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当事者適格 - 解答モード

権利能力なき社団の資産たる不動産についての登記方法 最二小判昭和47年6月2日

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概要
①権利能力なき社団の資産たる不動産については、社団の代表者が、社団の構成員全員の信託者たる地位において、個人の名義で所有権の登記をすることができるにすぎず、社団を権利者とする登記をし、または、社団の代表者である旨の肩書を付した代表者個人名義の登記をすることは、許されないものと解すべきである。
②権利能力なき社団の資産たる不動産につき、登記簿上所有名義人となった代表者がその地位を失い、これに代わる新代表者が選任されたときは、新代表者は、旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求めることができる。
判例
事案:権利能力なき社団たるA連合会の資産である本件建物つき、会長であるYの個人名義で所有権登記がしてあったところ、Yが会長を辞任しXが会長に就任したことから、XがYに対して所有権移転登記手続き請求訴訟を提起した事案において、①権利能力なき社団の資産たる不動産についての登記方法や、②権利能力なき社団の資産たる不動産について、登記簿上所有名義人となっていた代表者が交替した場合における新代表者の旧代表者に対する登記請求権が認められるかなどが問題となった。

判旨:①「権利能力なき社団の資産はその社団の構成員全員に総有的に帰属しているのであって、社団自身が私法上の権利義務の主体となることはないから、社団の資産たる不動産についても、社団はその権利主体となり得るものではなく、したがって、登記請求権を有するものではないと解すべきである。不動産登記法が、権利能力なき社団に対してその名において登記申請をする資格を認める規定を設けていないことも、この趣旨において理解できるのである。したがって、権利能力なき社団が不動産登記の申請人となることは許されず、また、かかる社団について前記法条の規定を準用することもできないものといわなければならない…。所論は、右の場合においても、登記簿上、たんに代表者個人名義の記載をするにとどめるのは相当でなく、社団の代表者である旨の肩書を付した記載を認めるべきであって、判決においてもその趣旨の登記をなすことを命ずべきものと主張する。しかしながら、かりに、そのような方法が代表者個人の固有の権利と区別し社団の資産であることを明らかにする手段としては適当であるとしても、かような登記を許すことは、実質において社団を権利者とする登記を許容することにほかならないものであるところ、不動産登記法は、権利者として登記せらるべき者を実体法上権利能力を有する者に限定し、みだりに拡張を許さないものと解すべきであるから、所論のような登記は許されないものというべきである。」
 ②「本来、社団構成員の総有に属する不動産は、右構成員全員のために信託的に社団代表者個人の所有とされるものであるから、代表者は、右の趣旨における受託者たるの地位において右不動産につき自己の名義をもって登記をすることができるものと解すべきであり、したがって、登記上の所有名義人となった権利能力なき社団の代表者がその地位を失ってこれに代る新代表者が選任されたときは、旧代表者は右の受託者たる地位をも失い、新代表者においてその地位を取得し、新代表者は、信託法の信託における受託者の更迭の場合に準じ、旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることの協力を求め、これを訴求することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 71.4%

(H27 予備 第33問 4)
法人でない社団の旧代表者の個人名義で登記されている不動産に関し、代表者の交代に伴い、新代表者の個人名義への所有権移転登記手続を求める訴えにつき、新代表者が原告となる余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.6.2)は、「新代表者は、…旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることの協力を求め、これを訴求することができる…。」としている。
したがって、法人でない社団の旧代表者の個人名義で登記されている不動産に関し、代表者の交代に伴い、新代表者の個人名義への所有権移転登記手続を求める訴えにつき、新代表者は原告となることができる。

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権利能力なき社団の代表者が構成員の総有に属する不動産について構成員から信託的に与えられた財産管理権限に基づき総有権確認請求をすることの可否 最二小判昭和55年2月8日

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概要
権利能力なき社団は、かかる社団の所有に属することの確認を求めたとしても、その請求が認められることはない。
判例
事案:権利能力なき社団が所有権確認訴訟を提起した事案において、権利能力なき社団を原告とする訴訟について、かかる社団自らの所有権確認請求が認められるかが問題となった。

