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債権総論 - 解答モード

持参債務と目的物の特定 大判大正8年12月25日

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概要
履行の場所につき別段の定めのない種類債権にかかる債務が持参債務の場合には、債務者が債権者の住所で現実の提供をしない限り、「物の給付をするのに必要な行為」(402条2項)に当たらず、特定は生じない。
判例
事案:履行の場所につき別段の定めのない種類債権にかかる債務が持参債務である場合について、目的物が特定する時期が問題となった。

判旨:「民法第四百八十四条ニ依レハ不特定物ノ引渡ヲ目的トスル債務ノ履行ヲ為スヘキ場所ハ別段ノ意思表示ナキ限リハ債権者ノ現時ノ住所ナルヲ以テ原判決説示ノ如ク本件売買契約ノ目的タル鱈カ不特定ナルコト当事者間ニ争ナキ以上ハ特約ナキ限リ債務者タル被上告人ハ之ヲ債権者タル上告人ノ住所ニ持参シテ其権利移転並ニ引渡ヲ為スヘキ義務アルモノトス故ニ被上告人ノ本件鱈ヲ給付スヘキ義務ハ所謂持参債務ニシテ送付債務ニアラサルモノト謂フヘク且本件ノ如キ不特定物給付ノ債務ニ在リテハ通常持参債務ナリト謂ヒ得ヘキヲ以テ原裁判所カ本件ノ場合ニ普通生スヘキ債務ハ所謂持参債務ナレハ上告人ニ於テ所謂送付債務ナルコトヲ立証スル責任アリト判断シタルハ不法ニアラス然リ而シテ不特定物ヲ売買スルニ当リ其所有権カ買主ニ移転スルハ其物カ特定物トナリタル後タルコトヲ要スヘク不特定物カ特定物トナルノ時期ハ債務者カ物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為ヲ完了スルカ又ハ債権者ノ同意ヲ以テ其給付スヘキ物ヲ指定シタル時ナルコトハ民法第四百一条第二項ニ依リテ明カナリ仍テ債務者ハ物ヲ特定セシムル為メ如何ナル行為ヲ為スヲ必要トスルヤヲ按スルニ債務者ハ給付ノ目的物ヲ債権者ノ受領スルコトヲ得ヘキ地位ニ置キタル時ニアラサレハ給付ニ必要ナル行為ヲ為シタルモノト謂フコトヲ得ス給付ノ目的物ヲ債権者ノ受領スルコトヲ得ヘキ地位ニ置クニハ債務者カ現実ニ履行ノ提供ヲ為シタルコトヲ要スルモノニシテ所謂持参債務ノ場合ニ於テハ債務者ハ債権者ノ住所ニ到リ債務ヲ履行セサルヘカラサルモノナルヲ以テ債権者ノ住所ニ於テ履行ノ提供ヲ為スニアラサレハ給付ニ必要ナル行為ヲ為シタルモノト謂フヲ得サルナリ蓋シ持参債務ノ場合ニ於テ若シ其他ノ債務ノ場合ニ於ケル如ク債務者カ債権者ニ目的物ヲ発送シタルノミヲ以テ給付ニ必要ナル行為ヲ完了シタルモノト為ストキハ民法第四百八十四条ノ規定ニ反シ債権者ノ不利益トナルヘケレハナリ従テ債務者ハ物ヲ取分ケ債権者ニ送付スル為メ運送人ニ送付シタルノミニテハ未タ給付ニ必要ナル行為ヲ完了シ目的物カ特定セラレタルモノト為スコトヲ得サルナリ故ニ原裁判所カ本件鱈ハ注文者タル上告人(原告)ニ到達シタルトキニアラサレハ上告人ノ所有物トナラサルヲ以テ訴外小池辰次郎カ上告人ニ宛テ発送シ之ヲ運送人タル被上告人(被告)ニ交付シタルノミニヨリテハ未タ其所有権上告人ニ帰属セサル旨判示シタルハ相当ニシテ上告論旨ハ理由ナシ」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H28 共通 第17問 2)
判例によれば、履行の場所につき別段の定めのない種類債権の目的物は、債務者が債権者の住所に目的物を発送した時に特定する。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.12.25)は、種類債権にかかる債務が持参債務の場合には、債務者が債権者の住所で現実の提供をしない限り、「物の給付をするのに必要な行為」(402条2項)に当たらない旨判示している。したがって、履行の場所につき別段の定めのない種類債権の目的物について、債務者が債権者の住所に目的物を発送した時点では、「物の給付をするのに必要な行為」をしたとはいえず、特定は生じない。

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不特定物売買における所有権の移転時期 最二小判昭和35年6月24日

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概要
不特定物の売買においては、原則として、目的物が特定した時(401条2項参照)に所有権は当然に買主に移転する
判例
事案:不特定物の売買において特定が生じた場合に、その時点で買主に目的物の所有権が移転するかが問題となった。

判旨:「不特定物の売買においては原則として目的物が特定した時(民法401条2項参照)に所有権は当然に買主に移転するものと解すべきである…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R1 予備 第3問 イ)
不特定物を売買契約の目的とした場合、その目的物が特定しない限り、所有権は買主に移転しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.6.24)は、「不特定物の売買においては原則として目的物が特定した時(民法401条2項参照)に所有権は当然に買主に移転するものと解すべきである…。」と判示している。

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外国の通貨をもって債権額が指定された金銭債権と日本の通貨による請求 最三小判昭和50年7月15日

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概要
外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権について、債権者は、債務者に対し、外国の通貨又は日本の通貨のいずれによっても請求することができる。
判例
事案:外国の通貨をもって債権額が指定された金銭債権について、債権者が、日本の通貨によって請求することができるかどうかが問題となった。

判旨:「外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権は、いわゆる任意債権であり、債権者は、債務者に対し、外国の通貨又は日本の通貨のいずれによつて請求することもできるのであり、民法403条は、債権者が外国の通貨によつて請求した場合に債務者が日本の通貨によつて弁済することができることを定めるにすぎない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第17問 ア)
債権者は、外国の通貨で債権額が指定された金銭債権について、債務者に対し、日本の通貨による履行を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.7.15)は、「外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権は、いわゆる任意債権であり、債権者は、債務者に対し、外国の通貨又は日本の通貨のいずれによつて請求することもできる…。」と判示している。

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制限種類債権と履行不能 最三小判昭和30年10月18日

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概要
種類債権は目的物の滅失により履行不能となることはないが、制限種類債権は履行不能となり得る。
判例
事案:制限種類債権の目的物がすべて滅失した場合において、履行不能となり得るかが問題となった。

判旨:「通常の種類債権であるとすれば、特別の事情のない限り、原審の認定した如き履行不能ということは起らない筈であり、これに反して、制限種類債権であるとするならば、履行不能となりうる代りには、目的物の良否は普通問題とはならないのであ…る。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第16問 エ)
甲倉庫内の米のうち1トンの引渡しを受ける旨の制限種類債権は、甲倉庫内の米が全て滅失したときは、履行不能となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.10.18)は、「通常の種類債権であるとすれば、特別の事情のない限り、原審の認定した如き履行不能ということは起らない筈であり、これに反して、制限種類債権であるとするならば、履行不能となりうる代りには、目的物の良否は普通問題とはならないのであ…る。」と判示している。したがって、甲倉庫内の米のうち1トンの引渡しを受ける旨の制限種類債権は、甲倉庫内の米が全て滅失したときは、履行不能となる。

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不当利得返還債務と履行遅滞 大判昭和2年12月26日

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概要
善意の不当利得者の返還債務は期限の定めのない債務であるから、412条3項が適用され、債務者が履行の請求を受けた日から履行遅滞に陥る。
判例
事案:善意の不当利得返還債務が発生した場合において、当該債務が履行遅滞に陥るのはいつなのかが問題となった。

判旨:「被上告人…ハ其ノ要素ニ錯誤アリ無效ナルヲ以テ其ノ對償トシテ上告人…ニ交付シタル金…ハ法律上ノ原因ナクシテ給付シタルモノナルヲ以テ上告人ハ之ニ因リ利益ヲ受ケタルモノトス因テ之カ返還ヲ求ムト云フニ在ルヲ以テ上告人カ惡意ヲ以テ其ノ利益ヲ得タルモノナリトセハ右ノ金額ニ其ノ受領ノ日ヨリ利息ヲ付シテ之ヲ返還セサルヘカラサルモ若善意ニテ右ノ利益ヲ得タルモノトセハ其ノ返還ノ債務ハ期限ノ定メナキモノナレハ民法第412條第3項ニ依リ被上告人ヨリ履行ノ請求ヲ受ケタル時ヨリ遲延利息ヲ支拂フヲ以テ足ルモノト謂ハサルヲ得ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第17問 2)
善意の不当利得者の返還債務は、債務者が履行の請求を受けた日が経過した時から遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(大判昭2.12.26)は、善意の不当利得者の返還債務は期限の定めのない債務であるから、412条3項が適用され、債務者が履行の請求を受けた日から履行遅滞に陥る旨判示している。

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不法行為に基づく損害賠償債務と履行遅滞の時期 最三小判昭和37年9月4日

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概要
不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥る。
判例
事案:不法行為に基づく損害賠償債務が発生した場合において、当該債務が履行遅滞に陥るのはいつになのかが問題となった。

判旨:「本件は、…不法行為によりこうむった損害の賠償債務の履行およびこの債務の履行遅滞による損害金として…金員の支払を求める訴訟である…。そして、右賠償債務は、損害の発生と同時に、なんらの催告を要することなく、遅滞に陥るものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H19 司法 第29問 ア)
不法行為による損害賠償債務は、不法行為の時に履行遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.9.4)は、不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥る旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第29問 1)
不法行為による損害賠償債務は、不法行為の時に、催告を要することなく遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.9.4)は、不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥る旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第29問 ア)
不法行為による損害賠償債務は、加害者が被害者から請求を受けた時から遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.9.4)は、不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥る旨判示している。

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安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務の履行遅滞となる時期 最一小判昭和55年12月18日

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概要
①安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、412条3項によりその債務者が債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
②安全配慮義務違反の債務不履行により死亡した者の遺族は、固有の慰藉料請求権を有しない。
判例
事案:①安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務が発生した場合において、当該債務が履行遅滞に陥るのはいつなのかが問題となった。
 ②安全配慮義務違反により死亡した者の遺族が、固有の慰謝料請求権を有するかが問題となった。

判旨:①「原審が認容した請求は…雇傭契約上の安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求であることが…明らかである…。ところで、債務不履行に基づく損害賠償債務は期限の定めのない債務であり、民法412条3項によりその債務者は債権者からの履行の請求を受けた時にはじめて遅滞に陥るものというべきであるから、債務不履行に基づく損害賠償請求についても本件事故発生の翌日…以降の遅延損害金の支払を求めているAらの請求中右遅滞の生じた日以前の分については理由がないというほかはないが、その後の分については、損害賠償請求の一部を認容する以上、その認容の限度で遅延損害金請求をも認容すべきは当然である。
 ②「次に、Aらは子である亡Bを失ったことによる精神的苦痛に対する慰藉料としてそれぞれ125万円の支払を求め、原審はAら各自につき50万円の限度でこれを認容しているが、亡BとCらとの間の雇傭契約ないしこれに準ずる法律関係の当事者でないAらが雇傭契約ないしこれに準ずる法律関係上の債務不履行により固有の慰藉料請求権を取得するものとは解しがたいから、Aらは 慰藉料請求権を取得しなかったものというべく、したがって、右50万円について 前記期間の遅延損害金請求を棄却した原判決は結局正当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H22 司法 第16問 イ)
安全配慮義務に違反したことを理由として損害賠償を請求する場合には、使用者が負う損害賠償債務は、請求を受けた日が経過した時から遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.12.18)は、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、412条3項によりその債務者が債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る旨判示している。


全体の正答率 : 50.0%

(H27 司法 第19問 ア)
安全配慮義務の違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、その義務の違反により損害が発生した時から遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.12.18)は、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、412条3項によりその債務者が債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る旨判示している。


全体の正答率 : 0.0%

(R2 司法 第20問 イ)
雇用契約上の安全配慮義務違反により死亡した者の遺族が債務不履行に基づく損害賠償を請求する場合には、遺族固有の慰謝料を請求することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.12.18)は、安全配慮義務違反により死亡した者の遺族が、安全配慮義務の不履行に基づいて損害賠償を請求した事案において、安全配慮義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族は、固有の慰藉料請求権を有しない旨判示している。したがって、遺族固有の慰謝料を請求することはできない。


全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第20問 エ)
安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、損害発生の時から履行遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.12.18)は、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、412条3項によりその債務者が債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第18問 ア)
安全配慮義務違反を理由とする債務不履行による損害賠償債務は、債務者が債権者から履行の請求を受けた時から履行遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.12.18)は、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、412条3項によりその債務者が債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る旨判示している。

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詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済み金員相当額の支払債務が履行遅滞に陥る時期 最二小判平成30年12月14日

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概要
詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務は、期限の定めのない債務であり、412条により債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
判例
事案:詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務が履行遅滞となる時期が問題となった。

判旨:「詐害行為取消しの効果は詐害行為取消判決の確定により生ずるものであるが(最高裁昭和34年(オ)第99号同40年3月26日第二小法廷判決・民集19巻2号508頁参照)、その効果が将来に向かってのみ生ずるのか、それとも過去に遡って生ずるのかは、詐害行為取消制度の趣旨や、いずれに解するかにより生ずる影響等を考慮して判断されるべきものである。詐害行為取消権は、詐害行為を取り消した上、逸出した財産を回復して債務者の一般財産を保全することを目的とするものであり、受益者又は転得者が詐害行為によって債務者の財産を逸出させた責任を原因として、その財産の回復義務を生じさせるものである (最高裁昭和32年(オ)第362号同35年4月26日第三小法廷判決・民集14巻6号1046頁、最高裁昭和45年(オ)第498号同46年11月19日第二小法廷判決・民集25巻8号1321頁等参照)。そうすると、詐害行為取消しの効果は過去に遡って生ずるものと解するのが上記の趣旨に沿うものといえる。また、詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領金支払債務が、詐害行為取消判決の確定より前に遡って生じないとすれば、受益者は、受領済みの金員に係るそれまでの運用利益の全部を得ることができることとなり、相当ではない。したがって、上記受領金支払債務は、詐害行為取消判決の確定により受領時に遡って生ずるものと解すべきである。そして、上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。 
 以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R5 共通 第17問 エ)
債権者が受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴えにおいて受領金の返還を請求したときは、その受領金の返還債務は、その請求を認容する判決の確定時に遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判平30.12.14)は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務について、「上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。」と判示した上で、「以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、受領金の返還債務については412条3項が適用されるから、その請求を認容する判決の確定時ではなく、履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第19問 イ)
AがBとの売買契約に基づきBに対して1000万円の代金債権を有している。BがDに対する500万円の貸金債務を弁済した。この場合において、AがDを被告として、弁済の取消しとAへの500万円の支払を求める訴えを提起し、この請求が認容されたときは、Aへの500万円の支払を内容とするDの債務は、判決が確定した時から、履行遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(最判平30.12.14)は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務について、「上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。」と判示した上で、「以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、Aへの500万円の支払いを内容とするDの債務は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務に当たるから、当該債務は、判決が確定した時からではなく、債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。

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損害賠償と履行不能に対する主張立証責任 大判大正14年2月27日

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概要
債務者が、履行不能に基づく損害賠償債務を免れるためには、債務者が履行不能について自らの責任にないことを立証する必要がある。
判例
事案:履行不能に基づく損害賠償において、履行不能の帰責性の有無の立証責任が債権者と債務者のいずれにあるか問題となった。

判旨:「給付カ債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ不能ト為リタルトキハ債権者ハ債務者ニ対シテ其ノ損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得ヘク此ノ場合ニ於テ債権者ハ給付カ不能ト為リタル事実ヲ証明スル責任アルコト論ヲ俟タスト雖給付ノ不能カ債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リタルモノナリヤ否ニ付争アル場合ニ於テ之カ立証ノ責任ノ所在ニ付テハ解釈上疑義ノ存スル所ナリ然レトモ給付ノ不能ニ基ク損害賠償ノ請求権ハ給付不能ニ因リ新ニ発生スルモノニ非スシテ本来ノ債権ト同一権利ニシテ単ニ其ノ内容ヲ変更シタルニ過キサルモノト解スヘキヲ以テ給付ノ不能夫自体ハ給付義務ヲ免レシムルモノニ非ス従テ債務者ニ於テ給付義務ヲ免レムトセハ給付ノ不能カ自己ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因ルコトヲ主張シ且立証セサルヘカラサルモノト解スルヲ相当トス蓋給付不能ノ事実存スルニ於テハ一応債権者ノ過失ヲ推定スルコトヲ得ヘク又之ヲ履行遅滞ノ場合ト対比スルニ債務者カ履行遅滞ノ責ニ任スルニハ其ノ不履行ニ付債務者ニ過失アルコトヲ要スヘク此ノ場合ニ於テハ民法第419条第2項ニ於テ金銭債務ノ履行遅滞ニ付テハ特ニ不可抗力ノ抗弁ヲ為スコトヲ得サル旨ヲ規定セルカ故ニ金銭債務ニ非サル債務ノ履行遅滞ニハ不可抗力ノ抗弁ヲ為シ得ルモノト解セサルヘカラス従テ債権者カ履行遅滞ニ因ル損害賠償ノ請求ヲ為スニハ履行遅滞カ債務者ノ過失ニ基ケルコトヲ証明スルコトヲ要セス債務者ニ於テ義務ヲ免レムトセハ不可抗力ニ基ケル旨ノ証拠ヲ挙クルコトヲ要スルモノナルコト解釈上疑ナキ所ナルヲ以テ前示挙証責任ノ問題ニ付遅滞ノ場合ト給付不能ノ場合トノ間ニ解釈上区別ヲ為スヘキ理論上ノ理由ナク既ニ遅滞ノ場合ニ債務者ニ立証責任アリト為ス以上給付不能ノ場合ニ於テモ亦同様ナリト解スルヲ妥当トスレハナリ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第17問 1)
債務者は、損害賠償義務を免れるために、履行不能が自己の責めに帰することができない事由によるものであることを主張立証しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(大判大14.2.27)は、「債務者ニ於テ給付義務ヲ免レムトセハ給付ノ不能カ自己ノ責ニ帰スヘカラサル事由ニ因ルコトヲ主張シ且立証セサルヘカラサルモノト解スルヲ相当トス。」と判示している。したがって、債務者は、損害賠償義務を免れるために、履行不能が自己の責めに帰することができない事由によるものであることを主張立証しなければならない。

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国の国家公務員に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求と同義務違反の事実に関する主張・立証責任 最二小判昭和56年2月16日

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概要
安全配慮義務違反を理由として損害賠償を請求する訴訟においては、同義務違反を主張する原告が、同義務の内容を特定し、かつ、同義務違反に該当する事実を主張・立証する責任を負う旨判示している。
判例
事案:国の国家公務員に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求において、義務違反の事実に関する主張立証責任の所在が問題となった。

判旨:「国が国家公務員に対して負担する安全配慮義務に違反し、公務員の生命、健康等を侵害し、同人に損害を与えたことを理由として損害賠償を請求する訴訟において、同義務の内容を特定し、かつ、義務違反に該当する事実を主張・立証する責任は、国の義務違反を主張する原告にある、と解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第16問 ア)
使用者が労働者に対して負担する安全配慮義務に違反したことを理由として損害賠償を請求する訴訟においては、損害賠償を請求する者が、使用者の義務内容を特定し、かつ、義務違反に該当する事実を主張立証する責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭56.2.16)は、安全配慮義務違反を理由として損害賠償を請求する訴訟においては、同義務違反を主張する原告が、同義務の内容を特定し、かつ、同義務違反に該当する事実を主張・立証する責任を負う旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第20問 ア)
安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求する訴訟においては、原告は、安全配慮義務の内容を特定し、義務違反に該当する事実を主張立証する責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭56.2.16)は、安全配慮義務違反を理由として損害賠償を請求する訴訟においては、同義務違反を主張する原告が、同義務の内容を特定し、かつ、同義務違反に該当する事実を主張・立証する責任を負う旨判示している。

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数量に関する契約不適合における損害賠償責任 最一小判昭和57年1月21日

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概要
土地の売買契約において、売買の対象である土地の面積が表示された場合でも、 その表示が代金額決定の基礎としてされたにとどまり契約の目的を達成するうえで特段の意味を有さないときは、売主は、当該土地が表示どおりの面積を有したとすれば買主が得たであろう利益について、損害賠償責任を負わない。
判例
事案:土地の売買契約において契約の対象である土地の面積が表示された場合において、実際の面積が表示よりも小さいことが判明したとき、買主が、当該土地が表示どおりの面積を有したとすれば買主が得たであろう利益について、売主に対して損害賠償請求ができるかが問題となった。

判旨:「土地の売買契約において、売買の対象である土地の面積が表示された場合でも、 その表示が代金額決定の基礎としてされたにとどまり売買契約の目的を達成するうえで特段の意味を有するものでないときは、売主は、当該土地が表示どおりの面積を有したとすれば買主が得たであろう利益について、その損害を賠償すべき責めを負わないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第26問 1)
売買代金額が、契約の際に表示された目的物である土地の面積を基礎に決められたにもかかわらず実際にはその面積が不足していた場合、売主は、その面積の表示が契約の目的を達成する上で特段の意味を有しなくても、その土地が表示どおりの面積を有したとすれば買主が得たであろう利益について損害賠償の責めを負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.1.21)は、「土地の売買契約において、売買の対象である土地の面積が表示された場合でも、 その表示が代金額決定の基礎としてされたにとどまり売買契約の目的を達成するうえで特段の意味を有するものでないときは、売主は、当該土地が表示どおりの面積を有したとすれば買主が得たであろう利益について、その損害を賠償すべき責めを負わないものと解するのが相当である。」と判示している。

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受領遅滞を理由とする契約解除 最二小判昭和40年12月3日

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概要
債務者が債権者の受領遅滞を理由として契約を解除することは、特段の事由のない限り許されない。
判例
事案:債務者が債権者の受領遅滞を理由として契約を解除することが許されるかどうかが問題となった。

判旨:「債務者の債務不履行と債権者の受領遅滞とは、その性質が異なるのであるから、一般に後者に前者と全く同一の効果を認めることは民法の予想していないところというべきである。民法414条、415条、541条等は、いずれも債務者の債務不履行のみを想定した規定であること明文上明らかであり、受領遅滞に対し債務者のとりうる措置としては、供託・自動売却等の規定を設けているのである。されば、特段の事由の認められない本件において被上告人の受領遅滞を理由として上告人は契約を解除することができない…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H23 司法 第17問 4)
特注品の椅子の製造を請け負った請負人が、目的物を完成させて注文者に届けた場合には、注文者がこれを受領しないときでも、請負人は、特段の事由がない限り当該請負契約を解除することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.12.3)は、債務者が債権者の受領遅滞を理由として契約を解除することは、特段の事由のない限り許されない旨判示している。したがって、特注品の椅子の製造を請け負った請負人が、目的物を完成させて注文者に届けた場合において、注文者がこれを受領しないときでも、請負人は、特段の事由がない限り当該請負契約を解除することができない。

