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犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪(客体) - 解答モード

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「刑事被告事件」の意義 大判明治45年1月15日

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概要
証拠隠滅等罪にいういわゆる刑事被告事件とは現に裁判所に係属する刑事訴訟事件はもちろん、将来刑事訴訟事件となりうべきものも包含する。
判例
事案:証拠隠滅の事案において、証拠隠滅等罪の「刑事被告事件」が将来刑事訴訟事件となりうべきものも包含するかが問題となった。

判旨:「刑法第104条ニ所謂刑事被告事件トハ現ニ裁判所ニ繋属スル刑事訴訟事件ハ勿論将来刑事訴訟事件ト為リ得ヘキモノヲモ包含スルモノト解スヘキモノトス」
過去問・解説

(R3 司法 第14問 オ)
いまだ捜査が開始されていない段階で、他人の犯罪行為に関する証拠を隠滅した場合、証拠隠滅罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判明45.1.15)は、「刑法第104条ニ所謂刑事被告事件トハ現ニ裁判所ニ繋属スル刑事訴訟事件ハ勿論将来刑事訴訟事件ト為リ得ヘキモノヲモ包含スルモノト解スヘキモノトス」として、証拠隠滅罪は、将来刑事訴訟事件となりうるものについても成立することを示している。
したがって、いまだ捜査が開始されていない段階で、他人の犯罪行為に関する証拠を隠滅した場合にも、証拠隠滅罪が成立する。

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「他人の被告事件に関する証拠」の意義 大判昭和7年12月10日

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概要
①証拠偽造罪の「他人の刑事被告事件に関する証拠」とは親族でない者の刑事被告事件つき被告人の犯罪の成否・態様・刑の軽重に関係を及ぼすべき情状を判定する資料たるべき一切の証拠を指す。
②証拠の偽造が他人の刑事被告事件に関するものであるときに、同時に犯人もしくは親族の利益のためにされたりしても、その罪責を免れることはできない。
判例
事案:選挙法違反の証拠偽造を教唆したという事案において、①証拠偽造罪の「他人の被告事件に関する証拠」の意義、②犯人又は親族及び他人の刑事被告事件に関する証拠の偽造が証拠偽造罪に当たるかが問題となった。

判旨:①「刑法第104条ニ所謂他人ノ刑事被告事件ニ関スル証憑トハ親族ニアラサル者ノ刑事被告事件ニ付被告人ノ犯罪ノ成否、態様、刑ノ軽重ニ関係ヲ及スヘキ情状ヲ判定スル資料タルヘキ一切ノ証憑ヲ指称スルモノトス」
 ②「証憑ノ偽造カ他人ノ刑事被告事件ニ関スルモノナルトキハ縦令同時ニ犯人若ハ親族ノ利益ノ為ニ為サレタリトスルモ尚其ノ罪責ヲ免ルルヲ得ス」
過去問・解説

(H19 司法 第7問 オ)
甲は、自己が被告人となっている横領事件で有利な判決を得る目的から、事件と無関係のFに対し、被害を弁償していないのに、弁償金を受領した旨の被害者名義の領収証を作るように依頼し、これを作成させた。この場合、証拠偽造教唆罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判昭7.12.10)は、「刑法第104条ニ所謂他人ノ刑事被告事件ニ関スル証憑トハ親族ニアラサル者ノ刑事被告事件ニ付被告人ノ犯罪ノ成否、態様、刑ノ軽重ニ関係ヲ及スヘキ情状ヲ判定スル資料タルヘキ一切ノ証憑ヲ指称スルモノトス」として、証拠偽造罪における証拠について、親族でない者の刑事被告事件つき被告人の犯罪の成否・態様・刑の軽重に関係を及ぼすべき情状を判定する資料たるべき一切の証拠をいうことを示している。
甲は、自己が被告人となっている横領事件でより軽い有利な判決を得る目的で、弁償していないのに、事件と無関係のFに対し、弁償金を受領した旨の被害者名義の領収証の作成を依頼し作成させているから、刑の軽重に関係を及ぼすべき情状を判定する資料の偽造を教唆したといえる。
したがって、甲に証拠偽造教唆罪が成立する。

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犯人・犯人の親族に対する犯人隠避教唆罪の成否 大判昭和8年10月18日