判旨:「本件各所有権確認請求についてみると、まず、上告人A1の名による同請求は、本件各土地が同上告人の構成員の総有に属するとの右のような事実を前提とした請求ではなく、同上告人自体が本件各土地所有権の主体であることを前提とするものであるところ、権利能力なき社団自体は右のような財産について私法上所有権等の主体となることができないのであるから、その点において右請求はすでに失当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 42.8%

(H27 予備 第33問 2)
ある土地が法人でない社団の所有に属することの確認を求める訴えにつき、当該団体が原告となり認容判決を得る余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.2.8)は、「権利能力なき社団自体は右のような財産について私法上所有権等の主体となることができないのであるから、その点において右請求はすでに失当である。」としている。
したがって、ある土地が法人でない社団の所有に属することの確認を求める訴えにつき、当該団体が原告となることができないのであるから、認容判決を得る余地もない。

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権利能力のない社団である入会団体の構成員全員の総有に属する不動産の総有権確認請求訴訟を追行する原告適格 最三小判平成6年5月31日

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概要
①入会権者である村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団にあたる場合には、その入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産についての総有権確認請求訴訟の原告適格を有する。
②権利能力のない社団である入会団体の代表者が、構成員全員の総有に属する不動産について総有権確認請求訴訟を、原告である入会団体の代表者として追行するには、その入会団体の規約等においてその不動産を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権を要する。
③権利能力のない社団である入会団体において、規約等に定められた手続により、構成員全員の総有に属する不動産について代表者でない構成員甲を登記名義人とすることとされた場合には、甲は、その不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有する。
判例
事案:①総有権確認請求訴訟において、入会団体が原告適格を有するか、②権利能力のない社団である入会団体の代表者が総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行する場合において、特別の授権が必要となるか、③権利能力のない社団である入会団体の代表者でない構成員が、総有不動産についての登記手続請求訴訟の原告適格を有するかなどが問題となった。

判旨:①「入会権は権利者である一定の村落住民の総有に属するものであるが(最高裁昭和34年(オ)第650号同41年11月25日第二小法廷判決・民集20巻9号1921頁)、村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、当該入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、これを争う者を被告とする総有権確認請求訴訟を追行する原告適格を有するものと解するのが相当である。けだし、訴訟における当事者適格は、特定の訴訟物について、誰が当事者として訴訟を追行し、また、誰に対して本案判決をするのが紛争の解決のために必要で有意義であるかという観点から決せられるべき事柄であるところ、入会権は、村落住民各自が共有におけるような持分権を有するものではなく、村落において形成されてきた慣習等の規律に服する団体的色彩の濃い共同所有の権利形態であることに鑑み、入会権の帰属する村落住民が権利能力のない社団である入会団体を形成している場合には、当該入会団体が当事者として入会権の帰属に関する訴訟を追行し、本案判決を受けることを認めるのが、このような紛争を複雑化、長期化させることなく解決するために適切であるからである。」
 ②「権利能力のない社団である入会団体の代表者が構成員全員の総有に属する不動産について総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行するには、当該入会団体の規約等において当該不動産を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権を要するものと解するのが相当である。けだし、右の総有権確認請求訴訟についてされた確定判決の効力は構成員全員に対して及ぶものであり、入会団体が敗訴した場合には構成員全員の総有権を失わせる処分をしたのと事実上同じ結果をもたらすことになる上、入会団体の代表者の有する代表権の範囲は、団体ごとに異なり、当然に一切の裁判上又は裁判外の行為に及ぶものとは考えられないからである。」
 ③「権利能力のない社団である入会団体において、規約等に定められた手続により、構成員全員の総有に属する不動産につきある構成員個人を登記名義人とすることとされた場合には、当該構成員は、入会団体の代表者でなくても、自己の名で右不動産についての登記手続請求訴訟を追行する原告適格を有するものと解するのが相当である。けだし、権利能力のない社団である入会団体において右のような措置を採ることが必要になるのは入会団体の名義をもって登記をすることができないためであるが、任期の定めのある代表者を登記名義人として表示し、その交代に伴って所有名義を変更するという手続を採ることなく、別途、当該入会団体において適切であるとされた構成員を所有者として登記簿上表示する場合であっても、そのような登記が公示の機能を果たさないとはいえないのであって、右構成員は構成員全員のために登記名義人になることができるのであり、右のような措置が採られた場合には、右構成員は、入会団体から、登記名義人になることを委ねられるとともに 登記手続請求訴訟を追行する権限を授与されたものとみるのが当事者の意思にそうものと解されるからである。このように解したとしても、民訴法が訴訟代理人を原則として弁護士に限り、信託法11条が訴訟行為をさせることを主たる目的とする信託を禁止している趣旨を潜脱するものということはできない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 63.6%