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履行期と履行遅滞 大判昭和5年1月29日

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概要
弁済期の定めのない消費貸借契約から生じた債権について、貸主が相当の期間を定めずに返還の催告をした場合であっても、その催告の時から相当の期間を経過した場合に遅滞の責任を負う。
判例
事案:弁済期の定めのない消費貸借から生じた債権について、貸主が相当の期間を定めずに返還の催告をした場合、履行遅滞責任がどの時点で生じるのかが問題となった。

判旨:「民法第591条第1項ニ於テ消費貸借ノ当事者カ返還ノ時期ヲ定メサリシトキハ貸主ハ相当ノ期間ヲ定メテ返還ノ催告ヲ為スコトヲ得ル旨ヲ定メタルハ借主ヲシテ返還ノ準備ヲ為サシムル為相当ニ猶予期間ヲ許与スル趣旨ニ外ナラサルカ故ニ貸主カ為ス返還ノ催告ニ於テ一定ノ日時若ハ期間ヲ明示セサリシトスルモ其ノ催告ノ時ヨリ借主カ返還ノ準備ヲ為スニ相当ナル期間ヲ経過シタル後ニ於テハ借主ハ最早之カ返還ヲ拒否シ得ヘキ理由ナク従テ履行ヲ為スヘキ時期ハ到来シ爾後借主ハ履行遅滞ノ責ニ任スルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第17問 1)
弁済期の定めのない金銭消費貸借契約から発生した貸金債権は、貸主が相当の期間を定めずに催告をしても、相当の期間を経過した時から遅滞に陥る。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.1.29)は、返還時期の定めのない消費貸借契約から生じた債権について、貸主が相当の期間を定めずに返還の催告をした場合であっても、借主は、その催告の時から相当の期間を経過した場合に遅滞の責任を負う旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第23問 エ)
賃貸借契約において当事者が期間を定めなかった場合に貸主が解約の申入れをしたときは、借主は、法定の期間内は目的物を返還しなくても遅滞の責任を負わないが、消費貸借契約において当事者が返還の時期を定めなかった場合に貸主が返還を請求したときは、借主は、直ちに目的物を返還しなければ遅滞の責任を負う。

(正答)

(解説)
617条1項柱書は、「当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。」と規定している。したがって、賃貸借契約において当事者が期間を定めなかった場合に買主が解約の申し入れをしたときは、617条1項各号に定められた期間を経過するまで、契約は終了しないから、借主は、当該法定の期間内は目的物返還しなくてよく、この期間、遅滞の責任を負わない。よって、本肢前段は正しい。
これに対し、判例(大判昭5.1.29)は、返還時期の定めのない消費貸借契約から生じた債権について、貸主が相当の期間を定めずに返還の催告をした場合であっても、借主は、その催告の時から相当の期間を経過した場合に遅滞の責任を負う旨判示している。したがって、消費貸借契約において当事者が返還の時期を定めなかった場合に貸主が返還を請求したときは、借主は、相当の期間を経過した場合に遅滞の責任を負うのであり、直ちに目的物を返還しなければ遅滞の責任を負うわけではない。よって、本肢後段は誤っている。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 共通 第17問 ウ)
返還時期の定めがない消費貸借において、貸主が相当の期間を定めないで催告をしたときは、借主は、その催告後相当の期間を経過した時から遅滞の責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.1.29)は、返還時期の定めのない消費貸借契約から生じた債権について、貸主が相当の期間を定めずに返還の催告をした場合であっても、借主は、その催告の時から相当の期間を経過した場合に遅滞の責任を負う旨判示している。

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請負人の報酬債権と注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償債権との相殺がされた後の報酬残債務について注文者が履行遅滞による責任を負う時期 最三小判平成9年7月15日

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概要
請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負う。
判例
事案:請負人の報酬債権と注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償債権との相殺がされた後の報酬残債務について、注文者が履行遅滞による責任を負う時期が問題となった。

判旨:「請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、請負人に対する相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負うものと解するのが相当である。
 けだし、瑕疵修補に代わる損害賠償債権と報酬債権とは、民法634条2項により同時履行の関係に立つから、注文者は、請負人から瑕疵修補に代わる損害賠償債務の履行又はその提供を受けるまで、自己の報酬債務の全額について履行遅滞による責任を負わないと解されるところ(最高裁平成5年(オ)第1924号同9年2月14日第三小法廷判決・民集51巻2号登載予定)、注文者が瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権として請負人に対する報酬債務と相殺する旨の意思表示をしたことにより、注文者の損害賠償債権が相殺適状時にさかのぼって消滅したとしても、相殺の意思表示をするまで注文者がこれと同時履行の関係にある報酬債務の全額について履行遅滞による責任を負わなかったという効果に影響はないと解すべきだからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H22 司法 第25問 2)
判例によれば、請負人が注文者に対して報酬請求をしたのに対して、注文者が目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、請負人に対する相殺後の報酬債務について、相殺適状時から履行遅滞による責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.7.15)は、「請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、請負人に対する相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負うものと解するのが相当である。」と判示している。

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不動産の二重売買の場合において売主の一方の買主に対する債務が履行不能になる時 最一小判昭和35年4月21日

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概要
不動産の二重売買の場合において、売主の一方の買主に対する債務は、特段の事情のないかぎり、他の買主に対する所有権移転登記が完了した時に履行不能になる。
判例
事案:不動産の二重売買の場合において、売主の、一方の買主に対する債務が、どの時点で履行不能になるのかが問題となった。

判旨:「本件売買契約に基いて上告人の負担する債務は判示移転登記の完了した時において、結局履行不能に確定したものとした判断は当裁判所もこれを正当として是認する。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第17問 3)
不動産売買契約において、移転登記と引渡しをする約定の期日前に、売主が目的不動産を第三者に売却して当該第三者への所有権移転登記がされた場合、買主は履行不能を理由として直ちに契約を解除することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.4.21)は、不動産の二重売買の場合において、売主の一方の買主に対する債務は、特段の事情のないかぎり、他の買主に対する所有権移転登記が完了した時に履行不能になる旨判示している。本肢においても、不動産売買契約において、移転登記と引渡しをする約定の期日前に、売主が目的不動産を第三者に売却して当該第三者への所有権移転登記がされた場合、当該売主の目的不動産引渡義務は履行不能(412条の2第1項)となる。したがって、買主は履行不能を理由として直ちに契約を解除(542条1項1号、同項柱書)することができる。

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取引時間ではない時刻の弁済の提供と履行遅滞責任 最二小判昭和35年5月6日

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概要
取引時間外に弁済の提供がなされても、債権者が任意に弁済を受領し、それが弁済期日内であるときは、債務者は履行遅滞の責を負わない
判例
事案:弁済期日内ではあるが、取引時間外に弁済がなされた場合において、弁済者が履行遅滞の責任を負うかが問題となった。

判旨:「商法520条にいう取引時間外になされた弁済の提供であっても、債権者が任意に弁済を受領し、それが弁済期日内であれば、債務者は遅滞の責を負うことはない…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H21 司法 第21問 2)
商人間の売買契約において、買主が、慣習により定まる取引時間でない時刻に弁済の提供をし、売主が任意に弁済を受領したときは、それが弁済期日内であれば、買主は、遅滞の責任を負わない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.5.6)は、商人間の売買契約について、「商法520条にいう取引時間外になされた弁済の提供であっても、債権者が任意に弁済を受領し、それが弁済期日内であれば、債務者は遅滞の責を負うことはない…。」と判示しており、改正民法下における484条2項においても同様に解されている。

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受取証書の交付に応じない場合における目的物の引渡し義務と履行遅滞責任 大判昭和16年3月1日

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概要
弁済者の弁済と弁済受領者の受取証書の交付とは、同時履行の関係にあるから、弁済者が履行期に弁済の目的物を提供して受取証書の交付を請求したにもかかわらず、弁済受領者がこれに応じないときは、弁済者は、目的物の引渡しをしなくても、遅滞の責めを負わない。
判例
事案:弁済者が履行期に弁済の目的物を提供して受取証書の交付を請求したにもかかわらず、弁済受領者がこれに応じない場合において、弁済者が、目的物の引渡しをせずにこれを留保したとき、遅滞の責任を負うかが問題となった。

判旨:「弁済者カ其ノ弁済ニ対シ受取証書ノ交付ヲ請求スル所以ノモノハ弁済ノ有無ニ付争アリタル場合ニ其ノ弁済事実ノ立証資料ニ供セントスルニ在ルモノナルカ故ニ弁済ト引換ニ其ノ交付ナクンハ受取証書ハ其ノ効用ヲ全フセサルヘク従テ請求アルニ於テハ受取証書ハ弁済ト引換ニ之カ交付ヲ要スルモノト謂ハサルヘカラス然ラハ弁済者カ弁済ヲ為サントスルニ当リ受取証書ノ交付ヲ請求シタルニ拘ラス弁済受領者カ之ヲ応諾セサルニ於テハ弁済者ハ弁済ノ為メ現実ニ為シタル提供物ヲ保留シ得ルモノト云フヘク此ノ場合弁済者ハ提供物ヲ交付セサルコトニ付正当ノ理由アルモノニシテ遅滞ノ責ヲ負フコトナキモノトス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第21問 1)
弁済者が履行期に弁済の目的物を提供して受取証書の交付を請求したにもかかわらず、弁済受領者がこれに応じないときは、弁済者は、目的物の引渡しをしなくても、遅滞の責めを負わない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭16.3.1)は、弁済者の弁済と弁済受領者の受取証書の交付とは、同時履行の関係にあるから、弁済者が履行期に弁済の目的物を提供して受取証書の交付を請求したにもかかわらず、弁済受領者がこれに応じないときは、弁済者は、目的物の引渡しをしなくても、遅滞の責めを負わない旨判示している。

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期限の定めがない債務と弁済期 大判大正6年10月20日

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概要
弁済期の定めのない債務は、債権者がいつでも弁済を請求することができるから、常に弁済期にあり、弁済期の定めのない債務が2つあるときは、債務発生の日時が早いものをもって、先に弁済期が到来したものと解する。
判例
事案:弁済期の定めのない債務が2つある場合において、どちらの債務が先に弁済期が到来したといえるかが問題となった。

判旨:「弁済期ノ定メナキ債務ニ在リテハ債権者ハ何時ニテモ弁済ヲ請求スルコトヲ得ルヲ以テ其債務ハ常ニ弁済期ニ在ルモノト謂フヘシ而シテ弁済期ノ定メナキ債務二箇アルトキハ債務発生ノ日時早キモノヲ以テ先ツ弁済期ニ至リタルモノト謂ハサルコトヲ得ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H18 司法 第22問 5)
AがBに対して100万円の甲借入金債務と200万円の乙借入金債務を負っている場合において、両債務とも無利息で弁済期の定めがないが、甲債務が乙債務より先に成立した場合、AがBに150万円を支払ったが、ABともに弁済の充当指定をしなかったときは、50万円が甲債務の弁済に、100万円が乙債務の弁済に充当される。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.10.20)は、弁済期の定めのない債務は、債権者がいつでも弁済を請求することができるから、常に弁済期にあり、弁済期の定めのない債務が二つあるときは、債務発生の日時が早いものをもって、先に弁済期が到来したものと解する旨判示している。本肢においては、甲借入金債務と乙借入金債務の双方とも弁済期の定めがないが、甲債務が乙債務より先に成立しているため、甲債務をもって、先に弁済期が到来したものといえる。
ここで、488条4項柱書は、「弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも第一項又は第二項の規定による指定をしないときは、次の各号の定めるところに従い、その弁済を充当する。」と規定し、同項3号は、「債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。」と規定している。本肢においては、甲借入金債務と乙借入金債務の双方とも無利息であるから、「債務者のために弁済の利益が相等しいとき」に当たる。そして、上記の通り、甲借入金債務をもって、先に弁済期が到来したものといえることから、AがBに150万円を支払ったが、ABともに弁済の充当指定をしなかったときは、甲借入金債務に優先的に充当される。したがって、100万円が甲債務の弁済に、50万円が乙債務の弁済に充当される。

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自衛隊の自動車の運転者が運転上の注意義務を怠ったことにより生じた同乗者の死亡事故と国の当該同乗者に対する安全配慮義務違反の成否 最二小判昭和58年5月27日

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概要
自衛隊員が、同隊の自動車を運転し、任務を終了した帰途、通常の注意義務を怠ったことにより同乗者を死亡させたとしても、それだけでは国に当該同乗者に対する安全配慮義務違反があるとはいえない。
判例
事案:自衛隊員が自動車運転上の注意義務に違反して同乗者を死亡させた場合において、国の安全配慮義務違反が認定されるかが問題となった。

判旨:「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設若しくは器具等の設置管理又は公務員が国若しくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理に当たって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っている(最高裁昭和48年(オ)第383号同50年2月25日第三小法廷判決・民集29巻2号143頁)。右義務は、国が公務遂行に当たって支配管理する人的及び物的環境から生じうべき危険の防止について信義則上負担するものであるから、国は、自衛隊員を自衛隊車両に公務の遂行として乗車させる場合には、右自衛隊員に対する安全配慮義務として、車両の整備を十全ならしめて車両自体から生ずべき危険を防止し、車両の運転者としてその任に適する技能を有する者を選任し、かつ、当該車両を運転する上で特に必要な安全上の注意を与えて車両の運行から生ずる危険を防止すべき義務を負うが、運転者において道路交通法その他の法令に基づいて当然に負うべきものとされる通常の注意義務は、右安全配慮義務の内容に含まれるものではなく、また、右安全配慮義務の履行補助者が右車両にみずから運転者として乗車する場合であっても、右履行補助者に運転者としての右のような運転上の注意義務違反があったからといって、国の安全配慮義務違反があったものとすることはできないものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第16問 ウ)
安全配慮義務は、使用者が労働者の生命及び健康等の安全を確保する包括的な義務であるから、使用者の履行補助者が道路交通法に基づいて負うべき注意義務に違反した場合には、その注意義務違反を理由として、使用者の安全配慮義務違反が認められる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.5.27)は、本肢と同種の事案において、「運転者において道路交通法その他の法令に基づいて当然に負うべきものとされる通常の注意義務は、右安全配慮義務の内容に含まれるものではなく、また、右安全配慮義務の履行補助者が右車両にみずから運転者として乗車する場合であっても、右履行補助者に運転者としての右のような運転上の注意義務違反があったからといって、国の安全配慮義務違反があったものとすることはできないものというべきである。」と判示している。したがって、使用者の履行補助者が道路交通法に基づいて負うべき注意義務に違反した場合でも、その注意義務違反を理由として、使用者の安全配慮義務違反は認められない。


全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第20問 オ)
国の公務員である運転者Aが公務遂行中に道路交通法上の通常の注意義務に違反して自動車事故を起こし、同乗していた国の公務員Bが負傷した場合、国は、Bに対し、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.5.27)は、本肢と同種の事案において、「運転者において道路交通法その他の法令に基づいて当然に負うべきものとされる通常の注意義務は、右安全配慮義務の内容に含まれるものではなく、また、右安全配慮義務の履行補助者が右車両にみずから運転者として乗車する場合であっても、右履行補助者に運転者としての右のような運転上の注意義務違反があったからといって、国の安全配慮義務違反があったものとすることはできないものというべきである。」と判示している。したがって、国の公務員である運転者Aが公務遂行中に道路交通法上の通常の注意義務に違反して自動車事故を起こし、同乗していた国の公務員Bが負傷した場合でも、国は、Bに対し、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務を負わない。

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宿直勤務中の従業員が盗賊に殺害された事故につき会社に安全配慮義務の違背に基づく損害賠償責任があるとされた事例 最三小判昭和59年4月10日

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概要
会社が、夜間にも、その社屋に高価な反物、毛皮等を多数開放的に陳列保管していながら、社屋の夜間出入口にのぞき窓やインターホンを設けていないため、くぐり戸を開けてみなければ来訪者が誰であるかを確かめることが困難であり、そのため来訪者が無理に押し入ることができる状態となり、これを利用して盗賊が侵入し宿直員に危害を加えることのあるのを予見しえたにもかかわらず、盗賊防止のための物的設備を施さず、また、宿直員を新入社員1人としないで増員するなどの措置を講じなかったような事実関係の下で、1人で宿直中の侵入社員が勤務中にくぐり戸から侵入した強盗に殺害されたときは、第三者の故意の加害行為が介在していても、会社は安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負う。
判例
事案:社屋に強盗が侵入し労働者を殺害した場合において、会社に安全配慮義務違反が認められるかが問題となった。

判旨:「雇傭契約は、労働者の労務提供と使用者の報酬支払をその基本内容とする双務有償契約であるが、通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に 配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労務の提供を行うものであるから、使用者は、右の報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解するのが相当である。もとより、使用者の右の安全配慮義務の具体的内容は、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるべきものであることはいうまでもないが、これを本件の場合に即してみれば、A社は、B一人に対し昭和53年8月13日午前9時から24時間の宿直勤務を命じ、宿直勤務の場所を本件社屋内、就寝場所を同社屋1階商品陳列場と指示したのであるから、宿直勤務の場所である本件社屋内に、宿直勤務中に盗賊等が容易に侵入できないような物的設備を施し、かつ、万一盗賊が侵入した場合は盗賊から加えられるかも知れない危害を免れることができるような物的施設を設けるとともに、これら物的施設等を十分に整備することが困難であるときは、宿直員を増員するとか宿直員に対する安全教育を十分に行うなどし、もって右物的施設等と相まって労働者たるBの生命、身体等に危険が及ばないように配慮する義務があつたものと解すべきである。
 そこで、以上の見地に立つて本件をみるに、前記の事実関係からみれば、A社の本件社屋には、昼夜高価な商品が多数かつ開放的に陳列、保管されていて、休日又は夜間には盗賊が侵入するおそれがあつたのみならず、当時、A社では現に商品の紛失事故や盗難が発生したり、不審な電話がしばしばかかつてきていたというのであり、しかも侵入した盗賊が宿直員に発見されたような場合には宿直員に危害を加えることも十分予見することができたにもかかわらず、A社では、盗賊侵入防止のためののぞき窓、インターホン、防犯チエーン等の物的設備や侵入した盗賊から危害を免れるために役立つ防犯ベル等の物的設備を施さず、また、盗難等の危険を考慮して休日又は夜間の宿直員を新入社員一人としないで適宜増員するとか宿直員に対し十分な安全教育を施すなどの措置を講じていなかつたというのであるから、A社には、Bに対する前記の安全配慮義務の不履行があつたものといわなければならない。そして、前記の事実からすると、A社において前記のような安全配慮義務を履行しておれば、本件のようなBの殺害という事故の発生を未然に防止しえたというべきであるから、右事故は、A社の右安全配慮義務の不履行によつて発生したものということができ、A社は、右事故によつて被害を被つた者に対しその損害を賠償すべき義務があるものといわざるをえない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第16問 エ)
労働者の勤務場所に第三者が侵入して労働者に危害を加えた場合には、その第三者による故意の加害行為が介在していることから、使用者は、安全配慮義務違反による損害賠償責任を負うことはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭59.4.10)は、労働者の勤務場所に第三者が侵入して労働者を殺害した事案において、「A社には、Bに対する前記の安全配慮義務の不履行があつたものといわなければならない。そして、前記の事実からすると、A社において前記のような安全配慮義務を履行しておれば、本件のようなBの殺害という事故の発生を未然に防止しえたというべきであるから、右事故は、A社の右安全配慮義務の不履行によつて発生したものということができ、A社は、右事故によつて被害を被つた者に対しその損害を賠償すべき義務があるものといわざるをえない。」と判示して、使用者の安全配慮義務違反による損害賠償責任を認めた。したがって、第三者による故意の加害行為が介在していても、使用者は、安全配慮義務違反による損害賠償責任を負うことがある。

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元請企業につき下請企業の労働者に対する安全配慮義務が認められた事例 最一小判平成3年4月11日

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概要
下請企業の労働者が元請企業の作業場で労務の提供をするに当たり、元請企業の管理する設備工具等を用い、事実上元請企業の指揮監督を受けて稼働し、その作業内容も元請企業の従業員とほぼ同じであった等の事実関係の下では、元請企業は、信義則上、労働者に対し安全配慮義務を負う。
判例
事案:元請企業について、下請企業の労働者に対する安全配慮義務が認められるかが問題となった。

判旨:「Aの下請企業の労働者がAの甲造船所で労務の提供をするに当たっては、いわゆる社外工として、Aの管理する設備、工具等を用い、事実上Aの指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容もAの従業員…とほとんど同じであったというのであり、このような事実関係の下においては、Aは、下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入ったもので、信義則上、右労働者に対し安全配慮義務を負うものである…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H22 司法 第16問 オ)
安全配慮義務は、特別な社会的接触の関係に入った当事者間において信義則上認められるものであるから、元請企業が下請企業を用いる場合には、元請企業は、下請企業に雇用される労働者に対しても、安全配慮義務を負うことがある。

(正答)

(解説)
判例(最判平3.4.11)は、下請企業の労働者が元請企業の作業場で労務の提供をするに当たり、元請企業の管理する設備工具等を用い、事実上元請企業の指揮監督を受けて稼働し、その作業内容も元請企業の従業員とほぼ同じであった等の事実関係の下では、元請企業は、信義則上、労働者に対し安全配慮義務を負う旨判示している。したがって、元請企業が下請企業を用いる場合には、元請企業は、下請企業に雇用される労働者に対しても、信義則上、安全配慮義務を負うことがある


全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第20問 ウ)
元請企業は、下請企業に雇用されている労働者に対しても、特別な社会的接触の関係に入ったものとして、信義則上、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務を負うことがある。

(正答)

(解説)
判例(最判平3.4.11)は、下請企業の労働者が元請企業の作業場で労務の提供をするに当たり、元請企業の管理する設備工具等を用い、事実上元請企業の指揮監督を受けて稼働し、その作業内容も元請企業の従業員とほぼ同じであった等の事実関係の下では、元請企業は、信義則上、労働者に対し安全配慮義務を負う旨判示している。したがって、元請企業は、下請企業に雇用されている労働者に対しても、特別な社会的接触の関係に入ったものとして、信義則上、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務を負うことがある。

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宿泊客がフロントに預けなかった物品の滅失毀損等につきホテル側に故意又は重大な過失がある場合とホテルの損害賠償義務の範囲を制限する宿泊約款の定めの適用 最二小判平成15年2月28日

