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担保物権 - 解答モード

有益費償還請求と留置権 大判昭和10年5月13日

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概要
家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる。
判例
事案:家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することが、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たるかが問題となった。

判旨:「家屋ノ賃借人カ其ノ賃借中支出シタル必要費若ハ有益費ノ為メ留置権ヲ行使シ其ノ償還ヲ受クル迄従前ノ如ク当該家屋ニ居住スルハ他ニ特殊ノ事情ナキ限リ民法第298条第2項但書ノ所謂留置物ノ保存ニ必要ナルモノト解スルヲ妥当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(H29 共通 第11問 オ)
甲建物の賃貸人Aが、賃借人Bに対して賃貸借契約の終了に基づき甲建物の明渡しを請求したのに対し、Bが賃貸借の期間中に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使し、従前と同様の態様で甲建物に居住した場合、Bは、Aに対し、その居住による利得を返還する義務を負う。

(正答)

(解説)
判例(大判昭10.5.13)は、家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる旨判示している。しかし、留置権者が「その物の保存に必要な使用」をした場合においても、その利用により生じた利得まで保持する権限を有するものではなく、当該利得は留置物の所有者に対して返還しなければならない。
したがって、Bが賃貸借の期間中に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使し、従前と同様の態様で甲建物に居住した場合、Bは、Aに対し、その居住による利得を返還する義務を負う。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 予備 第6問 イ)
甲建物の賃借人でありその引渡しを受けたAが、その所有者であり賃貸人であるBに対する有益費償還請求権を被担保債権として甲建物につき留置権を行使するときは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払うことを要しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭10.5.13)は、家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる旨判示している。しかし、留置権者が「その物の保存に必要な使用」をした場合においても、その利用により生じた利得まで保持する権限を有するものではなく、当該利得は留置物の所有者に対して返還しなければならない。
したがって、Aは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払わなければならない。

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造作買取請求権と建物の留置権 最一小判昭和29年1月14日

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概要
造作買取代金債権は、造作に関して生じた債権であり、建物に関して生じた債権ではないため、造作買取代金債権を被担保債権として、建物を留置することはできない。
判例
事案:造作買取代金債権が、建物に関して生じた債権かどうかが問題となった。

判旨:「造作買取代金債権は造作に関して生じた債権で、建物に関して生じた債権ではないと解するを相当とする(昭和6年1月17日大判民集6頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R3 司法 第10問 エ)
建物の賃借人は、造作買取請求権の行使によって生じた賃貸人に対する代金債権を被担保債権として、建物について留置権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.1.14)は、「造作買取代金債権は造作に関して生じた債権で、建物に関して生じた債権ではないと解するを相当とする。」と判示している。したがって、造作買取請求権の行使によって生じた賃貸人に対する代金債権は、「その物に関して生じた債権」(295条1項)に当たらないため、当該代金債権を被担保債権とした留置権は成立しない。よって、建物の賃借人は、当該代金債権を被担保債権として、建物について留置権を行使することができない。

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留置権の抗弁と引換給付判決 最一小判昭和33年3月13日

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概要
物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、引換給付判決がされる。
判例
事案:物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合、請求棄却判決をするべきか、引換給付判決をするべきかが問題となった。

判旨:「留置権は、物の占有者がその物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置することを得るに過ぎないものであつて、物に関して生じた債権を他の債権に優先して弁済を受けしめることを趣旨とするものではない。従つて、裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」
過去問・解説
全体の正答率 : 33.3%

(H28 司法 第12問 オ)
質権の目的物を所有する債務者が、質権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に質権の主張が認められるときは、債務者の請求は棄却されるが、留置権の目的物を所有する債務者が、留置権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に留置権の主張が認められるときは、引換給付判決がされる。

(正答)

(解説)
判例(大判大9.3.29)は、質権の目的物を所有する債務者が、質権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に質権の主張が認められるときは、引換給付判決ではなく請求棄却判決が下される旨判示している。したがって、本肢前段は正しい。
また、判例(最判昭33.3.13)は、「裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、本肢後段も正しい。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 共通 第11問 イ)
AからB、BからCに建設機械が順次売却され、BがAに対して代金を支払っていない場合に、Cが提起した所有権に基づく建設機械の引渡請求訴訟においてAの留置権が認められるときは、Cの請求は棄却される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.3.13)は、「裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Cが提起した所有権に基づく建設機械の引渡請求訴訟においてAの留置権が認められるときは、Cの請求は棄却されるのではなく、引換給付判決がされる。

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留置権の成否 最一小判昭和43年11月21日

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概要
不動産の二重売買において、第2の買主のため所有権移転登記がされた場合、第1の買主は、第2の買主の当該不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売主に対して有する売買契約不履行に基づく損害賠償債権を被担保債権として、留置権を主張することは許されない。
判例
事案:不動産の二重売買において、第2の買主のために所有権移転登記がされた場合に、第1の買主が、第2の買主の当該不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売主に対して有する売買契約不履行に基づく損害賠償債権を被担保債権として、留置権を主張することができるかが問題となった。

判旨:「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R1 共通 第12問 オ)
Aがその所有する甲建物をBに売却して引き渡した後、Aが甲建物をCに売却してその旨の登記をした場合において、CがBに対して甲建物の明渡請求をしたときは、Bは、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として、甲建物を留置することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.11.21)は、本肢と同種の事案において、二重売買における第1買主が売主に対して有する損害賠償請求権について、「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」と判示している。したがって、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権は、「その物に関して生じた債権」(295条)に当たらず、当該請求権を被担保債権とした甲建物に対する留置権は生じない。よって、CがBに対して甲建物の明渡請求をしたときは、Bは、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として、甲建物を留置することはできない。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 予備 第6問 ア)
AがA所有の甲土地をBに売却し引き渡した後、Aが甲土地をCに売却してAからCへの所有権移転登記がされたときは、Bは、Cからの所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.11.21)は、本肢と同種の事案において、二重売買における第1買主が売主に対して有する損害賠償請求権について、「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」と判示している。したがって、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権は、「その物に関して生じた債権」(295条)に当たらず、当該請求権を被担保債権とした甲土地に対する留置権は生じない。よって、Bは、Cからの所有権に基づく明渡請求に対し、当該請求権を被担保債権として、留置権を行使することはできない。

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不法占拠と有益費償還請求権 最二小判昭和46年7月16日

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概要
建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除された後、当該建物を占有する権原のないことを知りながら当該建物を不法に占有する間に、当該建物について有益費を支出しても、その者は、295条2項の類推適用により、同費用の償還請求権に基づいて当該建物に留置権を行使することはできない。
判例
事案:建物賃貸借契約解除後の不法占有中に支出した有益費について、295条2項が類推適用されるかどうかが問題となった。

判旨:「亡Aが、本件建物の賃貸借契約が解除された後は右建物を占有すべき権原のないことを知りながら不法にこれを占有していた旨の原判決の認定・判断は、挙示の証拠関係に徴し首肯することができる。そして、亡Aが右のような状況のもとに本件建物につき支出した有益費の償還請求権については、民法295条2項の類推適用により、Bらは本件建物につき、右請求権に基づく留置権を主張することができないと解すべきである(最高裁判所昭和39年(オ)第654号同41年3月3日第一小法廷判決、民集20巻3号386頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H29 共通 第11問 ウ)
AがBから甲建物を賃借していたが、Aの賃料不払によりその賃貸借契約が解除された後、明渡しの準備をしている間にAが甲建物について有益費を支出した場合、Aは、Bに対し、その費用の償還請求権を被担保債権とする留置権を行使して甲建物の明渡しを拒むことはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.7.16)は、建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除された後、当該建物を占有する権原のないことを知りながら当該建物を不法に占有する間に、当該建物について有益費を支出しても、その者は、295条2項の類推適用により、同費用の償還請求権に基づいて当該建物に留置権を行使することはできない旨判示している。したがって、AがBから甲建物を賃借していたが、Aの賃料不払によりその賃貸借契約が解除された後、明渡しの準備をしている間にAが甲建物について有益費を支出した場合においても、当該有益費の支出はAの不法占有中に支出されたものである以上、295条2項が類推適用されるため、Aは、Bに対し、その費用の償還請求権を被担保債権とする留置権を行使して甲建物の明渡しを拒むことはできない。

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他人物売買と留置権 最一小判昭和51年6月17日

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概要
他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもって、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されない。
判例
事案:他人の物の売買における買主が、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもって、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することができるかが問題となった。

判旨:「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(H21 司法 第27問 イ)
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合において、甲不動産の引渡しと引換えに代金をBに支払ったCが、BがAから甲不動産の所有権を取得することができないことから売買契約を解除した場合において、Cは、Aからの不動産引渡請求に対し留置権を主張し、Bから代金相当額の返還を受けるまで甲不動産を留置することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.6.17)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」と判示している。この判例の理解は、被担保債権が、他人物に関する売買契約の解除に基づく原状回復請求権としての代金返還請求権であっても妥当する。したがって、Cは、Aからの不動産引渡請求に対し留置権を主張し、Bから代金相当額の返還を受けるまで甲不動産を留置することができない。


全体の正答率 : 66.6%

(H29 司法 第27問 ウ)
A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された。Cが甲土地の引渡しをBから受けるのと同時にBに対して甲土地の代金を支払ったが、Bが甲土地の所有権を取得することができなかったことから、Cは、本件売買契約を解除した。その後、CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは、Cは、Bから甲土地の代金の返還を受けるまで、甲土地を留置することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.6.17)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」と判示している。この判例の理解は、被担保債権が、他人物に関する売買契約の解除に基づく原状回復請求権としての代金返還請求権であっても妥当する。したがって、CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは、Cは、Bから甲土地の代金の返還を受けるまで、甲土地を留置することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 予備 第6問 ウ)
AがB所有の時計をCに売り、引き渡したものの、Cに即時取得が成立しないときは、Cは、Bからの所有権に基づく返還請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.6.17)は、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Cは、Bからの所有権に基づく返還請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができない。

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清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の行使 最一小判昭和58年3月31日

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概要
清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、当該第三者からの当該不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
判例
事案:清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合において、債務者が、当該第三者からの当該不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができるかどうかが問題となった。

判旨:「AのBらに対する本件土地建物の明渡請求は、所有権に基づく物権的請求権によるものであるところ、BらのCに対する清算金支払請求権は、Cによる本件土地建物の所有権の取得とともに同一の物である右土地建物に関する本件代物弁済予約から生じた債権であるから、民法295条の規定により、Bらは、Cに対してはもとより、同人から本件土地建物を譲り受けたAに対しても、Cから清算金の支払を受けるまで、本件土地建物につき留置権を行使してその明渡しを拒絶することができる関係にあるといわなければならない(最高裁昭和34年(オ)第1227号同38年2月19日第三小法廷判決・裁判集民事64号473頁、同昭和45年(オ)1055号同47年11月16日第一小法廷判決・民集26巻9号1619頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第12問 エ)
仮登記担保権の実行により不動産の所有権を取得した仮登記担保権者が、債務者に清算金を支払わないでその不動産を第三者に譲渡した場合、債務者は、清算金支払請求権を被担保債権として、譲受人たる第三者に対し、その不動産につき留置権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭58.3.31)は、清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、当該第三者からの当該不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる旨判示している。

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留置権と目的物の一部の引き渡し 最三小判平成3年7月16日

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概要
留置権者は、留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、特段の事情のない限り、債権の全部の弁済を受けるまで、留置物の残部につき留置権を行使することができる。
判例
事案:留置権者は、留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、債権の全部の弁済を受けるまでの間、留置物の残部につき留置権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「民法296条は、留置権者は債権の全部の弁済を受けるまで留置物の全部につきその権利を行使し得る旨を規定しているが、留置権者が留置物の一部の占有を喪失した場合にもなお右規定の適用があるのであって、この場合、留置権者は、占有喪失部分につき留置権を失うのは格別として、その債権の全部の弁済を受けるまで留置物の残部につき留置権を行使し得るものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第12問 ア)
留置権は、その目的物の一部が債務者に引き渡された場合、目的物の残部についても消滅する。

(正答)

(解説)
判例(最判平3.7.16)は、「民法296条は、留置権者は債権の全部の弁済を受けるまで留置物の全部につきその権利を行使し得る旨を規定しているが、留置権者が留置物の一部の占有を喪失した場合にもなお右規定の適用があるのであって、この場合、留置権者は、占有喪失部分につき留置権を失うのは格別として、その債権の全部の弁済を受けるまで留置物の残部につき留置権を行使し得るものと解するのが相当である。」と判示している。

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留置権の抗弁と引き換え給付判決 最一小判昭和47年11月16日

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概要
A所有の物を買い受けたBが、売買代金を支払わないままこれをCに譲渡した場合には、Aは、Cからの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。 
判例
事案:A所有の物を買い受けたBが、売買代金を支払わないままこれをCに譲渡した場合に、Aが、Cからの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができるかが問題となった。

判旨:「残代金債権は本件土地建物の明渡請求権と同一の売買契約によつて生じた債権であるから、民法295条の規定により、AはBに対し、残代金の弁済を受けるまで、本件土地建物につき留置権を行使してその明渡を拒絶することができたものといわなければならない。ところで、留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(H20 司法 第8問 2)
Xは所有権に基づき占有者Yに対し土地の引渡しを請求した。土地を所有し占有するYからAへ、AからXへと同土地が順次売買され、それぞれ代金の支払も了した。この場合、Yは同土地の引渡しを拒絶することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。もっとも、本肢においては、YからAへ、AからXへと土地が順次売買され、それぞれ代金の支払いも完了しているため、Yに同土地についての留置権は生じない。したがって、Yは、同土地について、Xに対し留置権を主張することができず、Yは同土地の引き渡しを拒絶することができない。


全体の正答率 : 33.3%

(H21 司法 第12問 4)
留置権者は、留置権の目的物が第三者に譲渡された場合でも、目的物に関して生じた債権の全部の弁済を受けるまでは、当該第三者に対して留置権を主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。したがって、留置権者は、留置権の目的物が第三者に譲渡された場合でも、目的物に関して生じた債権の全部の弁済を受けるまでは、当該第三者に対して留置権を主張することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 共通 第11問 イ)
Aは、その所有する動産甲をBに売り、Bは甲をCに転売したが、Aが甲の占有を続けている。この場合において、Aは、Cからの引渡請求に対し、Bから代金が支払われるまで、甲について留置権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。したがって、Aがその所有する動産甲をBに売り、Bが甲をCに転売したが、Aが甲の占有を続けている場合において、Aは、Cからの引渡請求に対し、Bから代金が支払われるまで、甲について留置権を行使することができる。

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留置権の消滅請求 最二小判昭和38年5月31日

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概要
留置権者が298条1項及び2項の規定に違反したときは、当該留置物の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか、又はこれによって損害を受けたかどうかを問わず、当該留置権の消滅を請求することができる。
判例
事案:留置権者が298条1項及び2項の規定に違反したときは、その後当該違反行為が終了し、又は当該違反行為によって損害を受けなった場合でも、当該留置権の消滅を請求することができるかが問題となった。

判旨:「民法298条3項の法意に照せば、留置権者が同条1項および2項の規定に違反したときは、当該留置物の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか、またこれによつて損害を受けたかどうかを問わず、当該留置権の消滅を請求することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R4 共通 第11問 エ)
留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を賃貸した場合であっても、その賃貸が終了して留置権者が留置物の返還を受けていたときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭38.5.31)は、留置権の消滅請求(298条3項)について、「留置権者が298条1項及び2項の規定に違反したときは、当該留置物の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか…を問わず、当該留置権の消滅を請求することができる。」と判示している。本肢においては、留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を賃貸しており、この時点で、「留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を…賃貸…することができない。」と定める298条2項本文に違反したといえる。そうすると、その賃貸が終了して留置権者が留置物の返還を受けていたとしても、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。