(H27 予備 第33問 3)
ある土地が法人でない社団の構成員全員の総有に属することの確認を求める訴えにつき、当該団体が原告となる余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.5.31)は、「当該入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、これを争う者を被告とする総有権確認請求訴訟を追行する原告適格を有する…。」としている。
したがって、ある土地が法人でない社団の構成員全員の総有に属することの確認を求める訴えにつき、当該団体が原告となる余地がある。


全体の正答率 : 88.8%

(R4 予備 第31問 ア)
一定の村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、当該入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、これを争う者を被告とする総有権確認請求訴訟の原告適格を有する。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.5.31)は、「村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、当該入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、これを争う者を被告とする総有権確認請求訴訟を追行する原告適格を有する…。」としている。

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預託金会員制のゴルフクラブが民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たるとされた事例 最二小判平成14年6月7日

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概要
多数決の原則が行われ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、規約により代表の方法、総会の運営等が定められていること、固定資産・基本的財産は存しないが、団体として内部的に運営され対外的にも活動するのに必要な収入の仕組みが確保され、かつ、規約に基づいて収支を管理する体制も備わっていること、同クラブが、ゴルフ場経営会社との間でゴルフ場の経営等に関する協約書を調印し、同会社や会員個人とは別個の独立した存在としての社会的実体を有していることなど判示の事情の下においては、上記クラブは、「法人でない社団」(29条)に当たる。
判例
事案:本件ゴルフ場の会員によって組織されたクラブであるXが、ゴルフ場を運営する株式会社であるYに対して、計算関係書類等の謄本の交付を請求した事案において、Xの当事者能力、すなわち「法人でない社団」(29条)の意義と財産的側面との関係が問題となった。

判旨:「民訴法29条にいう『法人でない社団』に当たるというためには、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していなければならない(最高裁昭和35年(オ)第1029号同39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁参照)。これらのうち、財産的側面についていえば、必ずしも固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではなく、そのような資産を有していなくても、団体として、内部的に運営され、対外的に活動するのに必要な収入を得る仕組みが確保され、かつ、その収支を管理する体制が備わっているなど、他の諸事情と併せ、総合的に観察して、同条にいう『法人でない社団』として当事者能力が認められる場合があるというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 88.8%

(H27 予備 第33問 1)
法人でない社団が、団体としての固定資産ないし基本的財産を有しない場合、当該団体に当事者能力が認められる余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.6.7)は、「必ずしも固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではなく、そのような資産を有していなくても、団体として、内部的に運営され、対外的に活動するのに必要な収入を得る仕組みが確保され、かつ、その収支を管理する体制が備わっているなど、他の諸事情と併せ、総合的に観察して、同条にいう『法人でない社団』として当事者能力が認められる場合がある…。」としている。
したがって、法人でない社団が、団体としての固定資産ないし基本的財産を有しない場合であっても、当該団体に当事者能力が認められる余地がある。


全体の正答率 : 87.5%

(R4 予備 第31問 イ)
預託金会員制のゴルフ場の会員によって組織され、会員相互の親睦等を目的とする団体は、その財産的側面につき、団体として内部的に運営され対外的にも活動するのに必要な収入を得る仕組みが確保され、かつ、その収支を管理する体制が備わっている場合でも、固定資産ないし基本的財産がない限り、当事者能力を有しない。

(正答)

(解説)
29条は、「法人でない社団…で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」と規定している。
これについて、判例(最判平14.6.7)は、「民訴法29条にいう『法人でない社団』に当たるというためには、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していなければならない…。」とした上で、「財産的側面についていえば、必ずしも固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではなく、そのような資産を有していなくても、団体として、内部的に運営され、対外的に活動するのに必要な収入を得る仕組みが確保され、かつ 、その収支を管理する体制が備わっているなど、他の諸事情と併せ、総合的に観察して、同条にいう『法人でない社団』として当事者能力が認められる場合がある…。」としている。
したがって、「法人でない社団」に当たる要件として、固定資産ないし基本的財産は必須ではなく、固定資産ないし基本的財産がない限り、当事者能力を有しないわけではない。