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概要
宿泊客がフロントに預けなかった物品等で事前に種類及び価額の明告のなかったものが滅失、毀損するなどしたときに、ホテルの損害賠償義務の範囲を一定の金額の限度に制限する宿泊約款の定めは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない。
判例
事案:ホテルに持ち込んだものの、フロントに預けなかった物品、金銭及び貴重品について、ホテル側にその種類及び価額の明告をしなかった場合において、当該物品、金銭及び貴重品にホテルの故意または重大な過失によって滅失、棄損等の損害が発生したとき、賠償金額を一定程度に限定する特則が有効に適用されるかが問題となった。

判旨:「…本件ホテルの宿泊約款には、「宿泊客が当ホテル内にお持込みになった物品又は現金並びに貴重品であってフロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルは、その損害を賠償します。ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。」という規定があった(以下、この但書のことを「本件特則」という。)。」
 「本件特則は、宿泊客が、本件ホテルに持ち込みフロントに預けなかった物品、現金及び貴重品について、ホテル側にその種類及び価額の明告をしなかった場合には、ホテル側が物品等の種類及び価額に応じた注意を払うことを期待するのが酷であり、かつ、時として損害賠償額が巨額に上ることがあり得ることなどを考慮して設けられたものと解される。このような本件特則の趣旨にかんがみても、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合に、本件特則により、被上告人の損害賠償義務の範囲が制限されるとすることは、著しく衡平を害するものであって、当事者の通常の意思に合致しないというべきである。したがって、本件特則は、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R3 司法 第16問 ア)
債務者は、一切損害賠償責任を負わない旨の免責条項がある場合でも、債務者が故意に債務を履行しなかったときには、当該免責条項による免責が認められない。

(正答)

(解説)
判例(最判平15.2.28)は、宿泊客がフロントに預けなかった物品等で事前に種類及び価額の明告のなかったものが滅失、毀損するなどしたときに、ホテルの損害賠償義務の範囲を一定の金額の限度に制限する宿泊約款の定めは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない旨判示している。したがって、債務者は、一切損害賠償責任を負わない旨の免責条項がある場合でも、債務者が故意に債務を履行しなかったときには、当該免責条項による免責が認められないといえる。

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営業利益相当の損害に対する損害賠償請求 最二小判平成21年1月19日

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概要
店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により営業ができなかった場合でも、賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたにもかかわらず、措置を行わなかった場合には、措置が取れた時期以降の損害のすべてを416条1項の「通常生ずべき損害」に当たるとして損害賠償請求をすることはできない。
判例
事例:店舗の賃貸人の債務不履行により賃借人に損害が生じた場合において、賃借人が損害を回避減少できたのにしなかったとき、賃貸人が発生した損害すべてについて賠償責任を負うか問題となった。

判旨:「事業用店舗の賃借人が、賃貸人の債務不履行により当該店舗で営業することができなくなった場合には、これにより賃借人に生じた営業利益喪失の損害は、債務不履行により通常生ずべき損害として民法416条1項により賃貸人にその賠償を求めることができると解するのが相当である。しかしながら、…本件本訴が提起された時点では、本件店舗部分における営業の再開は、いつ実現できるか分からない実現可能性の乏しいものとなっていたと解される。他方、Aが本件店舗部分で行っていたカラオケ店の営業は、本件店舗部分以外の場所では行うことができないものとは考えられないし、前記事実関係によれば、Aは、…保険金の支払を受けているというのであるから、これによって、Aは、再びカラオケセット等を整備するのに必要な資金の少なくとも相当部分を取得したものと解される。
 そうすると、遅くとも、本件本訴が提起された時点においては、Aがカラオケ店の営業を別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を何ら執ることなく、本件店舗部分における営業利益相当の損害が発生するにまかせて、その損害のすべてについての賠償をBらに請求することは、条理上認められないというべきであり、民法416条1項にいう通常生ずべき損害の解釈上、本件において、Aが上記措置を執ることができたと解される時期以降における上記営業利益相当の損害のすべてについてその賠償をBに請求することはできないというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H27 共通 第15問 ウ)
営業用店舗の賃貸人が修繕義務の履行を怠ったために賃借人がその店舗で営業をすることができなかった場合、賃借人は、これにより生じた営業利益の喪失による損害の賠償を、債務不履行により通常生ずべき損害として請求することができるが、賃借人が営業をその店舗とは別の場所で再開するなどの損害を回避又は減少させる措置を何ら執らなかったときは、そのような措置を執ることができた時期以降に生じた損害の全ての賠償を請求することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.1.19)は、「事業用店舗の賃借人が、賃貸人の債務不履行により当該店舗で営業することができなくなった場合には、これにより賃借人に生じた営業利益喪失の損害は、債務不履行により通常生ずべき損害として民法416条1項により賃貸人にその賠償を求めることができると解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢前段は正しい。
そして、同判例は、店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により営業ができなかった場合でも、賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたにもかかわらず、措置を行わなかった場合には、措置が取れた時期以降の損害のすべてを416条1項の「通常生ずべき損害」に当たるとして損害賠償請求をすることはできない旨判示している。したがって、本肢後段も正しい。

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特別損害の予見時期 大判大正7年8月27日

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概要
損害賠償請求における「特別の事情によって生じた損害」(416条2項)の予見時期は、債務不履行時である。
判例
事案:損害賠償請求における「特別の事情によって生じた損害」について、予見時期をいつの時点と解するかが問題となった。

判旨:「法律カ特別事情ヲ予見シタル債務者ニ之ニ因リ生シタル損害ヲ賠償スルノ責ヲ負ハシムル所以ノモノハ特別事情ヲ予見シタルニ於テハ之ニ因ル損害ノ生スルハ予知シ得ヘキ所ナレハ之ヲ予知シナカラ債務ヲ履行セス若クハ其履行ヲ不能ナラシメタル債務者ニ其損害ヲ賠償セシムルモ過酷ナラスト為スニ在レハ特別事情ノ予見ハ債務ノ履行期迄ニ履行期後ノ事情ヲ前知スルノ義ニシテ予見ノ時期ハ債務ノ履行期迄ナリト解スルヲ正当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H23 司法 第17問 5)
不動産の売買における売主の債務不履行において、特別の事情によって生じる損害については、債務者は、その債務の成立時に当該特別の事情を予見し、又は予見することができた場合に限り、賠償責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(大判大7.8.27)は、損害賠償請求における「特別の事情によって生じた損害」の予見時期は、債務不履行時である旨判示している。したがって、債務者は、その債務の成立時ではなく、債務不履行時に当該特別の事情を予見し、又は予見することができた場合に限り、賠償責任を負う。


全体の正答率 : 50.0%

(R3 司法 第15問 ウ)
特別の事情によって生じた損害については、当事者がその事情を現に予見していたときに限り、債権者は、その賠償を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大7.8.27)は、損害賠償請求における「特別の事情によって生じた損害」の予見時期は、債務不履行時である旨判示している。そして、416条2項は、「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」と規定している。したがって、特別の事情によって生じた損害については、当事者がその事情を現に予見していたときではなく、債務不履行時に予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

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金銭債務の不履行に基づく損害賠償 最一小判昭和48年10月11日

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概要
債権者は、金銭を目的とする債務の履行遅滞により、約定または法定の利率以上の損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求することはできない。
判例
事案:金銭を目的とする債務の履行遅滞により、約定又は法定の利率以上の損害が生じた場合において、当該損害が生じたことを立証して、その賠償を請求することができるかが問題となった。

判旨:「民法419条によれば、金銭を目的とする債務の履行遅滞による損害賠償の額は、法律に別段の定めがある場合を除き、約定または法定の利率により、債権者はその損害の証明をする必要がないとされているが、その反面として、たとえそれ以上の損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求することはできないものというべく、したがって、債権者は、金銭債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求することはできないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第21問 エ)
債務者が貸金返還債務の履行を遅滞した場合、債権者は、法定利率又は約定利率により算定された額を超える損害が生じたことを証明しても、当該損害の賠償を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭48.10.11)は、「民法419条によれば、金銭を目的とする債務の履行遅滞による損害賠償の額は、法律に別段の定めがある場合を除き、約定または法定の利率により、債権者はその損害の証明をする必要がないとされているが、その反面として、たとえそれ以上の損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求することはできない」と判示している。

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当事者が損害賠償の額を予定した場合における過失相殺の可否 最一小判平成6年4月21日

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概要
当事者が420条1項により損害賠償額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は過失相殺をするべきである。
判例
事案:当事者が420条1項により損害賠償額の予定をした場合において、なお債務不履行に関して債権者に過失があったときに、裁判所が過失相殺(418条)をするべきかが問題となった。

判旨:「当事者が民法420条1項により損害賠償額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを斟酌すべきものと解するのが相当である…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H27 共通 第15問 エ)
当事者が債務不履行について損害賠償の額を予定している場合、裁判所は、その損害賠償の予定額を増減することはできず、過失相殺により賠償額を減額することもできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.4.21)は、「当事者が民法420条1項により損害賠償額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを斟酌すべきものと解するのが相当である…。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 司法 第16問 イ)
損害賠償の額を予定する条項がある場合には、過失相殺による減額がされることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.4.21)は、「当事者が民法420条1項により損害賠償額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを斟酌すべきものと解するのが相当である…。」と判示している。

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不動産の所有権移転義務の履行不能による損害賠償額の算定の基準時 最一小判昭和47年4月20日

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概要
売買契約の目的物である不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、履行不能の際に売主がそのような特別の事情の存在することを知っていたかまたはこれを知りえた場合には、買主が当該不動産を転売して利益を得るためではなくこれを自己の使用に供するために買い受けたものであるときでも、買主は、売主に対し、当該不動産の騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求することができる。
判例
事案:買主が自己の使用に供するために買い受けた不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けている場合における、同義務の履行不能による損害賠償額の算定の基準時が問題となった。

判旨:「およそ、債務者が債務の目的物を不法に処分したために債務が履行不能となつた後、その目的物の価格が騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、債務者が、債務を履行不能とした際、右のような特別の事情の存在を知つていたかまたはこれを知りえた場合には、債権者は、債務者に対し、その目的物の騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求しうるものであることは、すでに当裁判所の判例とするところである(当裁判所昭和36年(オ)第135号同37年11月16日第二小法廷判決・民集16巻11号2280頁参照。)。そして、この理は、…買主がその目的物を他に転売して利益を得るためではなくこれを自己の使用に供する目的でなした不動産の売買契約において、売主がその不動産を不法に処分したために売主の買主に対する不動産の所有権移転義務が履行不能となつた場合であつても、妥当するものと解すべきである。けだし、このような場合であつても、右不動産の買主は、右のような債務不履行がなければ、騰貴した価格のあるその不動産を現に保有しえたはずであるから、右履行不能の結果右買主の受ける損害額は、その不動産の騰貴した現在の価格を基準として算定するのが相当であるからである。」 
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R6 司法 第18問 エ)
乙土地の売買において、売主がその所有権移転義務を履行不能とした場合には、売主が履行不能時に乙土地が騰貴しつつあることを知っていたとしても、買主が転売目的を有していなければ、買主は、売主に対し、乙土地の騰貴した現在の価格を基準としてその債務の履行に代わる賠償請求をすることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.4.20)は、売買契約の目的物である不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、履行不能の際に売主がそのような特別の事情の存在することを知っていたかまたはこれを知りえた場合には、買主が当該不動産を転売して利益を得るためではなくこれを自己の使用に供するために買い受けたものであるときでも、買主は、売主に対し、当該不動産の騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求することができる旨判示している。したがって、売主が履行不能時に乙土地が騰貴しつつあることを知っていた場合には、買主が転売目的を有していなくても、買主は、売主に対し、乙土地の騰貴した現在の価格を基準としてその債務の履行に代わる賠償請求をすることができる。

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契約締結に先立つ信義則上の説明義務 最二小判平成23年4月22日

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概要
契約の一方当事者が、契約の締結に先立ち信義則上の説明義務に違反して契約の締結に関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合でも、当該当事者は契約上の債務不履行責任を負うことはない。
判例
事案:契約の一方当事者が、契約の締結に先立ち信義則上の説明義務に違反した場合において、当該当事者が契約上の債務不履行責任を負うかどうかが問題となった。

判旨:「契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。
 なぜなら、上記のように、一方当事者が信義則上の説明義務に違反したために、相手方が本来であれば締結しなかったはずの契約を締結するに至り、損害を被った場合には、後に締結された契約は、上記説明義務の違反によって生じた結果と位置付けられるのであって、上記説明義務をもって上記契約に基づいて生じた義務であるということは、それを契約上の本来的な債務というか付随義務というかにかかわらず、一種の背理であるといわざるを得ないからである。契約締結の準備段階においても、信義則が当事者間の法律関係を規律し、信義則上の義務が発生するからといって、その義務が当然にその後に締結された契約に基づくものであるということにならないことはいうまでもない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第18問 オ)
契約の一方当事者Aが、契約締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を他方当事者Bに提供しなかったときは、 Aは、Bに対し、Bが当該契約を締結したことにより受けた損害につき当該契約上の債務不履行による賠償責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判平23.4.22)は、「契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。」と判示している。したがって、契約の一方当事者Aが、契約締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を他方当事者Bに提供しなかったときであっても、Aは、Bに対し、Bが当該契約を締結したことにより受けた損害につき当該契約上の債務不履行による賠償責任を負わない。

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所有権移転登記手続請求権の代位行使 大判明治43年7月6日

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概要
AからB、BからCと不動産が売買された場合において、AからBへの所有権移転登記手続が完了しておらず、BからCの所有権移転登記手続もまだ未了であるならば、Cは、BからCへの所有権移転登記手続請求権の保全のために、BのAに対する所有権移転登記手続請求権を代位行使することができる。
判例
事案:不動産がAからB、BからCへと順次売買された場合に、Cが自らの所有権移転登記手続請求権の保全のためBのAに対する所有権移転登記手続請求権を代位行使できるか問題となった。

判旨:「Aハ本件ノ土地ヲBニ売渡シBハ更ニ之ヲCニ売渡シタルモ其2箇ノ売買ニ因ル所有権移転ノ登記ハ何レモ未タ其手続ヲ為ササルモノナリ故ニBハAニ対シ又CハBニ対シ各売買ニ因ル所有権移転ノ登記手続ヲ請求スルノ権利ヲ有スルモ後ノ売買ニ因ル登記ハ登記法上前ノ売買ニ因ル登記ヲ経タル後ニ非サレハ之ヲ為スコト能ワサルヲ以テA及ヒBカ其両人間ノ売買ニ因ル登記ヲ為ササルトキハCハ民法第423条ノ規定ニ依リBニ対スル登記手続ノ請求権ヲ保全スル為メBノAニ対スル登記手続ノ請求権ヲ行使スルコトヲ得ルモノト謂ワサル可ラス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第19問 ア)
債務者に代位して登記の移転を求める場合には、債権者は、第三債務者から直接自己へ登記を移転すべき旨の請求をすることはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判明43.7.6)は、AからB、BからCと不動産が売買された場合において、AからBへの所有権移転登記手続が完了しておらず、BからCの所有権移転登記手続もまだ未了であるならば、Cは、BからCへの所有権移転登記手続請求権の保全のために、BのAに対する所有権移転登記手続請求権を代位行使することができる旨判示している。もっとも、所有権移転登記手続請求権を代位行使することができるにすぎず、その結果、AからBへの所有権移転登記手続がなされるにすぎない。したがって、債務者に代位して登記の移転を求める場合には、債権者は、第三債務者から債務者へ登記を移転すべき旨の請求をすることができるにとどまり、第三債務者から直接自己へ登記を移転すべき旨の請求をすることはできない。

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債権者代位権の転用 大判昭和4年12月16日

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概要
土地の賃借人は、第三者が土地を不法に占拠することにより使用収益が妨げられている場合には、賃貸人が無資力でなかったとしても、423条1項により、当該賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる。
判例
事案:賃貸人の土地を第三者が不法に占拠している場合において、土地の賃借人が、賃貸人の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できるか問題となった。

判旨:「債権者カ自己ノ債権ヲ保全スル為債務者ニ属スル権利ヲ行フコトヲ得ルハ民法第423条ノ規定スル所ナリ同条ハ債務者カ自己ノ有スル権利ヲ行使セサル為債権者ヲシテ其ノ債務者ニ対スル債権ノ十分ナル満足ヲ得サラシメタル場合ニ於ケル救済方法ヲ定メタルモノニシテ債権者ノ行フヘキ債務者ノ権利ニ付其ノ一身ニ専属スルモノノ外ハ何等ノ制限ヲ設ケス又債務者ノ無資力タルコトヲ必要トセサルヲ以テ同条ニ所謂債権ハ必スシモ金銭上ノ債権タルコトヲ要セス又所謂債務者ノ権利ハ一般債権者ノ共同担保トナルヘキモノタルニ限ラス或債権者ノ特定債権ヲ保全スル必要アル場合ニ於テモ同条ノ適用アルモノト解スルヲ相当トス(明治43年(オ)第百152号同年7月6日当院判決大正9年(ク)第110号同年10月13日当院決定参照)故ニ土地ノ賃借人カ賃貸人ニ対シ該土地ノ使用収益ヲ為サシムヘキ債権ヲ有スル場合ニ於テ第三者カ其ノ土地ヲ不法ニ占拠シ使用収益ヲ妨クルトキハ土地ノ賃借人ハ右ノ債権ヲ保全スル為第423条ニ依リ右賃貸人ノ有スル土地妨害排除ノ請求権ヲ行使スルコトヲ得ヘキモノトス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第18問 4)
AのBに対する債権がBの所有地の賃借権である場合、Aは、Bが無資力でなければ、その土地の不法占拠者Cに対する物権的請求権を代位行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭4.12.16)は、土地の賃借人は、第三者が土地を不法に占拠することにより使用収益が妨げられている場合には、賃貸人が無資力でなかったとしても、423条1項により、当該賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる旨判示している。したがって、AのBに対する債権がBの所有地の賃借権である場合、Aは、Bが無資力でなくても、その土地の不法占拠者Cに対する物権的請求権を代位行使することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第17問 オ)
土地の所有者Aからその土地を賃借したBは、その土地を不法に占有するCがいる場合、賃借権について対抗要件を具備しているか否かにかかわらず、賃借権を保全するために、AのCに対する所有権に基づく返還請求権を代位行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭4.12.16)は、土地の賃借人は、第三者が土地を不法に占拠することにより使用収益が妨げられている場合には、賃貸人が無資力でなかったとしても、423条1項により、当該賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる旨判示している。そして、土地の不法占拠者は、単なる無権利者であるから、当該不法占拠者と土地の賃借人は対抗関係に立たず、当該賃借人が、土地賃貸人が有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使するためには、賃借権について対抗要件を具備する必要はない。したがって、土地の所有者Aからその土地を賃借したBは、その土地を不法に占有するCがいる場合、賃借権について対抗要件を具備しているか否かにかかわらず、賃借権を保全するために、AのCに対する所有権に基づく返還請求権を代位行使することができる。

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債権譲渡と債務者に対する通知 大判昭和5年10月10日

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概要
債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない。
判例
事案:債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をすることができるかが問題となった。

判旨:「民法第423条ニ依リ債権者カ代理行使シ得ヘキモノハ債務者ニ属スル権利ナルヲ以テ権利ナラサルモノハ債務者トシテ為シ得ルモノト雖債権者トシテ債務者ニ代位シテ為シ得ヘキモノニ非ストスヘキナリ本件ニ付之ヲ観ルニAハBヨリ同人カ被Cニ対スル債権ノ譲渡ヲ受ケ同人ニ代位シテCニ対シ譲渡通知ヲ為シタル旨ヲ主張スルモノナルトコロBカ債権者トシテ債務者タルCニ対スル関係ニ於テ其ノ債権ヲAニ譲渡シタル事実ヲCニ通知スルコトハ同人カCニ対シ債権者トシテ有スル権利ニ非サルヲ以テ該通知ハ代位行使ノ目的ト為ルヘキモノニ非ス従テAノ為シタル代位通知ハ譲渡人タルBノ為シタル譲渡通知ノ効力ヲ生スルニ由ナキモノト為ササルヘカラス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H21 司法 第18問 1)
AがBのCに対する債権の譲渡を受けた場合、AはBに代位して債権譲渡の通知をCに対してすることができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.10.10)は、債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない旨判示している。したがって、AがBのCに対する債権の譲渡を受けた場合でも、AはBに代位して債権譲渡の通知をCに対してすることができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第20問 4)
指名債権の譲受人が、債権者代位権により、譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をした場合、その通知は有効である。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.10.10)は、債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H24 司法 第21問 2)
指名債権の譲受人が、債権者代位権により、譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をしたとしても、その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.10.10)は、債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない旨判示している。したがって、指名債権の譲受人が、債権者代位権により、譲渡人に代位して債務者に債権譲渡の通知をしたとしても、当該通知は、467条1項の「通知」としての効力を生じないから、債務者対抗要件を具備したとはいえず、その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 共通 第19問 イ)
債権の譲受人は、譲渡人に代位して債務者に対して債権譲渡の通知をすることにより、その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.10.10)は、債権譲渡により債権を譲り受けた者が、当該債権の譲渡人に代位して、当該債権の債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、譲渡人がした債権譲渡の通知としての効力を生じない旨判示している。したがって、債権の譲受人は、譲渡人に代位して債務者に対して債権譲渡の通知をしても、当該通知は、467条1項の「通知」としての効力を生じないから、債務者対抗要件を具備したとはいえず、その債権譲渡を債務者に対抗することはできない。

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債権者代位権と善管注意義務 大判昭和15年3月15日

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概要
債務者の権利を代位行使する債権者は、善管注意義務をもって当該権利を行使しなければならない。
判例
事案:債務者の権利を代位行使する債権者について、当該代位行使の際、善管注意義務が要求されるかが問題となった。

判旨:「素ヨリ債権者ハ代位権行使ニ付テハ訴訟ニ依ル場合ト雖善良ナル管理者ノ注意ヲ払フヲ当然トスルヲ以テ若シ訴訟追行上過失ノ存スル場合(例ヘハ債務者ニ訴訟告知ヲ為ササリシ為債務者ノ手ニ存スル訴訟資料ヲ利用シ得サリシ場合ノ如キ)ニハ債務者ニ対シ損害賠償ノ責ニ任スヘク前示判決ノ効力ヲ債務者ニ及ホスモノナリトノ解釈ハ敢テ債務者ニ酷ナリト云フヲ得サルモノトス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H24 共通 第19問 3)
債務者の権利を代位行使する債権者は、債務者の代理人としてではなく、自己の名で当該権利を行使するものであり、自己の財産におけるのと同一の注意をもって権利を行使すれば足りる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭15.3.15)は、債務者の権利を代位行使する債権者は、善管注意義務をもって当該権利を行使しなければならない旨判示している。したがって、債務者の権利を代位行使する債権者は、自己の財産におけるのと同一の注意をもって権利を行使するのみでは足りず、善管注意義務をもって権利を行使しなければならない。