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清算金支払請求権と留置権 最二小判平成9年4月11日

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概要
不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、当該第三者又は同人から更に当該不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる。
判例
事案:譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対して、譲渡担保権設定者が、清算金支払請求権に基づく留置権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者又は同人から更に右不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 33.3%

(R1 司法 第16問 ウ)
債務者が弁済期に債務の弁済をしなかった場合において、不動産の譲渡担保権者が目的不動産を譲渡したときは、債務者は、譲受人からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.4.11)は、「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者…からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 33.3%

(R5 共通 第16問 エ)
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的物を譲渡したときは、設定者は、譲受人からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.4.11)は、「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者…からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」と判示している。

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必要費償還請求権を被担保債権とする留置権の行使 最二小判昭和33年1月17日

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概要
建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置して、明渡しを拒むことができる。
判例
事案:建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置することができるのかが問題となった。

判旨:「被上告人は管理契約終了前本件浴場建物に関し必要費の償還請求権を有し、契約終了後も右建物に対し留置権を有することは、原判決の確定するところである。そして、原判決は被上告人は右契約終了後その留置物について必要費、有益費を支出し、その有益費については、価格の増加が現存するものとなし、上告人に対しその償還請求権を有することを判示しているのであるから、この償還請求権もまた民法295条の所謂その物に関し生じた債権に外ならないものである。従つて契約終了前既に生じた費用償還請求権と共に、その弁済を受くるまでは、該浴場建物を留置し明渡を拒み得るものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第12問 ウ)
必要費償還請求権を被担保債権として建物を留置している留置権者は、その建物のための必要費を更に支出した場合、後者の必要費償還請求権を被担保債権として留置権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.1.17)は、建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置することができる旨判示している。したがって、必要費償還請求権を被担保債権として建物を留置している留置権者は、その建物のための必要費を更に支出した場合、後者の必要費償還請求権を被担保債権として留置権を行使することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 司法 第10問 イ)
賃借物について賃貸人Aの負担に属する必要費を支出した賃借人Bは、賃貸借終了後、その償還請求権を被担保債権として留置権を行使している間に、更にAの負担に属する必要費を支出した場合には、更に支出したものを含めた必要費全額の弁済を受けるまで、留置権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.1.17)は、建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置することができる旨判示している。したがって、賃借物について賃貸人Aの負担に属する必要費を支出した賃借人Bは、賃貸借終了後、その償還請求権を被担保債権として留置権を行使している間に、更にAの負担に属する必要費を支出した場合には、更に支出したものを含めた必要費全額の弁済を受けるまで、留置権を行使することができる。

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破産手続開始後の先取特権の行使 最一小判昭和59年2月2日

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概要
先取特権者は、債務者が破産宣告を受けた場合であっても、目的債権を差し押えて物上代位権を行使することができる。
判例
事案:先取特権者は、債務者が破産宣告を受けた場合であっても、目的債権を差し押えて物上代位権を行使することができるかどうかが問題となった。

判旨:「民法304条1項但書において、先取特権者が物上代位権を行使するためには金銭その他の払渡又は引渡前に差押をしなければならないものと規定されている趣旨は、先取特権者のする右差押によつて、第三債務者が金銭その他の目的物を債務者に払渡し又は引渡すことが禁止され、他方、債務者が第三債務者から債権を取立て又はこれを第三者に譲渡することを禁止される結果、物上代位の対象である債権の特定性が保持され、これにより物上代位権の効力を保全せしめるとともに、他面第三者が不測の損害を被ることを防止しようとすることにあるから、第三債務者による弁済又は債務者による債権の第三者への譲渡の場合とは異なり、単に一般債権者が債務者に対する債務名義をもつて目的債権につき差押命令を取得したにとどまる場合には、これによりもはや先取特権者が物上代位権を行使することを妨げられるとすべき理由はないというべきである。そして、債務者が破産宣告決定を受けた場合においても、その効果の実質的内容は、破産者の所有財産に対する管理処分権能が剥奪されて破産管財人に帰属せしめられるとともに、破産債権者による個別的な権利行使を禁止されることになるというにとどまり、これにより破産者の財産の所有権が破産財団又は破産管財人に譲渡されたことになるものではなく、これを前記一般債権者による差押の場合と区別すべき積極的理由はない。したがつて、先取特権者は、債務者が破産宣告決定を受けた後においても、物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H18 司法 第16問 ウ)
甲動産を所有するAが、これをBに売り、さらにBがCに譲渡した。AはBから代金の支払を受けていない。BからCへの甲動産の譲渡が売買に基づくものである場合、Bに対して破産手続開始の決定がされたときであっても、Aは、動産売買先取特権の行使として、BのCに対する代金債権を差し押さえることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭59.2.2)は、「先取特権者は、債務者が破産宣告決定を受けた後においても、物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、BからCへの甲動産の譲渡が売買に基づくものである場合、Bに対して破産手続開始の決定がされたときであっても、Aは、動産売買先取特権の行使として、BのCに対する代金債権を差し押さえることができる。

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先取特権者による物上代位権行使 最二小判昭和60年7月19日

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概要
動産売買の先取特権を有する者は、物上代位権行使の目的である債権について、一般債権者が差押えをした後であっても、当該目的債権に対して物上代位権を行使することができる。
判例
事案:動産売買の先取特権を有する者は、物上代位権行使の目的である債権について、一般債権者が差押えをした後であっても、当該目的債権に対して物上代位権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「民法304条1項但書において、先取特権者が物上代位権を行使するためには物上代位の対象となる金銭その他の物の払渡又は引渡前に差押をしなければならないものと規定されている趣旨は、先取特権者のする右差押によつて、第三債務者が金銭その他の物を債務者に払い渡し又は引き渡すことを禁止され、他方、債務者が第三債務者から債権を取り立て又はこれを第三者に譲渡することを禁止される結果、物上代位の目的となる債権(以下「目的債権」という。)の特定性が保持され、これにより、物上代位権の効力を保全せしめるとともに、他面目的債権の弁済をした第三債務者又は目的債権を譲り受け若しくは目的債権につき転付命令を得た第三者等が不測の損害を被ることを防止しようとすることにあるから、目的債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたにすぎないときは、その後に先取特権者が目的債権に対し物上代位権を行使することを妨げられるものではないと解すべきである(最高裁昭和56年(オ)第927号同59年2月2日第一小法廷判決・民集38巻3号431頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(H19 司法 第14問 2)
動産売買の先取特権を有する者は、物上代位権行使の目的である債権について、一般債権者が差押えをした後であっても、物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.7.19)は、動産売買の先取特権を有する者は、物上代位権行使の目的である債権について、一般債権者が差押えをした後であっても、当該目的債権に対して物上代位権を行使することができる旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第14問 1)
動産売買の先取特権者は、一般債権者が物上代位権行使の目的となる債権を差し押さえた後は、自らその目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.7.19)は、動産売買の先取特権を有する者は、物上代位権行使の目的である債権について、一般債権者が差押えをした後であっても、当該目的債権に対して物上代位権を行使することができる旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第11問 ウ)
動産の売主は、買主がその動産の転売によって得た売買代金債権につき、買主の一般債権者が当該売買代金債権を差し押さえた後は、動産の売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.7.19)は、動産売買の先取特権を有する者は、物上代位権行使の目的である債権について、一般債権者が差押えをした後であっても、当該目的債権に対して物上代位権を行使することができる旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第13問 オ)
AがA所有の動産をBに売却し、代金の支払を受けないうちに、BがこれをCに転売して引き渡した場合において、Bの一般債権者DがBのCに対する代金債権を差し押さえたにすぎないときは、Aは、当該債権について動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.7.19)は、動産売買の先取特権を有する者は、物上代位権行使の目的である債権について、一般債権者が差押えをした後であっても、当該目的債権に対して物上代位権を行使することができる旨判示している。したがって、Bの一般債権者DがBのCに対する代金債権を差し押さえたにすぎないときは、Aは、当該債権について動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができる。

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動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使 最三小決平成10年12月18日

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概要
動産売買の先取特権者は、買主が目的動産を用いて施工した請負工事の請負代金債権に対しては、原則として物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価値の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らし、請負代金債権の全部又は一部を動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、物上代位権を行使することができる。
判例
事案:動産売買の先取特権者が、買主が目的動産を用いて施工した請負工事の請負代金債権に対して物上代位権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「動産の買主がこれを用いて請負工事を行ったことによって取得する請負代金債権は、仕事の完成のために用いられた材料や労力等に対する対価をすべて包含するものであるから、当然にはその一部が右動産の転売による代金債権に相当するものということはできない。したがって、請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、右部分の請負代金債権に対して右物上代位権を行使することができると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第14問 3)
動産売買の先取特権者は、買主が目的動産を用いて施工した請負工事の請負代金債権に対しては、原則として物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価値の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らし、請負代金債権の全部又は一部を動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平10.12.18)は、「請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、右部分の請負代金債権に対して右物上代位権を行使することができると解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第13問 ア)
動産の売主Aは、買主Bがこれを用いて請負工事をしたときは、Bの注文者に対する報酬債権に対し、当然に動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平10.12.18)は、「請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、右部分の請負代金債権に対して右物上代位権を行使することができると解するのが相当である。」と判示している。したがって、動産の売主Aは、買主Bがこれを用いて請負工事をしたときは、Bの注文者に対する報酬債権に対し、当然には動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができない。

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動産売買の先取特権者の物上代位権と債権譲渡 最三小判平成17年2月22日

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概要
動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。
判例
事案:動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた場合においても、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるかどうかが問題となった。

判旨:「民法304条1項ただし書は、先取特権者が物上代位権を行使するには払渡し又は引渡しの前に差押えをすることを要する旨を規定しているところ、この規定は、抵当権とは異なり公示方法が存在しない動産売買の先取特権については、物上代位の目的債権の譲受人等の第三者の利益を保護する趣旨を含むものというべきである。そうすると、動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第14問 2)
動産売買の先取特権者は、物上代位権行使の目的となる債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後であっても、自らその目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.2.22)は、「動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第12問 イ)
動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡されて第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.2.22)は、「動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。

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日用品の供給の先取特権の債務者 最一小判昭和46年10月21日

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概要
310条にいう「債務者」は、自然人に限られ、法人は含まれない。
判例
事案:310条にいう「債務者」に法人が含まれるかが問題となった。

判旨:「民法306条4号、310条の法意は、同条の飲食品および薪炭油の供給者に対し一般先取特権を与えることによつて、多くの債務を負つている者あるいは資力の乏しい者に日常生活上必要不可欠な飲食品および薪炭油の入手を可能ならしめ、もつてその生活を保護しようとすることにあると解される。かかる法意ならびに同法310条の文言に照らせば、同条の債務者は、自然人に限られ、法人は右債務者に含まれないと解するのが相当である。もし法人が右債務者に含まれると解するならば、法人に対する日用品供給の先取特権の範囲の限定が著しく困難になり、一般債権者を不当に害するに至ることは明らかである。そして、このような解釈は、法人の規模、経営態様等のいかんを問わず妥当する…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H25 司法 第14問 オ)
判例によれば、日用品供給の先取特権の債務者は、自然人に限られ、法人は含まれない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.21)は、310条にいう「債務者」は、自然人に限られ、法人は含まれない旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第12問 オ)
判例によれば、日用品の供給の先取特権は、債務者が法人のときは認められない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.21)は、310条にいう「債務者」は、自然人に限られ、法人は含まれない旨判示している。


全体の正答率 : 50.0%

(R2 司法 第11問 ア)
法人に対して電気料金債権を有する者は、供給した電気がその代表者及びその家族の生活に使用されていた場合、法人の財産について一般の先取特権を有する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.10.21)は、310条にいう「債務者」は、自然人に限られ、法人は含まれない旨判示している。本肢においても、電気の供給は「日用品の供給」(306条5号)に当たるものの、法人は310条にいう「債務者」に含まれないのであるから、法人に対して電気料金債権を有する者は、供給した電気がその代表者及びその家族の生活に使用されていた場合であっても、法人の財産について一般の先取特権を有しない。

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333条における「引き渡し」 大判大正6年7月26日

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概要
333条の「引き渡し」には183条の占有改定も含まれる。
判例
事案:333条の「引き渡し」に183条の占有改定が含まれるかが問題となった。

判旨:「民法第333条ニ所謂引渡中ニハ同法第183条ニ依ル占有改定ノ場合ヲモ包含スルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 33.3%

(H18 司法 第16問 オ)
甲動産を所有するAが、これをBに売り、さらにBがCに譲渡したが、AはBから代金の支払を受けていない。BからCへの譲渡がCの有する債権を担保するためのものである場合、甲動産がAからBに現実に引き渡され、さらにBからCに占有改定がされたときは、Aは、動産売買先取特権の行使として、甲動産を差し押さえることができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.7.26)は、333条の「引き渡し」には183条の占有改定も含まれる旨判示している。また、判例(最判昭62.11.10)は、譲渡担保権者は「第三取得者」(333条)に当たる旨判示している。そして、333条は、「先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。」と規定している。
本肢において、BからCへの譲渡がCの有する債権を担保するためのものである場合、Cは「第三取得者」に当たり、甲動産がAからBに現実に引き渡され、さらにBからCに占有改定がされたときは、Cは「引き渡し」を受けたといえるから、333条の要件を満たす。したがって、同条により、Aは、動産売買先取特権の行使として、甲動産を差し押さえることができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第12問 イ)
AがBに対して動産売買の先取特権を有していた場合、BがCに対してその目的物である動産を売却し、占有改定によりこれを引き渡したとしても、Aの動産売買の先取特権は消滅しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.7.26)は、333条の「引き渡し」には183条の占有改定も含まれる旨判示している。したがって、BがCに対して、Aの動産売買の先取特権の目的物である動産を売却し、占有改定によりこれを引き渡した場合、「債務者がその目的物である動産をその第三取得者に引き渡した」(333条)といえ、同条が適用されるから、Aの動産売買の先取特権は消滅する。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第12問 イ)
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。Bが甲をCに売り、占有改定による引渡しがされた場合には、Aは、Bが弁済期到来後も代金債務を履行しないときであっても、先取特権に基づいて甲を差し押さえることはできない。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.7.26)は、333条の「引き渡し」には183条の占有改定も含まれる旨判示している。したがって、Bが甲をCに売り、占有改定による引渡しがされた場合には、「債務者がその目的物である動産をその第三取得者に引き渡した」(333条)といえ、同条が適用されるから、Aは、Bが弁済期到来後も代金債務を履行しないときであっても、先取特権に基づいて甲を差し押さえることはできない。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 司法 第13問 ウ)
AがBに対してA所有の動産甲を売却して現実の引渡しをした後、BがCに対して甲を売却し、Bが甲を以後Cのために占有する旨の合意がBC間でされたときは、Aは、甲について、動産売買の先取特権を行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.7.26)は、333条の「引き渡し」には183条の占有改定も含まれる旨判示している。したがって、AがBに対してA所有の動産甲を売却して現実の引渡しをした後、BがCに対して甲を売却し、Bが甲を以後Cのために占有する旨の合意がBC間でされたときは、「債務者がその目的物である動産をその第三取得者に引き渡した」(333条)といえ、同条が適用されるから、Aは、甲について、動産売買の先取特権を行使することができない。