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権利能力なき社団の不動産に対する強制執行に当たり、その登記名義人を債務者として執行文の付与を求めることの可否 最三小判平成22年6月29日

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概要
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産に対して強制執行をしようとする場合において、上記不動産につき、当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは、債権者は、強制執行の申立書に、当該社団を債務者とする執行文の付された債務名義の正本のほか、その不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の債権者と当該社団及び当該登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきであり、その債務名義につき、当該登記名義人を債務者としてその不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めることはできない。
判例
事案:権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属し、当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して強制執行をしようとする事案において、その申立ての方法が問題となった。

判旨:「権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、構成員の総有不動産に対して強制執行をしようとする場合において、上記不動産につき、当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは、上記債権者は、強制執行の申立書に、当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか、上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきものと解する…その理由は、次のとおりである。 権利能力のない社団の構成員の総有不動産については、当該社団が登記名義人となることはできないから(最高裁昭和45年(オ)第232号同47年6月2日第二小法廷判決・民集26巻5号957頁参照)、権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、構成員の総有不動産に対して強制執行をしようとする場合、債務名義上の債務者と強制執行の対象とする上記不動産の登記名義人とが一致することはない。そうであるにもかかわらず、債務名義上の債務者の所有財産につき、当該債務者をその登記名義人とすることができる通常の不動産に対する強制執行と全く同様の執行手続を執るべきものと解したならば、上記債権者が権利能力のない社団に対して有する権利の実現を法が拒否するに等しく、かかる解釈を採ることは相当でない。上記の場合において、構成員の総有不動産につき、当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは、登記記録の表題部に債務名義上の債務者以外の者が所有者として記録されている不動産に対する強制執行をする場合に準じて、上記債権者は、上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすることができると解するのが相当である(民事執行規則23条1号参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 71.4%

(H27 予備 第33問 5)
法人でない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該団体の代表者の個人名義で登記された不動産に対して強制執行をする余地はない。

(正答)

(解説)
判例(最判平22.6.29)は、「社団のために第三者がその登記名義人とされているときは、上記債権者は、強制執行の申立書に、当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか、上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべき…。」としている。
したがって、法人でない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者であっても、当該団体の代表者の個人名義で登記された不動産に対して強制執行をする余地がある。

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当事者適格の有無 最一小判平成26年2月27日

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概要
権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対し、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する。
判例
事案:権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産について、所有権の登記名義人に対し当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟において、当該社団が原告適格を有するかが問題となった。

判旨:「訴訟における当事者適格は、特定の訴訟物について、誰が当事者として訴訟を追行し、また、誰に対して本案判決をするのが紛争の解決のために必要で有意義であるかという観点から決せられるべき事柄である。そして、実体的には権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産については、実質的には当該社団が有しているとみるのが事の実態に即していることに鑑みると、当該社団が当事者として当該不動産の登記に関する訴訟を追行し、本案判決を受けることを認めるのが、簡明であり、かつ、関係者の意識にも合致していると考えられる。また、権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産については、当該社団の代表者が自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟を提起することが認められているが(最高裁昭和45年(オ)第232号同47年6月2日第二小法廷判決・民集26巻5号957頁参照)、このような訴訟が許容されるからといって、当該社団自身が原告となって訴訟を追行することを認める実益がないとはいえない。 そうすると、権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対し、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有すると解するのが相当である。そして、その訴訟の判決の効力は、構成員全員に及ぶものと解されるから、当該判決の確定後、上記代表者が、当該判決により自己の個人名義への所有権移転登記の申請をすることができることは明らかである。なお、この申請に当たって上記代表者が執行文の付与を受ける必要はないというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 85.7%

(H30 予備 第32問 4)
権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対し、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する。

(正答)

(解説)
判例(最判平26.2.27)は、「権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対し、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する…。」としている。


全体の正答率 : 100%

(R4 予備 第31問 ウ)
権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対し、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有しない。

(正答)