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債務者が自ら権利を行使する場合における債権者代位権行使の許否 最一小判昭和28年12月14日

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概要
債権者代位権の行使は、債務者が自ら権利を行使しない場合に限り許され、債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。
判例
事案:債務者がすでに自ら権利を行使している場合においても、債権者が債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「債権者代位権の行使は、債務者がみずから権利を行使しない場合に限り許されるものと解すべきである。債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。債権者代位権という制度の本質から見て、かく解するのが相当である。若し、所論のごとく債務者自らがその権利を行使するに当り不十分、不誠実、不適当な場合には、債権者は補助参加により、さらに場合によっては当事者参加によって、自己の権利保全をすることもできるし、事情によっては詐害行為として取消を請求することもできるのである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H19 司法 第18問 エ)
債権者代位権の行使は、債務者が自ら権利を行使しない場合に限り許されるから、債務者自らがその権利を行使するに当たり、不十分、不適当であっても、債権者が重ねて債権者代位権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.12.14)は、「債権者代位権の行使は、債務者がみずから権利を行使しない場合に限り許されるものと解すべきである。債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第19問 イ)
債務者が既に自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良否にかかわらず、債権者は、その権利について債権者代位権を行使できない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.12.14)は、「債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第18問 イ)
AのBに対する債権を保全するための債権者代位権について、BがCに対する金銭債権の支払を求めて訴えを提起しているときは、Aは、BのCに対する金銭債権を代位行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.12.14)は、「債務者がすでに自ら権利を行使している場合には、その行使の方法又は結果の良いと否とにかかわらず、債権者は、債務者を排除し又は債務者と重複して債権者代位権を行使することはできない。」と判示している。したがって、AのBに対する債権を保全するための債権者代位権について、BがCに対する金銭債権の支払を求めて訴えを提起しているときは、Aは、BのCに対する金銭債権を代位行使することができない。

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債権者代位権による建物明渡請求権の行使方法 最二小判昭和29年9月24日

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概要
建物の賃借人が、その賃借権を保全するため、賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡しを請求する場合においては、直接自己に対してその明渡しをなすべきことを請求することができる。
判例
事案:建物の賃借人が、その賃借権を保全するため、賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合において、当該賃借人が、当該不法占拠者に対し、直接自己に対してその明渡しをなすべきことを請求することができるかが問題となった。

判旨:「建物の賃借人が、その賃借権を保全するため賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合においては、直接自己に対してその明渡をなすべきことを請求することができるものと解するのを相当とする。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H19 司法 第18問 ア)
建物賃借人は、賃貸人に代位して、建物の不法占拠者に対し、直接自己に対してその明渡しをなすべきことを請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.9.24)は、「建物の賃借人が、その賃借権を保全するため賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合においては、直接自己に対してその明渡をなすべきことを請求することができるものと解するのを相当とする。」と判示している。

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被相続人のなした仮装売買について移転登記抹消請求の代位行使 最三小判昭和30年12月26日

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概要
推定相続人であるというだけでは、単に推定相続人たる期待権を有するだけであって、なんら被相続人に対し債権を有するものではないから、推定相続人は、当然には被相続人の権利を代位行使することができない。
判例
事案:被相続人が通謀虚偽表示によりその所有する不動産について他人に所有権移転登記をした場合において、推定相続人が被相続人の有する所有権移転登記抹消登記請求権を代位行使することができるかが問題となった。

判旨:「原審は、AがBに代位してBの有する本件登記抹消請求権を行使し得ると判断したのである。しかし、民法423条による債権者代位権は、債権者がその債権を保全するため債務者の権利を行使し得る権利であり、それは 、ひっきょう債権の一種の効力に外ならないのである。しかるにAは、単にBの推定相続人たる期待権を有するだけであって、なんらBに対し債権を有するものでないから、Aは当然にはなんら代位権を行使し得べきいわれはない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第18問 5)
BがCを認知した場合、Bの推定相続人であるAは、Bに代位してその認知を取り消すことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.12.26)は、推定相続人であるというだけでは、単に推定相続人たる期待権を有するだけであって、なんら被相続人に対し債権を有するものではないから、推定相続人は、当然には被相続人の権利を代位行使することができない旨判示している。したがって、BがCを認知した場合、Bの推定相続人であるAは、単にAの推定相続人であるにすぎず、なんらAに対し債権を有するものではない以上、Bに代位して、その有する権利を代位行使することはできない。
また、AがBに代位して、その有する権利を代位行使することができたとしても、423条1項は、「債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。」と規定している。認知の取消権は、親族法上の一身専属権に当たるため、同項ただし書により、Bの推定相続人であるAは、Bに代位してその認知を取り消すことができない。

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債権者代位権と被保全債権の成立時期 最三小判昭和33年7月15日

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概要
債権者代位権を行使するための被保全債権は、代位行使される債務者の権利より前に成立している必要はない。
判例
事案:債権者代位権を行使するための被保全債権は、代位行使される債務者の権利より前に成立している必要があるかが問題となった。

判旨:「代位権者の債権が債務者の権利より前に成立することは必要でな…い。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第19問 オ)
債権者代位権を行使するためには、被保全債権が代位行使される債権よりも先に成立している必要はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.7.15)は、債権者代位権を行使するための被保全債権は、代位行使される債務者の権利より前に成立している必要はない旨判示している。

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建物賃貸人の建物買取請求権の、建物賃借人による代位行使の許否 最三小判昭和38年4月23日

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概要
建物買取請求権の代位行使により建物賃貸人が受けるべき利益は建物の代金債権に過ぎず、建物代金債権により借地上の建物の賃借人の建物賃借権は保全されないため、建物賃借人は、その賃借権の保全ために、建物賃貸人に代位して、建物買取請求権を行使することはできない。
判例
事案:建物賃貸人の有する建物買取請求権を、建物賃借人が代位行使できるか問題となった。

判旨:「債権者が民法423条により債務者の権利を代位行使するには、その権利の行使により債務者が利益を享受し、その利益によって債権者の権利が保全されるという関係が存在することを要するものと解される。しかるに、本件において、Aらが債務者であるBの有する本件建物の買取請求権を代位行使することにより保全しようとする債権は、右建物に関する賃借権であるところ、右代位行使によりBが受けるべき利益は建物の代金債権、すなわち金銭債権に過ぎないのであり(買取請求権行使の結果、建物の所有権を失うことは、Bにとり不利益であって、利益ではない)、右金銭債権によりAらの賃借権が保全されるものでないことは明らかである。されば、Aらは本件建物の買取請求権を代位行使することをえない…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H19 司法 第18問 オ)
建物賃借人は、その賃借権を保全するために、建物の賃貸人である借地権者が土地賃貸人に対して有する建物買取請求権を代位行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭38.4.23)は、建物買取請求権の代位行使により建物賃貸人が受けるべき利益は建物の代金債権に過ぎず、建物代金債権により借地上の建物の賃借人の建物賃借権は保全されないため、建物賃借人は、その賃借権の保全ために、建物賃貸人に代位して、建物買取請求権を行使することはできない旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第18問 エ)
借地上の建物の賃借人Aは、Bに対する債権を保全するために、建物賃貸人である借地権者Bが土地賃貸人Cに対して有する建物買取請求権を代位行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭38.4.23)は、本肢と同種の事案において、建物買取請求権の代位行使により建物賃貸人が受けるべき利益は建物の代金債権に過ぎず、建物代金債権により借地上の建物の賃借人の建物賃借権は保全されないため、建物賃借人は、その賃借権の保全ために、建物賃貸人に代位して、建物買取請求権を行使することはできない旨判示している。したがって、借地上の建物の賃借人Aは、Bに対する債権を保全するために、建物賃貸人である借地権者Bが土地賃貸人Cに対して有する建物買取請求権を代位行使することはできない。

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債権者代位権と無資力の主張・立証責任 最三小判昭和40年10月12日

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概要
債権者が債務者の有する権利を代位行使する場合には、債務者の無資力の事実については、債権者代位権を行使する債権者が立証する責任を負う。
判例
事案:債権者が債務者の有する権利を代位行使する場合、債務者の無資力の事実についての立証責任を債権者が負うかが問題となった。

判旨:「債権者は、債務者の資力が当該債権を弁済するについて十分でない場合にかぎり、自己の金銭債権を保全するため、民法423条1項本文の規定により当該債務者に属する権利を行使しうると解すべきことは、同条の法意に照らし、明らかであり、右の場合に債務者の資力が十分でないことについては、債権者がこれを立証する責任を負うものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第19問 エ)
AのBに対する100万円の債権を被保全債権として、BのCに対する50万円の債権につきAがCに対して債権者代位訴訟を提起したときには、Aは、請求原因において、Bの無資力を主張・立証する必要はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.10.12)は、債権者が債務者の有する権利を代位行使する場合には、債務者の無資力の事実については、債権者代位権を行使する債権者が立証する責任を負う旨判示している。したがって、AのBに対する100万円の債権を被保全債権として、BのCに対する50万円の債権につきAがCに対して債権者代位訴訟を提起したときには、Aは、請求原因において、Bの無資力を主張・立証しなければならない。

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所有権移転登記手続請求の代位行使 最一小判昭和50年3月6日

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概要
買主に対する土地所有権移転登記手続義務を相続した共同相続人の一部の者が当該義務の履行を拒絶しているため、買主が相続人全員による登記手続義務の履行の提供があるまで代金全額について弁済を拒絶する旨の同時履行の抗弁権を行使している場合には、他の相続人は、自己の相続した代金債権を保全するため、当該買主が無資力でなくても、423条1項本文により、買主に代位して、登記手続義務の履行を拒絶している相続人に対し買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができる。
判例
事案:土地の売主の共同相続人が、相続した代金債権を保全するため、買主に代位して他の共同相続人に対し所有権移転登記手続を請求できるかが問題となった。

判旨:「被相続人が生前に土地を売却し、買主に対する所有権移転登記義務を負担していた場合に、数人の共同相続人がその義務を相続したときは、買主は、共同相続人の全員が登記義務の履行を提供しないかぎり、代金全額の支払を拒絶することができるものと解すべく、したがって、共同相続人の1人が右登記義務の履行を拒絶しているときは、買主は、登記義務の履行を提供して自己の相続した代金債権の弁済を求める他の相続人に対しても代金支払を拒絶することができるものと解すべきである。そして、この場合、相続人は、右同時履行の抗弁権を失わせて買主に対する自己の代金債権を保全するため、債務者たる買主の資力の有無を問わず、民法423条1項本文により、買主に代位して、登記に応じない相続人に対する買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第8問 オ)
Aが、Bに売却した甲土地について所有権移転登記手続をしない間に死亡し、Aの共同相続人であるCとDがAの代金債権と所有権移転登記義務を相続した場合、Dがその所有権移転登記義務の履行を拒絶しているため、Bが同時履行の抗弁権を理由として代金を支払わないときは、Cは、Bに対する自己の代金債権を保全するため、Bに代位して、BのDに対する所有権移転登記手続請求権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.3.6)は、本肢と同種の事案において、買主に対する土地所有権移転登記手続義務を相続した共同相続人の一部の者が当該義務の履行を拒絶しているため、買主が相続人全員による登記手続義務の履行の提供があるまで代金全額について弁済を拒絶する旨の同時履行の抗弁権を行使している場合には、他の相続人は、自己の相続した代金債権を保全するため、当該買主が無資力でなくても、423条1項本文により、買主に代位して、登記手続義務の履行を拒絶している相続人に対し買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができる旨判示している。したがって、本肢においても、Cは、Bに対する自己の代金債権を保全するため、Bに代位して、BのDに対する所有権移転登記手続請求権を行使することができる。

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債権者代位訴訟の原告である債権者が、被告である第三債務者の提出した抗弁に対し自己独自の事情に基づく再抗弁を提出することの可否 最二小判昭和54年3月16日

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概要
債権者が債権者代位権に基づきその債務者に属する債権を行使する訴訟において、被告である第三債務者が提出した抗弁に対し、原告の提出することのできる再抗弁事由は債務者自身が主張することのできるものに限られ、原告独自の事情に基づく再抗弁を提出することはできない。
判例
事案:債権者が債権者代位権に基づきその債務者に属する債権を行使する訴訟において、債権者自身の事情に基づく再抗弁が主張できるかが問題となった。

判旨:「債権者代位訴訟における原告は、その債務者に対する自己の債権を保全するため債務者の第三債務者に対する権利について管理権を取得し、その管理権の行使として債務者に代り自己の名において債務者に属する権利を行使するものであるから、その地位はあたかも債務者になり代るものであつて、債務者自身が原告になった場合と同様の地位を有するに至るものというべく、したがって、被告となった第三債務者は、債務者がみずから原告になった場合に比べて、より不利益な地位に立たされることがないとともに、原告となった債権者もまた、その債務者が現に有する法律上の地位に比べて、より有利な地位を享受しうるものではないといわなければならない。そうであるとするならば、第三債務者である被告の提出した債務者に対する債権を自働債権とする相殺の抗弁に対し、代位債権者たる原告の提出することのできる再抗弁は、債務者自身が主張することのできる再抗弁事由に限定されるべきであって、債務者と関係のない、原告の独自の事情に基づく抗弁を提出することはできないものと解さざるをえない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第17問 エ)
債権者Aが債務者Bの第三債務者Cに対する債権を代位行使する場合において、CがBに対する債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出したときは、Aは、BがCに対して主張することができる再抗弁事由のほか、Aの独自の事情に基づく再抗弁も提出することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.3.16)は、本肢と同種の事案において、「第三債務者である被告の提出した債務者に対する債権を自働債権とする相殺の抗弁に対し、代位債権者たる原告の提出することのできる再抗弁は、債務者自身が主張することのできる再抗弁事由に限定されるべきであって、債務者と関係のない、原告の独自の事情に基づく抗弁を提出することはできないものと解さざるをえない。」と判示している。したがって、本肢においても、Aは、BがCに対して主張することができる再抗弁事由のみ提出することができ、Aの独自の事情に基づく再抗弁は提出することができない。

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財産分与請求権に基づく債権者代位権行使の許否 最二小判昭和55年7月11日

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概要
離婚に伴う財産分与請求権は、具体的内容が形成される前には、内容及び範囲が不確定かつ不明確であるから、その保全のために債権者代位権を行使することは許されない。
判例
事案:離婚に伴う財産分与請求権を保全するために、債権者代位権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H24 共通 第19問 4)
判例によれば、離婚に伴う財産分与請求権は、審判によりその具体的内容が確定したときは、財産分与を受ける者の債権者が債権者代位の目的とすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.7.11)は、「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。この判例の理解に基づけば、離婚に伴う財産分与請求権は、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成され、その範囲及び内容が確定し、明確となった場合には、当該請求権を保全するために債権者代位権を行使することができるといえる。したがって、離婚に伴う財産分与請求権は、審判によりその具体的内容が確定したときは、財産分与を受ける者の債権者が債権者代位の目的とすることができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第16問 1)
離婚に伴う財産分与請求権は、協議又は審判によって具体化されるまではその範囲及び内容が不確定・不明確であるため、これを被保全債権として債権者代位権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.7.11)は、「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 予備 第13問 イ)
離婚に伴う財産分与請求権については、協議又は審判その他の手続によって具体的内容が形成されるまでは、これを保全するために債権者代位権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.7.11)は、「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 予備 第14問 イ)
離婚に伴う財産分与請求権の具体的内容が協議によって形成された後は、これを被保全債権とする債権者代位権の行使が認められる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.7.11)は、「離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、1個の私権たる性格を有するものではあるが、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、 その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。この判例の理解に基づけば、離婚に伴う財産分与請求権は、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成され、その範囲及び内容が確定し、明確となった場合には、当該請求権を保全するために債権者代位権を行使することができるといえる。したがって、離婚に伴う財産分与請求権の具体的内容が協議によって形成された後は、これを被保全債権とする債権者代位権の行使が認められる。

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名誉権侵害における慰謝料請求の代位行使の可否 最一小判昭和58年10月6日

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概要
名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰藉料請求権は、被害者が当該請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、なお一身専属性を有するものであるが、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、その具体的な金額が当事者間において客観的に確定したときは、行使上の一身専属性を失い、債権者代位の目的とすることができる。
判例
事案:名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰謝料請求権を、債権者代位の目的とすることができるかが問題となった。

判旨:「名誉を侵害されたことを理由とする被害者の加害者に対する慰藉料請求権は、金銭の支払を目的とする債権である点においては一般の金銭債権と異なるところはないが、本来、右の財産的価値それ自体の取得を目的とするものではなく、名誉という被害者の人格的価値を毀損せられたことによる損害の回復の方法として、被害者が受けた精神的苦痛を金銭に見積ってこれを加害者に支払わせることを目的とするものであるから、これを行使するかどうかは専ら被害者自身の意思によって決せられるべきものと解すべきである。そして、右慰藉料請求権のこのような性質に加えて、その具体的金額自体も成立と同時に客観的に明らかとなるわけではなく、被害者の精神的苦痛の程度、主観的意識ないし感情、加害者の態度その他の不確定的要素をもつ諸般の状況を総合して決せられるべき性質のものであることに鑑みると、被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、右権利はなお一身専属性を有するものというべきであって、被害者の債権者は、これを…債権者代位の目的とすることはできないものというべきである。しかし、他方、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであって、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はない…から、このような場合、右慰藉料請求権は、…被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、…債権者代位の目的とすることができるものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第18問 2)
Cに名誉を侵害されたBがCに対して慰謝料の支払を求めて交渉した後、Cが一定額の慰謝料の支払を約する合意が成立したときは、Bの債権者AがBに代位してCに対して慰謝料の支払を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.10.6)は、「加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであって、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はない…から、このような場合、右慰藉料請求権は、…被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、…債権者代位の目的とすることができるものというべきである。」と判示している。本肢においても、Cに名誉を侵害されたBがCに対して慰謝料の支払を求めて交渉した後、Cが一定額の慰謝料の支払を約する合意が成立したという事情があるため、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したといえる。したがって、BがCに対して有する慰謝料請求権は、その一身専属性を失い、債権者代位の目的とすることができるといえるから、Bの債権者Aは、Bに代位してCに対して慰謝料の支払を求めることができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 共通 第30問 オ)
名誉毀損による慰謝料請求権は、被害者がその請求権を行使する意思を表示した後であっても、具体的な金額が当事者間において客観的に確定する前は、被害者の債権者による代位行使の対象とはならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.10.6)は、名誉棄損による慰謝料請求権について、「被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、右権利はなお一身専属性を有するものというべきであって、被害者の債権者は、これを…債権者代位の目的とすることはできないものというべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H28 予備 第9問 ア)
名誉侵害を理由とする慰謝料請求権は、具体的な金額が当事者間において客観的に確定したときは、債権者代位権の目的となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.10.6)は、名誉侵害を理由とする慰謝料請求権について、「加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したときは、右請求権についてはもはや単に加害者の現実の履行を残すだけであって、その受領についてまで被害者の自律的判断に委ねるべき特段の理由はない…から、このような場合、右慰藉料請求権は、…被害者の主観的意思から独立した客観的存在としての金銭債権となり、…債権者代位の目的とすることができるものというべきである。」と判示している。

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抵当権者の423条の転用 最大判平成11年11月24日

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概要
第三者が抵当不動産を不法占有することにより、売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して不動産の状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができ、この場合においては、抵当権者は、抵当不動産の管理を目的として、直接不法占拠者に建物を明け渡すようを求めることができる。
判例
事案:抵当権者が、抵当不動産の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができるか、仮に代位行使することができるとして、抵当権者が、当該不法占有者に対して、抵当不動産を直接自己に明け渡すことを請求することができるかが問題となった。

判旨:「抵当権は、競売手続において実現される抵当不動産の交換価値から他の債権者に優先して被担保債権の弁済を受けることを内容とする物権であり、不動産の占有を抵当権者に移すことなく設定され、抵当権者は、原則として、抵当不動産の所有者が行う抵当不動産の使用又は収益について干渉することはできない。
 しかしながら、第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、これを抵当権に対する侵害と評価することを妨げるものではない。そして、抵当不動産の所有者は、抵当権に対する侵害が生じないよう抵当不動産を適切に維持管理することが予定されているものということができる。したがって、右状態があるときは、抵当権の効力として、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し、その有する権利を適切に行使するなどして右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を有するというべきである。そうすると、抵当権者は、右請求権を保全する必要があるときは、民法423条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができると解するのが相当である。
 …本件においては、本件根抵当権の被担保債権である本件貸金債権の弁済期が到来し、Aが本件不動産につき抵当権の実行を申し立てているところ、Bらが占有すべき権原を有することなく本件建物を占有していることにより、本件不動産の競売手続の進行が害され、その交換価値の実現が妨げられているというのであるから、Aの優先弁済請求権の行使が困難となっていることも容易に推認することができる。
 右事実関係の下においては、Aは、所有者であるCに対して本件不動産の交換価値の実現を妨げAの優先弁済請求権の行使を困難とさせている状態を是正するよう求める請求権を有するから、右請求権を保全するため、CのBらに対する妨害排除請求権を代位行使し、Cのために本件建物を管理することを目的として、Bらに対し、直接Aに本件建物を明け渡すよう求めることができるものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第18問 イ)
抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するためであっても、所有者の不法占拠者に対する妨害排除請求権を代位行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.24)は、「第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような…状態があるときは、抵当権の効力として、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し、その有する権利を適切に行使するなどして右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を有するというべきである。そうすると、抵当権者は、右請求権を保全する必要があるときは、民法423条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができると解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第14問 イ)
Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した。Aの不在期間中に、Dが甲建物を不法に占有した場合、Dが不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態にあるときは、CはAのDに対する妨害排除請求権を代位行使して、Dに対して直接自己に甲建物を明け渡すよう求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.11.24)は、第三者が抵当不動産を不法占有することにより、売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して不動産の状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができ、この場合においては、抵当権者は、抵当不動産の管理を目的として、直接不法占拠者に建物を明け渡すようを求めることができる旨判示している。したがって、Aの不在期間中に、Dが甲建物を不法に占有した場合、Dが不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態にあるときは、CはAのDに対する妨害排除請求権を代位行使して、Dに対して直接自己に甲建物を明け渡すよう求めることができる。

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遺留分減殺請求の代位行使の可否 最一小判平成13年11月22日

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概要
遺留分減殺請求権は遺留分権利者の自律的決定に行使が委ねられており、行使上の一身専属性が認められるため、遺留分権利者が、権利を第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない。
判例
事案:遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることの可否が問題となった。