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質物の返還と質権の消滅 大判大正5年12月25日

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概要
質権者が345条に違反して質権設定者に質物を返還した場合でも、質権は消滅しない。
判例
事案:質権者が345条に違反して質権設定者に質物を返還した場合において、質権が消滅するが問題となった。

判旨:「民法第345条ニハ単ニ質権者ハ質権設定者ヲシテ自己ニ代ハリテ質物ヲ占有セシムルコトヲ得サル旨ノ規定アルニ過キサルヲ以テ質権者カ一旦有効ニ質権ヲ設定シタル後右規定ニ違背シ質権設定者ヲシテ質物ヲ占有セシメタリトスルモ其占有カ法律上代理占有ノ効力ヲ生セサルニ止マリ之カ為メ質権カ消滅ニ帰スヘキモノニアラスト解スルヲ相当トス而シテ質権者カ有効ニ質権ヲ設定シタル後占有ヲ失ヒタル場合ニ於テハ動産質ニアリテハ其質権ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得サル結果ヲ生スヘキモ本件ノ如キ不動産質ニアリテハ質物ノ占有ハ第三者ニ対スル対抗条件ニモアラサルヲ以テ原院カ質権者タルAニ於テ一旦質物ノ現実引渡ヲ受ケタル後之ヲ質権設定者タルBニ引渡シタル事実ヲ認メタルニ拘ハラス該事実ハ本件質権ノ効力ニ何等ノ影響ナシ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H28 司法 第12問 イ)
質権者が任意に質権設定者に質物を返還した場合、質権は消滅する。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.12.25)は、質権者が345条に違反して質権設定者に質物を返還した場合でも、質権は消滅しない旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 司法 第11問 ウ)
不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させたとしても、質権の効力は影響を受けない。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.12.25)は、不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させた事案において、「不動産質ニアリテハ質物ノ占有ハ第三者ニ対スル対抗条件ニモアラサルヲ以テ原院カ質権者タルAニ於テ一旦質物ノ現実引渡ヲ受ケタル後之ヲ質権設定者タルBニ引渡シタル事実ヲ認メタルニ拘ハラス該事実ハ本件質権ノ効力ニ何等ノ影響ナシ。」と判示している。したがって、不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させたとしても、質権の効力は影響を受けない。

該当する過去問がありません

責任転質の可否 大連決大正14年7月14日

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概要
質権者は、質物の所有者の承諾がなくても、質物をさらに質入れすることができる。
判例
事案:質権者は、質物の所有者の承諾がなくても、質物をさらに質入れすることができるかどうかが問題となった。

判旨:「質權者ハ其ノ權利ノ範圍内ニ於テ自巳ノ責任ヲ以テ質物ヲ轉質ト爲シ得ルコトハ民法第348條ノ規定ニ徴シテ明ナリ故ニ質權者ハ質權設定者ノ承諾ナシト雖自己ノ債務ニ付其ノ質物ノ上ニ其ノ權利ノ範圍ヲ超越セサル質權ヲ設定スル行爲ハ民法上許容セラレタル權利ノ行使ニ外ナラサレハ之ヲ自己ノ占有スル他人ノ物ニ對スル不法領得ノ意思實行ナリトシテ横領罪ヲ以テ論スヘキニアラス或ハ民法第350條ニ依リ質權ニ付テハ留置權ニ關スル同法第298條第2項ノ準用アリ質權設定者ノ承諾ナクシテ質物ヲ債務ノ擔保ニ供スル行爲ハ法ノ認容セサル所ナリトノ反對説ナキニ非サルモ民法第350條ハ單タ同條所定ノ留置權ニ關スル法條ハ質權ニ付特別ノ規定ナキ限リ之ヲ質權ニ準用ストノ趣旨ヲ示シタルニ過キス而シテ質權ニ關シテハ特ニ第348條ニ於テ轉質ニ關スル規定ヲ設ケ質權者ヲシテ其ノ權利ノ範圍内ニ於テ質物ヲ自己ノ債務ノ擔保ニ供スルコトヲ許容セル所ナルヲ以テ前段ニ説示シタル民法第298條第二項ノ規定ハ轉質ニ關シテハ其ノ準用ナキモノト解セサルヘカラス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第11問 1)
質権者は、質物の所有者の承諾がなくても、質物をさらに質入れすることができる。

(正答)

(解説)
判例(大連決大14.7.14)は、質権者は、質物の所有者の承諾がなくても、質物をさらに質入れすることができる旨判示している。

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債権譲渡と質権の両立 大判大正8年8月25日

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概要
債権者の有する債権に質権が設定された場合においても、当該債権者は、質権の目的債権を第三者に譲渡することができる。
判例
事案:債権者の有する債権に質権が設定された場合においても、当該債権者が、質権の目的債権を第三者に譲渡することができるかが問題となった。

判旨:「仍テ按スルニ指名債権ヲ目的トスル質権ノ設定ヲ以テ第三債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニハ第三債務者ニ対スル質権設定ノ通知又ハ其設定ニ関スル第三債務者ノ承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルコトヲ要スルハ原判示ノ如シト雖モ債権ノ譲渡ヲ以テ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニモ亦譲渡ノ通知又ハ其承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルコトヲ要スルハ多言ヲ竢タス故ニ指名債権者カ其債権ヲ目的トシテ質権ヲ設定シタル後更ニ同債権ヲ他人ニ譲渡シタル場合ニ於テ若シ質権設定ノ通知又ハ承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレスシテ債権譲渡ノ通知又ハ承諾ノミ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルトキハ質権者ハ其質権ヲ以テ債権譲受人ニ対抗スルコトヲ得サルニ反シ譲受人ハ債権譲渡ヲ以テ質権者ニ対抗スルコトヲ得ルノ結果トシテ第三債務者(債権譲渡ニ付テハ債務者)ハ譲受人ノ権利ヲ尊重シ質権ノ行使ヲ拒ムコトヲ得ヘシ(大正7年(オ)第632号同8年3月28日言渡判例参照)ト雖モ債権譲渡ノ通知又ハ承諾モ同シク確定日附アル証書ヲ以テ為サレサリシトキハ譲受人モ其譲渡ヲ以テ質権者ニ対抗スルコトヲ得サレハ第三債務者ニ於テ質権ノ行使ヲ拒ミ得ヘキ理由ナキヲ以テ斯カル場合ニ於テハ第三債務者ハ前ニ通知アリ又ハ承諾ヲ為シタル質権ノ設定ヲ尊重スヘキコト当然ナルニ由リ之レカ行使ヲ拒ムコトヲ得サルモノト為スヲ至当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H21 司法 第14問 2)
Aは、Bのために、AがCに対して有する指名債権である金銭債権を目的として、質権を設定し、Cに対して質権の設定を通知した。Aは、第三者に対して目的債権を譲渡することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.8.25)は、債権者の有する債権に質権が設定された場合においても、当該債権者は、質権の目的債権を第三者に譲渡することができる。したがって、Aが、Bのために、AがCに対して有する指名債権である金銭債権を目的として、質権を設定し、Cに対して質権の設定を通知した場合においても、Aは、第三者に対して目的債権を譲渡することができる。

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債務者が債権者に対する自己の債権に対して質権を設定することの可否 大判昭和11年2月25日

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概要
債務者の債務を担保するため、当該債務者が債権者に対して有する債権を目的とした質権を設定することができる。
判例
事案:債務者の債務を担保するため、当該債務者が債権者に対して有する債権を目的とした質権を設定することができるかが問題となった。

判旨:「債務者カ債権者ニ対スル自己ノ債権ニ対シ質権ヲ設定スルコト固ヨリ之ヲ妨ケス夫ノ銀行ノ定期預金者カ其ノ預金ヲ担保トシテ銀行ヨリ借入ヲ為ス場合ノ如キハ最適例ナリト為ス尤モ民法第三百六十四条及第三百六十七条ノ如キ質権者ト第三債務者トカ別人ナルコトヲ予想シタル規定ナキニ非スト雖是レ畢竟其ノ普通ナル場合ヲ標準トシテノ規定タルニ過キス之カ為質権者ト第三債務者トカ同一人ナルコトヲ禁止シタルモノニ非サルヤ論無シ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第15問 ア)
AはBに対して貸金債権甲を有する。Bは、BのAに対する代金債権乙を被担保債権として、Aから、甲を目的とする質権の設定を受けることができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭11.2.25)は、債務者の債務を担保するため、当該債務者が債権者に対して有する債権を目的とした質権を設定することができる旨判示している。したがって、AがBに対して貸金債権甲を有する場合において、Bは、BのAに対する代金債権乙を被担保債権として、Aから、甲を目的とする質権の設定を受けることができる。

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債権質が設定されている場合の相殺の可否 大判大正5年9月5日

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概要
債権を目的とした質権が対抗要件を備えた場合、その後第三債務者が質権設定者に対して債権を取得し、当該質権の目的債権と相殺することは、質権者に対抗することができない。
判例
事案:債権を目的とした質権が対抗要件を備えた場合において、その後第三債務者が質権設定者に対して債権を取得し、当該質権の目的債権と相殺することを、質権者に対抗することができるかが問題となった。

判旨:「債権ヲ目的ト為シタル質権ノ効力トシテ質権者ハ目的タル債権ヲ直接ニ取立ツルコトヲ得ルコト民法第367条ニ依リ明カナリ故ニ質権設定者ハ勿論第三債務者モ亦之ニ対スル対抗条件ノ具備シタル上ハ質権者ノ取立権能ヲ害スルノ行為ヲ為スコトヲ得サルモノト謂ハサルヘカラス而シテ指名債権ヲ以テ質権ノ目的ト為シタル質権者ハ第三債務者ニ質権ノ設定ヲ通知シ又ハ第三債務者カ之ヲ承諾シタル時ヨリ其質権ヲ以テ第三債務者其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ルヲ以テ第三債務者ハ此時ヨリ質権者ノ取立権能ヲ害スルノ行為ヲ為スコトヲ得サルモノト謂フ可シ此時以後ニ於テ第三債務者カ質権設定者ニ対スル債権ヲ取得シ之ヲ以テ質権者ニ相殺ヲ対抗スルハ質権者ノ取立権能ヲ害スルモノトス故ニ第三債務者ハ質権設定ノ通知ヲ受ケ又ハ之ヲ承諾シタル時ヨリ以後ニ取得シタル質権設定者ニ対スル債権ヲ以テ質権者ニ相殺ヲ対抗スルコトヲ得サルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R6 司法 第15問 エ)
AはBに対して貸金債権甲を有する。FがAから甲を目的とする質権の設定を受け、AからBに対しその質権の設定の通知がされた場合には、Bは、その後にAとの間で売買契約を締結してAに対して代金債権丙を取得したときであっても、丙を自働債権とし、甲を受働債権とする相殺をもってFに対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.9.5)は、債権を目的とした質権が対抗要件を備えた場合、その後第三債務者が質権設定者に対して債権を取得し、当該質権の目的債権と相殺することは、質権者に対抗することができない旨判示している。したがって、FがAから甲を目的とする質権の設定を受け、AからBに対しその質権の設定の通知がされた場合には、Bは、その後にAとの間で売買契約を締結してAに対して代金債権丙を取得したときであっても、丙を自働債権とし、甲を受働債権とする相殺をもってFに対抗することができない。

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破産管財人による質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務の違反 最一小判平成18年12月21日

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概要
債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されない。
判例
事案:債権を目的とする質権が設定されている場合において、当該質権設定者が、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことができるかが問題となった。

判旨:「債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されないと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第23問 エ)
債権質の設定者が、第三債務者に対し、質権の目的である債権に係る債務の免除をすることは、当該債権の担保価値を維持すべき義務の違反となる。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.12.21)は、「債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反する…。」と判示している。

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抵当建物が崩壊した場合における抵当権の範囲 大判大正5年6月28日

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概要
抵当不動産たる建物が崩壊して動産となった場合、抵当権は消滅し、崩壊によって生じた動産に対して、その効力は及ばない。
判例
事案:抵当不動産たる建物が崩壊して動産となった場合において、当該動産に抵当権の効力が及ぶかが問題となった。

判旨:「抵当権ノ実行ニ着手スル以前ニ於テ抵当権ノ目的物タル家屋カ天災ノ為メ崩壊シ不動産タル性質ヲ失ヒテ動産ト為リタルトキハ家屋ヲ目的物トセル抵当権ハ之ニ依リ消滅シ崩壊ニ依リ生シタル動産ノ上ニ其効力ノ及ハサルコト勿論ナリトス而シテ民法第372条ニ依リ抵当権ニ準用セラルル民法第304条ノ規定ハ抵当権ノ効力ノ及フ範囲ヲ拡張シテ其目的物タル不動産ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ抵当権設定者ノ受クヘキ金銭其他ノ物ニ対シテモ其払渡又ハ引渡前ニ差押ヲ為スコトニ依リ抵当権ノ効力ヲ保有セシムルコトヲ明ニシタリト雖モ同条ニ所謂其受クヘキ金銭其他ノ物トハ滅失若クハ毀損ニ依リ抵当権設定者カ第三者ヨリ受クヘキ損害賠償金若クハ保険金ノ如キ目的物ノ全部若クハ一部ヲ直接代表スヘキ物ヲ指称スルモノニシテ抵当権ノ目的物タル家屋ノ天災ノ為メニ崩壊シテ動産ニ変シタル如キ場合ヲ包含セサルモノト解スヘク従テ抵当権者ハ斯ル動産ニ対スル強制執行ニ因ル競売代金ノ上ニ其優先権ヲ主張スルコトヲ得サルモノトス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(R1 司法 第15問 エ)
抵当権の目的である建物が天災のため崩壊し動産となった場合、抵当権の効力は、その動産に及ぶ。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.6.28)は、抵当不動産たる建物が崩壊して動産となった場合、抵当権は消滅し、崩壊によって生じた動産に対して、その効力は及ばない旨判示している。

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抵当権の抹消登記請求権 大判大正8年10月8日

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概要
後順位抵当権者は、物権的請求権に基づき、既に消滅した先順位抵当権設定登記の抹消を請求することができる。
判例
事案:後順位抵当権者が、既に消滅した先順位抵当権の設定登記の抹消を請求することができるかどうかが問題となった。

判旨:「上告人ハ自己ノ抵当権設定登記ヲ抹消スルノ手続ヲ為サスト云フニ在リテ斯クノ如ク既ニ弁済ニ因リテ消滅ニ帰シタル本件抵当権ノ設定登記カ尚依然トシテ登記簿上ニ存在スルニ於テハ被上告人ノ如ク登記簿上次順位ニ在ル抵当権者ハ形式ニ於テ上告人ノ次位ニ在ルカ為メニ抵当権ノ行使其他諸般ノ取引上種々ナル障礙ヲ受クルコトヲ免カレサルハ当然ナルヲ以テ被上告人ハ上告人ニ対シテ其消滅セル抵当権ノ設定登記ノ抹消ヲ請求スルノ利益ヲ有シ又上告人ハ其請求ニ応シテ抹消手続ヲ為スノ義務ヲ有スルモノト云ハサル可カラス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 60.0%