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概要
①犯人の親族が人を教唆して犯人隠避罪を犯させたときは犯人隠避教唆罪が成立する。
②犯人が他人を教唆して自己を隠避させ犯人隠避罪を犯させたときは同教唆罪が成立する。
判例
事案:過失致死狩猟法違反で犯人隠避行為がなされた事案において、①犯人の親族に対する犯人隠避教唆罪の成否、②犯人に対する犯人隠避教唆罪の成否が問題となった。

判旨:①「刑法第105條ハ犯人ノ親族カ隱避ノ罪ヲ犯シタル場合ヲ罰セサル旨規定シ犯人自身カ犯シタル場合ヲ規定セスト雖勿論解釋ニ依リ犯人自身カ隱避教唆ノ罪ヲ犯シタル時ト雖之ヲ罰セサル趣旨ナリト斷セサル可カラス」
 ②「他人ヲ教唆シテ自己ヲ隱避セシメ刑法第103條ノ犯罪ヲ實行セシムルニ至リテハ防禦ノ濫用ニ屬シ法律ノ放任行爲トシテ干渉セサル防禦ノ範圍ヲ逸脱シタルモノト謂ハサルヲ得サルニヨリ被教唆者ニ對シ犯人隱避罪成立スル以上教唆者タル犯人ハ犯人隱避教唆ノ罪責ヲ負ハサルヘカラサルコト言ヲ俟タス」
過去問・解説

(H18 司法 第1問 オ)
判例の立場に従って次の【事例】の甲の罪責について検討し、【罪名】のうち、その罪名に係る犯罪が成立するか。
【事例】
 執行猶予中の甲は、居酒屋で飲食中、隣のテーブルの男Aと口論になり、Aの顔面をこぶしで殴打して鼻骨骨折等の傷害を負わせたが、店員らに現行犯逮捕され、K警察署の司法警察員に引き渡された。そして、甲は、司法警察員Xから取り調べを受けていた際に、Xに傷害事件の見通しを尋ねたところ、Xは「被害者の傷害の程度も重いので、軽く考えない方がいいかもしれない。」などと答えた。甲はXの話を聞き、実刑になり刑務所に収容されるかもしれないと思い、憤激のあまり、Xに対し「ばか野郎。お前らはうそつきだ。」などと怒号し、制止するために立ちふさがったXの顔面をこぶしで殴打して転倒させた。その後、甲はK警察署から逃げ出し、隣町に住む友人乙の居宅に逃げ込んだ。
 甲は乙に対し、Aが傷害を負ったことを隠し、単に暴行事件を起こして任意の取調べを受けている際に警察署から逃げ出してきたなどとうそを交えて話した上、かくまってくれるように頼んだところ、乙は甲の話を信じ、自宅の物置小屋に甲をかくまったが、その数時間後、警察官に発見された。
【罪名】
 犯人蔵匿教唆(刑法第103条・第61条第1項)

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.10.18)は、「他人ヲ教唆シテ自己ヲ隱避セシメ刑法第103條ノ犯罪ヲ實行セシムルニ至リテハ防禦ノ濫用ニ屬シ法律ノ放任行爲トシテ干渉セサル防禦ノ範圍ヲ逸脱シタルモノト謂ハサルヲ得サルニヨリ被教唆者ニ對シ犯人隱避罪成立スル以上教唆者タル犯人ハ犯人隱避教唆ノ罪責ヲ負ハサルヘカラサル」として、他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させることは防御権の範囲を逸脱することから、犯人隠避罪の教唆犯が成立することを示している。
甲は、乙に対して自分を匿うよう頼み、乙は自宅の物置小屋に甲をかくまっているから、甲に犯人蔵匿罪の教唆犯が成立する。


(H22 司法 第17問 5)
甲は、殺人事件の被疑者として警察に追われていたため、知人乙にその事情を打ち明けて同人所有の別荘に住まわせてくれるように依頼し、これを承諾した乙から同別荘の鍵を受け取って同別荘に身を隠した。犯人自身に逃げ隠れしないことを期待できないので、甲に犯人蔵匿教唆罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.10.18)は、「他人ヲ教唆シテ自己ヲ隱避セシメ刑法第103條ノ犯罪ヲ實行セシムルニ至リテハ防禦ノ濫用ニ屬シ法律ノ放任行爲トシテ干渉セサル防禦ノ範圍ヲ逸脱シタルモノト謂ハサルヲ得サルニヨリ被教唆者ニ對シ犯人隱避罪成立スル以上教唆者タル犯人ハ犯人隱避教唆ノ罪責ヲ負ハサルヘカラサル」として、他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させることは防御権の範囲を逸脱することから、犯人隠避罪の教唆犯が成立することを示している。
甲は、乙に対して自分を匿うよう頼み、承諾した乙から乙所有の別荘の鍵を受け取って同別荘に身を隠しているから、甲に犯人蔵匿罪の教唆犯が成立する。