(解説)
判例(最判平26.2.27)は、「権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対し、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する…。」としている。

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相続人が被相続人の遺言執行者を被告として確認の訴えを提起することの可否 最三小判昭和31年9月18日

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概要
相続人は、遺言の無効を主張して、相続財産につき持分を有することの確認を求める場合、被相続人の遺言執行者を被告とすることができる。
判例
事案: 相続人が、被相続人の遺言執行者を被告として確認の訴えを提起した事案において、遺言執行者を被告とすることができるかが問題となった。

判旨:「遺言につき遺言執行者がある場合には、遺言に関係ある財産については相続人は処分の権能を失い(民法1013条(現:民法1013条1項))、独り遺言執行者のみが遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有するのであって(同1012条(現:民法1012条1項))、遺言執行者はその資格において自己の名を以て他人のため訴訟の当事者となりうるものと云わなければならない。本件において、被上告人等は本件不動産は亡猛雄の所有であつたが、その死亡により共有持分権を有するに至ったと主張し、遺言執行者たる上告人にその確認を求めるものであるところ、上告人は右不動産は遺言によりすべて訴外牧野エイの所有に帰したと主張して被上告人の権利を争うものである。従って本件が被上告人の勝訴に確定すれば、所論の如く、遺言は執行すべき内容を有せず、遺言執行者はその要なきに帰するけれども、若し敗訴すれば、本件不動産はすべて遺言によりエイに帰属したものとして執行せられることとなるのである。かかる場合においては、被上告人等は遺言執行者たる上告人に対し本件不動産について共有持分権の確認を求める利益があり、その効果は牧野エイに及ぶものといわなければならない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第57問 4)
相続人が遺言の無効を主張して、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求める訴えを提起するときは、遺言執行者を被告とすることは許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭31.9.18)は、「遺言につき遺言執行者がある場合には、遺言に関係ある財産については相続人は処分の権能を失い(民法1013条(現:民法1013条1項))、独り遺言執行者のみが遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有するのであって(同1012条(現:民法1012条1項))、遺言執行者はその資格において自己の名を以て他人のため訴訟の当事者となりうる…。」として、相続人が遺言の無効を主張して、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求める訴えを提起した場合、遺言執行者が被告となりうることを示している。

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遺言執行者がいる場合の遺贈義務の履行を求める訴えの被告適格 最二小判昭和43年5月31日

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概要
遺言執行者がいる場合、被告適格を有する者は遺言執行者に限られ、相続人はその適格を有しない。
判例
事案:被相続人から建物についてそれぞれ2分の1の割合で遺贈を受けた者らが相続人に対して、遺贈を原因とする共有持分二分の一ずつの所有権移転登記手続を求めたところ、遺言執行人が指定されていた事案において、遺言執行者がいる場合の遺贈義務の履行を求める訴えについて、被告適格は誰に認められるかが問題となった。

判旨:「遺言の執行について遺言執行者が指定されまたは選任された場合においては、遺言執行者が相続財産…に必要な一切の行為をする権利義務を有し、相続人は相続財産ないしは右特定財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできないこととなるのであるから(民法1012条ないし1014条(現:1012条1項、1014条1項))、本訴のように、特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 85.7%

(H20 司法 第57問 1)
特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起するときは、相続人ではなく遺言執行者を被告とすべきである。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.5.31)は、「特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する」と判示している。
したがって、特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起するときは、相続人ではなく遺言執行者を被告とすべきである。


全体の正答率 : 100%

(H24 共通 第58問 2)
特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起する場合において、遺言執行者がいるときは、相続人ではなく遺言執行者を被告としなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.5.31)は、判例(最判昭43.5.31)は、「特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴において、被告としての適格を有する者は遺言執行者にかぎられるのであって、相続人はその適格を有しないものと解する」と判示している。
したがって、特定不動産の受遺者が、遺言の執行として当該不動産の所有権移転登記手続を求める訴えを提起する場合において、遺言執行者がいるときは、相続人ではなく遺言執行者を被告としなければならない。

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遺言執行者がある場合に包括受遺者が遺贈義務の履行を求める訴の被告適格 最二小判昭和51年7月19日