(H18 司法 第10問 3)
第1順位の抵当権の被担保債権が弁済されて消滅した場合、付従性に基づいて抵当権は当然に消滅するから、第2順位の抵当権者が第1順位の抵当権の登記の抹消を求める必要はなく、その登記の抹消を内容とする物権的請求権は生じない。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.10.8)は、「上告人ハ自己ノ抵当権設定登記ヲ抹消スルノ手続ヲ為サスト云フニ在リテ斯クノ如ク既ニ弁済ニ因リテ消滅ニ帰シタル本件抵当権ノ設定登記カ尚依然トシテ登記簿上ニ存在スルニ於テハ被上告人ノ如ク登記簿上次順位ニ在ル抵当権者ハ形式ニ於テ上告人ノ次位ニ在ルカ為メニ抵当権ノ行使其他諸般ノ取引上種々ナル障礙ヲ受クルコトヲ免カレサルハ当然ナルヲ以テ被上告人ハ上告人ニ対シテ其消滅セル抵当権ノ設定登記ノ抹消ヲ請求スルノ利益ヲ有シ又上告人ハ其請求ニ応シテ抹消手続ヲ為スノ義務ヲ有スルモノト云ハサル可カラス。」と判示している。したがって、第2順位の抵当権者が第1順位の抵当権の登記の抹消を求める必要性はなお存在し、その登記の抹消を内容とする物権的請求権は生じる。


全体の正答率 : 80.0%

(H28 共通 第14問 4)
第1順位の抵当権者の被担保債権が弁済により消滅した場合、第2順位の抵当権者は、消滅した第1順位の抵当権の抹消登記手続を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.10.8)は、後順位抵当権者は、物権的請求権に基づき、既に消滅した先順位抵当権設定登記の抹消登記を請求することができる旨判示している。


全体の正答率 : 80.0%

(R2 予備 第3問 オ)
Aは、所有する甲土地につき、Bを第1順位とする抵当権及び、Cを第2順位とする抵当権をそれぞれ設定し、その旨の登記がされた。この場合において、甲土地のBの抵当権の被担保債権が消滅したときは、Cは、Bに対し、自己の抵当権に基づきBの抵当権設定登記の抹消を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.10.8)は、後順位抵当権者は、物権的請求権に基づき、既に消滅した先順位抵当権設定登記の抹消登記を請求することができる旨判示している。したがって、甲土地のBの抵当権の被担保債権が消滅したときは、Cは、Bに対し、自己の抵当権に基づきBの抵当権設定登記の抹消を請求することができる。


全体の正答率 : 80.0%

(R3 共通 第6問 オ)
甲土地に設定された第1順位の抵当権の被担保債権が消滅したにもかかわらずその登記が抹消されていない場合、甲土地の第2順位の抵当権者は、第1順位の抵当権者に対してその登記の抹消を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.10.8)は、後順位抵当権者は、物権的請求権に基づき、既に消滅した先順位抵当権設定登記の抹消登記を請求することができる旨判示している。したがって、甲土地に設定された第1順位の抵当権の被担保債権が消滅したにもかかわらずその登記が抹消されていない場合、甲土地の第2順位の抵当権者は、第1順位の抵当権者に対してその登記の抹消を請求することができる。

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抵当権の効力の及ぶ範囲 大判大正14年10月26日

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概要
土地の所有者が、土地に抵当権を設定した後、その土地上に立木を植栽した場合、抵当権の効力は、その立木に及ぶ。
判例
事案:土地の所有者が、土地に抵当権を設定した後、その土地上に立木を植栽した場合において、抵当権の効力がその立木に及ぶかどうかが問題となった。

判旨:「土地ニ定著シテ之ト一体ヲ為ス樹木ハ不動産タル性質ヲ有スルモノナリト雖立木ニ関スル法律ノ適用ヲ受クルモノニアラサレハ土地ト分離シ独立シテ抵当権ノ目的ト為スコトヲ得サルハ同法律第2条ノ規定ニヨリ明瞭ナルノミナラス抵当権ハ其ノ目的タル不動産ニ附加シ之ト一体ヲ成シタル物ニ及フ旨ヲ規定シタル民法第370条ニ於テ抵当地上ニ存スル建物ヲ除外シタルニ止リ其ノ地上ニ存スル樹木ヲ除外セサリシ趣旨ニ徴スルモ蓋疑ヲ容レサル所ナリトス故ニ山林ヲ抵当権ノ目的トナシタル場合ニ其ノ地上ニ生立スル樹木ニシテ立木ニ関スル法律ノ適用ヲ受ケサルモノナル以上ハ特ニ之ヲ除外スル旨ノ意思ヲ表示セサル限リ抵当権ハ単ニ地盤ノミニ止ラス之ト一体ヲ成ス樹木ニモ及フモノナリト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(R1 司法 第15問 イ)
土地の所有者が、土地に抵当権を設定した後、その土地上に立木を植栽した場合、抵当権の効力は、その立木に及ぶ。

(正答)

(解説)
判例(大判大14.10.26)は、土地の所有者が、土地に抵当権を設定した後、その土地上に立木を植栽した場合、抵当権の効力は、その立木に及ぶ旨判示している。

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物権的請求権 大判昭和6年10月21日

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概要
抵当権者は、抵当権設定者や第三者が抵当権侵害行為を行っている場合には、被担保債権の弁済期が到来しているか否かを問わず、抵当権に基づく物権的請求権として妨害の排除を請求することができる。
判例
事案:抵当権者が、抵当権設定者や第三者が抵当権侵害行為を行っている場合において、被担保債権の弁済期が到来しているか否かを問わず、抵当権に基づく物権的請求権として妨害の排除を請求することができるかが問題となった。

判旨:「抵当権ニ基ク競売開始決定アリタル場合ニハ其ノ送達ニ因リ債権者ノ為メ差押ノ効力ヲ生スルカ故ニ爾後債務者ノ為ス法律行為ニ因ル処分行為ハ之ヲ以テ債権者ニ対抗スルコトヲ得ス従テ右差押ノ現存スル以上ハ更ニ判決ヲ以テ債務者ノ為ス法律行為ニ因ル処分行為ヲ禁止スルコトヲ要セサルハ勿論ナリト雖債務者カ滅失毀損等事実上ノ行為ヲ以テ抵当物ニ対スル侵害ヲ敢行スル場合ニ於テハ其ノ侵害行為カ抵当権者ノ有スル債権ノ弁済期後ナルト或ハ抵当権ノ実行ニ著手シタル後ナルト否トヲ問ハス抵当権者ハ物権タル抵当権ノ効力トシテ之カ妨害ノ排除ヲ訴求シ得ヘキハ当然ナリト云ハサルヲ得ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R3 共通 第6問 エ)
Aが所有する甲土地にBのために抵当権が設定され、その登記がされた後、Cは、甲土地上にAが所有する樹木を何の権原もなく伐採し始めた。この場合、Bは、被担保債権の弁済期前であっても、Cに対して伐採の禁止を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭6.10.21)は、抵当権者は、抵当権設定者や第三者が抵当権侵害行為を行っている場合には、被担保債権の弁済期が到来しているか否かを問わず、抵当権に基づく物権的請求権として妨害の排除を請求することができる旨判示している。したがって、Cが、甲土地上にAが所有する樹木を何の権原もなく伐採し始めた場合、甲土地の抵当権者であるBは、被担保債権の弁済期前であっても、Cに対して伐採の禁止を請求することができる。

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将来債権である保証人の求償権を担保するための抵当権の設定 最二小判昭和33年5月9日

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概要
将来発生する可能性のある条件付債権を被担保債権として、抵当権を設定することも許される。
判例
事案:将来発生する可能性のある条件付債権を被担保債権として、抵当権を設定することが許されるかが問題となった。

判旨:「当事者間の合意によつて、…将来発生の可能性のある条件付債権を担保するため抵当権を設定することも、有効と解すべき…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(H19 司法 第15問 ア)
将来発生するかどうか不確実な債権について根抵当権でない抵当権の設定登記がなされた場合、抵当権設定者は、被担保債権の不存在を理由として、抵当権者に対して、抵当権設定登記の抹消を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.5.9)は、将来発生する可能性のある条件付債権を被担保債権として、抵当権を設定することも許される旨判示している。したがって、将来発生するかどうか不確実な債権について根抵当権でない抵当権の設定登記がなされた場合においても、当該抵当権は有効であるから、抵当権設定者は、被担保債権の不存在を理由として、抵当権者に対して、抵当権設定登記の抹消を求めることができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H26 共通 第14問 ア)
保証人の求償権は、主たる債務者が弁済しないときに保証人が弁済することによって生じる将来の債権であるから、保証人の求償権を被担保債権として抵当権を設定することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.5.9)は、将来発生する可能性のある条件付債権を被担保債権として、抵当権を設定することも許される旨判示している。したがって、保証人の求償権を被担保債権として抵当権を設定することもできる。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 共通 第14問 オ)
後日発生すべき貸付金債権を担保するために抵当権を設定する契約がされ、その旨の登記がされた後にその貸付金債権が生じた場合、抵当権はその債権を有効に担保する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.5.9)は、将来発生する可能性のある条件付債権を被担保債権として、抵当権を設定することも許される旨判示している。したがって、後日発生すべき貸付金債権を担保するために抵当権を設定する契約がされ、その旨の登記がされた場合、当該抵当権は有効であるから、その後にその貸付金債権が生じた場合、抵当権はその債権を有効に担保する。

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抵当権の配当と不当利得返還請求 最二小判平成3年3月22日

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概要
抵当権者は、不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかった場合であっても、債権又は優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた債権者に対して、その者が配当を受けたことによって自己が配当を受けることができなかった金銭相当額の金員の返還を請求することができる。
判例
事案:債権又は優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた債権者が存する場合において、抵当権者が、不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかった場合であっても、当該債権者に対して、自己が配当を受けることができなかった金銭相当額の金員について不当利得返還請求をすることができるかが問題となった。

判旨:「抵当権者は、不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかつた場合であつても、債権又は優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた債権者に対して、その者が配当を受けたことによつて自己が配当を受けることができなかつた金銭相当額の金員の返還を請求することができるものと解するのが相当である。けだし、抵当権者は抵当権の効力として抵当不動産の代金から優先弁済を受ける権利を有するのであるから、他の債権者が債権又は優先権を有しないにもかかわらず配当を受けたために、右優先弁済を受ける権利が害されたときは、右債権者は右抵当権者の取得すべき財産によって利益を受け、右抵当権者に損失を及ぼしたものであり、配当期日において配当異議の申出がされることなく配当表が作成され、この配当表に従って配当が実施された場合において、右配当の実施は係争配当金の帰属を確定するものではなく、したがって、右利得に法律上の原因があるとすることはできないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 33.3%

(H28 司法 第28問 イ)
抵当権者は、自己の抵当権が設定された不動産について競売がされた場合には、不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかったとしても、債権又は優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた債権者に対し、その者が配当を受けたことによって自己が配当を受けることができなかった金銭相当額の金員について不当利得返還請求をすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平3.3.22)は、「抵当権者は、不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかつた場合であつても、債権又は優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた債権者に対して、その者が配当を受けたことによつて自己が配当を受けることができなかつた金銭相当額の金員の返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 司法 第29問 ア)
甲土地につき抵当権の設定を受け、その旨の登記をしたAは、甲土地についての不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかった場合には、Aに対する優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた一般債権者Bに対し、不当利得に基づく返還請求をすることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平3.3.22)は、「抵当権者は、不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかった場合であっても、債権又は優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた債権者に対して、その者が配当を受けたことによって自己が配当を受けることができなかった金銭相当額の金員の返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Aは、甲土地についての不動産競売事件の配当期日において配当異議の申出をしなかった場合においても、Aに対する優先権を有しないにもかかわらず配当を受けた一般債権者Bに対し、不当利得に基づく返還請求をすることができる。

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価格割合に基づく抵当権の存続 最三小判平成6年1月25日

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概要
互いに主従の関係にない甲乙2棟の建物がその間の隔壁を除去する等の工事により1棟の丙建物となった場合、甲建物又は乙建物を目的として設定されていた抵当権は、丙建物のうち甲建物又は乙建物の価格の割合に応じた持分を目的とするものとして存続する。
判例
事案:互いに主従の関係にない甲乙2棟の建物がその間の隔壁を除去する等の工事により1棟の丙建物となった場合、甲建物又は乙建物を目的として設定されていた抵当権が存続するかどうかが問題となった。

判旨:「互いに主従の関係にない甲、乙2棟の建物が、その間の隔壁を除去する等の工事により1棟の丙建物となった場合においても、これをもって、甲建物あるいは乙建物を目的として設定されていた抵当権が消滅することはなく、右抵当権は、丙建物のうちの甲建物又は乙建物の価格の割合に応じた持分を目的とするものとして存続すると解するのが相当である。けだし、右のような場合、甲建物又は乙建物の価値は、丙建物の価値の一部として存続しているものとみるべきであるから、不動産の価値を把握することを内容とする抵当権は、当然に消滅するものではなく、丙建物の価値の一部として存続している甲建物又は乙建物の価値に相当する各建物の価格の割合に応じた持分の上に存続するものと考えるべきだからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R1 共通 第14問 イ)
1人の者が所有する互いに主従の関係にない甲乙2棟の建物が工事により1棟の丙建物となった場合において、甲建物と乙建物とにそれぞれ抵当権が設定されていたときは、それらの抵当権は、丙建物のうちの甲建物と乙建物の価格の割合に応じた持分を目的とするものとして存続する。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.1.25)は、「互いに主従の関係にない甲、乙2棟の建物が、その間の隔壁を除去する等の工事により1棟の丙建物となった場合においても、これをもって、甲建物あるいは乙建物を目的として設定されていた抵当権が消滅することはなく、右抵当権は、丙建物のうちの甲建物又は乙建物の価格の割合に応じた持分を目的とするものとして存続すると解するのが相当である。」と判示している。

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抵当権者の物上代位権と債権譲渡 最二小判平成10年1月30日

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概要
抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
判例
事案:抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた場合において、その後もなお自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるかどうかが問題となった。

判旨:「1 民法372条において準用する304条1項ただし書が抵当権者が物上代位権を行使するには払渡し又は引渡しの前に差押えをすることを要するとした趣旨目的は、主として、抵当権の効力が物上代位の目的となる債権にも及ぶことから、右債権の債務者(以下「第三債務者」という。)は、右債権の債権者である抵当不動産の所有者(以下「抵当権設定者」という。)に弁済をしても弁済による目的債権の消滅の効果を抵当権者に対抗できないという不安定な地位に置かれる可能性があるため、差押えを物上代位権行使の要件とし、第三債務者は、差押命令の送達を受ける前には抵当権設定者に弁済をすれば足り、右弁済による目的債権消滅の効果を抵当権者にも対抗することができることにして、二重弁済を強いられる危険から第三債務者を保護するという点にあると解される。
 2 右のような民法304条1項の趣旨目的に照らすと、同項の「払渡又ハ引渡」には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 75.0%

(H18 司法 第19問 イ)
Aのために抵当権設定登記がされた後にCに対する賃料債権がBからEに譲渡されてその第三者対抗要件が具備された場合、Aは、同じ賃料債権を差し押さえて優先弁済を受けることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.1.30)は、304条1項但書の「払渡し又は引渡し」の要件の解釈について、「債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Cに対する賃料債権がBからEに譲渡されてその第三者対抗要件が具備された場合においても、Aは、同じ賃料債権を差し押さえて優先弁済を受けることができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第14問 3)
抵当権に基づく物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた場合であっても、それより前に抵当権が設定され、第三者に対する対抗要件が備えられていたならば、抵当権者は、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.1.30)は、304条1項但書の「払渡し又は引渡し」の要件の解釈について、「債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、抵当権に基づく物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた場合であっても、それより前に抵当権が設定され、第三者に対する対抗要件が備えられていたならば、抵当権者は、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第14問 5)
抵当権者は、物上代位権行使の目的となる債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後であっても、自らその目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.1.30)は、304条1項但書の「払渡し又は引渡し」の要件の解釈について、「債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、抵当権者は、物上代位権行使の目的となる債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後であっても、自らその目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第12問 ア)
抵当権者は、抵当権設定登記がされた後に物上代位の目的債権が譲渡されて第三者に対する対抗要件が備えられた場合においても、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.1.30)は、304条1項但書の「払渡し又は引渡し」の要件の解釈について、「債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、抵当権者は、抵当権設定登記がされた後に物上代位の目的債権が譲渡されて第三者に対する対抗要件が備えられた場合においても、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