(H27 司法 第14問 2)
甲は、親族Aが犯した傷害被疑事件につき、他人を教唆してAの犯行に関わる証拠を隠滅させた。甲には、親族による犯罪に関する特例(刑法第105条)が適用され、証拠隠滅罪の教唆犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.10.18)は、「親族タル犯人ヲ庇護スル目的ニ出テタリトスルモ他人ヲ教唆シテ犯人隱避ノ罪ヲ犯サシムルカ如キハ所謂庇護ノ濫用ニシテ法律ノ認ムル庇護ノ範圍ヲ逸脱シタルモノト謂ハサルヲ得サル」として、親族が他人を教唆して犯人を蔵匿・隠避させることは庇護の濫用であるため犯人蔵匿・隠避罪が成立することを示している。
証拠隠滅罪に関しても、親族が同様の行為に出れば同様の判断となると考えられる。
甲は、親族Aが犯した傷害被疑事件につき、他人を教唆してAの犯行に関わる証拠を隠滅させているが、105条の適用はなく、証拠隠滅罪の教唆犯が成立する。

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「罰金以上の刑にあたる罪を犯した者」の意義 最三小判昭和24年8月9日

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概要
犯人蔵匿・隠避罪は司法に関係する国権の作用を妨害する書を処罰しようとするのであるから、「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含むと解釈すべきである。
判例
事案:恐喝の被疑者を匿ったという事案において、犯罪の嫌疑によって捜査中の者と犯人蔵匿・隠避罪の「罰金以上の刑にあたる罪を犯した者」の意義が問題となった。

判旨:「刑法第103条は蔵匿の対象者を『罰金以上ノ罪ヲ犯シタル者』と規定しているのであるから、その者が罪を犯したという事実が確定されるまでは犯人蔵匿は成立しない、と主張する。なるほどその趣旨の学説もないではないが、刑法第103条は司法に関する国権の作用を妨害する者を処罰しようとするのであるから、『罪ヲ犯シタル者』は犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含むと解釈しなくては、立法の目的を達し得ない。」
過去問・解説

(H19 司法 第7問 ア)
甲は、Aが被疑者として捜査の対象となっている殺人未遂事件に関し、Aの部下でAと被害者との関係について知っているBがいずれは参考人として警察の取調べを受けることを予期しつつ、Bを隠匿した。この場合、(a. 犯人隠避罪が成立する・b. 証拠隠滅罪が成立する)。

(正答)b

(解説)
判例(最判昭24.8.9)は、「『罪ヲ犯シタル者』は犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含む…。」としている。
また、別の判例(最決昭36.8.17)は、「104条の証憑湮滅罪は犯罪者に対する司法権の発動を阻害する行為を禁止しようとする法意に出ているものであるから、捜査段階における参考人に過ぎない者も右法条にいわゆる他人の刑事被告事件に関する証憑たるに妨げなく、これを隠匿すれば証憑湮滅罪が成立する…。」としている。
Bは、Aを被疑者とする殺人未遂事件の参考人であるから、Bは、「罪を犯した者」に当たらず、捜査段階における参考人について隠匿したことになる。
したがって、甲に証拠隠滅罪が成立する。


(H22 司法 第17問 1)
甲は、殺人事件の被疑者として逮捕状が発付されている乙が犯人ではないと信じ、乙に隠れ家を提供して同人をかくまったが、その後、発見逮捕された乙が真犯人であることが明らかとなり、同人に対する有罪判決が確定した。甲は乙が犯人ではないと誤信していたので、甲に犯人蔵匿罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭24.8.9)は、「『罪ヲ犯シタル者』は犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含む…。」としている。
乙は、殺人事件の被疑者として逮捕状が発付されていたから、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」に当たり、甲もこの事実を認識し隠れ家を提供して同人をかくまった。
したがって、甲に犯人蔵匿罪が成立する。