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概要
相続人が遺言の執行としてされた遺贈による所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えについては、遺言執行者がある場合でも、受遺者を被告とすべきである。
判例
事案:遺言の執行がすでに行われた後に、遺言執行者に対して所有権移転仮登記抹消登記手続請求が適された事案において、遺言の執行が既に行われた後に訴えを提起する場合の被告適格が誰に認められるかが問題となった。

判旨:「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50%

(H20 司法 第57問 2)
遺言の執行として受遺者に対し遺贈による所有権移転登記がされている場合において、相続人が当該所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起するときは、遺言執行者を被告とすべきである。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.7.19)は、「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」としている。


全体の正答率 : 100%

(H30 予備 第32問 2)
遺言で遺言執行者が定められている場合に、既に完了している遺贈による登記について、相続人が原告となって抹消登記手続を求める訴えを提起するときは、受遺者ではなく、遺言執行者を被告としなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.7.19)は、「遺贈の目的不動産につき遺言の執行としてすでに受遺者宛に遺贈による所有権移転登記あるいは所有権移転仮登記がされているときに相続人が右登記の抹消登記手続を求める場合においては、相続人は、遺言執行者ではなく、受遺者を被告として訴を提起すべきである…。」としている。

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遺言執行者がある場合における遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格 最二小判平成10年2月27日

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概要
遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての被告適格を有する者は、遺言執行者がいるときであっても、遺言書に特段の事情のない限り遺言執行者ではなく、その相続人である。
判例
事案:遺言執行者がいる場合について、遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての被告適格が誰に認められるかが問題となった。

判旨:「特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言をした遺言者の意思は、右の相続人に相続開始と同時に遺産分割手続を経ることなく当該不動産の所有権を取得させることにあるから(最高裁平成元年(オ)第174号同3年4月19日第二小法廷判決・民集45巻4号477頁参照)、その占有、管理についても、右の相続人が相続開始時から所有権に基づき自らこれを行うことを期待しているのが通常であると考えられ、右の趣旨の遺言がされた場合においては、遺言執行者があるときでも遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者は、当該不動産を管理する義務や、これを相続人に引き渡す義務を負わないと解される。そうすると、遺言執行者があるときであっても、遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は、右特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、右の相続人であるというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 60%

(H20 司法 第57問 3)
特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言がされている場合において、当該不動産を賃借していると主張する者が賃借権の確認を求める訴えを提起するときは、遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、当該相続人を被告とすべきである。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.2.27)は、「特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨…の遺言がされた場合においては、遺言執行者があるときでも遺言書に当該不動産の管理及び相続人への引渡しを遺言執行者の職務とする旨の記載があるなどの特段の事情のない限り、遺言執行者は、当該不動産を管理する義務や、これを相続人に引き渡す義務を負わない…。」とした上で、「遺言執行者があるときであっても、遺言によって特定の相続人に相続させるものとされた特定の不動産についての賃借権確認請求訴訟の被告適格を有する者は、右特段の事情のない限り、遺言執行者ではなく、右の相続人であるというべきである。」としている。

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民法上の組合の業務執行組合員に対する組合員の任意的訴訟信託 最大判昭和45年11月11日

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概要
民法上の組合において、組合規約に基づき、自己の名で組合財産を管理し、対外的業務を執行し、訴訟を追行する権限を与えられた業務執行組合員は、組合財産に関する訴訟につき、組合員から任意的訴訟信託を受けたものであり、自己の名で訴訟を追行することが許される。
判例
事案:民法上の組合たる企業体において、組合規約に基づいて、自己の名で組合財産を管理し、対外的業務を執行する権限を与えられた業務執行組合員が請負契約の相手方に対して損害賠償請求訴訟を提起した事案において、民法上の組合において、組合規約に基づいて、自己の名で組合財産を管理し、対外的業務を執行する権限を与えられた業務執行組合員が自己の名で訴訟を追行する当事者適格を有するかが問題となった。