判旨:「遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができないと解するのが相当である。その理由は次のとおりである。
 遺留分制度は、被相続人の財産処分の自由と身分関係を背景とした相続人の諸利益との調整を図るものである。民法は、被相続人の財産処分の自由を尊重して、遺留分を侵害する遺言について、いったんその意思どおりの効果を生じさせるものとした上、これを覆して侵害された遺留分を回復するかどうかを、専ら遺留分権利者の自律的決定にゆだねたものということができる(1031条、1043条参照)。そうすると、遺留分減殺請求権は、前記特段の事情がある場合を除き、行使上の一身専属性を有すると解するのが相当であり、民法423条1項ただし書にいう「債務者ノ一身ニ専属スル権利」に当たるというべきであって、遺留分権利者以外の者が、遺留分権利者の減殺請求権行使の意思決定に介入することは許されないと解するのが相当である。民法1031条が、遺留分権利者の承継人にも遺留分減殺請求権を認めていることは、この権利がいわゆる帰属上の一身専属性を有しないことを示すものにすぎず、上記のように解する妨げとはならない。なお、債務者たる相続人が将来遺産を相続するか否かは、相続開始時の遺産の有無や相続の放棄によって左右される極めて不確実な事柄であり、相続人の債権者は、これを共同担保として期待すべきではないから、このように解しても債権者を不当に害するものとはいえない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第18問 3)
被相続人の遺言ですべての遺産を相続した法定相続人Cに対して、他の法定相続人Bが遺留分減殺請求権を行使しないためこれが時効消滅する危険があるときは、Bの債権者Aは遺留分減殺請求権を代位して行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.22)は、遺留分減殺請求権は遺留分権利者の自律的決定に行使が委ねられており、行使上の一身専属性が認められるため、遺留分権利者が、権利を第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない旨判示している。この判例の理解は、改正民法下の遺留分侵害額請求についても同様に解されている。したがって、被相続人の遺言ですべての遺産を相続した法定相続人Cに対して、他の法定相続人Bが遺留分減殺請求権を行使しないためこれが時効消滅する危険があるときであっても、Bの債権者Aは遺留分減殺請求権を代位して行使することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第34問 ア)
遺留分権利者の債権者は、遺留分権利者がその遺留分を放棄しない限り、遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.22)は、遺留分減殺請求権は遺留分権利者の自律的決定に行使が委ねられており、行使上の一身専属性が認められるため、遺留分権利者が、権利を第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない旨判示している。この判例の理解は、改正民法下の遺留分侵害額請求についても同様に解されている。

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詐害行為取消訴訟における資力が回復したことの主張立証時期 大判大正5年5月1日

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概要
詐害行為取消の訴えにおいて、債権者は、取消の対象となる行為の際に債務者が無資力であったことを主張立証すれば足り、詐害行為取消権行使の際の債務者の資産状態については、相手方の抗弁がない限り主張立証する必要はない。
判例
事案:詐害行為取消の訴えにおいて、取消の対象となる行為の際に債務者が無資力であったことを超えて、詐害行為取消権行使の際の債務者の資産状態についても、債権者が主張立証する必要があるかが問題となった。

判旨:「詐害行為取消ノ訴ハ債務者カ債権者ヲ害スルコトヲ知リテ為シタル法律行為ノ取消ヲ求ムル訴ナルヲ以テ其取消ヲ求メラルル行為ヲ為シタル当時ニ於テ債務者ノ資産カ負債ヲ償却スルコト能ハサル状態ニ在リタルコトヲ判示スルヲ以テ足ルモノニシテ取消訴権行使当時ノ債務者ノ資産状態ニ付テハ相手方ヨリ特ニ此点ニ付テノ抗弁ナキ限リハ此点ニ渉リ説明判断ヲ為スノ必要ナキモノトス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H27 共通 第17問 オ)
AがBに対して融資をしていたところ、Bがその所有する建物をBの妻Cに贈与し、その旨の所有権移転登記手続をしたことから、Aが詐害行為取消訴訟を提起した。この場合、Aは、BC間の贈与契約の当時Bが無資力であったことを主張・立証すれば足り、詐害行為取消訴訟の口頭弁論終結時までにBの資力が回復したことは、Cが主張・立証しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.5.1)は、詐害行為取消の訴えにおいて、債権者は、取消の対象となる行為の際に債務者が無資力であったことを主張立証すれば足り、詐害行為取消権行使の際の債務者の資産状態については、相手方の抗弁がない限り主張立証する必要はない旨判示している。したがって、Aが詐害行為取消訴訟を提起した場合、Aは、BC間の贈与契約の当時Bが無資力であったことを主張・立証すれば足り、詐害行為取消訴訟の口頭弁論終結時までにBの資力が回復したことは、Cが主張・立証しなければならない。

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資力の回復と詐害行為取消権 大判大正15年11月13日

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概要
詐害行為取消の対象行為の際に債務者が無資力でも、詐害行為取消権行使の際に資力を回復しているならば、詐害行為取消権の行使はできない。
判例
事案:詐害行為取消の対象行為が行われた際には債務者が無資力であったが、詐害行為取消権行使の際には資力を回復しているという場合において、なお債権者が詐害行為取消権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「債務者カ其ノ財産ヲ処分シテ得タル対価ハ今ヤ既ニ存セサルモ現在ニ於ケル債務者ノ資力ハ其ノ債務ヲ弁済スルニ充分ナル以上右ノ処分ヲ目スルニ詐害行為ヲ以テシ之ヲ廃罷スヘキ何等ノ必要ト理由トアルコトナシ蓋若爾ラスシテ専ラ処分当時ノ資力ヲノミ観テ以テ其ノ詐害行為ナルト否トヲ判定スヘキモノトセムカ詐害行為廃罷ト云フ制度ハ債権者保護ノ手段ニハ非スシテ寧ロ債務者ニ対スル一ノ懲罰タルノ観ヲ呈スルニ至ラムナリ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H20 司法 第16問 オ)
法律行為の時に債権者を害する状態であれば、その後の事情によって債権者を害さないこととなっているとしても、詐害行為取消権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大15.11.13)は、詐害行為取消の対象行為の際に債務者が無資力でも、詐害行為取消権行使の際に資力を回復しているならば、詐害行為取消権の行使はできない旨判示している。したがって、法律行為の時に債権者を害する状態であったとしても、その後の事情によって債権者を害さないこととなっている場合には、詐害行為取消権を行使することができない。

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詐害行為取消と虚偽表示 大判昭和6年9月16日

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概要
詐害行為取消権の目的行為が通謀虚偽表示によるものあっても、当該通謀虚偽表示について「善意の第三者」(94条2項)が存在し、当該第三者を転得者ととらえて、詐害行為取消の訴えを提起するのであれば、債権者と当該転得者との関係においては、通謀虚偽表示に当たる行為であってもなお詐害行為取消の対象となる。
判例
事案:通謀虚偽表示に当たる行為について「善意の第三者」(94条2項)が存在する場合に、当該第三者との関係で、当該行為を詐害行為取消の対象とすることができるかが問題となった。

判旨:「虚偽行為ノ無効ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得サルヲ以テ今若シ転得者タル第三者ニ於テ債務者ノ行為ノ虚偽表示ナルコトヲ知ラサル場合ナリトセムカ債務者ト受益者トノ間ニ詐害ノ要件具備スル限リ債権者ト転得者トノ関係ニ於テハ虚偽行為ト雖仍ホ同条同項ニ依ル取消ノ目的ト為スコトヲ得ルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H30 共通 第17問 エ)
贈与が虚偽表示に該当することを知らない転得者との関係において、当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭6.9.16)は、詐害行為取消権の目的行為が通謀虚偽表示によるものあっても、当該通謀虚偽表示について「善意の第三者」(94条2項)が存在し、当該第三者を転得者ととらえて、詐害行為取消の訴えを提起するのであれば、債権者と当該転得者との関係においては、通謀虚偽表示に当たる行為であってもなお詐害行為取消の対象となる旨判示している。したがって、贈与が虚偽表示に該当することを知らない転得者との関係においては、当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることができる。

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詐害行為の目的物が不可分な場合と取消の範囲 最三小判昭和30年10月11日

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概要
詐害行為となる債務者の行為の目的物が不可分であるときは、目的物の価額が、債権者が有する債務者への債権の額を超える場合でも、債権者は、行為の全部を取り消すことができる。
判例
事案:詐害行為取消の対象行為の目的物が不可分で、当該目的物の価額が、債権者が債務者に対して有する債権よりも大きい場合においても、債権者が当該行為の全部を取り消すことができるかが問題となった。

判旨:「民法424条に依る債権者の取消権は、債権者の債権を保全するためその債権を害すべき債務者の法律行為を取消す権利であるから、債権者は故なく自己の債権の数額を超過して取消権を行使することを得ないことは論を待たないが、債務者のなした行為の目的物が不可分のものであるときは、たとえその価額が債権額を超過する場合であっても行為の全部について取消し得べきことは、すでに大審院判決の示したとおりである(明治36年12月7日大審院判決、民録9巻1345頁、大正7年5月18日同判決、民録24巻995頁、大正5年12月6日同判決,民録22巻2373頁、大正9年12月24日同判決、民録26巻2024頁各参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H18 司法 第5問 ウ)
不動産の贈与を詐害行為として取り消す場合には、債権者の債権額がその不動産の価額に満たないときであっても、贈与の全部を取り消すことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.10.11)は、詐害行為となる債務者の行為の目的物が不可分であるときは、目的物の価額が、債権者が有する債務者への債権の額を超える場合でも、債権者は、行為の全部を取り消すことができる旨判示している。契約の目的物が不動産であれば、目的物が不可分な場合といい得るから、不動産の贈与を詐害行為として取り消す場合には、債権者の債権額がその不動産の価額に満たないときであっても、贈与の全部を取り消すことができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H30 共通 第17問 ウ)
詐害行為取消権の対象となる贈与の目的物が不可分なものであるときは、その価額が債権額を超過する場合であっても、贈与の全部について取り消すことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭30.10.11)は、詐害行為となる債務者の行為の目的物が不可分であるときは、目的物の価額が、債権者が有する債務者への債権の額を超える場合でも、債権者は、行為の全部を取り消すことができる旨判示している。

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詐害行為取消権における詐害の意思 最三小判昭和35年4月26日

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概要
詐害行為の成立には、債務者がその債権者を害することを知って法律行為をしたことを要するが、必ずしも害することを意図し、若しくは欲してこれをしたことを要しない。
判例
事案:詐害行為が成立するためには、債務者が債権者を害すること意図し若しくは欲していることまで必要とするかが問題となった。

判旨:「詐害行為の成立には債務者がその債権者を害することを知って法律行為をしたことを要するが、必ずしも害することを意図しもしくは欲してこれをしたことを要しないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第16問 イ)
詐害行為の成立には、債務者がその債権者を害することを知って法律行為をしたことを要するが、必ずしも害することを意図してしたことを要しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.4.26)は、「詐害行為の成立には、債務者がその債権者を害することを知って法律行為をしたことを要するが、必ずしも害することを意図し、もしくは欲してこれをしたことを要しない解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 50.0%

(H26 共通 第17問 イ)
詐害行為取消権が成立するためには、債務者が債権者を害することを意図して法律行為をする必要がある。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.4.26)は、「詐害行為の成立には、債務者がその債権者を害することを知って法律行為をしたことを要するが、必ずしも害することを意図し、もしくは欲してこれをしたことを要しない解するのが相当である。」と判示している。

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特定物引渡請求権者と詐害行為取消権 最大判昭和36年7月19日

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概要
特定物引渡請求権を有する者も、その目的物を債務者が処分することにより無資力となった場合には、特定物債権も究極的には損害賠償債権に変じうるものであり、金銭債権と同様、債務者の一般財産により担保されなければならないものであることから、当該処分行為を詐害行為として取り消すことができる。
判例
事案:特定物引渡請求権を有する債権者が、当該債権を被担保債権として、債務者が行った当該特定物債権の目的物の処分行為を詐害行為として取り消すことができるかが問題となった。

判旨:「民法424条の債権者取消権は、総債権者の共同担保の保全を目的とする制度であるが、特定物引渡請求権(以下特定物債権と略称する)といえどもその目的物を債務者が処分することにより無資力となった場合には、該特定物債権者は右処分行為を詐害行為として取り消すことができるものと解するを相当とする。けだし、かかる債権も、窮極において損害賠償債権に変じうるのであるから、債務者の一般財産により担保されなければならないことは、金銭債権と同様だからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H30 共通 第17問 イ)
不動産の買主は、その売主がその不動産を第三者に贈与した場合、それによって売主が無資力となったとしても、当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることができない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭36.7.19)は、特定物引渡請求権を有する者も、その目的物を債務者が処分することにより無資力となった場合には、特定物債権も究極的には損害賠償債権に変じうるものであり、金銭債権と同様、債務者の一般財産により担保されなければならないものであることから、当該処分行為を詐害行為として取り消すことができる旨判示している。したがって、不動産の買主は、その売主がその不動産を第三者に贈与した場合、それによって売主が無資力となったのであれば、当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることができる。

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詐害行為取消権の抗弁での行使 最二小判昭和39年6月12日

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概要
424条の詐害行為の取消は、訴えの方法によるべきであり、抗弁の方法によることは許されない。
判例
事案:詐害行為取消を抗弁で主張することが許されるか問題となった。

判旨:「民法424条の詐害行為の取消は訴の方法によるべきものであって、抗弁の方法によることは許されないものと解するのを相当とする。けだし、取消権の行使は相手方に対する裁判外の意思表示によってこれを行うべき場合があり、裁判上の意思表示によってこれを行うべき場合があり、あるいは相手方に対する訴によってこれを行うべき場合があるが、そのいずれの方法によるべきかは、各場合における法律の規定を解釈してこれを定めなければならない。取消しうべき法律行為の取消については民法123条に「相手方ニ対スル意思表示ニ依リテ之ヲ為ス」と規定し、否認権の行使については破産法76条に「訴又ハ抗弁ニ依リ破産管財人之ヲ行フ」と規定しているのに反し、詐害行為の取消については、民法424条に「裁判所ニ請求スルコトヲ得」と規定しているから、訴の方法によるべく、抗弁の方法によることは許されないものと解するのを相当とする。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H26 共通 第17問 オ)
詐害行為取消権は、訴訟において行使しなければならないが、訴えによる必要はなく、抗弁によって行使することもできる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.6.12)は、「民法424条の詐害行為の取消は訴の方法によるべきものであって、抗弁の方法によることは許されないものと解するのを相当とする。」と判示している。

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金銭の支払を求める詐害行為取消訴訟手続において、弁済を受けた被告は自己の債権額に対応する按分額の支払を拒むことができるか 最二小判昭和46年11月19日

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概要
債務者Aに対してBとCが債権を有しており、そして、AがBに対してのみ弁済をして無資力となったのちに、Cが詐害行為取消権を行使して上記弁済を取り消し、自己に金銭を引き渡すように請求した場合、Bは自己の債権額に対応する按分額の支払いを拒むことができない。
判例
事案:債務者Aに対してBとCが債権を有しており、そして、AがBに対してのみ弁済をして無資力となったのちに、Cが詐害行為取消権を行使して上記弁済を取り消し、自己に金銭を引き渡すように請求した場合において、Bは自己の債権額に対応する按分額の支払いを拒むことができるか問題となった。

判旨:「債権者取消権は、 債務者の一般財産を保全するため、とくに取消債権者において、債務者受益者間の詐害行為を取り消したうえ、債務者の一般財産から逸出したものを、総債権者のために、受益者または転得者から取り戻すことができるものとした制度である。もし、本件のような弁済行為についての詐害行為取消訴訟において、受益者である被告が、自己の債務者に対する債権をもって、上告人のいわゆる配当要求をなし、取消にかかる弁済額のうち、右債権に対する按分額の支払を拒むことができるとするときは、いちはやく自己の債権につき弁済を受けた受益者を保護し、総債権者の利益を無視するに帰するわけであるから、右制度の趣旨に反することになるものといわなければならない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H18 司法 第5問 オ)
弁済を受けたことにつき詐害行為取消権を行使された者は、自己の債権に係る按分額の支払を拒むことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.19)は、弁済を受けたことにつき詐害行為取消権を行使された者が、自己の債権に係る按分額の支払を拒んだ事案において、「弁済行為についての詐害行為取消訴訟において、受益者である被告が、自己の債務者に対する債権をもって、上告人のいわゆる配当要求をなし、取消にかかる弁済額のうち、右債権に対する按分額の支払を拒むことができるとするときは、いちはやく自己の債権につき弁済を受けた受益者を保護し、総債権者の利益を無視するに帰するわけであるから、右制度の趣旨に反することになるものといわなければならない。」と判示し、自己の債権にかかる按分額の支払いを拒むことはできないとしている。

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相続放棄と詐害行為取消権 最二小判昭和49年9月20日

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概要
相続放棄は、債務者の財産を積極的に減少させる行為ではない上に、一身専属的な身分行為であって他人の意思による強制を許すべきでないから、詐害行為取消権行使の対象とならない。
判例
事案:相続放棄が詐害行為取消権行使の対象となるかが問題となった。

判旨:「相続の放棄のような身分行為については、民法424条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。なんとなれば、右取消権行使の対象となる行為は、積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的にその増加を妨げるにすぎないものを包含しないものと解するところ、相続の放棄は、相続人の意思からいっても、また法律上の効果からいっても、これを既得財産を積極的に減少させる行為というよりはむしろ消極的にその増加を妨げる行為にすぎないとみるのが、妥当である。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の意思によってこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H18 司法 第5問 イ)
相続放棄は、他の相続人を有利にする場合には、詐害行為取消権の対象となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.9.20)は、「相続の放棄のような身分行為については、民法424条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。なんとなれば、右取消権行使の対象となる行為は、積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的にその増加を妨げるにすぎないものを包含しないものと解するところ、相続の放棄は、相続人の意思からいっても、また法律上の効果からいっても、これを既得財産を積極的に減少させる行為というよりはむしろ消極的にその増加を妨げる行為にすぎないとみるのが、妥当である。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の意思によってこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。」と判示している。したがって、相続放棄は、他の相続人を有利にする場合か否かを問わず、詐害行為取消権の対象とならない。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 共通 第18問 2)
相続人の債権者は、相続人が無資力であるにもかかわらず相続放棄をした場合には、詐害行為取消権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.9.20)は、相続放棄は、債務者の財産を積極的に減少させる行為ではない上に、一身専属的な身分行為であって他人の意思による強制を許すべきでないから、詐害行為取消権行使の対象とならない旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H30 共通 第17問 ア)
相続の放棄は、相続の放棄をした債務者が債務の履行を長期間怠るなど背信性の程度が著しい場合に限り、詐害行為取消権の対象となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.9.20)は、「相続の放棄のような身分行為については、民法424条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。なんとなれば、右取消権行使の対象となる行為は、積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的にその増加を妨げるにすぎないものを包含しないものと解するところ、相続の放棄は、相続人の意思からいっても、また法律上の効果からいっても、これを既得財産を積極的に減少させる行為というよりはむしろ消極的にその増加を妨げる行為にすぎないとみるのが、妥当である。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の意思によってこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。」と判示している。したがって、相続の放棄は、相続の放棄をした債務者が債務の履行を長期間怠るなど背信性の程度が著しい場合であったとしても、詐害行為取消権の対象とはならない。

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不動産の引渡請求権者が債務者による目的不動産の処分行為を詐害行為として取り消す場合と自己に対する所有権移転登記手続請求の可否 最一小判昭和53年10月5日

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概要
不動産の引渡請求権者は、目的不動産についてされた債務者の処分行為を詐害行為として取り消す場合に、直接自己に対する所有権移転登記手続を請求することはできない。
判例
事案:不動産の引渡請求権者が、目的不動産についてされた債務者の処分行為を詐害行為として取り消す場合において、直接自己に対する所有権移転登記手続を請求できるか問題となった。

判旨:「特定物引渡請求権(以下、特定物債権と略称する。)は、窮極において損害賠償債権に変じうるのであるから、債務者の一般財産により担保されなければならないことは、金銭債権と同様であり、その目的物を債務者が処分することにより無資力となった場合には、該特定物債権者は右処分行為を詐害行為として取り消すことができるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和30年(オ)第260号同36年7月19日大法廷判決・民集15巻7号1875頁)。しかし、民法424条の債権者取消権は、窮極的には債務者の一般財産による価値的満足を受けるため、総債権者の共同担保の保全を目的とするものであるから、このような制度の趣旨に照らし、特定物債権者は目的物自体を自己の債権の弁済に充てることはできないものというべく、原判決が「特定物の引渡請求権に基づいて直接自己に所有権移転登記を求めることは許されない」とした部分は結局正当に帰する。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第19問 ア)
不動産の引渡請求権者は、債務者が目的不動産を第三者に対して贈与し、所有権移転登記をして無資力になった場合は、当該贈与契約を詐害行為として取り消すことができ、当該第三者に対し、直接自己への所有権移転登記を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.10.5)は、「特定物引渡請求権(以下、特定物債権と略称する。)は、窮極において損害賠償債権に変じうるのであるから、債務者の一般財産により担保されなければならないことは、金銭債権と同様であり、その目的物を債務者が処分することにより無資力となった場合には、該特定物債権者は右処分行為を詐害行為として取り消すことができる」と判示している。したがって、本肢前段は正しい。
しかし、同判例は続けて、「民法424条の債権者取消権は、窮極的には債務者の一般財産による価値的満足を受けるため、総債権者の共同担保の保全を目的とするものであるから、このような制度の趣旨に照らし、特定物債権者は目的物自体を自己の債権の弁済に充てることはできないものというべく、原判決が「特定物の引渡請求権に基づいて直接自己に所有権移転登記を求めることは許されない」とした部分は結局正当に帰する。」と判示している。したがって、本肢後段は誤っている。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 共通 第18問 5)
不動産の譲渡行為が詐害行為となる場合、詐害行為取消権を行使する債権者は、当該譲渡行為に基づき所有権移転登記を受けた譲受人に対して、直接自己に対する所有権移転登記を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.10.5)は、「民法424条の債権者取消権は、窮極的には債務者の一般財産による価値的満足を受けるため、総債権者の共同担保の保全を目的とするものであるから、このような制度の趣旨に照らし、特定物債権者は目的物自体を自己の債権の弁済に充てることはできないものというべく、原判決が「特定物の引渡請求権に基づいて直接自己に所有権移転登記を求めることは許されない」とした部分は結局正当に帰する。」と判示している。したがって、不動産の譲渡行為が詐害行為となる場合であっても、詐害行為取消権を行使する債権者は、当該譲渡行為に基づき所有権移転登記を受けた譲受人に対して、直接自己に対する所有権移転登記を求めることができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H27 共通 第17問 ア)
AがBに対して融資をしていたところ、Bがその所有する建物をBの妻Cに贈与し、その旨の所有権移転登記手続をしたことから、Aが詐害行為取消訴訟を提起した。この場合に、Aは、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができるほか、CからAへの所有権移転登記手続を請求することもできる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.10.5)は、「民法424条の債権者取消権は、窮極的には債務者の一般財産による価値的満足を受けるため、総債権者の共同担保の保全を目的とするものであるから、このような制度の趣旨に照らし、特定物債権者は目的物自体を自己の債権の弁済に充てることはできないものというべく、原判決が「特定物の引渡請求権に基づいて直接自己に所有権移転登記を求めることは許されない」とした部分は結局正当に帰する。」と判示している。したがって、Aは、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することはできるが、CからAへの所有権移転登記手続を請求することはできない。