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一般債権者の差押えと抵当権者の差押えの優劣 最一小判平成10年3月26日

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概要
債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合、両者の優劣は、一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決すべきである。
判例
事案:債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合における、両者の優劣の判断基準が問題となった。

判旨:「債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられ、右の差押命令の第三債務者への送達が抵当権者の抵当権設定登記より先であれば、抵当権者は配当を受けることができないと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H18 司法 第19問 ア)
AのBに対する金銭債権を担保するために、BがCに賃貸している建物を目的とする抵当権が設定された。この登記が、Bの一般債権者DがBのCに対する賃料債権を差し押さえた後にされた場合、Aは、同じ賃料債権を差し押さえて優先弁済を受けることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.3.26)は、「債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられ、右の差押命令の第三債務者への送達が抵当権者の抵当権設定登記より先であれば、抵当権者は配当を受けることができないと解すべきである。」と判示している。したがって、Aの抵当権設定登記が、Bの一般債権者DがBのCに対する賃料債権を差し押さえた後にされた場合、Aは、同じ賃料債権を差し押さえて優先弁済を受けることができない。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 共通 第11問 オ)
AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され、その登記がされている。この登記が、AのBに対する賃料債権をAの一般債権者Eが差し押さえ、その差押命令がBに送達された後にされた場合、Cは、同一の債権を差し押さえて物上代位権を行使してEに対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.3.26)は、「債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は一般債権者の申立てによる差押命令の第三債務者への送達と抵当権設定登記の先後によって決せられ、右の差押命令の第三債務者への送達が抵当権者の抵当権設定登記より先であれば、抵当権者は配当を受けることができないと解すべきである。」と判示している。したがって、Cの抵当権設定登記が、AのBに対する賃料債権をAの一般債権者Eが差し押さえ、その差押命令がBに送達された後にされた場合、Cは、同一の債権を差し押さえて物上代位権を行使してEに対抗することができない。

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賃借人の転貸賃料債権と抵当権者の物上代位権 最二小決平成12年4月14日

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概要
抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、当該賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。
判例
事案:抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権について、抵当権者が物上代位権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「民法372条によって抵当権に準用される同法304条1項に規定する「債務者」には、原則として、抵当不動産の賃借人(転貸人)は含まれないものと解すべきである。けだし、所有者は被担保債権の履行について抵当不動産をもって物的責任を負担するものであるのに対し、抵当不動産の賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場にはないからである。同項の文言に照らしても、これを「債務者」に含めることはできない。また、転貸賃料債権を物上代位の目的とすることができるとすると、正常な取引により成立した抵当不動産の転貸借関係における賃借人(転貸人)の利益を不当に害することにもなる。もっとも、所有者の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権の行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借を仮装した上で、転貸借関係を作出したものであるなど、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合には、その賃借人が取得すべき転貸賃料債権に対して抵当権に基づく物上代位権を行使することを許すべきものである。
 以上のとおり、抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができないと解すべきであ…る。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H18 司法 第19問 オ)
AのBに対する金銭債権を担保するために、BがCに賃貸している建物を目的とする抵当権が設定された。Bの承諾を得てCがGに建物を転貸した場合、Aは、建物の賃貸借により生ずる果実であるCのGに対する賃料の債権を差し押さえることができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平12.4.14)は、「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない」と判示している。したがって、Bの承諾を得てCがGに建物を転貸した場合、Aは、建物の賃借人であるCを同建物の所有者であるBと同視することを相当とする場合でなければ、建物の賃貸借により生ずる果実であるCのGに対する賃料の債権を差し押さえることができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第14問 4)
抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、その賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最決平12.4.14)は、「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 予備 第6問 イ)
AのBに対する債権を被担保債権として、C所有の甲土地について抵当権が設定され、その旨の登記がされている。Cが甲土地をDに賃貸し、さらにDが甲土地をEに転貸したときは、DをCと同視することを相当とする場合を除き、Aは、Dが取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最決平12.4.14)は、「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない」と判示している。したがって、Cが甲土地をDに賃貸し、さらにDが甲土地をEに転貸したときは、DをCと同視することを相当とする場合を除き、Aは、Dが取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 共通 第11問 ウ)
AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され、その登記がされている。Bが甲建物をDに転貸した場合、Cは、BをAと同視することが相当であるときを除き、BのDに対する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最決平12.4.14)は、「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない」と判示している。したがって、Bが甲建物をDに転貸した場合、Cは、BをAと同視することが相当であるときを除き、BのDに対する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。

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抵当権設定登記と賃料債権の相殺と物上代位権 最三小判平成13年3月13日

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概要
抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。
判例
事案:抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後に、抵当不動産の賃借人が、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することができるかが問題となった。

判旨:「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできないと解するのが相当である。けだし、物上代位権の行使としての差押えのされる前においては、賃借人のする相殺は何ら制限されるものではないが、上記の差押えがされた後においては、抵当権の効力が物上代位の目的となった賃料債権にも及ぶところ、物上代位により抵当権の効力が賃料債権に及ぶことは抵当権設定登記により公示されているとみることができるから、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と物上代位の目的となった賃料債権とを相殺することに対する賃借人の期待を物上代位権の行使により賃料債権に及んでいる抵当権の効力に優先させる理由はないというべきであるからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H18 司法 第19問 エ)
Aのために抵当権設定登記がされるより前にCがBに対して金銭を貸し付けていた場合、Aが賃料債権を差し押さえたときは、Cは、その貸金債権の弁済期が差押え後に到来するものであっても、当該貸金債権と賃料債権との相殺をもってAに対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.3.13)は、「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできないと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、Aのために抵当権設定登記がされるより前にCがBに対して金銭を貸し付けていたのであるから、Aが賃料債権を差し押さえたとき、Cは、その貸金債権の弁済期が差押え後に到来するものであっても、当該貸金債権と賃料債権との相殺をもってAに対抗することができる。


全体の正答率 : 50.0%

(H29 司法 第12問 エ)
抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とし、賃料債権を受働債権とする相殺をもって抵当権者に対抗することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.3.13)は、「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできないと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 共通 第11問 ア)
AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され、その登記がされている。Cのための抵当権の設定登記がされた後にBがAに対して金銭を貸し付け、その貸金債権の弁済期が到来した場合、AのBに対する賃料債権についてCが物上代位権を行使して差押えをした後であっても、Bは、Aに対する貸金債権を自働債権とし、Aの賃料債権を受働債権とする相殺をもって、Cに対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.3.13)は、「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできないと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Cのための抵当権の設定登記がされた後にBがAに対して金銭を貸し付け、その貸金債権の弁済期が到来した場合、AのBに対する賃料債権についてCが物上代位権を行使して差押えをした後は、Bは、Aに対する貸金債権を自働債権とし、Aの賃料債権を受働債権とする相殺をもって、Cに対抗することができない。

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一般債権者による差押えと物上代位権の行使 最三小判平成14年3月12日

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概要
転付命令に係る金銭債権(以下「被転付債権」という。)が抵当権の物上代位の目的となり得る場合においても、転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできず、差押命令及び転付命令が確定したときには、転付命令が第三債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできない。
判例
事案:転付命令に係る金銭債権が抵当権の物上代位の目的となり得る場合において、転付命令の効力と抵当権の物上代位の効力との優劣関係が問題となった。

判旨:「転付命令に係る金銭債権(以下「被転付債権」という。)が抵当権の物上代位の目的となり得る場合においても、転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできず、差押命令及び転付命令が確定したときには、転付命令が第三債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできないものと解すべきである。けだし、転付命令は、金銭債権の実現のために差し押さえられた債権を換価するための一方法として、被転付債権を差押債権者に移転させるという法形式を採用したものであって、転付命令が第三債務者に送達された時に他の債権者が民事執行法159条3項に規定する差押等をしていないことを条件として、差押債権者に独占的満足を与えるものであり(民事執行法159条3項、160条)、他方、抵当権者が物上代位により被転付債権に対し抵当権の効力を及ぼすためには、自ら被転付債権を差し押さえることを要し(最高裁平成13年(受)第91号同年10月25日第一小法廷判決・民集55巻6号975頁)、この差押えは債権執行における差押えと同様の規律に服すべきものであり(同法193条1項後段、2項、194条)、同法159条3項に規定する差押えに物上代位による差押えが含まれることは文理上明らかであることに照らせば、抵当権の物上代位としての差押えについて強制執行における差押えと異なる取扱いをすべき理由はなく、これを反対に解するときは、転付命令を規定した趣旨に反することになるからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H18 司法 第19問 ウ)
Aのために抵当権設定登記がされた後にBの一般債権者FがCに対する既発生の賃料債権を差し押さえ、その債権をFに転付する旨の命令が効力を生じた場合、Aは、同じ賃料債権を差し押さえて優先弁済を受けることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.12)は、「転付命令に係る金銭債権(以下「被転付債権」という。)が抵当権の物上代位の目的となり得る場合においても、転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできず、差押命令及び転付命令が確定したときには、転付命令が第三債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできないものと解すべきである。」と判示している。したがって、Aのために抵当権設定登記がされた後にBの一般債権者FがCに対する既発生の賃料債権を差し押さえ、その債権をFに転付する旨の命令が効力を生じた場合、Aは、同じ賃料債権を差し押さえて優先弁済を受けることができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第14問 4)
抵当権者は、一般債権者が物上代位権行使の目的となる債権を差し押さえて転付命令が第三債務者に送達された後であっても、自らその目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.12)は、「転付命令に係る金銭債権(以下「被転付債権」という。)が抵当権の物上代位の目的となり得る場合においても、転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできず、差押命令及び転付命令が確定したときには、転付命令が第三債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできないものと解すべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第12問 ウ)
抵当権者は、抵当権設定登記がされた後に物上代位の目的債権が転付命令の確定により差押債権者に移転した場合においても、目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.12)は、「転付命令に係る金銭債権(以下「被転付債権」という。)が抵当権の物上代位の目的となり得る場合においても、転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできず、差押命令及び転付命令が確定したときには、転付命令が第三債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできないものと解すべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 共通 第11問 エ)
AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され、その登記がされている。AのBに対する賃料債権をAの一般債権者Eが差し押さえて転付命令を取得し、その転付命令がBに送達された後は、Cは、同一の債権を差し押さえて物上代位権を行使してEに対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.12)は、「転付命令に係る金銭債権(以下「被転付債権」という。)が抵当権の物上代位の目的となり得る場合においても、転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできず、差押命令及び転付命令が確定したときには、転付命令が第三債務者に送達された時に被転付債権は差押債権者の債権及び執行費用の弁済に充当されたものとみなされ、抵当権者が被転付債権について抵当権の効力を主張することはできないものと解すべきである。」と判示している。したがって、AのBに対する賃料債権をAの一般債権者Eが差し押さえて転付命令を取得し、その転付命令がBに送達された後は、Cは、同一の債権を差し押さえて物上代位権を行使してEに対抗することができない。

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建物に設定した抵当権と土地の賃借権 最三小判昭和40年5月4日

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概要
借地上の建物が抵当権の目的となっている場合、原則として、建物の敷地利用権である借地権にも抵当権の効力が及ぶ。
判例
事案:借地上の建物が抵当権の目的となっている場合において、建物の敷地利用権である借地権にも抵当権の効力が及ぶかどうかが問題となった。

判旨:「土地賃借人の所有する地上建物に設定された抵当権の実行により、競落人が該建物の所有権を取得した場合には、民法612条の適用上賃貸人たる土地所有者に対する対抗の問題はしばらくおき、従前の建物所有者との間においては、右建物が取毀しを前提とする価格で競落された等特段の事情がないかぎり、右建物の所有に必要な敷地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である…。けだし、建物を所有するために必要な敷地の賃借権は、右建物所有権に付随し、これと一体となつて一の財産的価値を形成しているものであるから、建物に抵当権が設定されたときは敷地の賃借権も原則としてその効力の及ぶ目的物に包含されるものと解すべきであるからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H24 司法 第15問 2)
借地上の建物が抵当権の目的となっている場合、建物の敷地利用権である借地権にも抵当権の効力が及ぶ。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.5.4)は、借地上の建物が抵当権の目的となっている場合、原則として、建物の敷地利用権である借地権にも抵当権の効力が及ぶ旨判示している。


全体の正答率 : 0.0%

(H25 司法 第16問 2)
AがBから建物所有目的で土地を賃借し、その上にAが建てた甲建物にCのために抵当権を設定した場合、その抵当権の効力は甲建物の従たる権利である当該土地賃借権にも及び、抵当権実行としての競売がされた時に当該土地賃借権も甲建物の買受人Dに移転するから、Dは、Bの承諾がなくても、Bに対し、当該土地賃借権を甲建物の占有権原として主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.5.4)は、借地上の建物が抵当権の目的となっている場合、原則として、建物の敷地利用権である借地権にも抵当権の効力が及ぶ旨判示している。したがって、AがBから建物所有目的で土地を賃借し、その上にAが建てた甲建物にCのために抵当権を設定した場合、その抵当権の効力は甲建物の従たる権利である当該土地賃借権にも及び、抵当権実行としての競売がされた時に当該土地賃借権も甲建物の買受人Dに移転する。
しかし、612条1項は、「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」と規定しているところ、本肢におけるAからDへの土地賃借権の移転は、賃借権の譲渡に当たる。したがって、Dは、Bの承諾がなければ、Bに対し、当該土地賃借権を甲建物の占有権原として主張することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 共通 第14問 ウ)
借地上の建物について抵当権が設定された場合、抵当権の効力は、敷地の賃借権に及ぶことはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.5.4)は、借地上の建物が抵当権の目的となっている場合、原則として、建物の敷地利用権である借地権にも抵当権の効力が及ぶ旨判示している。

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土地賃貸借契約の合意解除と第三者に対する対抗要件 大判大正14年7月18日

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概要
土地を賃借し、その土地上に建物を所有している者が、その建物に抵当権を設定した場合には、土地の賃貸人が賃借人との合意により賃貸借契約を解除したとしても、土地の賃貸人は、当該解除による賃借権の消滅を抵当権者に対抗することができない。
判例
事案:土地を賃借し、その土地上に建物を所有している者が、その建物に抵当権を設定した場合において、土地の賃貸人が賃借人との合意により賃貸借契約を解除したとき、土地の賃貸人が、当該解除による賃借権の消滅を抵当権者に対抗することができるかが問題となった。