判旨:「互建設工業共同企業体は、和歌山県知事の発注にかかる7・18水害復旧建設工事の請負及びこれに付帯する事業を共同で営むことを目的とし、上告人ほか四名の構成員によつて組織された民法上の組合であり、その規約上、代表者たる上告人は、建設工事の施行に関し企業体を代表して発注者及び監督官庁等第三者と折衝する権限ならびに自己の名義をもつて請負代金の請求、受領及び企業体に属する財産を管理する権限を有するものと定められているものである。しかるところ、右企業体は民法上の組合であるから、訴訟の目的たる右損害賠償請求権は組合員である企業体の各構成員に本来帰属するものであるが、上告人は、前示組合規約によつて、組合代表者として、自己の名で前記の請負代金の請求、受領、組合財産の管理等の対外的業務を執行する権限を与えられているのであるから、上告人は、自己の名で右損害賠償請求権を行使し、必要とあれば、自己の名で訴訟上これを行使する権限、すなわち訴訟追行権をも与えられたものというべきである。したがつて、本件は、組合員たる企業体の各構成員が上告人に任意に訴訟追行権を与えたいわゆる任意的訴訟信託の関係にあるが、訴訟追行権は訴訟法上の権能であり、民訴法47条のような法的規制によらない任意の訴訟信託は許されないものと解すべきであり、上告人が実体上前記の権限を与えられたからといつて、これが訴訟追行権を認めることはできず、上告人は、本訴につき当事者適格を有しないというのである。
 ところで、訴訟における当事者適格は、特定の訴訟物について、何人をしてその名において訴訟を追行させ、また何人に対し本案の判決をすることが必要かつ有意義であるかの観点から決せられるべきものである。したがつて、これを財産権上の請求における原告についていうならば、訴訟物である権利または法律関係について管理処分権を有する権利主体が当事者適格を有するのを原則とするのである。しかし、それに限られるものでないのはもとよりであつて、たとえば、第三者であつても、直接法律の定めるところにより一定の権利または法律関係につき当事者適格を有することがあるほか、本来の権利主体からその意思に基づいて訴訟追行権を授与されることにより当事者適格が認められる場合もありうるのである。
 そして、このようないわゆる任意的訴訟信託については、民訴法上は、同法47条が一定の要件と形式のもとに選定当事者の制度を設けこれを許容しているのであるから、通常はこの手続によるべきものではあるが、同条は、任意的な訴訟信託が許容される原則的な場合を示すにとどまり、同条の手続による以外には、任意的訴訟信託は許されないと解すべきではない。すなわち、任意的訴訟信託は、民訴法が訴訟代理人を原則として弁護士に限り、また、信託法11条が訴訟行為を為さしめることを主たる目的とする信託を禁止している趣旨に照らし、一般に無制限にこれを許容することはできないが、当該訴訟信託がこのような制限を回避、潜脱するおそれがなく、かつ、これを認める合理的必要がある場合には許容するに妨げないと解すべきである。
 そして、民法上の組合において、組合規約に基づいて、業務執行組合員に自己の名で組合財産を管理し、組合財産に関する訴訟を追行する権限が授与されている場合には、単に訴訟追行権のみが授与されたものではなく、実体上の管理権、対外的業務執行権とともに訴訟追行権が授与されているのであるから、業務執行組合員に対する組合員のこのような任意的訴訟信託は、弁護士代理の原則を回避し、または信託法11条の制限を潜脱するものとはいえず、特段の事情のないかぎり、合理的必要を欠くものとはいえないのであつて、民訴法47条による選定手続によらなくても、これを許容して妨げないと解すべきである。したがつて、当裁判所の判例(昭和34年(オ)第577号・同37年7月13日言渡第二小法廷判決・民集16巻7号1516頁)は、右と見解を異にする限度においてこれを変更すべきものである。
 そして、本件の前示事実関係は記録によりこれを肯認しうるところ、その事実関係によれば、民法上の組合たる前記企業体において、組合規約に基づいて、自己の名で組合財産を管理し、対外的業務を執行する権限を与えられた業務執行組合員たる上告人は、組合財産に関する訴訟につき組合員から任意的訴訟信託を受け、本訴につき自己の名で訴訟を追行する当事者適格を有するものというべきである。しかるに、これと異なる見解のもとに上告人が右の当事者適格を欠くことを理由に本件訴を不適法として却下した原判決は、民訴法の解釈を誤るもので、この点に関する論旨は理由がある。したがつて、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、更に本件を審理させるためこれを原審に差し戻すこととする。
 よつて、民訴法407条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H24 共通 第58問 3)
民法上の組合において、組合規約により自己の名で組合財産を管理し対外的業務を執行する権限を与えられた組合員は、組合財産に関する訴訟の当事者となることができる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭45.11.11)は、「民法上の組合たる前記企業体において、組合規約に基づいて、自己の名で組合財産を管理し、対外的業務を執行する権限を与えられた業務執行組合員たる上告人は、組合財産に関する訴訟につき組合員から任意的訴訟信託を受け、本訴につき自己の名で訴訟を追行する当事者適格を有するものというべきである。」と判示している。
したがって、民法上の組合において、組合規約により自己の名で組合財産を管理し対外的業務を執行する権限を与えられた組合員は、組合財産に関する訴訟の当事者となることができる。