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離婚に伴う財産分与と詐害行為 最二小判昭和58年12月19日

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概要
離婚に伴う財産分与は、768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない。
判例
事案:離婚に伴う財産分与が詐害行為取消権の行使の対象となるかが問題となった。

判旨:「離婚における財産分与は、夫婦が婚姻中に有していた実質上の共同財産を清算分配するとともに、離婚後における相手方の生活の維持に資することにあるが、分与者の有責行為によって離婚をやむなくされたことに対する精神的損害を賠償するための給付の要素をも含めて分与することを妨げられないものというべきであるところ、財産分与の額及び方法を定めるについては、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮すべきものであることは民法768条3項の規定上明らかであり、このことは、裁判上の財産分与であると協議上のそれであるとによって、なんら異なる趣旨のものではないと解される。したがって、分与者が、離婚の際既に債務超過の状態にあることあるいはある財産を分与すれば無資力になるということも考慮すべき右事情のひとつにほかならず、分与者が負担する債務額及びそれが共同財産の形成にどの程度寄与しているかどうかも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるものと解すべきであるから、分与者が債務超過であるという一事によって、相手方に対する財産分与をすべて否定するのは相当でなく、相手方は、右のような場合であってもなお、相当な財産分与を受けることを妨げられないものと解すべきである。そうであるとするならば、分与者が既に債務超過の状態にあって当該財産分与によって一般債権者に対する共同担保を減少させる結果になるとしても、それが民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為として、債権者による取消の対象となりえないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第19問 エ)
離婚に伴う財産分与は詐害行為取消権行使の対象となることはないが、離婚に伴う慰謝料支払の合意は詐害行為取消権行使の対象となることがある。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.12.19)は、離婚に伴う財産分与は、768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない旨判示している。したがって、離婚に伴う財産分与は詐害行為取消権行使の対象となることがあるといえるから、本肢前段は誤っている。
これに対し、判例(最判平12.3.9)は、配偶者の一方が、その有責行為及びこれによって離婚のやむなきに至ったことを理由として負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料を支払う旨の合意がされたときは、その合意のうち当該損害賠償債務の額を超えた部分については、詐害行為取消権行使の対象となる旨判示している。したがって、離婚に伴う慰謝料支払の合意は詐害行為取消権行使の対象となることがあるといえるから、本肢後段は正しい。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 予備 第13問 エ)
離婚に伴う財産分与としてされた財産処分は、詐害行為として取り消されることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.12.19)は、離婚に伴う財産分与は、768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない旨判示している。したがって、離婚に伴う財産分与としてされた財産処分も、当該特段の事情がある場合には、詐害行為として取り消されることがある。

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債権譲渡の通知に対する詐害行為取消権行使の可否 最二小判平成10年6月12日

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概要
債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とすることができない。
判例
事案:債権譲渡の通知が、詐害行為取消権行使の対象とすることができるかが問題となった。

判旨:「債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において、債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。けだし、詐害行為取消権の対象となるのは、債務者の財産の減少を目的とする行為そのものであるところ、債権の譲渡行為とこれについての譲渡通知とはもとより別個の行為であって、後者は単にその時から初めて債権の移転を債務者その他の第三者に対抗し得る効果を生じさせるにすぎず、譲渡通知の時に右債権移転行為がされたこととなったり、債権移転の効果が生じたりするわけではなく、債権譲渡行為自体が詐害行為を構成しない場合には、これについてされた譲渡通知のみを切り離して詐害行為として取り扱い、これに対する詐害行為取消権の行使を認めることは相当とはいい難いからである(大審院大正6年(オ)第538号同年10月30日判決・民録23輯1624頁、最高裁昭和54年(オ)第730号同55年1月24日第一小法廷判決・民集34巻1号110頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 共通 第17問 オ)
債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において、債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とならない。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.6.12)は、「債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において、債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とならない解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 司法 第18問 ウ)
Bは、Aとの間で売買契約を締結する前に、Eに対する債権をFに譲渡していたものの、その譲渡についての確定日付のある証書によるEへの通知は、Aの売買代金債権の発生後にされた。この場合、Aは、当該通知について詐害行為取消請求をすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.6.12)は、「債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において、債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とならない解するのが相当である。」と判示している。したがって、Bが、Aとの間で売買契約を締結した後、Fに対する債権譲渡についての確定日付のある証書によるEへの通知を行った場合でも、Aは、当該通知について詐害行為取消請求をすることができない。

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遺産分割協議と詐害行為取消権 最二小判平成11年6月11日

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概要
共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得る。
判例
事案:遺産分割協議が詐害行為取消権の行使の対象となるかが問題となった。

判旨:「共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。けだし、遺産分割協議は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができるからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H19 司法 第19問 イ)
共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得る。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.6.11)は、「共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H26 共通 第17問 ア)
共同相続人間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権の対象とならない。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.6.11)は、「共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第35問 オ)
遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象とすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.6.11)は、「共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。」と判示している。

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離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意が詐害行為に該当する場合の取消しの範囲 最一小判平成12年3月9日

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概要
①離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意は、768条3項の規定の趣旨に反してその額が不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消すことができる。
②配偶者の一方が、その有責行為及びこれによって離婚のやむなきに至ったことを理由として負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料を支払う旨の合意がされたときは、その合意のうち当該損害賠償債務の額を超えた部分については、詐害行為取消権行使の対象となる。
判例
事案:離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意と、慰謝料を支払う合意が詐害行為取消権の行使の対象となり得るか、また、その範囲が問題となった。

判旨:①「離婚に伴う財産分与は、民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない(最高裁昭和57年(オ)第798号同58年12月19日第二小法廷判決・民集37巻10号1532頁)。このことは、 財産分与として金銭の定期給付をする旨の合意をする場合であっても、同様と解される。
 そして、離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、右特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきものと解するのが相当である。」
 ②「離婚に伴う慰謝料を支払う旨の合意は、配偶者の一方が、その有責行為及びこれによって離婚のやむなきに至ったことを理由として発生した損害賠償債務の存在を確認し、賠償額を確定してその支払を約する行為であって、新たに創設的に債務を負担するものとはいえないから、詐害行為とはならない。しかしながら、当該配偶者が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料を支払う旨の合意がされたときは、その合意のうち右損害賠償債務の額を超えた部分については、慰謝料支払の名を借りた金銭の贈与契約ないし対価を欠いた新たな債務負担行為というべきであるから、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H18 司法 第5問 ア)
離婚に伴う慰謝料支払の合意は、その金額が不当に過大な場合には、相当な範囲を超える部分を詐害行為として取り消すことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平12.3.9)は、配偶者の一方が、その有責行為及びこれによって離婚のやむなきに至ったことを理由として負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料を支払う旨の合意がされたときは、その合意のうち当該損害賠償債務の額を超えた部分については、詐害行為取消権行使の対象となる旨判示している。したがって、離婚に伴う慰謝料支払の合意は、その金額が不当に過大な場合には、相当な範囲を超える部分を詐害行為として取り消すことができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H26 共通 第17問 ウ)
債務超過の状態にある者が離婚に伴う財産分与として配偶者に金銭の給付をする旨の合意は、その額が財産分与として不相当に過大で、財産分与に仮託された財産処分と認められる事情がある場合、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消すことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平12.3.9)は、離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意は、768条3項の規定の趣旨に反してその額が不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消すことができる旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 予備 第14問 オ)
離婚した当事者の協議により合意された財産分与は、不相当に過大であっても、詐害行為として取り消されることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判平12.3.9)は、離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意は、768条3項の規定の趣旨に反してその額が不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消すことができる旨判示している。

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賃金債権の相続 最一小判昭和29年4月8日

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概要
複数の相続人がいる場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権があるときは、その債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。
判例
事案:複数の相続人がいる場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権があるとき、その債権は法律上当然に分割されるのかが問題となった。

判旨:「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するを相当とする…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第34問 1)
遺産である貸金債権は相続人全員が共同してのみ行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.4.8)は、「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するを相当とする…。」と判示している。貸金債権は可分債権であるから、遺産である貸金債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。したがって、各相続人は単独で、自己が承継した範囲で当該貸金債権を行使することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 共通 第19問 3)
期限の定めのない貸金債権を共同相続した相続人の1人が、債務者に対して全額の弁済請求をした場合には、債務者は、共同相続人全員に対して履行遅滞の責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭 29.4.8)は、「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するを相当とする…。」と判示している。本肢においても、期限の定めのない貸金債権は可分債権であるから、当該債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて分割された権利を承継する。
ここで、分割債権が成立した場合、分割されたそれぞれの債権は相互に全く独立した債権となるから、1人の債権者について生じた事由が他の債権者に影響を及ぼすことはない。したがって、期限の定めのない貸金債権を共同相続した相続人の1人が、債務者に対して全額の弁済請求をした場合には、債務者は、当該相続人に対して履行遅滞の責任を負うことにはなる(412条3項)が、分割債権を取得した他の相続人との関係では、弁済請求がされたことにはならず、履行遅滞の責任を負わない。よって、債務者は、共同相続人全員に対して履行遅滞の責任を負うわけではない。

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遺産分割前に第三者に売却した財産の取り扱い 最二小判昭和52年9月19日

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概要
共同相続人が全員の合意によって遺産を構成する特定不動産を第三者に売却した場合における代金債権は、各相続人の持分に応じて分割され、当該各相続人は、それぞれの持ち分に応じた代金債権を取得し、これを個々に請求することができる。
判例
事案:共同相続人がその全員の合意によって遺産を構成する特定不動産を第三者に売却した場合において、これにより生じた売買代金債権について、各相続人は相続分に応じて分割された権利を取得し、これを個々に請求することができるかが問題となった。

判旨:「共同相続人が全員の合意によつて遺産分割前に遺産を構成する特定不動産を第三者に売却したときは、その不動産は遺産分割の対象から逸出し、各相続人は第三者に対し持分に応じた代金債権を取得し、これを個々に請求することができる…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H26 共通 第34問 2)
共同相続人が全員の合意によって遺産分割前に遺産である土地を第三者に売却した場合において、その売買に係る代金債権は、不可分債権である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭52.9.19)は、「共同相続人が全員の合意によつて遺産分割前に遺産を構成する特定不動産を第三者に売却したときは、その不動産は遺産分割の対象から逸出し、各相続人は第三者に対し持分に応じた代金債権を取得し、これを個々に請求することができる…。」と判示している。したがって、当該代金債権は、不可分債権ではなく、分割債権である。

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共同不法行為者の1人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合 最一小判平成10年9月10日

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概要
共同不法行為の被害者が共同不法行為者の1人に対してした損害賠償義務の免除の意思表示が、他の共同不法行為者の損害賠償義務をも免除する意思を含んでいると認められるときには、当該他の共同不法行為者に対しても残債務の免除の効力が及ぶ。
判例
事案:共同不法行為者の1人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が、他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合があるかが問題となった。

判旨:「1 AとBが共同の不法行為により他人に損害を加えた場合において、AがBとの責任割合に従って定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、Aは、Bの負担部分について求償することができる(最高裁昭和60年(オ)第1145号同63年7月1日第二小法廷判決・民集42巻6号451頁、最高裁昭和63年(オ)第1383号、平成3年(オ)第1377号同年10月25日第二小法廷判決・民集45巻7号1173頁参照)。
 2 この場合、AとBが負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であるから、AとCとの間で訴訟上の和解が成立し、請求額の一部につき和解金が支払われるとともに、和解調書中に「Cはその余の請求を放棄する」旨の条項が設けられ、CがAに対し残債務を免除したと解し得るときでも、連帯債務における免除の絶対的効力を定めた民法437条の規定は適用されず、Bに対して当然に免除の効力が及ぶものではない(最高裁昭和43年(オ)第431号同48年2月16日第二小法廷判決・民集27巻1号99頁、最高裁平成4年(オ)第1814号同6年11月24日第一小法廷判決・裁判集民事173号431頁参照)。
 しかし、Cが、右訴訟上の和解に際し、Bの残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、Bに対しても残債務の免除の効力が及ぶものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H21 司法 第30問 エ)
Aが所有し運転するタクシーに、Bが所有し運転する自家用車が衝突する交通事故が発生し、AB所有の各車両が損傷するとともに歩行者Cが負傷した。当該交通事故により、Aには50万円の損害が、Bには80万円の損害が、Cには100万円の損害が、それぞれ生じ、当該交通事故及びCの負傷についての過失割合はAが2割で、Bが8割であり、また、Cの負傷にはCの過失がないものとする。CがAに対して損害賠償債務全額を免除したときでも、Cは、Bの債務を免除する意思を有していなければ、Bに対し100万円全額を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.9.10)は、共同不法行為の被害者が共同不法行為者の1人に対してした損害賠償義務の免除の意思表示が、他の共同不法行為者の損害賠償義務をも免除する意思を含んでいると認められるときには、当該他の共同不法行為者に対しても残債務の免除の効力が及ぶ旨判示している。本肢においては、CがAに対して損害賠償債務全額を免除したが、Cは、Bの債務を免除する意思を有していない。したがって、原則通り、当該免除の効力はBに及ばない(441条)。よって、Cは、Bに対し100万円全額を請求することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 共通 第30問 ウ)
Aが運転するタクシーとBが運転するタクシーが衝突する交通事故(以下「本件事故」という。)が発生し、Aが運転するタクシーの乗客Cが負傷し、Cに300万円の損害が生じた。本件事故についての過失割合は、Aが4割で、Bが6割であり、Cに過失はなかった。Bが、Cとの間で、BがCに対して200万円を支払うとともに、CがAの損害賠償債務及びBのその余の損害賠償債務を免除する旨の和解契約を締結した場合であっても、Cは、Aに対し、100万円の支払を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.9.10)は、共同不法行為の被害者が共同不法行為者の1人に対してした損害賠償義務の免除の意思表示が、他の共同不法行為者の損害賠償義務をも免除する意思を含んでいると認められるときには、当該他の共同不法行為者に対しても残債務の免除の効力が及ぶ旨判示している。本肢においては、Bが、Cとの間で、BがCに対して200万円を支払うとともに、CがAの損害賠償債務及びBのその余の損害賠償債務を免除する旨の和解契約を締結しており、当該和解契約は、Aの損害賠償義務をも免除する意思を含んでいると認められる。したがって、当該和解契約中の免除の効力はAにも及ぶから、Cは、Aに対し、100万円の支払を求めることができない。

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443条1項の事前の通知を怠った連帯債務者が同条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことの可否 最二小判昭和57年12月17日

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概要
連帯債務者の1人が弁済その他の免責の行為をするのに先立って、他の連帯債務者に対し443条1項の通知をすることを怠った場合は、既に弁済その他により共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、同条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできない。
判例
事案:443条1項の事前の通知を怠った連帯債務者が、同条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことができるかが問題となった。

判旨:「連帯債務者の1人が弁済その他の免責の行為をするに先立ち、他の連帯債務者に通知することを怠つた場合は、既に弁済しその他共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、民法443条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできないものと解するのが相当である。けだし、同項の規定は、同条1項の規定を前提とするものであつて、同条1項の事前の通知につき過失のある連帯債務者までを保護する趣旨ではないと解すべきであるからである(大審院昭和6年(オ)第3137号同7年9月30日判決・民集11巻20号2008頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H29 司法 第18問 ウ)
AとBがCに対して連帯債務を負っている場合において、Aが債務全額の弁済をしたが、Bに対する通知を怠ったため、Bは、Aの弁済を知らなかった。この場合において、その後CがBに対し債務の履行を請求し、これに応じてBが債務全額の弁済をしたときは、BがAに対して事前にCから履行の請求を受けた旨の通知をしなかったとしても、Bは、Aに対し、自己の弁済が有効である旨主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.12.17)は、「連帯債務者の1人が弁済その他の免責の行為をするに先立ち、他の連帯債務者に通知することを怠つた場合は、既に弁済しその他共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、民法443条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできないものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、AとBがCに対して連帯債務を負っている場合において、Aが債務全額の弁済をしたが、Bに対する通知を怠ったため、Bは、Aの弁済を知らなかったのであるから、433条2項に規定する場合に当たる。しかし、その後CがBに対し債務の履行を請求し、これに応じてBが債務全額の弁済をしたときにおいて、BがAに対して事前にCから履行の請求を受けた旨の通知をしなかったのであれば、Bは、Aに対し、自己の弁済が有効である旨主張することができない。

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連帯債務の相続 最二小判昭和34年6月19日

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概要
連帯債務者の1人が死亡し、相続人が数人ある場合、当該相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる。
判例
事案:連帯債務者の一人が死亡し、相続人が数人ある場合において、当該相続人らが、いかなる範囲で連帯債務者の債務を承継するかが問題となった。

判旨:「連帯債務は、数人の債務者が同一内容の給付につき各独立に全部の給付をなすべき債務を負担しているのであり、各債務は債権の確保及び満足という共同の目的を達する手段として相互に関連結合しているが、なお、可分なること通常の金銭債務と同様である。ところで、債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきであるから(大審院昭和5年(ク)第1236号、同年12月4日決定、民集9巻1118頁、最高裁昭和27年(オ)第1119号、同29年4月8日第一小法廷判決、民集8巻819頁参照)、連帯債務者の1人が死亡した場合においても、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H19 司法 第34問 5)
AとBが連帯して債務を負っており、Aが死亡した場合、Aの連帯債務はAの相続人間で当然に分割され、各相続人はその相続分に応じて承継し、その承継した範囲においてBとともに連帯債務者となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.6.19)は、本肢と同種の事案において、連帯債務者の1人が死亡し、相続人が数人ある場合、当該相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる旨判示している。したがって、本肢においても、Aの連帯債務はAの相続人間で当然に分割され、各相続人はその相続分に応じて承継し、その承継した範囲においてBとともに連帯債務者となる。


全体の正答率 : 50.0%

(H28 共通 第33問 エ)
A及びBがCに対して400万円の連帯債務を負担していたところ、Aが死亡し、その妻D及び子Eが相続した場合、Cは、Eに対して、Aの負担していた400万円の債務全額の支払を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.6.19)は、本肢と同種の事案において、連帯債務者の1人が死亡し、相続人が数人ある場合、当該相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる旨判示している。本肢においても、Aが死亡し、その妻D及び子Eが相続した場合、AがCに対して負担していた400万円の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、Bとともに連帯債務者となる。したがって、D及びEは、各自その相続分(900条1号)に基づき、当該400万円の債務の内200万円の範囲において、Bと共に連帯債務者となるにとどまるから、Cは、Eに対して、Aの負担していた400万円の債務全額の支払を請求することはできない。


全体の正答率 : 0.0%

(R1 司法 第34問 ウ)
複数の相続人が被相続人から賃借人の地位を承継したときは、被相続人が延滞していたその賃貸借に係る賃料債務は不可分債務となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.6.19)は、「債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきである」と判示している。被相続人が延滞していたその賃貸借にかかる賃料債務は、既に発生している単なる金銭債務であるから、複数の相続人が被相続人から賃借人の地位を承継したときは、当該債務は法律上当然に分割され、分割債務として各共同相続人がその相続分に応じて承継する。したがって、被相続人が延滞していたその賃貸借に係る賃料債務は不可分債務とならない。

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主たる債務の弁済期延長の効力は保証債務にも及ぶか 大判明治40年6月18日

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概要
主たる債務の弁済期限の延長の効力は、保証債務に対しても及ぶ。
判例
事案:主たる債務の弁済期限が延長された場合において、その効力が保証債務にも及ぶかが問題となった。

判旨:「保証債務ハ元来主タル債務ノ弁済ヲ確保スル所ノ従タル債務ナルカユヘ特ニ其従タル債務ノ消滅ニ帰スヘキ事由ナキ限リハ主タル債務ト常ニ運命ヲ共ニスヘキハ勿論ナルヘシ而シテ主タル債務ニ付弁済期限ヲ延長スルハ債務ヲ消滅セシムルニ非ス又別ニ新債務ヲ創設スルニモ非サレハ仮令保証人カ自カラ之ニ関与セサルニセヨ其効力ノ当然保証債務ニ及フヘキハ民法施行前後ニ通スル法理トシテ本院ノ認ムル所ナリ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R1 共通 第17問 エ)
主たる債務につき期限が延長されても、その効力は保証債務には及ばない。

(正答)

(解説)
判例(大判明40.6.18)は、主たる債務の弁済期限の延長の効力は、保証債務に対しても及ぶ旨判示している。

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保証契約の当事者 大判大正6年9月25日

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概要
保証契約は保証人と債権者との間に成立するものである。
判例
事案:保証契約の当事者が誰であるかが問題となった。

判旨:「保証契約ハ保証人ト債権者トノ間ニ成立スルモノナルヲ以テ保証人カ主タル債務者ノ委託ヲ受ケテ保証ヲ為シタル場合ニ於テモ其委託契約ノ無効ハ保証契約ニ何等ノ影響ヲ及ホササルコト言ヲ竢タス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R3 予備 第8問 ア)
AのBに対する1000万円の貸金債権(以下「甲債権」という。)につき、Cが保証した。CのAに対する債務が連帯保証債務になるのは、AC間で連帯保証契約が締結されるのに加えて、BC間で連帯の特約がされた場合である。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.9.25)は、保証契約は保証人と債権者との間に成立するものである旨判示している。連帯保証契約も同様であり、保証契約の中で連帯の特約を付すことについて、保証人と債権者が合意をした場合に成立する。連帯保証契約の成立に、債務者と保証人との間の連帯の特約は必要ない。したがって、CのAに対する債務が連帯保証債務になるのは、AC間で連帯保証契約が締結されるのみで足り、BC間で連帯の特約がされることは必要ではない。


全体の正答率 : 50.0%

(R3 予備 第8問 エ)
AのBに対する1000万円の貸金債権につき、Cが保証した。CがAを単独相続した場合には、Cの保証債務は消滅する。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.9.25)は、保証契約は保証人と債権者との間に成立するものである旨判示している。そして、520条本文は、「債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。」と規定している。保証人Cが債権者Aを単独相続した場合には、保証債権及び保証債務が同一人であるCに帰属することになるから、520条本文により、Cの保証債務は消滅する。