判旨:「建物ノ抵當權設定者カ元他人ノ土地ニ付適法ニ賃借權ヲ有セシカ爲其ノ地上ニ建物ヲ建設シ之ヲ抵當ト爲シタル場合ニ於テ其ノ後賃貸人タル土地所有者ト合意シ以テ賃貸借契約ヲ解除シタリトスルモ右賃貸借ノ終了ハ抵當權者ニ對抗スルヲ得サルモノト解スヘク從テ抵當權ノ實行ニ依リ該建物ノ競落シタル者ハ建物ノ所有權ヲ取得スルト同時ニ土地ノ所有者ニ對シ賃借人トシテ其ノ儘土地ヲ占有使用シ得ル權利アルモノト解スヘキナリ蓋シ斯ノ如ク解スルニ非サレハ土地ト建物ト其所有者ヲ異ニセル場合ニ建物ヲ抵當ト爲スコトハ實際上行ハレ難キニ至ルヘク我法制上建物ノミノ抵當ヲ認メタル立法ノ趣旨ニ副ハサルコトトナルヘケレハナリ尚此ノ事實タルヤ民法第388條第398條ノ規定ノ趣旨ヨリ推スモ察スルニ難カラス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第14問 ア)
Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した。A及びBは、土地賃貸借契約を合意解除した。この合意解除に基づいて土地賃貸借契約が終了したことを、BはCに対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大14.7.18)は、「建物ノ抵當權設定者カ元他人ノ土地ニ付適法ニ賃借權ヲ有セシカ爲其ノ地上ニ建物ヲ建設シ之ヲ抵當ト爲シタル場合ニ於テ其ノ後賃貸人タル土地所有者ト合意シ以テ賃貸借契約ヲ解除シタリトスルモ右賃貸借ノ終了ハ抵當權者ニ對抗スルヲ得サルモノト解ス…。」と判示している。したがって、Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した場合において、A及びBが、土地賃貸借契約を合意解除したとしても、この合意解除に基づいて土地賃貸借契約が終了したことを、BはCに対抗することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H26 共通 第14問 イ)
土地を賃借し、その土地上に建物を所有している者が、その建物に抵当権を設定した場合であっても、土地の賃貸人が賃借人との合意により賃貸借契約を解除したときは、土地の賃貸人は、その解除による賃借権の消滅を抵当権者に対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大14.7.18)は、「建物ノ抵當權設定者カ元他人ノ土地ニ付適法ニ賃借權ヲ有セシカ爲其ノ地上ニ建物ヲ建設シ之ヲ抵當ト爲シタル場合ニ於テ其ノ後賃貸人タル土地所有者ト合意シ以テ賃貸借契約ヲ解除シタリトスルモ右賃貸借ノ終了ハ抵當權者ニ對抗スルヲ得サルモノト解ス…。」と判示している。

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抵当権に基づく妨害排除請求権の行使 最一小判平成17年3月10日

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概要
①抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者であっても、抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けたものであり、その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができる。
②抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、当該占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる。
判例
事案:①所有者から占有権原の設定を受けて抵当不動産を占有する者に対して抵当権に基づく妨害排除請求をすることができるかが問題となった。
 ②抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合において、抵当権者が、当該占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるかが問題となった。

判旨:①「所有者以外の第三者が抵当不動産を不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができる(最高裁平成8年(オ)第1697号同11年11月24日大法廷判決・民集53巻8号1899頁)。そして、抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者についても、その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができるものというべきである。なぜなら、抵当不動産の所有者は、抵当不動産を使用又は収益するに当たり、抵当不動産を適切に維持管理することが予定されており、抵当権の実行としての競売手続を妨害するような占有権原を設定することは許されないからである。」
 ②「また、抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H18 司法 第10問 5)
抵当権の設定された土地が不法に占有されている場合、抵当権者は、その占有者に対し、抵当権に基づいて妨害の排除を求めることができるばかりでなく、自己に明渡しを求めることもできる。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.3.10)は、「所有者以外の第三者が抵当不動産を不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができる。」と判示している。したがって、本肢前段は正しい。
もっとも、同判例は、「抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。」と判示している。したがって、抵当権者が、抵当権に基づいて自己に明渡しを求めることができるのは、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合に限定され、無条件で明渡しを求めることはできない。よって、本肢後段は誤っている。


全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第14問 エ)
Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した。AがFに対して、抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的で甲建物を賃貸した場合、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態のときでも、Cは抵当権に基づく妨害排除請求権を行使してFに対し直接自己に甲建物の明渡しを求めることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.3.10)は、「抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者についても、その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができるものというべきである。」と判示した上で、「抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。」と判示している。
本肢においては、AがFに対して、抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的で甲建物を賃貸しているから、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合に当たるといえる。したがって、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態のときは、Cは抵当権に基づく妨害排除請求権を行使してFに対し直接自己に甲建物の明渡しを求めることができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第7問 エ)
判例によれば、抵当不動産の所有者Aから占有権原の設定を受けてこれを占有するBに対し、抵当権者Cが抵当権に基づく妨害排除請求権を行使することができる場合、Aにおいて抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できないときには、Cは、Bに対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.3.10)は、「抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。」と判示している。したがって、抵当権者Cが抵当権に基づく妨害排除請求権を行使することができる場合、Aにおいて抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できないときには、Cは、Bに対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを請求することができる。


全体の正答率 : 50.0%

(H30 司法 第12問 オ)
抵当権者は、目的物が不法に占有された場合であっても、不法占有者に対して、抵当権に基づいて目的物を直接自己に明け渡すよう求めることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.3.10)は、「所有者以外の第三者が抵当不動産を不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができる…。」と判示した上で、「抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。」と判示している。したがって、抵当権者は、目的物が不法に占有された場合、不法占有者に対して、抵当権に基づいて目的物を直接自己に明け渡すよう求めることができる場合がある。

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抵当権設定登記の流用 大判昭和11年1月14日

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概要
弁済等によって消滅した抵当権の登記を、当事者が合意により新たに設定した抵当権の登記として流用した場合、流用後に流用登記が有効であることを前提に出現した第三者との関係だけが問題となるときは、その利益を害するわけではないから、対抗力を認めてよい。
判例
事案:弁済等によって消滅した抵当権の登記を、当事者が合意により新たに設定した抵当権の登記として流用した場合において、その登記は有効であるか、仮に有効であるとして第三者との関係で対抗力を有するかが問題となった。

判旨:「上告理由ハ原判決ハ「成立ニ争ナキ乙第一号証ノ二ニ原審ニ於ケル証人住田清人及被控訴本人各訊問ノ結果ヲ綜合スレハ訴外住田清人ハ右五百五十円ノ債務ニ充当セムカ為昭和六年八月三日新ニ本件不動産ニ抵当権ヲ設定シ被控訴人ヨリ金五百五十円ヲ借受ケ其ノ中金百十円ヲ木谷春一ニ交付シ以テ同人ニ対スル昭和四年十一月二十八日成立ニ係ル前記金五百五十円ノ債務及抵当権全部ヲ消滅セシメタルカ被控訴人及木谷春一、住田清人ハ該抵当権設定登記ヲ抹消シ新ニ被控訴人ノ為抵当権設定登記ヲ為スノ手数ト登記料ヲ節約スルノ目的ヲ以テ木谷春一、住田清人間ノ既存ノ抵当権設定登記ヲ新ニ為スヘキ被控訴人住田清人間ノ抵当権設定登記ニ流用スヘキ旨特約シ同日被控訴人ハ木谷春一ヨリ既ニ弁済ニ因リ消滅シタル同人住田清人間ノ前記債権及抵当権ヲ譲受ケタルカ如ク形式ヲ整ヘ以テ同月六日前段認定ニ係ル広島区裁判所可部出張所受附第二五四八号ヲ以テ其ノ旨ノ登記ヲ為シタル事実ヲ認メ得ヘク被控訴人ノ立証ニ依リテハ未タ右認定ヲ覆スニ足ラス」ト判示シ被上告人ノ主張事実ノミニ付判断ヲ為シ被上告人主張事実ヲ肯認セラレタリ然レトモ上告人ハ原判決事実摘示ニ記載アルカ如ク上告人ハ昭和六年八月三日住田清人ヨリ金五百五十円借用方ノ申込ヲ受ケタルヲ以テ右金員ヲ同人ニ貸与シタルカ其ノ際上告人及木谷春一ハ昭和四年十一月二十八日住田清人、木谷春一間ノ設定ニ係ル抵当権ノミヲ上告人ノ右五百五十円ノ債権ノ為譲渡シ住田清人ハ該抵当権ヲ以テ上告人対同人間ノ債権全部ヲ担保スルコトトナシタルヲ以テ本来ナラハ上告人ノ右債権ノ為該抵当権ノ譲渡アリタル旨ノ登記ヲ為スヘキトコロ木谷、住田間ノ債権額ト上告人住田間ノ債権額トカ彼此同一ナリシヲ以テ形式上木谷春一ヨリ同人カ住田清人ニ対シテ有スル昭和四年十一月二十八日成立ニ係ル金五百五十円ノ債権ト共ニ右抵当権ノ譲渡ヲ受ケタルモノトシ昭和六年八月六日其ノ旨ノ登記ヲ為シタルニ過キス而シテ其ノ後住田清人ハ上告人ヨリ借受ケタル金員中ヨリ木谷春一ニ対シ残債務百十円ヲ弁済シタルヲ以テ木谷春一ニ対スル債務ハ消滅シタルモ上告人ハ住田清人ニ対シ金五百五十円ノ債権並抵当権ヲ有スルモノナルヲ以テ結局本件登記ハ事実ニ吻合スルモノト謂フヘク被上告人ヨリ之カ抹消ヲ請求セラルヘキ筋合ニ非スト抗弁シタルニ対シテハ原判決ハ何等ノ判断ヲ加ヘラレス然レトモ上告人ノ右抗弁事実ノ如シトスレハ本件抵当権ハ有効ニ存在スルモノニシテ被上告人ノ請求ハ当然排斥セラルヘキ筋合ナリ而シテ第一審証人住田清人ノ証言ニ拠レハ右抵当権譲渡ノ事実ヲ認ムルニ充分ナリ然ラハ右抗弁事実ニ対スル判断ハ判決ノ結果ニ重大ナル影響アルヤ勿論ナレハ右抗弁事実ニ対スル判断遺脱ハ理由不備ノ違法アルニ帰シ破毀ヲ免レサルモノナリト信スト云フニアリ」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第15問 エ)
債務者A所有の不動産上にYが第1順位、Xが第2順位の根抵当権でない抵当権の設定を受け、それぞれ設定登記を行った後、AがYに対する被担保債権をいったん弁済し、その後YがAに同額の新たな貸付を行い、抹消されていなかった第1順位の登記を合意の上新たな貸付債権の担保として流用することにした場合、Xは、Yの抵当権設定登記の抹消を求めることができない。

(正答)

(解説)
弁済等によって消滅した抵当権の登記を、当事者が合意により新たに設定した抵当権の登記として流用した場合、本来は無効な登記であるから、当事者間ではともかく、第三者との関係では原則として無効というべきである。もっとも、流用後に流用登記が有効であることを前提に出現した第三者との関係だけが問題となるときは、その利益を害するわけではないから、対抗力を認めてよい。古い判例(大判昭11.1.14)にもその旨判示したものがある(内田貴「民法Ⅲ 債権総論・担保物権」第4版404頁、道垣内弘人「担保物権法」第4版106頁)。したがって、AがYに対する被担保債権をいったん弁済し、その後YがAに同額の新たな貸付を行い、抹消されていなかった第1順位の登記を合意の上新たな貸付債権の担保として流用することにした場合、当該流用以前にすでに第2順位の抵当権の設定を受けていたXとの関係では、当該流用登記は無効であるから、Xは、Yの抵当権設定登記の抹消を求めることができる。

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借地権の登記と借地上の建物を目的とする抵当権との関係 大判大正11年11月24日

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概要
借地権者が借地上の建物に抵当権を設定した後に借地権を放棄した場合に、そのことを抵当権者及びその実行により競落人となった者に対抗できるかが問題となった。
判例
事案:借地権者が借地上の建物に抵当権を設定した後に借地権を放棄した場合に、そのことを抵当権者及びその実行により競落人となった者に対抗できるかが問題となった。

判旨:「権利カ其ノ性質上抛棄スルヲ得サルモノニ非サル限リ権利者ニ於テ之ヲ抛棄スルコトハ原則トシテ自由ナリト雖今若シ此ノ権利ヲ基本トシテ始メテ存立シ得ラレ若クハ其ノ相当価額ヲ保有スルヲ得ル権利ヲ第三者カ有スル場合ニ於テモ亦抛棄ハ絶対ニ有効ナリトセムカ第三者ノ権利ハ其ノ基本ヲ失フ結果或ハ全ク存立スルヲ得サルニ至リ若クハ著シク其ノ価額ヲ減シ為ニ不測ノ損害ヲ第三者ニ蒙ラシムルニ至ルヘキヲ以テ斯ル場合ニハ権利者ノ為シタル抛棄ハ何人モ之ヲ以テ右ノ第三者ニ対抗スルヲ得サルモノト云ハサルヘカラス夫ノ民法第三百九十八条ノ如キハ畢竟是原則ノ一適用ニ外ナラス本件ニ於テ訴外八百板梅三ハ本件土地ニ対シ借地権ヲ有シ且同地上ニ建物ヲ所有シ此ノ建物ニ対シテ抵当権ヲ設定シタルモノナルカ故ニ同人ノ為シタル前記借地権ノ抛棄ハ抵当権者ニ対抗スルヲ得サルモノト云ハサルヘカラサルコトハ之ヲ以上ノ説示ニ照シ明白ナリ蓋借地権アレハコソ地上ノ建物ハ其ノ相当価額ヲ保有スルヲ得ルモノナルヲ以テ若シ此ノ借地権ノ抛棄ニシテ絶対ニ有効ナルモノトセムカ建物ノ価額ハ激落ヲ来シ抵当権ヲシテ殆ント有名無実ニ了ラシムルニ至ルヘケレハナリ果シハ然ラハ右ノ抛棄ハ抵当権実行ノ結果建物ノ競落人ト為リタル者ニモ亦之ヲ対抗スルヲ得サルコト疑ヲ容レサルカ故ニ之ト反対ノ見解ヲ前提トスル本訴請求ハ到底之ヲ是認スルヲ得サルコト多言ヲ俟タス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第8問 オ)
A所有の甲土地についてBが建物所有目的で地上権の設定を受けてその旨の登記がされ、甲土地上にBが乙建物を建築して所有権保存登記がされた後に、乙建物にCのための抵当権が設定され、その旨の登記がされた。その後、Bは、Aに対し、その地上権を放棄する旨の意思表示をした。この抵当権が実行され、Dが乙建物を取得した場合、Dは、Aに対し、地上権を主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大11.11.24)は、本肢と同種の事案において、借地権者が借地上の建物に抵当権を設定した後に借地権を放棄しても、そのことを抵当権者及びその実行により競落人となった者に対抗することはできず、それは、抵当権を設定した地上権・永小作権の放棄は抵当権者に対抗できないと定めた民法398条の背後にある原則からして当然だとしている(内田貴「民法Ⅲ 債権総論・担保物権」第4版494頁)。したがって、本肢においても、Bは地上権の放棄を競落人であるDに対抗することができないから、Dは、Aに対し、地上権を主張することができる。

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先順位共同抵当権者が抵当権の一部を放棄した場合における次順位抵当権者との優劣 最一小判昭和44年7月3日

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概要
甲乙不動産の先順位共同抵当権者が、甲不動産には次順位の抵当権が設定されているのに、乙不動産の抵当権を放棄し、甲不動産の抵当権を実行した場合であっても、乙不動産が物上保証人の所有であるときは、先順位抵当権者は、甲不動産の代価から自己の債権の全額について満足を受けることができ、一方、後順位抵当権者は物上保証人所有の土地に対する抵当権について代位することができない。
判例
事案:甲乙不動産の先順位共同抵当権者が、甲不動産には次順位の抵当権が設定されているのに、乙不動産の抵当権を放棄し、甲不動産の抵当権を実行した場合において、乙不動産が物上保証人の所有であるとき、甲不動産の後順位抵当権者が物上保証人所有の土地に対する抵当権について代位することができるかどうかが問題となった。

