の各投石行為はその相手方である前記各巡査の職務執行の妨害となるべき性質のものであり、従って公務執行妨害罪の構成要件たる暴行に該当すること明らかである。そうだとすれば被告人等の各投石行為がたとえ只1回の瞬間的なものであったとしても、かかる投石行為があったときは、前説示のとおり、直ちに公務執行妨害罪の成立があるものといわなければならない。」
過去問・解説
(H20 司法 第4問 イ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、丙に対し、こぶし大の石1個を投げたが、丙の頭部をかすめたにすぎず、職務質問に現実の支障は発生しなかった。
(H20 司法 第4問 オ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、乙を逃走させるため、丙の背部をいきなり足で蹴って転倒させたが、乙は観念していたので逃走しなかった。
(H23 予備 第8問 5)
甲は、警察官乙により、逮捕状を示されて逮捕されそうになった際、逮捕を免れるため、乙に暴行を加えて抵抗したものの、結局、その場で、前記逮捕状により逮捕された。甲には公務執行妨害罪が成立する。
(H25 共通 第16問 エ)
甲は、無許可のデモ行進に参加していた際、これを解散させようとした警察官乙に向かって石を1回投げ、その石は乙の頭部付近をかすめたが、乙には命中しなかった。公務執行妨害罪が成立する。
(H28 司法 第10問 5)
甲は、制服警察官乙から丙が職務質問を受けているのを見て、これをやめさせようと拳大の石塊を乙に向けて投げ、その臀部に命中させたが、乙が職務質問を中断することはなかった。現実に乙の職務の執行を妨害するに至っていないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。