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期間の定めのある建物賃貸借契約の更新と保証人の責任 最一小判平成9年11月13日

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概要
期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人と保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解すべきである。
判例
事案:期間の定めのある建物の賃貸借契約において、賃借人のために保証人が賃貸人と保証契約を締結した場合に、当該賃貸借契約が更新されたとき、当該更新後の賃貸借契約から生ずる賃借人の債務についても、当該保証人が保証の責任を負担するのかが問題となった。

判旨:「建物の賃貸借は、一時使用のための賃貸借等の場合を除き、期間の定めの有無にかかわらず、本来相当の長期間にわたる存続が予定された継続的な契約関係であり、期間の定めのある建物の賃貸借においても、賃貸人は、自ら建物を使用する必要があるなどの正当事由を具備しなければ、更新を拒絶することができず、賃借人が望む限り、更新により賃貸借関係を継続するのが通常であって、賃借人のために保証人となろうとする者にとっても、右のような賃貸借関係の継続は当然予測できるところであり、また、保証における主たる債務が定期的かつ金額の確定した賃料債務を中心とするものであって、保証人の予期しないような保証責任が一挙に発生することはないのが一般であることなどからすれば、賃貸借の期間が満了した後における保証責任について格別の定めがされていない場合であっても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、更新後の賃貸借から生ずる債務についても保証の責めを負う趣旨で保証契約をしたものと解するのが、当事者の通常の合理的意思に合致するというべきである(最高裁平成9年11月13日第一小法廷判決・集民186号105頁)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H28 共通 第21問 ア)
賃借人の保証人は、賃貸借契約が更新された後の賃料債務についても保証債務を負うが、賃料不払によって賃貸借契約が解除された場合、賃借人が目的物を返還しないことにより賃貸人に与えた損害の賠償については保証債務を負わない。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.11.13)は、「賃貸借の期間が満了した後における保証責任について格別の定めがされていない場合であっても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、更新後の賃貸借から生ずる債務についても保証の責めを負う趣旨で保証契約をしたものと解するのが、当事者の通常の合理的意思に合致するというべきである…。」と判示している。したがって、賃借人の保証人は、原則として、賃貸借契約が更新された後の賃料債務についても保証債務を負う。よって、本肢前段は正しい。
これに対し、判例(大判昭13.1.31)は、賃借人の保証人は、賃料不払によって賃貸借契約が解除された場合、賃借人が目的物の返還債務を履行しないことにより賃貸人に与えた損害の賠償債務についても保証の責任を負う旨判示している。したがって、本肢後段は誤っている。

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根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権の譲渡が元本確定期日前にされた場合に譲受人が保証債務の履行を求めることの可否 最二小判平成24年12月14日

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概要
根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権を譲り受けた者は、その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても、当該根保証契約の当事者間において上記債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に対し、保証債務の履行を求めることができる。
判例
事案:根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権の譲渡が元本確定期日前にされた場合において、譲受人が保証債務の履行を求めることの可否が問題となった。

判旨:「根保証契約を締結した当事者は、通常、主たる債務の範囲に含まれる個別の債務が発生すれば保証人がこれをその都度保証し、当該債務の弁済期が到来すれば、当該根保証契約に定める元本確定期日(本件根保証契約のように、保証期間の定めがある場合には、保証期間の満了日の翌日を元本確定期日とする定めをしたものと解することができる。)前であっても、保証人に対してその保証債務の履行を求めることができるものとして契約を締結し、被保証債権が譲渡された場合には保証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的である。そうすると、被保証債権を譲り受けた者は、その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても、当該根保証契約の当事者間において被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に対し、保証債務の履行を求めることができるというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H28 共通 第21問 オ)
根保証契約の元本確定期日前に根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債権が譲渡されたときは、その譲受人は、保証人に対し、当該保証債務の履行を求めることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平24.12.14)は、「被保証債権を譲り受けた者は、その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても、当該根保証契約の当事者間において被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に対し、保証債務の履行を求めることができるというべきである。」と判示している。

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売買契約の解除に伴う原状回復義務と保証人の責任 最大判昭和40年6月30日

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概要
特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責任を負う。
判例
事案:特定物の売買における売主のための保証がなされ、当該特定物売買契約が売主の債務不履行により解除された場合において、当該保証人が、売主の原状回復義務についても保証の責任を負うかが問題となった。

判旨:「特定物の売買における売主のための保証においては、通常、その契約から直接に生ずる売主の債務につき保証人が自ら履行の責に任ずるというよりも、むしろ、売主の債務不履行に基因して売主が買主に対し負担することあるべき債務につき責に任ずる趣旨でなされるものと解するのが相当であるから、保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第19問 ア)
解除による原状回復義務は本来の債務とは同一性のない別個の債務であると解しても、契約解除による原状回復義務が保証債務の範囲に含まれるか否かは保証契約における当事者の意思解釈の問題であると考えると、特定物の売買契約における売主のための保証人は、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責任を負うと解することは可能である。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭40.6.30)は、「特定物の売買における売主のための保証においては、通常、その契約から直接に生ずる売主の債務につき保証人が自ら履行の責に任ずるというよりも、むしろ、売主の債務不履行に基因して売主が買主に対し負担することあるべき債務につき責に任ずる趣旨でなされるものと解するのが相当であるから、保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする。」と判示している。この判例は、契約解除による原状回復義務が保証債務の範囲に含まれるか否かは保証契約における当事者の意思解釈の問題であると考えることを前提として、結論を出しているといえる。したがって、このように考えると、解除による原状回復義務は本来の債務とは同一性のない別個の債務であると解しても、特定物の売買契約における売主のための保証人は、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責任を負うと解することは可能である。


全体の正答率 : 50.0%

(H30 共通 第18問 オ)
特定物の売買契約が売主の債務不履行により解除され、売主が代金返還義務を負担したときは、売主のための保証人は、反対の特約のない限り、当該代金返還義務について保証の責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭40.6.30)は、「特定物の売買における売主のための保証においては、…保証人は、債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証の責に任ずるものと認めるのを相当とする。」と判示している。

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物上保証人と求償権の事前行使 最三小判平成2年12月18日

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概要
物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、あらかじめ求償権を行使することはできない
判例
事案:物上保証人が、被担保債権の弁済期が到来した場合において、あらかじめ求償権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「債務者の委託を受けてその者の債務を担保するため抵当権を設定した者(物上保証人)は、被担保債権の弁済期が到来したとしても、債務者に対してあらかじめ求償権を行使することはできないと解するのが相当である。けだし、抵当権については、民法372条の規定によって同法351条の規定が準用されるので、物上保証人が右債務を弁済し、又は抵当権の実行により右債務が消滅した場合には、物上保証人は債務者に対して求償権を取得し、その求償の範囲については保証債務に関する規定が準用されることになるが、右規定が債務者に対してあらかじめ求償権を行使することを許容する根拠となるものではなく、他にこれを許容する根拠となる規定もないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H24 司法 第23問 2)
判例によれば、債務者Aの委託を受けてAの債務を担保するため抵当権を設定したBは、当該抵当権の被担保債権の弁済期が到来したとしても、Aに対し、あらかじめ求償権を行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平2.12.18)は、「債務者の委託を受けてその者の債務を担保するため抵当権を設定した者(物上保証人)は、被担保債権の弁済期が到来したとしても、債務者に対してあらかじめ求償権を行使することはできないと解するのが相当である。」と判示している。したがって、債務者Aの委託を受けてAの債務を担保するため抵当権を設定したBは、当該抵当権の被担保債権の弁済期が到来したとしても、Aに対し、あらかじめ求償権を行使することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 予備 第6問 エ)
AのBに対する債権を被担保債権として、C所有の甲土地について抵当権(以下「本件抵当権」という。)が設定され、その旨の登記がされている。被担保債権の弁済期が到来した場合であっても、Cは、Aに対し、本件抵当権が実行される前に、あらかじめ求償権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平2.12.18)は、「債務者の委託を受けてその者の債務を担保するため抵当権を設定した者(物上保証人)は、被担保債権の弁済期が到来したとしても、債務者に対してあらかじめ求償権を行使することはできないと解するのが相当である。」と判示している。したがって、被担保債権の弁済期が到来した場合であっても、物上保証人であるCは、Aに対し、本件抵当権が実行される前に、あらかじめ求償権を行使することはできない。

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相続開始後に生じた賃料債務 大判昭和9年1月30日

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概要
賃貸借契約における保証人の相続人は、相続開始後に生じた賃料債務についても当然に保証債務を負担する。
判例
事案:賃貸借契約における保証人の相続人が、相続開始後に生じた賃料債務について保証債務を負担することになるかが問題となった。

判旨:「賃貸借契約ニ因リ之ト同時ニ賃貸人カ賃借人ニ目的物ノ使用収益ヲ為サシムル対価トシテ賃借人ハ借賃ヲ支払フヘキ基本ノ法律関係ヲ生スヘク此賃借人ノ基本債務ハ将来ノ使用収益義務履行ヲ俟チテ発生スヘキ個々ノ借賃債務トハ異レリト雖右基本債務ニ付保証ヲ約シタル者ハ将来使用収益義務履行ノ場合之ニ対スル個々ノ借賃債務ノ保証債務ヲ負担スヘキコト勿論ニシテ従テ右基本債務ノ保証人ヲ相続シ因テ其ノ地位ヲ承継シタル者カ相続後ノ使用収益義務履行ノ場合ニ之ニ対スル個々ノ借賃債務ノ保証債務ヲ負担スヘキヤ当然ナリトス此ノ趣旨ヲ判示シタル原判決ハ違法ニ非ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H28 共通 第21問 イ)
建物賃貸借契約の存続期間中に賃借人の保証人が死亡した場合において、その相続人は、相続開始後に生じた賃借人の債務についても保証債務を負う。

(正答)

(解説)
判例(大判昭9.1.30)は、賃貸借契約における保証人の相続人は、相続開始後に生じた賃料債務についても当然に保証債務を負担する旨判示している。

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賃貸借契約における保証人からの一方的な保証契約の解約の可否 大判昭和8年4月6日

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概要
賃貸借契約における賃借人の賃貸人に対する債務を期間の定めなく保証した者は、保証契約の締結後相当期間を経過し、かつ、賃借人が賃料の支払いを怠り将来においても誠実に債務を履行する見込みがないにもかかわらず、賃貸人が賃貸借契約を解除せずに賃借人に使用収益をさせているという特段の事情があるときには、保証人は、賃貸人に対する一方的な意思表示により当該保証契約を解除することができる。
判例
事案:賃貸借契約における賃借人の賃貸人に対する債務を期間の定めなく保証した者が、保証契約の締結後相当期間を経過し、かつ、賃借人が賃料の支払いを怠り将来においても誠実に債務を履行する見込みがないにもかかわらず、賃貸人が賃貸借契約を解除せずに賃借人に使用収益をさせているという事情がある場合において、保証人が、賃貸人に対する一方的な意思表示により当該保証契約を解除することができるかが問題となった。

判旨:「保証人ハ主タル債務者カ其ノ債務ヲ履行セサル場合ニ於テ其ノ履行ヲ為ス責ニ任スルモノナレハ賃借人ノ為保証ヲ為シタル者ハ其ノ賃借人ノ支払ヲ怠リタル賃料及損害金等カ日時ノ経過ニ因リ増額スルモ之ヲ支払フヘキ責任ヲ辞スルコトヲ得スト雖其保証人カ期間ノ定ナキ保証契約ヲ締結シタル後相当ノ期間ヲ経過シ且賃借人カ屡賃料ノ支払ヲ怠リ将来ニ於テモ誠実ニ其ノ債務ヲ履行スヘキ見込ナキニ拘ラス賃貸人カ依然トシテ賃借人ヲシテ賃貸物ノ使用収益ヲ為サシメ賃貸借解除明渡等ノ処置ヲ為ササル場合ニ於テ而モ保証人カ保証責任ノ存続ヲ欲セサルトキト雖尚賃借人ノ債務不履行ニ付保証人ノ責任ヲ免ルルコトヲ得スト為スハ信義ノ原則ニ反スルモノト謂フヘキヲ以テ斯ノ如キ場合ニハ保証人ハ賃貸人ニ対スル一方的意思表示ニ依リ保証契約ヲ解除スルコトヲ得ルモノト解スルヲ相当トス(昭和7年(オ)第225号同年12月17日当院判決参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H22 司法 第18問 エ)
賃貸借契約において賃借人が賃貸人に対して負う債務を期間の定めなく保証した保証人は、保証契約の成立後相当の期間が経過したときは、保証契約を将来に向けて解約することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.4.6)は、賃貸借契約における賃借人の賃貸人に対する債務を期間の定めなく保証した者は、保証契約の締結後相当期間を経過し、かつ、賃借人が賃料の支払いを怠り将来においても誠実に債務を履行する見込みがないにもかかわらず、賃貸人が賃貸借契約を解除せずに賃借人に使用収益をさせているという特段の事情があるときには、保証人は、賃貸人に対する一方的な意思表示により当該保証契約を解除することができる旨判示している。したがって、保証契約の成立後相当の期間が経過したときであっても、賃借人が賃料の支払いを怠り将来においても誠実に債務を履行する見込みがないにもかかわらず、賃貸人が賃貸借契約を解除せずに賃借人に使用収益をさせているという特段の事情がなければ、保証契約を将来に向けて解約することはできない。

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譲渡禁止の特約と善意の第三者 大判昭和13年5月14日

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概要
債権譲渡禁止特約につき悪意ある第三者が債権を譲り受け、更に当該第三者が善意無重過失の転得者に当該債権を譲渡した場合においては、当該債権の債務者は、譲渡禁止特約の存在を当該転得者に対し主張することができない。
判例
事案:債権譲渡禁止特約につき悪意ある第三者が債権を譲り受け、更に当該第三者が善意無重過失の転得者に当該債権を譲渡した場合において、当該債権の債務者が、譲渡禁止特約の存在を当該転得者に対し主張することができるかが問題となった。

判旨:「AカB等ニ対シテ有シタル本件消費貸借上ノ債権ニ付テハ当事者間ニ譲渡禁止ノ特約アリテC(第一審原告)ハ右ノ特約ノ存在ヲ知リ乍ラAヨリ該債権ノ譲渡ヲ受ケD(参加人)ハ該譲渡禁止ノ特約ヲ知ラス善意ニテ該債権ヲCヨリ更ニ譲受ケタルモノニシテ右各譲渡ニ付夫々譲渡人ヨリ債務者タルB等ニ其ノ旨ノ通知ヲ為シタルモノナリ然ラハB等ハ債務者トシテ第一譲受人タルCニ対シテハ前示譲渡禁止ノ特約ニ基キ本件債権ノ譲渡ノ無効ヲ主張シ得ルモCヨリ更ニ該債権ノ譲渡ヲ受ケタル第二ノ譲受人タルDハ右譲渡禁止ノ特約ヲ知ラサル善意者ナルヲ以テB等ハ右特約ノ存在ヲDニ対抗スルコトヲ得ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R4 共通 第20問 ウ)
Cが譲渡禁止の特約の存在を知りながら債権甲を譲り受け、その後Dにこれを譲渡した場合において、Dがその特約の存在について善意無重過失であったときは、Bは、Dに対し、譲渡禁止を理由として債務の履行を拒むことができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭13.5.1)は、債権譲渡禁止特約につき悪意ある第三者が債権を譲り受け、更に当該第三者が善意無重過失の転得者に当該債権を譲渡した場合においては、当該債権の債務者は、譲渡禁止特約の存在を当該転得者に対し主張することができない旨判示しており、改正民法下における譲渡禁止特約についても同様に解されている。したがって、Cが譲渡禁止の特約の存在を知りながら債権甲を譲り受けたとしても、その後Dにこれを譲渡した場合において、Dがその特約の存在について善意無重過失であったときは、Bは、Dに対し、譲渡禁止を理由として債務の履行を拒むことができない。

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債権譲渡の承諾の相手方 大判大正6年10月2日

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概要
467条1項の債務者の承諾は、譲受人又は譲渡人に対してなされれば足りる。
判例
事案:債権譲渡がなされたことに対して、債務者が承認(467条1項)をする場合には、誰に対して行えばよいかが問題となった。

判旨:「民法第467条第1項ニ所謂承諾トハ債権譲渡ノ事実ヲ承認スルノ義ニシテ同条ニ定ムル債権譲渡ノ対抗要件ヲ具備スル為メニハ債務者カ譲渡ノ事実ヲ譲渡人又ハ譲受人ニ対シテ承認スルヲ以テ足レリトスル法意ナリトス蓋同条ノ規定ニ於テ債務者ノ承諾ヲ以テ譲渡人ノ債務者ニ対スル通知ト等シク債権譲渡ノ対抗要件ト為シタルハ畢竟債務者カ債権譲渡ノ事実ヲ了知スルコトヲ明確ニスルヲ主眼トシ之ニ依リテ債務者其他ノ第三者カ債権ノ譲渡ニ因リ被ルコトアルヘキ不測ノ損害ヲ防カンカ為メニ外ナラスシテ債権譲渡ノ事実ニ付キ債務者カ譲渡ノ当事者中ノ何レニ対シテ承認ヲ為スモ其事実ヲ了知スルコト明確ニシテ不測ノ損害ヲ被ムル虞ナキコトハ譲渡人カ其事実ヲ債務者ニ通知スル場合ト異ナルコトナケレハナリ而シテ同法第468条第1項ニハ債務者カ異議ヲ留メスシテ前条ノ承諾ヲ為シタルトキハ譲渡人ニ対抗スルコトヲ得ヘカリシ事由アルモ之ヲ以テ譲受人ニ対抗スルコトヲ得ス云云トアルニ由テ之ヲ観レハ其承諾ハ前条ニ定ムル承諾ノ場合ノ中殊ニ債務者カ譲受人ニ対シテ承認ヲ為シタル場合ヲ謂ヘルモノニシテ即チ同条ハ債権譲渡ノ事実ニ付キ債務者カ譲受人ニ対シ異議ヲ留メスシテ承認ヲ為シタルトキハ之ニ因リ債務ノ承認ニ等シキ効果ヲ生セシムル趣旨ヲ以テ特ニ規定シタルモノト解スヘク前条ニ定ムル債権譲渡ノ対抗要件トシテハ所謂債務者ノ承諾ハ前ニ説示シタルカ如ク債権譲渡ノ事実ヲ譲渡人ニ対シテ承認スルモ又譲受人ニ対シテ承認スルモ共ニ其要件ヲ充タスニ足ルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第20問 2)
債務者が譲渡人又は譲受人のいずれかに対して債権譲渡を承諾した場合、譲受人は、その譲渡を債務者に対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.10.2)は、467条1項の債務者の承諾は、譲受人又は譲渡人に対してなされれば足りる旨判示している。したがって、債務者が譲渡人又は譲受人のいずれかに対して債権譲渡を承諾した場合、譲受人は、その譲渡を債務者に対抗することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第36問 ア)
債務者が債権譲渡を承諾した場合は、それが譲渡人又は譲受人のいずれに対してされたときであっても、譲受人はその債権譲渡を債務者に対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.10.2)は、467条1項の債務者の承諾は、譲受人又は譲渡人に対してなされれば足りる旨判示している。したがって、債務者が債権譲渡を承諾した場合は、それが譲渡人又は譲受人のいずれに対してされたときであっても、譲受人はその債権譲渡を債務者に対抗することができる。

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二重譲渡と債権譲渡の通知 大連判大正8年3月28日

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概要
債権の二重譲渡が行われた場合において、467条1項の債務者対抗要件を具備したにとどまる譲受人と、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人とでは、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人が優先することとなり、唯一の債権者となる。
判例
事案:債権の二重譲渡が行われた場合において、一方の譲受人のみが467条2項の第三者対抗要件を具備し、他方の譲受人が467条1項の債務者対抗要件を具備したにとどまるときの譲受人同士の優劣が問題となった。

判旨:「指名債権ニ付キテ譲渡契約アリタルトキハ契約当事者間ニ於テハ譲受人ハ特約ナキ限リ契約ト同時ニ其債権ヲ取得スト雖モ之ヲ以テ債務者其他ノ第三者ニ対抗スルニハ民法第467条所定ノ手続ヲ履践セサルヘカラス而シテ同条ハ譲受人カ其債権ヲ債務者ニ対抗スルニハ譲渡人ヨリ債務者ニ対シ債権譲渡ノ事実ヲ通知シ又ハ債務者カ之ヲ承諾シタルコトヲ要シ更ニ其債権ヲ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニハ叙上ノ通知又ハ承諾カ確定日附アル証書ニ依テ行ハルルコトヲ要スル旨規定シタルノミニシテ指名債権者カ其債権ヲ第三者ニ譲渡シ債務者ニ対スル債権譲渡ノ通知又ハ其承諾カ確定日附アル証書ニ依ラスシテ行ハレタル後更ニ同一債権ヲ他ノ第三者ニ譲渡シ確定日附アル証書ヲ以テ債権譲渡ノ事実ヲ通知シタル場合ニ於テ真正ノ債権者ハ第1ノ譲受人ナリヤ将タ第2ノ譲受人ナリヤニ付キテハ直接ニ之ヲ明定セスト雖モ同条ノ法意ヲ審究スルニ第1ノ譲受人ハ同条第1項ノ規定ニ依レハ其債権ヲ債務者ニ対抗スルコトヲ得ルモノノ如シト雖モ同条第2項ノ規定ニ依リ第2ノ譲受人ニ対抗スルコトヲ得サル結果トシテ債務者ニモ其債権ヲ対抗スルコトヲ得サルニ至ル詳言スレハ第2ノ譲受人ハ確定日附アル証書ヲ以テ債権譲渡ノ事実ヲ債務者ニ通知シタルカ故ニ同条第2項ノ規定ニ依リ爾後其債権ヲ以テ第1ノ譲受人ニ対抗スルコトヲ得ヘク其結果トシテ第1ノ譲受人ハ其債権ヲ債務者ニ対抗スルヲ得スシテ其一旦取得シタル債権モ取得セサルコトト為リ第二ノ譲受人ハ唯一ノ債権者ト為ルニ至ルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H25 共通 第19問 ウ)
債権者Aは債務者Bに対して有する甲債権をCとDに二重譲渡した。Cに対する債権譲渡を「第1譲渡」といい、Dに対する債権譲渡を「第2譲渡」という。Aが第1譲渡については確定日付のある証書によって通知をしてこれがBに到達し、第2譲渡については確定日付のある証書によらずに通知をしてこれがBに到達した場合には、これらの通知の到達後に、BがDに対して弁済をすれば、甲債権はこれによって消滅する。

(正答)