判旨:「債権者が…甲、乙2個の不動産に第1順位の共同抵当権を有し、その後右甲不動産に第2順位の抵当権が設定された場合、共同抵当権者が甲不動産についてのみ抵当権を実行したと…い…う…例で乙不動産が第三者の所有であつた場合に、たとえば、共同抵当権者が乙不動産のみについて抵当権を実行し、債権の満足を得たときは、右物上保証人は、民法500条により、右共同抵当権者が甲不動産に有した抵当権の全額について代位するものと解するのが相当である。けだし、この場合、物上保証人としては、他の共同抵当物件である甲不動産から自己の求償権の満足を得ることを期待していたものというべく、その後に甲不動産に第2順位の抵当権が設定されたことにより右期待を失わしめるべきではないからである(大審院昭和2年(オ)第933号、同4年1月30日判決参照)。これを要するに、第2順位の抵当権者のする代位と物上保証人のする代位とが衝突する場合には、後者が保護されるのであつて、甲不動産について競売がされたときは、もともと第2順位の抵当権者は、乙不動産について代位することができないものであり、共同抵当権者が乙不動産の抵当権を放棄しても、なんら不利益を被る地位にはないのである。したがつて、かような場合には、共同抵当権者は、乙不動産の抵当権を放棄した後に甲不動産の抵当権を実行したときであつても、その代価から自己の債権の全額について満足を受けることができるというべきであり、このことは、保証人などのように弁済により当然甲不動産の抵当権に代位できる者が右抵当権を実行した場合でも、同様である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R5 司法 第14問 イ)
Aは、Bに対して有するα債権の担保として、甲土地及び乙土地について第1順位の抵当権を共同抵当として有している。甲土地がBの所有であり、乙土地がCの所有であって、甲土地には第2順位の抵当権者Dがいる場合において、Aが甲土地のみについて抵当権を実行し、その代価からα債権の全部の弁済を受けたときは、Dは、乙土地についてAに代位してその抵当権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.7.3)は、本肢と同種の事案において、甲乙不動産の先順位共同抵当権者が、甲不動産には次順位の抵当権が設定されているのに、乙不動産の抵当権を放棄し、甲不動産の抵当権を実行した場合であっても、乙不動産が物上保証人の所有であるときは、後順位抵当権者は物上保証人所有の土地に対する抵当権について代位することができない旨判示している。したがって、甲土地がBの所有であるのに対し、乙土地が物上保証人Cの所有であるならば、Aが甲土地のみについて抵当権を実行し、その代価からα債権の全部の弁済を受けたとき、Dは、乙土地についてAに代位してその抵当権を行使することができない。

該当する過去問がありません

利息・損害金の支払いによる抵当権の消滅請求 大判大正4年9月15日

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概要
債務者及びその物上保証人は、被担保債権及び利息債権の全額を弁済しなければ抵当権の消滅をさせることができない。
判例
事案:債務者及びその物上保証人が抵当権を消滅させるには、元本債権だけでなく、利息、損害金の全額を弁済しなければならないのかが問題となった。

判旨:「民法第374条第1項ニ抵当権者カ利息其他ノ定期金ヲ請求スル権利ヲ有スルトキハ其満期ト為リタル最後ノ2年分ニ付テノミ其抵当権ヲ行フコトヲ得ト規定シタルハ惟フニ抵当権者カ其元本債権ト共ニ利息其他ノ定期金ノ請求債権ヲ有スルトキハ定期金債権ハ之ト一体ヲ為ス元本債権ト同順位ニ於テ抵当権ノ目的物ニ付キ優先弁済ヲ受クヘキ権利ヲ有スヘキハ至当ノ条理ナリト雖モ時ノ経過ニ従ヒ其額ヲ増大スヘキ定期金債権ニ付キ此条理ヲ貫徹スルニ於テハ後順位ノ抵当権者ノ債権ノ担保範囲ヲ不安ナラシメ引テ一般債権者ニモ不測ノ損害ヲ蒙ムラシムルニ至ルヘキヲ以テ定期金債権ニ付キ原本債権ト同一順位ニ於テ抵当権者ノ行使シ得ヘキ抵当権ノ範囲ヲ満期ト為リタル最後ノ2年分ニ制限シ因テ他ノ債権者ノ権利ヲ保護セントスル立法ノ趣旨ニ出テタルニ外ナラスシテ之カ為メ抵当権設定者ノ抵当権者ニ対スル関係ニ於テ担保債権ノ範囲ヲ制限スルモノニアラス是レ同項但書ノ文旨ニ徴スルモ明ナリ蓋シ同項但書ニ依レハ定期金ノ債権ニ付テハ其満期ト為リタル最後ノ2年分ヨリ以前ノ部分ニ付テモ特ニ抵当権設定行為ヲ要セス壇ニ満期後特別ノ登記ヲ為スノミニ依リ其順位ヲ以テ抵当権ヲ行使シ得ヘキコトヲ明ニセルニ鑑ムルモ特別ノ登記ヲ為スニアラスンハ他ノ債権者ニ対シ優先弁済ヲ受クルヲ得サルニ止マリ設定当事者間ニ於テハ抵当権ニ依リ担保セラレタル定期金債権ノ存在セルコトヲ前提トセル法意ノ存スル所以ヲ推知スルニ足ルヲ以テナリ従テ抵当権ヲ設定シタル債務者又ハ第三者ハ抵当権者ニ対シ原本債権ト共ニ満期ト為リタル定期金ノ全額ヲ弁済スルニアラサレハ抵当権ヲ消滅セシムルコト能ハサルハ勿論ナルヲ以テ之カ地位ヲ承継シタル抵当不動産ノ第三取得者モ亦之ト同一金額ノ代位弁済ヲ為スニアラサレハ抵当権者ニ対シ抵当権消滅ヲ原因トシテ之カ登記抹消ヲ訴求スヘキ権利ナキヤ明ナリトス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H29 予備 第6問 ウ)
AのBに対する債権を被担保債権として、C所有の甲土地について抵当権(以下「本件抵当権」という。)が設定され、その旨の登記がされている。本件抵当権が根抵当権でない場合において、AがBに対して被担保債権として元本債権のほか3年分の利息債権を有しているときは、Cは、Aに対して、元本債権のほかその最後の2年分の利息債権を弁済すれば、本件抵当権を消滅させることができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大4.9.15)は、債務者及びその物上保証人は、被担保債権及び利息債権の全額を弁済しなければ抵当権の消滅をさせることができない旨判示している。したがって、本件抵当権が根抵当権でない場合において、AがBに対して被担保債権として元本債権のほか3年分の利息債権を有しているときは、Cは、Aに対して、元本債権のほかその3年分の利息債権全額を弁済しなければ、本件抵当権を消滅させることができない。

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土地と建物を所有する者が土地に抵当権を設定した後に建物を第三者に売り渡した場合における法定地上権の成否 大連判大正12年12月14日

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概要
抵当権設定時に土地と建物の所有者が同一であれば、その後、建物の所有者が変わった後に抵当権が実行されても、法定地上権は成立する。
判例
事案:抵当権設定時に土地と建物の所有者が同一である場合に、その後、建物の所有者が変わった後に抵当権が実行されたとき、法定地上権が成立するかどうかが問題となった。

判旨:「土地及其ノ上ニ存スル建物ノ所有者カ土地又ハ建物ノミヲ抵当ト為シ其ノ一カ抵当権ニ基キ競売セラレ二者其ノ所有者ヲ異ニスルニ至リタル場合ニ於テ建物ノ所有者ハ土地使用ノ権利ナキノ故ヲ以テ建物ヲ収去スルヲ免レスト為サンカ建物ノ利用ヲ害シ一般経済上不利ナルコト論ヲ俟タス民法第388条ハ此ノ不利ヲ避ケンカ為ニ建物所有者ニ地上権ヲ附与シタルモノナレハ土地ノミヲ抵当ト為シタル場合ニ於テハ同条ニ依リ地上権ヲ有スヘキ者ハ競売ノ時ニ於ケル建物所有者ナラサルヘカラス其ノ抵当権設定者タルト否トハ問フ所ニ非ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第15問 4)
Aが所有する土地上に、A所有の建物が建てられ、続けて、土地にBのための抵当権が設定され、さらに、AがDに対し建物を譲渡するとともに、AD間で土地の賃貸借契約が締結された後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大連判大12.12.14)は、本肢と同種の事案において、抵当権設定時に土地と建物の所有者が同一であれば、その後、建物の所有者が変わった後に抵当権が実行されても、法定地上権は成立する旨判示している。したがって、本肢においても、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権が成立する。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第15問 ア)
甲土地及びその土地上の乙建物を所有していたAが、甲土地に抵当権を設定した後に、乙建物を第三者に譲渡した。その後、抵当権が実行されCが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大連判大12.12.14)は、本肢と同種の事案において、抵当権設定時に土地と建物の所有者が同一であれば、その後、建物の所有者が変わった後に抵当権が実行されても、法定地上権は成立する旨判示している。したがって、本肢においても、抵当権が実行されCが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。

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借地人が借地上の建物に一番抵当権を設定した後に土地の所有権を取得し、建物に二番抵当権を設定した場合における法定地上権 大判昭和14年7月26日

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概要
建物に対する第1順位の抵当権設定時点で土地と建物の所有者が異なり、建物に対する第2順位の抵当権設定時点で土地と建物が同一の所有者に帰属していた場合、第1順位の抵当権を実行したときには、法定地上権が成立する。
判例
事案:建物に対する第1順位の抵当権設定時点で土地と建物の所有者が異なり、建物に対する第2順位の抵当権設定時点で土地と建物が同一の所有者に帰属していた場合において、第1順位の抵当権を実行したときに、法定地上権が成立するかどうかが問題となった。

判旨:「法定地上権ニ関スル民法第388条立法ノ趣旨ハ畢意競売ノ結果土地ト建物トカ其ノ所有者ヲ異ニスルニ至リタル場合依然建物ヲ建物トシテ其ノ敷地上ニ存置セシメ以テ之カ所有者並国家経済上ノ利益ヲ保護スルト共ニ延テ抵当権ノ効力ヲ全フセシメントノ律意ニ他ナラスト解スヘク従テ苟クモ本件建物カAニ対シ其ノ抵当権設定アリタル当時ニ於テ該建物所在ノ本件宅地並右建物カ何レモ抵当債務者タルBノ所有ニ属シ居タルコト上掲ノ如クナル以上仮令原審認定ノ如ク本件競売カ他ノ抵当権者即未タ宅地カ右Cノ所有ニ属セサル当時設定セラレタル抵当権者Dノ申立ニ因リタル場合ト雖モ仍前示法条ノ適用アルヘキト同時ニ縦ヘ右競売当時土地ト建物トカ其ノ所有者ヲ異ニスルニ至リタル場合ト雖モ右法条ノ適用ヲ左右スルニ足ラサルヤ多ク疑ヲ容ルヘカラス蓋シ民法第388条ニ所謂競売ノ場合中ヨリ如上ノ場合ヲ除外スヘキモノトセンカ為メニ前示立法ノ目的ハ之ヲ貫徹スルニ由ナキコト敢テ多言ヲ俟タサルヘケレハナリ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(R4 司法 第15問 エ)
A所有の甲土地を賃借してその土地上に乙建物を所有していたBが、乙建物に第1順位の抵当権を設定した後、甲土地をAから譲り受け、次いで乙建物に第2順位の抵当権を設定した。その後、第1順位の抵当権が実行され、Cが乙建物を取得したときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判昭14.7.26)は、本肢と同種の事案において、建物に対する第1順位の抵当権設定時点で土地と建物の所有者が異なり、建物に対する第2順位の抵当権設定時点で土地と建物が同一の所有者に帰属していた場合、第1順位の抵当権を実行したときには、法定地上権が成立する旨判示している。したがって、本肢においても、第1順位の抵当権が実行され、Cが乙建物を取得したときは、法定地上権が成立する。

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建物に保存登記がなされていない場合の法定地上権 大判昭和14年12月19日

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概要
土地の抵当権設定当時その土地上の建物に保存登記がなかった場合でも、法定地上権が成立する。
判例
事案:土地の抵当権設定当時その土地上の建物に保存登記がなかった場合でも、法定地上権が成立するかどうかが問題となった。

判旨:「民法第388条ハ土地及其ノ地上ノ建物ヲ所有スル者カ土地又ハ建物ノミニ付キ抵当権ヲ設定シタルトキハ競売ノ結果其ノ所有者ヲ異ニスルノ結果ヲ生スヘク斯ル場合ニ於テハ建物ハ之ヲ該地上ヨリ収去スルコトヲ要シ建物トシテ之ヲ利用スルノ由ナキニ至ルヲ以テ国家経済上ノ見地ヨリ建物ノ所有者ノ為メニ地上権ヲ設定シタルモノト見做シ建物トシテノ利用ヲ全タカラシメントスル趣旨ニ出テタルモノナリ而シテ本件ノ場合ノ如ク土地ノミニ付キ抵当権ヲ取得シタル者ハ最初抵当権ノ設定ヲ受ケタルモノナルト後日其ノ権利ヲ譲受ケタルモノナルトヲ問ハス該地上ニ建物ノ存在シタル事実ハ之ヲ了知セルコトヲ通常ノ事例トスル力故ニ競売ノ場合ニ於テ建物ヲ所有スル何人カカ其ノ土地ニ付キ地上権ヲ取得スヘキコトハ当然予期スヘキ所ニシテ斯ル土地ヲ競落シタルモノモ亦同様ナリト謂ハサルヘカラス即チ甲タルト乙タルトヲ問ハス競売ノ当時該建物ヲ所有スル何人カカ存在シ地上権ヲ取得スヘキコトハ之ヲ予期セサルヘカラス然ルニ所有権保存登記ナルモノハ特定ノ所有者カ其ノ所有権ヲ第三者ニ対抗スルノ手段ナレハ建物ニ付キ所有権保存登記ノ存スルト否トハ叙上ノ場合ニ於ケル地上権ノ取得トハ自ラ別個ノ問題ナリト謂フヘク土地ノ抵当権者又ハ競落人ハ保存登記ノ欠缺ヲ主張スルニ付キ正当ノ利益ヲ有セサルモノナリ之ヲ要スルニ抵当権設定当時又ハ其ノ移転登記ノ当時建物ニ付所有権保存登記ノ存セサルコトハ競売ノ場合ニ於テ建物ノ所有者カ地上権ヲ取得スルノ妨ケトナルヘキモノニアラス故ニ論旨ハ理由ナシ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H26 司法 第15問 3)
Aが所有する甲土地上に、A所有の乙建物が存在し、その後、甲土地にBのための抵当権が設定され、抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になった場合、Aが乙建物の所有権の登記をしていなかったときは、甲土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭14.12.19)は、本肢と同種の事案において、土地の抵当権設定当時その土地上の建物に保存登記がなかった場合でも、法定地上権が成立する旨判示している。したがって、Aが乙建物の所有権の登記をしていなかったとしても、甲土地に乙建物のための法定地上権が成立する。

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土地の共有と法定地上権 最一小判昭和29年12月23日

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概要
388条により法定地上権が発生するべき事由が、土地の共有者の1人だけについて生じた場合おいては、法定地上権は成立しない。
判例
事案:388条により法定地上権が発生するべき事由が、土地の共有者の1人だけについて生じた場合において、法定地上権が発生するかが問題となった。