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証言済み承認の威迫と証人威迫罪の成否 大阪高判昭和35年2月18日

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概要
1度証人として証言した後においても判決確定前においては、なお同人が再度証人として尋問を受けることも予測され得ることであり、又被告人において右証言を取消させる目的も希望も有しなかったとしても、その行為自体が刑事司法の適正な運用を阻害するものとして証人威迫罪が成立する。
判例
事案:証人としてすでに証言を終った者を威迫した事案において、証人威迫罪の成否が問題となった。

判旨:「所論は、原判示第3の事実について、刑法第105条の2は正しい証言の保護を目的としたもので、捜査又は裁判において証言の済んでいない者のみを客体とする趣旨で、文理解釈上証言の終った者は含まれないと解すべきである。してみれば被告人甲の本件所為はAがBに対する売春防止法違反被告事件の証人として証言を終った後になされたものであって、被告人甲において右Aを威迫してその証言を取消させる目的も希望も有していなかったのであり、審判を過まらせる虞は毫もない。然るに原判決は被告人のの本件所為が有元の証言をなした後の威迫であることを認めながら右所為に対し刑法第105条の2を適用したことは同法条の解釈適用を誤ったものであると主張するのである。よって案ずるに、原判決が、Bに対する売春防止法違反被告事件の公判廷においてAの証言の後に、被告人甲において、乙と共謀の上、右Aに対し本件威迫の所為に出でたものであると認定し、該事実に対し刑法第105条の2を適用したことは、所論指摘のとおりである。しかしながら、同方条は刑事被告事件の証人等の個人的平成穏を保護するとともに刑事司法の適正な運用を角に舗し、これを阻害する者を処罰する趣旨であって、当該事件が未確定状態にある間行われる本条所定の行為が処罰の対象となるものと解するのを相当とする。してみれば、たとえ本件のようにAが1度証人として証言した後においても判決確定前においては、なお同人が再度証人として尋問を受けることも予測され得ることであり、又被告人甲において右証言を取消させる目的も希望も有しなかったとしても、その行為自体が刑事司法の適正な運用を阻害するものとして同条処罰の対象となるものであって、右目的、希望の有無は本件犯罪の成否には影響はない。」
過去問・解説

(R1 司法 第18問 1)
証人等威迫罪は、判決確定前であれば、その事件で証人として証言を終えた者を威迫した場合でも、成立する。

(正答)

(解説)
裁判例(大阪高判昭35.2.18)は、「1度証人として証言した後においても判決確定前においては、なお同人が再度証人として尋問を受けることも予測され得ることであり、又被告人甲において右証言を取消させる目的も希望も有しなかったとしても、その行為自体が刑事司法の適正な運用を阻害するものとして同条処罰の対象となるものであって、右目的、希望の有無は本件犯罪の成否には影響はない。」としている。

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捜査段階における参考人の隠匿と証拠隠滅罪の成否 最一小決昭和36年8月17日

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概要
捜査段階における参考人も証拠隠滅罪の「他人の刑事被告事件に関する証拠」に該当する。
判例
事案:殺人未遂事件の証人を隠匿したという事案において、捜査段階における参考人の隠匿と証拠隠滅罪の成否が問題となった。

判旨:「104条の証憑湮滅罪は犯罪者に対する司法権の発動を阻害する行為を禁止しようとする法意に出ているものであるから、捜査段階における参考人に過ぎない者も右法条にいわゆる他人の刑事被告事件に関する証憑たるに妨げなく、これを隠匿すれば証憑湮滅が成立するものと解すべき…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H27 司法 第14問 3)
甲は、Aが犯した殺人被疑事件につき、目撃者Bが捜査機関から事情聴取の要請を受けたことを知り、その聴取を妨害するため、Bを甲方に2か月間監禁した。甲には証拠隠滅罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭36.8.17)は、「捜査段階における参考人に過ぎない者も右法条にいわゆる他人の刑事被告事件に関する証憑たるに妨げなく、これを隠匿すれば証憑湮滅が成立する…。」としている。
甲は、参考人である目撃者Bを甲方に2か月間監禁し隠匿しているから、甲に証拠隠滅罪が成立する。