(解説)
判例(大連判大8.3.28)は、債権の二重譲渡が行われた場合において、467条1項の債務者対抗要件を具備したとにとどまる譲受人と、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人とでは、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人が優先することとなり、唯一の債権者となる旨判示している。本肢においては、Aが第1譲渡については確定日付のある証書によって通知をしてこれがBに到達し、第2譲渡については確定日付のある証書によらずに通知をしてこれがBに到達したのであるから、467条2項の第三者対抗要件を具備しているCが優先し、Cが甲債権の債権者となる。そうすると、第1譲渡、第2譲渡についての通知の到達後に、BがDに対して弁済をしたとしても、債権者に対する有効な弁済ではないため、甲債権はこれによって消滅しない。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 共通 第19問 エ)
債権が二重に譲渡され、第1の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書によらずに通知をした後に、第2の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をした場合、第1の譲受人は債権の取得を債務者にも対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(大連判大8.3.28)は、債権の二重譲渡が行われた場合において、467条1項の債務者対抗要件を具備したとにとどまる譲受人と、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人とでは、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人が優先することとなり、唯一の債権者となる旨判示している。したがって、債権が二重に譲渡され、第1の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書によらずに通知をした後に、第2の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をした場合、第1の譲受人は債権の取得を債務者にも対抗することができない。

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保証が付された債権の譲渡と対抗要件 最三小判昭和45年4月21日

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概要
保証債権は、主たる債権の移転とともに移転し、主たる債権の譲渡について対抗要件が具備された場合には、主たる債権を取得した者は、保証債権の譲渡につき別段の対抗要件たる手続を履践することなく、保証債務の履行を求めることができる。
判例
事案:保証が付された債権につき譲渡がなされた場合に、保証人に対して保証債務の履行を求めるには、保証債権の譲渡につき別途対抗要件を具備することを要するかが問題となった。

判旨:「一般に保証債権は、主たる債権を担保する目的上附従性を有し、主たる債権の移転に随伴する性質をもつものであるから、主たる債権の移転とともに移転し、主たる債権の譲渡について対抗要件が具備された場合には、主たる債権を取得した者は、保証債権の譲渡につき別段の対抗要件たる手続を履践することなく、保証債務の履行を求めることができると解するのが相当である(大判明治38年(オ)第542号同39年3月3日民録12輯435頁、明治39年(オ)第470号同40年4月11日民録13輯421頁、明治42年(オ)第145号同42年6月29日民録15輯640頁、大正元年(オ)第114号同年12月27日民録18輯1114頁、大正3年(オ)第117号同年5月30日民録20輯430頁、大正6年(オ)第467号同年7月2日民録23輯1265頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H30 共通 第18問 ア)
保証が付された債権が譲渡された場合においては、譲渡人から主たる債務者に対して債権譲渡の通知をすれば、保証人に対して通知をしなくても、譲受人は保証人に対して保証債務の履行を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.4.21)は、「一般に保証債権は、主たる債権を担保する目的上附従性を有し、主たる債権の移転に随伴する性質をもつものであるから、主たる債権の移転とともに移転し、主たる債権の譲渡について対抗要件が具備された場合には、主たる債権を取得した者は、保証債権の譲渡につき別段の対抗要件たる手続を履践することなく、保証債務の履行を求めることができると解するのが相当である…。」と判示している。したがって、保証が付された債権が譲渡された場合においては、譲渡人から主たる債務者に対して債権譲渡の通知をすれば、保証人に対して通知をしなくても、譲受人は保証人に対して保証債務の履行を請求することができる。

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二重譲渡と債権譲渡の通知 最一小判昭和49年3月7日

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概要
指名債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の間の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時の先後によって決する。
判例
事案:債権の二重譲渡がなされた場合において、譲受人相互間の優劣の基準が問題となった。

判旨:「思うに、民法467条1項が、債権譲渡につき、債務者の承諾と並んで債務者に対する譲渡の通知をもつて、債務者のみならず債務者以外の第三者に対する関係においても対抗要件としたのは、債権を譲り受けようとする第三者は、先ず債務者に対し債権の存否ないしはその帰属を確かめ、債務者は、当該債権が既に譲渡されていたとしても、譲渡の通知を受けないか又はその承諾をしていないかぎり、第三者に対し債権の帰属に変動のないことを表示するのが通常であり、第三者はかかる債務者の表示を信頼してその債権を譲り受けることがあるという事情の存することによるものである。このように、民法の規定する債権譲渡についての対抗要件制度は、当該債権の債務者の債権譲渡の有無についての認識を通じ、右債務者によってそれが第三者に表示されうるものであることを根幹として成立しているものというべきである。そして、同条2項が、右通知又は承諾が第三者に対する対抗要件たり得るためには、確定日附ある証書をもつてすることを必要としている趣旨は、債務者が第三者に対し債権譲渡のないことを表示したため、第三者がこれに信頼してその債権を譲り受けたのちに譲渡人たる旧債権者が、債権を他に二重に譲渡し債務者と通謀して譲渡の通知又はその承諾のあつた日時を遡らしめる等作為して、右第三者の権利を害するに至ることを可及的に防止することにあるものと解すべきであるから、前示のような同条1項所定の債権譲渡についての対抗要件制度の構造になんらの変更を加えるものではないのである。
 右のような民法467条の対抗要件制度の構造に鑑みれば、債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の間の優劣は、通知又は承諾に付された確定日附の先後によって定めるべきではなく、確定日附のある通知が債務者に到達した日時又は確定日附のある債務者の承諾の日時の先後によって決すべきであり、また、確定日附は通知又は承諾そのものにつき必要であると解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R1 司法 第18問 5)
債権が二重に譲渡され、第1の債権譲渡について確定日付のある証書による通知が債務者に到達した後、第2の債権譲渡について確定日付のある証書による通知が債務者に到達した場合、第1の債権譲渡の確定日付が第2の債権譲渡の確定日付に後れるときは、第1の債権譲渡の譲受人は、債権の取得を第2の債権譲渡の譲受人に対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.3.7)は、「譲受人相互の間の優劣は、通知又は承諾に付された確定日附の先後によって定めるべきではなく、確定日附のある通知が債務者に到達した日時又は確定日附のある債務者の承諾の日時の先後によって決すべきであ…る。」と判示している。本肢においては、第1の債権譲渡について確定日付のある証書による通知が債務者に到達した後、第2の債権譲渡について確定日付のある証書による通知が債務者に到達しているから、第1の債権譲渡の譲受人が優先する。したがって、第1の債権譲渡の確定日付が第2の債権譲渡の確定日付に後れるときであっても、第1の債権譲渡の譲受人は、債権の取得を第2の債権譲渡の譲受人に対抗することができる。

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指名債権が二重に譲渡され確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達した場合における譲受人の1人からする弁済請求 最三小判昭和55年1月11日

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概要
債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は、債務者に対しそれぞれの譲受債権全額の弁済を請求することができ、譲受人の1人から弁済の請求を受けた債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由が存在しない限り、単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責任を免れることができない。
判例
事案:確定日付のある証書による通知が同時に到達した場合において、各譲受人が債務者に対して債務の履行を請求したときに、債務者が弁済を拒むことができるかが問題となった。

判旨:「指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に第三債務者に到達したときは、各譲受人は、第三債務者に対しそれぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができ、譲受人の1人から弁済の請求を受けた第三債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由がない限り、単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責めを免れることはできないもの、と解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第20問 2)
指名債権が二重に譲渡され、各譲渡についての確定日付のある証書による通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は、債務者に対し、それぞれ譲受債権全額の弁済を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.1.11)は、「指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に第三債務者に到達したときは、各譲受人は、第三債務者に対しそれぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができ…る。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H25 共通 第19問 エ)
債権者Aは債務者Bに対して有する甲債権をCとDに二重譲渡した。Cに対する債権譲渡を「第1譲渡」といい、Dに対する債権譲渡を「第2譲渡」という。第1譲渡及び第2譲渡のいずれについても、Aが確定日付のある証書によって通知をし、これらの通知が同時にBに到達した場合には、Bは、Dからの請求に応じなくても債務不履行責任を負うことはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.1.11)は、「指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に第三債務者に到達したときは、各譲受人は、第三債務者に対しそれぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができ、譲受人の1人から弁済の請求を受けた第三債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由がない限り、単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責めを免れることはできないもの、と解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、第1譲渡及び第2譲渡のいずれについても、Aが確定日付のある証書によって通知をし、これらの通知が同時にBに到達しているから、譲受人の1人であるDから弁済の請求を受けた第三債務者Bは、弁済の責任を免れることはできない。したがって、Bは、Dからの請求に応じない場合には、債務不履行責任を負う。


全体の正答率 : 100.0%

(H25 共通 第19問 オ)
債権者Aは債務者Bに対して有する甲債権をCとDに二重譲渡した。Cに対する債権譲渡を「第1譲渡」といい、Dに対する債権譲渡を「第2譲渡」という。第1譲渡及び第2譲渡のいずれについても、Aが確定日付のある証書によって通知をし、これらの通知が同時にBに到達した後に、BがCに対して弁済をすれば、甲債権はこれによって消滅する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.1.11)は、「指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に第三債務者に到達したときは、各譲受人は、第三債務者に対しそれぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができ、譲受人の1人から弁済の請求を受けた第三債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由がない限り、単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責めを免れることはできないもの、と解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、第1譲渡及び第2譲渡のいずれについても、Aが確定日付のある証書によって通知をし、これらの通知が同時にBに到達しているから、CとDはいずれもそれぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができる地位にある。したがって、その後BがCに対して弁済をすれば、甲債権はこれによって消滅する。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 共通 第19問 オ)
債権が二重に譲渡され、確定日付のある証書による通知が同時に債務者に到達したときは、譲受人の1人から弁済の請求を受けた債務者は、同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責任を免れることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭55.1.11)は、「指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に第三債務者に到達したときは、各譲受人は、第三債務者に対しそれぞれの譲受債権についてその全額の弁済を請求することができ、譲受人の1人から弁済の請求を受けた第三債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由がない限り、単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済の責めを免れることはできないもの、と解するのが相当である。」と判示している。

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債権譲渡の通知と債務者の主張立証責任 最三小判昭和56年10月13日

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概要
467条1項所定の通知又は承諾は、債権の譲受人が債務者に対して債権を行使するための積極的な要件ではなく、債務者において通知又は承諾の欠けていることを主張して、譲受人による債権の行使を阻止することができるにすぎない。
判例
事案:467条1項の通知又は承諾の主張立証責任が問題となった。

判旨:「民法467条1項所定の通知又は承諾は、債権の譲受人が債務者に対して債権を行使するための積極的な要件ではなく、債務者において通知又は承諾の欠けていることを主張して譲受人の債権行使を阻止することができるにすぎないものと解するのが相当である…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H22 司法 第19問 オ)
債権の譲受人が債務者に対して譲受債権の履行を請求してきたときに、債務者がこれを拒むためには、債権譲渡の通知がなくその承諾もないことを主張立証する必要はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭56.10.13)は、「民法467条1項所定の通知又は承諾は、債権の譲受人が債務者に対して債権を行使するための積極的な要件ではなく、債務者において通知又は承諾の欠けていることを主張して譲受人の債権行使を阻止することができるにすぎないものと解するのが相当である…。」と判示している。この判例は、債務者が債権の履行を拒むためには、債権譲渡の通知又は承諾があるまでは譲受人を債権者と認めない旨の権利主張をすれば足り、債務者からこの権利主張がされた場合において、再抗弁として、債権譲渡の通知又は承諾の存在を主張立証する責任を、債権の譲受人が負うものと理解している。したがって、債権の譲受人が債務者に対して譲受債権の履行を請求してきたときに、債務者がこれを拒むためには、債権譲渡の通知がなくその承諾もないことを主張立証する必要はない。

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債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣の基準 最三小判昭和58年10月4日

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概要
債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時と、債権差押命令が第三債務者たる当該債務者に送達された日時の先後によって決すべきである。
判例
事例:債権の譲受人と、同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣を判断する基準が問題となった。

判旨:「債権の譲受人と同一債権に対し仮差押命令の執行をした者との間の優劣は、確定日付のある譲渡通知が債務者に到達した日時又は確定日付のある債務者の承諾の日時と仮差押命令が第三債務者に送達された日時の先後によって決すべきものであることは当裁判所の判例とするところ(最高裁昭和47年(オ)第596号同49年3月7日第一小法廷判決・民集28巻2号174頁)、この理は、本件におけるように債権の譲受人と同一債権に対し債権差押・転付命令の執行をした者との間の優劣を決する場合においても、なんら異なるものではないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H24 司法 第21問 3)
同一の債権に対する債権譲渡と債権差押えとの間の優劣は、債権譲渡についての第三者対抗要件が具備された時と債権差押命令が当該債権の債務者に送達された時の先後で決する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.10.4)は、債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時と、債権差押命令が第三債務者たる当該債務者に送達された日時の先後によって決すべきである旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 司法 第18問 4)
同一の債権を目的とする債権譲渡と債権差押えとの間の優劣は、債権譲渡についての債務者以外の第三者に対する対抗要件が具備された時と債権差押命令が発令された時の先後で決する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.10.4)は、債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時と、債権差押命令が第三債務者たる当該債務者に送達された日時の先後によって決すべきである旨判示している。

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債権が発生する可能性の程度と債権譲渡契約の効力 最三小判平成11年1月29日

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概要
将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において目的債権の発生の可能性が低かったことは、当該債権譲渡契約の効力を当然に左右するものではない。
判例
事案:将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時における目的債権の発生の可能性の程度が、当該債権譲渡契約の効力に影響を及ぼすかが問題となった。

判旨:「将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約にあっては、契約当事者は、譲渡の目的とされる債権の発生の基礎を成す事情をしんしゃくし、右事情の下における債権発生の可能性の程度を考慮した上、右債権が見込みどおり発生しなかった場合に譲受人に生ずる不利益については譲渡人の契約上の責任の追及により清算することとして、契約を締結するものと見るべきであるから、右契約の締結時において右債権発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然に左右するものではないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R1 司法 第18問 2)
将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約は、その締結時において目的債権の発生が確実に期待されるものでなければ、効力を生じない。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.1.29)は、「将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約にあっては、契約当事者は、譲渡の目的とされる債権の発生の基礎を成す事情をしんしゃくし、右事情の下における債権発生の可能性の程度を考慮した上、右債権が見込みどおり発生しなかった場合に譲受人に生ずる不利益については譲渡人の契約上の責任の追及により清算することとして、契約を締結するものと見るべきであるから、右契約の締結時において右債権発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然に左右するものではないと解するのが相当である。」と判示している。

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指名債権譲渡の予約についての確定日付のある証書による債務者に対する通知又は債務者の承諾をもって予約の完結による債権譲渡の効力を第三者に対抗することの可否 最三小判平成13年11月27日

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概要
指名債権譲渡の予約についてされた、確定日付のある証書による債務者に対する通知又は債務者の承諾をもって、当該予約の完結による債権譲渡の効力を第三者に対抗することはできない。
判例
事案:指名債権譲渡の予約について、確定日付のある証書による債務者に対する通知又は債務者の承諾がある場合に、予約の完結による債権譲渡の効力を第三者に対抗することができるかが問題となった。

判旨:「民法467条の規定する指名債権譲渡についての債務者以外の第三者に対する対抗要件の制度は、債務者が債権譲渡により債権の帰属に変更が生じた事実を認識することを通じ、これが債務者によって第三者に表示され得るものであることを根幹として成立しているところ(最高裁昭和47年(オ)第596号同49年3月7日第一小法廷判決・民集28巻2号174頁参照)、指名債権譲渡の予約につき確定日付のある証書により債務者に対する通知又はその承諾がされても、債務者は、これによって予約完結権の行使により当該債権の帰属が将来変更される可能性を了知するに止まり、当該債権の帰属に変更が生じた事実を認識するものではないから、上記予約の完結による債権譲渡の効力は、当該予約についてされた上記の通知又は承諾をもって、第三者に対抗することはできないと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H23 司法 第20問 1)
指名債権譲渡の予約につき確定日付のある証書により債務者に対して通知がされていれば、その予約が完結された時に、譲受人は、債権譲渡の効力を第三者に対抗することができることになる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.27)は、「指名債権譲渡の予約につき確定日付のある証書により債務者に対する通知又はその承諾がされても、債務者は、これによって予約完結権の行使により当該債権の帰属が将来変更される可能性を了知するに止まり、当該債権の帰属に変更が生じた事実を認識するものではないから、上記予約の完結による債権譲渡の効力は、当該予約についてされた上記の通知又は承諾をもって、第三者に対抗することはできないと解すべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 司法 第18問 1)
債権譲渡の予約について確定日付のある証書による債務者の承諾がされても、予約の完結による債権譲渡の効力は、その承諾をもって第三者に対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.27)は、「指名債権譲渡の予約につき確定日付のある証書により債務者に対する通知又はその承諾がされても、債務者は、これによって予約完結権の行使により当該債権の帰属が将来変更される可能性を了知するに止まり、当該債権の帰属に変更が生じた事実を認識するものではないから、上記予約の完結による債権譲渡の効力は、当該予約についてされた上記の通知又は承諾をもって、第三者に対抗することはできないと解すべきである。」と判示している。

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譲渡禁止特約のある債権と質権の設定 大判大正13年6月12日

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概要
譲渡禁止特約が付されている債権を目的とする質権の設定を受けた者が、当該債権に譲渡禁止特約が付されていることを知っていた場合には、当該債権の債務者は、質権者に対して、債権譲渡の無効を主張することができる。
判例
事案:譲渡禁止特約が付されている債権を目的とする質権の設定を受けた者が、当該債権に譲渡禁止特約が付されていることを知っていた場合に、その効力が妨げられるかが問題となった。

判旨:「債権譲渡禁止ノ特約ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得サルヲ以テ譲渡禁止ノ特約アル債権ヲ以テ質権ノ目的ト為シタル場合ニ於テ質権者ノ意思ノ善悪ハ該質権ノ効力ノ有無ニ影響アルコト勿論ナリ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R6 司法 第15問 イ)
AはBに対して貸金債権甲を有する。AとBが甲の質入れを禁止する旨を合意していた場合において、悪意のCがAから甲を目的とする質権の設定を受けたときは、質権の設定は、その効力を生じない。

(正答)

(解説)
判例(大判大13.6.12)は、譲渡禁止特約が付されている債権を目的とする質権の設定を受けた者が、当該債権に譲渡禁止特約が付されていることを知っていた場合には、当該債権の債務者は、質権者に対して、債権譲渡の無効を主張することができる旨判示している。もっとも、この判例は、改正前民法下においての判例であり、改正民法下における466条2項は、「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」と規定し、譲渡禁止特約付債権も自由に譲渡をすることができるとしている。
その上で、改正民法下における同条3項は、「前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ…る。」と規定し、譲渡制限につき悪意重過失であっても、債権譲渡の効力自体は生じ、ただ、これを債務者に対して対抗することができないとしている。したがって、AとBが甲の質入れを禁止する旨を合意していた場合において、悪意のCがAから甲を目的とする質権の設定を受けたときであっても、質権の設定は、その効力を生じるといえ、ただ、Bは、Cからの履行の請求を拒めるに過ぎないといえる。

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主たる債務が免責的債務引受された場合の保証債務 大判大正11年3月1日

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概要
主たる債務について免責的債務引受がされた場合における保証債務は、保証人が引受に同意し又は主たる債務の引受人のために保証人となることを承諾した場合を除いて、消滅する。
判例
事案:保証が付されている主たる債務について免責的債務引き受けがされた場合において、保証債務が当然に消滅するかが問題となった。

判旨:「債務ノ脱退的引受ハ旧債務者ノ負担シタル債務ヲ新債務者ニ移転セシムルモノニシテ債務ノ同一性ヲ害スルモノニ非サルヲ以テ其ノ債務ノ担保タル保証債務モ亦依然存続スルモノノ如シ然レトモ保証人ハ債務者其ノ人ヲ信用シテ保証債務ヲ負担シタルモノニシテ特定ノ債務者以外ノ者ノ為ニ保証債務ヲ負担スルノ意思ヲ有セサルヲ通常トスルヲ以テ旧債務者ノ保証人カ引受ニ同意シ又ハ新債務者即チ引受人ノ為ニ保証人トナルヘキコトヲ承諾シタルコトノ立証アリタル場合ノ外ハ保証債務ハ債務ノ脱退的引受契約ノ成立ニ因リテ消滅スルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H22 司法 第20問 2)
主たる債務について免責的債務引受がされた場合には、保証債務は存続する。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.3.1)は、主たる債務について免責的債務引受がされた場合における保証債務は、保証人が引受に同意し又は主たる債務の引受人のために保証人となることを承諾した場合を除いて、消滅する旨判示している。したがって、主たる債務について免責的債務引受がされた場合には、原則として、保証債務は消滅する。

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債務者の意思に反する併存的債務引受 大判大正15年3月25日

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概要
債務者の意思に反して、債権者と引受人となる者の間で並存的債務引受がされたとしても、当該併存的債務引受は有効である。
判例
事案:債務者の意思に反して、債権者と引受人となる者の間で併存的債務引受がされた場合において、当該併存的債務引受が有効となるかが問題となった。

判旨:「所謂併存的若ハ重畳的債務引受トハ第三者カ債務関係ニ加入シテ更ニ債務者トナリ原債務者ト相並ヒテ其ノ債務ヲ負担スル行為ヲ指称スルモノニ外ナラス従テ併存的債務引受ハ実質的ニ債権ノ効力ヲ確保スル作用ヲ有スルモノニシテ叙上債権ノ効力ヲ確保スル作用ヲ有スルコトハ保証債務ト毫モ異ルコトナシ然ルリシテ保証ハ債務者ノ意思ニ反スルトキト雖為シ得ヘキコトハ民法第462条第二項ノ規定ニヨリ明瞭ナルヲ以テ此ノ法律ノ精紳ヨリ推シテ第三者ハ原債務者ノ意思ニ反スルトキト雖有効ニ併存的債務引受行為ヲ為シ得ヘキモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第22問 イ)
債権者Aに対する債務者Bのα債務についてCを引受人とする債務の引受けがされた。本件債務の引受けが、AとCがBの意思に反してした併存的債務引受であるときは、その効力を生じない。

(正答)

(解説)
判例(大判大15.3.25)は、債務者の意思に反して、債権者と引受人となる者の間で並存的債務引受がされたとしても、当該併存的債務引受は有効である旨判示しており、改正民法下における並存的債務引受においても同様に解されている。なお、470条2項は、「併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。」と規定している。したがって、債権者Aに対する債務者Bのα債務についてCを引受人とする債務の引受けがされた場合においては、本件債務の引受けが、AとCがBの意思に反してした併存的債務引受であるときであっても、その効力を生じる。

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