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当事者選定の効力の認められた一事例 最一小判昭和33年4月17日

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概要
同種の債権を有する者17名の代理人が、右債権につき一括して債務者以外の第三者との間に連帯保証契約を締結したことを原因とし、右第三者に対してその契約上の債務の履行を求める場合、右債権者17名は、47条第1項(現:30条1項)にいわゆる「共同ノ利益ヲ有スル多数者」に該当し、その当事者の選定は有効と解すべきである。
判例
事案:同種の債権を有する者17名の代理人が、そのうちの1人を原告となるべきものとして選定した事案において、これらの17名が47条第1項(現:30条)の定める「共同ノ利益ヲ有スル多数者」に該当するか否か問題となった。

判旨:「原判決の確定した本件の経過事実関係の下においては、原判決が本件訴訟の目的たる権利は、被上告人(被控訴人)全員につき同一の事実上及び法律上の原因に基くものというべく、しかも、本訴における当事者双方の主要な攻撃防禦の方法は被上告人全員につき共通であると認められるので、被上告人17名は民訴47条1項(現:30条1項)にいわゆる『共同ノ利益ヲ有スル多数者』に該当するものと解すべきであるとの判示を正当としてこれを是認することができる。」
過去問・解説
全体の正答率 : 60%

(R1 予備 第32問 ア)
訴訟の目的である権利が同一の事実上及び法律上の原因に基づき、かつ、主要な攻撃防御方法が共通である複数の者は、民事訴訟法第30条第1項の「共同の利益を有する多数の者」に当たる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.4.17)は、「本件訴訟の目的たる権利は、被上告人(被控訴人)全員につき同一の事実上及び法律上の原因に基くものというべく、しかも、本訴における当事者双方の主要な攻撃防禦の方法は被上告人全員につき共通であると認められるので、被上告人17名は民訴47条1項(現:30条1項)にいわゆる『共同ノ利益ヲ有スル多数者』に該当する…。」としている。

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選定当事者の和解の権限 最三小判昭和43年8月27日

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概要
選定当事者は、選定者から特別の委任を受けないでも、訴訟上の和解をすることができ、その権限は、選定行為においてもこれを制限することができないものと解すべきである。
判例
事案:和解の権限を授与されていない選定当事者が和解を行った事案において、選定当事者の和解の権限の有無が問題となった。

判旨:「次に論旨は、選定当事者である上告人らが選定者Dから和解の権限を与えられていなかったから、本件和解は無効であると主張する。しかし、選定当事者は、訴訟代理人ではなく当事者であるから、その権限については民訴法81条2項(現:55条2項)の適用を受けず、訴訟上の和解を含むいっさいの訴訟行為を特別の委任なしに行なうことができるものであり、かつ、選定行為においてもその権限を制限することのできないものであって、たとい和解を禁ずる等権限の制限を付した選定をしても、その選定は、制限部分が無効であり、無制限の選定としての効力を生ずるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 60%

(R1 予備 第32問 ウ)
選定当事者は、選定者の特別の授権がなければ、選定者のために訴えの取下げ、和解並びに請求の放棄及び認諾をすることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.8.27)は、「選定当事者は、訴訟代理人ではなく当事者であるから、その権限については民訴法81条2項(現:55条2項)の適用を受けず、訴訟上の和解を含むいっさいの訴訟行為を特別の委任なしに行なうことができる。」としている。
したがって、選定当事者は、選定者の特別の授権がなくとも、選定者のために訴えの取下げ、和解並びに請求の放棄及び認諾をすることができる。

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