(R6 司法 第18問 エ)
甲は、Aを被疑者とする殺人未遂事件につき、Bが必要な知識を有する参考人として警察官の取調べを受ける可能性があることを察知し、知人宅にBをかくまった。この場合、Bが捜査段階における参考人であったとしても、甲に証拠隠滅罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭36.8.17)は、「捜査段階における参考人に過ぎない者も右法条にいわゆる他人の刑事被告事件に関する証憑たるに妨げなく、これを隠匿すれば証憑湮滅が成立する…。」としている。
甲は、捜査段階における参考人であるBを知人宅にかくまっているから、甲に証拠隠滅罪が成立する。

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犯人に対する犯人隠避教唆罪の成否 最一小決昭和60年7月3日

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概要
犯人が他人を教唆して自己を隠避させたときは、犯人隠避罪の教唆犯が成立する。
判例
事案:配下の組員をして被告人の身代わり犯人に仕組み、犯人が他人を教唆して自己を隠避させたという事案において、犯人隠避教唆罪の成否が問題となった。

判旨:「犯人が他人を教唆して自己を隠避させたときに、刑法103条の犯人隠避罪の教唆犯の成立を認めることは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和35年(あ)第98号同年7月18日第二小法廷決定・刑集14巻9号1189頁参照)、原判決の是認する第一審判決が被告人について犯人隠避教唆罪の成立を認めたのは相当である。」
過去問・解説

(H24 共通 第10問 エ)
甲は、強盗罪を犯した後、友人乙に事情を話して唆し、自己を隠避させた。甲には犯人隠避罪の教唆犯は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭60.7.3)は、「犯人が他人を教唆して自己を隠避させたときに、刑法103条の犯人隠避罪の教唆犯の成立を認める…。」としている。
犯人甲は、他人である友人乙を教唆して自己を隠避させている。
したがって、甲に犯人隠避罪の教唆犯が成立する。

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虚偽供述による供述調書作成と証拠偽造罪 千葉地判平成7年6月2日

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概要
他人の刑事被疑事件について、参考人として検察官に虚偽の供述をし、その旨の供述調書を作成させた行為について、証拠偽造罪は成立しない。
判例
事案:他人の刑事被疑事件について、参考人として検察官に虚偽の供述をし、その旨の供述調書を作成させたという事案において、証拠偽造罪の成否が問題となった。

判旨:「参考人が捜査官に対して虚偽の供述をすることは、それが犯人隠避罪に当たり得ることは別として、証憑偽造罪には当たらないものと解するのが相当である…。それでは、参考人が捜査官に対して虚偽の供述をしたにとどまらず、その虚偽供述が録取されて供述調書が作成されるに至った場合、すなわち、本件のような場合は、どうであろうか。この場合、形式的には、捜査官を利用して同人をして供述調書という証憑を偽造させたものと解することができるようにも思われる。しかし、この供述調書は、参考人の捜査官に対する供述を録取したにすぎないものであるから(供述調書は、これを供述者に読み聞かせるなどして、供述者がそれに誤りのないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができるところ、本件にあっても、被告人が供述調書を読み聞かされて誤りのないことを申し立て署名指印しているが)、参考人が捜査官に対して虚偽の供述をすることそれ自体が、証憑偽造罪に当たらないと同様に、供述調書が作成されるに至った場合であっても、やはり、それが証憑偽造罪を構成することはあり得ないものと解すべきである。」
過去問・解説

(H27 司法 第14問 4)
甲は、Aの強盗被告事件に証人として出廷し、法律により宣誓の上、自己の記憶と異なる偽りの事実を証言し、これに基づく証人尋問調書が作成された。甲には証拠偽造罪が成立する。

(正答)

(解説)
裁判例(千葉地判平7.6.2)は、「参考人が捜査官に対して虚偽の供述をしたにとどまらず、その虚偽供述が録取されて供述調書が作成されるに至った場合、…それが証憑偽造罪を構成することはあり得ない…。」としている。
また、判例(最決昭28.10.19)は、「刑法104条の証憑の偽造というのは証拠自体の偽造を指称し証人の偽証を包含しない…。」としている。
甲は、Aの強盗被告事件に証人として出廷し、法律により宣誓の上、自己の記憶と異なる偽りの事実を証言していることから、偽証罪は成立しうるものの、証拠偽造罪は成立しない。

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