判旨:「元来共有者は、各自、共有物について所有権と性質を同じくする独立の持分を有しているのであり、しかも共有地全体に対する地上権は共有者全員の負担となるのであるから、共有地全体に対する地上権の設定には共有者全員の同意を必要とすること原判決の判示前段のとおりである。換言すれば、共有者中一部の者だけがその共有地につき地上権設定行為をしたとしても、これに同意しなかつた他の共有者の持分は、これによりその処分に服すべきいわれはないのであり、結局右の如く他の共有者の同意を欠く場合には、当該共有地についてはなんら地上権を発生するに由なきものといわざるを得ないのである。
 そして、この理は民法388条のいわゆる法定地上権についても同様であり偶々本件の如く、右法条により地上権を設定したものと看做すべき事由が単に土地共有者の1人だけについて発生したとしても、これがため他の共有者の意思如何に拘わらずそのものの持分までが無視さるべきいわれはないのであつて、当該共有土地については地上権を設定したと看做すべきでないものといわなければならない。…けだし同条が建物の存在を全うさせようとする国民経済上の必要を多分に顧慮した規定であることは疑を容れないけれども、しかし同条により地上権を設定したと看做される者は、もともと当該土地について所有者として完全な処分権を有する者に外ならないのであつて、他人の共有持分につきなんら処分権を有しない共有者に他人の共有持分につき本人の同意なくして地上権設定等の処分をなし得ることまでも認めた趣旨でないことは同条の解釈上明白だからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H30 共通 第14問 オ)
AとBが共有する甲土地上にAが所有する乙建物があるところ、Aが甲土地の共有持分について抵当権を設定した場合において、抵当権の実行によりCがその共有持分を取得したときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.12.23)は、本肢と同種の事案において、388条により法定地上権が発生するべき事由が、土地の共有者の1人だけについて生じた場合おいては、法定地上権は成立しない旨判示している。したがって、AとBが共有する甲土地上にAが所有する乙建物があるところ、Aが甲土地の共有持分について抵当権を設定した場合において、抵当権の実行によりCがその共有持分を取得したときは、法定地上権が成立する。

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抵当権の実行と法定地上権 最二小判昭和36年2月10日

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概要
土地に対する抵当権設定の当時、当該建物は未だ完成しておらず、更地としての評価に基づき抵当権を設定したことが明らかであるときは、たとえ抵当権者において同建物の築造をあらかじめ承認した事実があっても、法定地上権は成立しない。
判例
事案:土地に対する抵当権設定の当時、当該建物は未だ完成しておらず、更地としての評価に基づき抵当権を設定したことが明らかである場合において、抵当権者において同建物の築造をあらかじめ承認した事実があるときに、法定地上権が成立するかどうかが問題となった。

判旨:「民法388条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要するものであつて、抵当権設定後土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないものと解するを相当とする。然るに本件建物は本件土地に対する抵当権設定当時完成していなかつたことは原審の確定するところであり、また被上告人が本件建物の築造を予め承認した事実があつても、原判決認定の事情に照し本件抵当権は本件土地を更地として評価して設定されたことが明らかであるから、民法388条の適用を認むべきではな…い。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第15問 1)
Aが所有する土地に、その更地としての評価に基づき、Bのための抵当権が設定され、続けて、土地上にA所有の建物が建てられた後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.2.10)は、「民法388条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要するものであつて、抵当権設定後土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Aが所有する土地に、その更地としての評価に基づき、Bのための抵当権が設定されている以上、続けて、土地上にA所有の建物が建てられた後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になったとしても、土地に建物のための法定地上権は成立しない。


全体の正答率 : 50.0%

(H26 司法 第15問 1)
Aが所有する甲土地に、その更地としての評価に基づき、Bのための抵当権が設定され、その後、甲土地上にA所有の乙建物が建てられた後、抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になった場合、Bが抵当権設定時、甲土地上にA所有の乙建物が建てられることをあらかじめ承諾していたとしても、甲土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.2.10)は、「民法388条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要するものであつて、抵当権設定後土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないものと解するを相当とする。…被上告人が本件建物の築造を予め承認した事実があつても、…本件抵当権は本件土地を更地として評価して設定されたことが明らかであるから、民法388条の適用を認むべきではな…い。」と判示している。したがって、Aが所有する甲土地に、その更地としての評価に基づき、Bのための抵当権が設定されている以上、その後、甲土地上にA所有の乙建物が建てられた後、抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になった場合において、Bが抵当権設定時、甲土地上にA所有の乙建物が建てられることをあらかじめ承諾していたとしても、甲土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。

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土地と建物の共同抵当と法定地上権 最三小判昭和37年9月4日

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概要
土地と建物に共同抵当が設定された場合でも法定地上権が成立する。
判例
事案:土地と建物に共同抵当が設定された場合、388条の「土地又は建物につき抵当権が設定され」の文言に反し、法定地上権が成立しないのではないか問題となった。

判旨:「民法388条は、土地建物の両方が同時に抵当権の目的となっている場合の規定ではないから、右の場合にも類推適用した原判決は、不当に右規定を拡張解釈したものであり、土地所有者の所有権を犯し憲法29条に違反するものであるという。しかしながら、民法388条の適用は、右のような場合でも妨げないことについては、すでに大審院判例(明治38年9月22日、同年(オ)第327号事件判決、昭和6年10月29日、同年(オ)第866号事件判決参照)の認めるところであり、本件においてこれを変更するの要をみない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第15問 3)
Aが所有する土地上に、A所有の建物が建てられ、続けて、土地と建物にBのための抵当権が共同抵当として設定された後、土地の抵当権のみが実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.9.4)は、本肢と同種の事案において、土地と建物に共同抵当が設定された場合でも法定地上権が成立する旨判示している。したがって、土地と建物にBのための抵当権が共同抵当として設定された後、土地の抵当権のみが実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権が成立する。

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抵当権の実行と土地と建物が同一人所有になった場合における法定地上権の成否 最二小判昭和44年2月14日

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概要
抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合においては、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際、同土地及び建物が同一人の所有に帰していても、388条の規定は適用又は準用されず、法定地上権は成立しない。
判例
事案:抵当権設定時に土地及び建物の所有者が異なっていたが、その抵当権の実行による競落の際、同一人の所有に帰していた場合に法定地上権が成立するか問題となった。

判旨:「本件のように、抵当権設定当時において土地および建物の所有者が各別である以上、その土地または建物に対する抵当権の実行による競落のさい、たまたま、右土地および建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、民法388条の規定が適用または準用されるいわれはなく、これと同一の判断を示した原判決…の結論は、相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第14問 ウ)
Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した。AがBに対し、甲建物を売り渡した後、抵当権が実行され、甲建物をEが買い受けた場合、法定地上権は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.2.14)は、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合においては、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際、同土地及び建物が同一人の所有に帰していても、388条の規定は適用又は準用されず、法定地上権は成立しない旨判示している。本肢においても、Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した後、AがBに対し、甲建物を売り渡しているから、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合であるといえる。したがって、その後、抵当権が実行され、甲建物をEが買い受けた場合においては、法定地上権は成立しない。


全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第15問 2)
Aが所有する土地上に、土地の使用借主であるDが所有する建物が建てられ、続けて、土地にBのための抵当権が設定され、さらに、Dが死亡したためDの単独相続人であるAが建物を相続した後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.2.14)は、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合においては、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際、同土地及び建物が同一人の所有に帰していても、388条の規定は適用又は準用されず、法定地上権は成立しない旨判示している。本肢においても、Aが所有する土地上に、土地の使用借主であるDが所有する建物が建てられ、続けて、土地にBのための抵当権が設定され、その後、さらに、Dが死亡したためDの単独相続人であるAが建物を相続したのであるから、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合であるといえる。したがって、その後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合においては、土地に建物のための法定地上権は成立しない。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第15問 イ)
A所有の甲土地を賃借してその土地上に乙建物を所有していたBが乙建物に抵当権を設定した後、Aが乙建物の所有権を取得した。その後、抵当権が実行されCが乙建物を取得したときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.2.14)は、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合においては、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際、同土地及び建物が同一人の所有に帰していても、388条の規定は適用又は準用されず、法定地上権は成立しない旨判示している。本肢においても、A所有の甲土地を賃借してその土地上に乙建物を所有していたBが乙建物に抵当権を設定した後、Aが乙建物の所有権を取得しているから、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合であるといえる。したがって、その後、抵当権が実行されCが乙建物を取得したとしても、法定地上権は成立しない。

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先順位抵当設定当時更地だった場合における後順位抵当権者の抵当権実行と法定地上権 最三小判昭和47年11月2日

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概要
土地に対する第1順位の抵当権の設定当時その地上に建物がなく、第2順位の抵当権の設定当時には建物が建築されていた場合に、第2順位の抵当権者の申立により土地が競売されたときは、仮に先順位の抵当権者が建物の建築を承認した事実があっても、同建物のため法定地上権が成立するものではない。
判例
事案:土地に対する第1順位の抵当権の設定当時その地上に建物がなく、第2順位の抵当権の設定当時には建物が建築されていた場合において、第2順位の抵当権者の申立により土地が競売されたとき、法定地上権が成立するかが問題となった。

判旨:「土地の抵当権設定当時、その地上に建物が存在しなかったときは、民法388条の規定の適用はないものと解すべきところ、土地に対する先順位抵当権の設定当時、その地上に建物がなく、後順位抵当権設定当時には建物が建築されていた場合に、後順位抵当権者の申立により土地の競売がなされるときであっても、右土地は先順位抵当権設定当時の状態において競売されるべきものであるから、右建物のため法定地上権が成立するものではないと解される。また、右の場合において、先順位抵当権者が建物の建築を承認した事実があっても、そのような当事者の個別的意思によって競売の効果をただちに左右しうるものではなく、土地の競落人に対抗しうる土地利用の権原を建物所有者に取得させることはできないというべきであって、右事実によって、抵当権設定後に建築された建物のため法定地上権の成立を認めることはできないものと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H26 司法 第15問 2)
Aが所有する甲土地に、Bのための第1順位の抵当権が設定され、その後、Bの承諾を受けて甲土地上にA所有の乙建物が建てられ、さらに、甲土地にCのための第2順位の抵当権が設定された後、Cの申立てに基づいて甲土地の抵当権が実行された結果、Dが甲土地の所有者になった場合、甲土地に乙建物のための法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.11.2)は、本肢と同種の事案において、「土地の抵当権設定当時、その地上に建物が存在しなかったときは、民法388条の規定の適用はないものと解すべきところ、土地に対する先順位抵当権の設定当時、その地上に建物がなく、後順位抵当権設定当時には建物が建築されていた場合に、後順位抵当権者の申立により土地の競売がなされるときであっても、右土地は先順位抵当権設定当時の状態において競売されるべきものであるから、右建物のため法定地上権が成立するものではないと解される。」と判示している。したがって、本肢においても、甲土地に乙建物のための法定地上権が成立することはない。


全体の正答率 : 100.0%

(H30 共通 第14問 イ)
Aが所有する更地の甲土地に第1順位の抵当権が設定された後、甲土地上にAが所有する乙建物が建築され、甲土地に第2順位の抵当権が設定された場合において、第2順位の抵当権の実行によりBが甲土地を取得したときは、法定地上権は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.11.2)は、本肢と同種の事案において、「土地の抵当権設定当時、その地上に建物が存在しなかったときは、民法388条の規定の適用はないものと解すべきところ、土地に対する先順位抵当権の設定当時、その地上に建物がなく、後順位抵当権設定当時には建物が建築されていた場合に、後順位抵当権者の申立により土地の競売がなされるときであっても、右土地は先順位抵当権設定当時の状態において競売されるべきものであるから、右建物のため法定地上権が成立するものではないと解される。」と判示している。したがって、本肢においても、法定地上権は成立しない。

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所有権移転登記をしないうちに地上建物に抵当権を設定した場合の法定地上権 最二小判昭和53年9月29日

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概要
土地及びその地上建物の所有者が建物につき抵当権を設定したとき、土地の所有権移転登記を経由していなかったとしても、当該抵当権が実行されれば、法定地上権が成立する。
判例
事案:土地及びその地上建物の所有者が、土地につき所有権移転登記を経由しないまま建物に抵当権を設定した場合において、当該抵当権の実行により法定地上権が成立するかが問題となった。

判旨:「…Aが本件建物…につきB…のために抵当権を設定した当時、右建物及びその敷地である本件土地…は、ともにAの所有に属していたが、本件土地については所有権移転登記を経由していなかったというのである。右事実関係のもとにおいて、抵当権の実行により本件建物を競落したCが法定地上権を取得するものとした原審の判断は、正当として是認することができ(最高裁昭和45年(オ)第989号同48年9月18日第三小法廷判決・民集27巻8号1066頁参照)、原判決に所論の違法はない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 共通 第14問 エ)
Aが甲土地及びその上の乙建物を所有しているが、甲土地の所有権移転登記をしていなかったところ、乙建物に抵当権が設定され、抵当権の実行によりBが乙建物を取得したときは、法定地上権は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.9.29)は、本肢と同種の事案において、土地及びその地上建物の所有者が建物につき抵当権を設定したとき、土地の所有権移転登記を経由していなかったとしても、当該抵当権が実行されれば、法定地上権が成立する旨判示している。したがって、甲土地の所有権移転登記をしていなかったとしても、乙建物に抵当権が設定され、抵当権の実行によりBが乙建物を取得したときは、法定地上権は成立する。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第15問 オ)
Aが甲土地及びその土地上の乙建物を所有していた。この場合において、甲土地の登記名義が前所有者Bのままであったとしても、乙建物に抵当権が設定され、抵当権の実行によりCが乙建物を取得したときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.9.29)は、本肢と同種の事案において、土地及びその地上建物の所有者が建物につき抵当権を設定したとき、土地の所有権移転登記を経由していなかったとしても、当該抵当権が実行されれば、法定地上権が成立する旨判示している。したがって、甲土地の登記名義が前所有者Bのままであったとしても、乙建物に抵当権が設定され、抵当権の実行によりCが乙建物を取得したときは、法定地上権が成立する。

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一番抵当権設定当時は土地と建物の所有者が異なっていたが、二番抵当権が設定された当時は双方の所有者が同一となった場合における法定地上権 最二小判平成2年1月22日

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概要
土地について一番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には、土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても、その後に抵当権が実行され、土地が競落されたことにより一番抵当権が消滅するときには、地上建物のための法定地上権は成立しない。
判例
事案:土地を目的とする一番抵当権設定当時は土地と地上建物の所有者が異なっていたが、後順位抵当権設定当時は同一人の所有に帰していた場合に、法定地上権が成立するかが問題となった。

判旨:「土地について一番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には、土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても、その後に抵当権が実行され、土地が競落されたことにより一番抵当権が消滅するときには、地上建物のための法定地上権は成立しないものと解するのが相当である。けだし、民法388条は、同一人の所有に属する土地及びその地上建物のいずれか又は双方に 設定された抵当権が実行され、土地と建物の所有者を異にするに至った場合、土地について建物のための用益権がないことにより建物の維持存続が不可能となることによる社会経済上の損失を防止するため、地上建物のために地上権が設定されたものとみなすことにより地上建物の存続を図ろうとするものであるが、土地について 一番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていない場合には、一番抵当権者は、法定地上権の負担のないものとして、土地の担保価値を把握するのであるから、後に土地と地上建物が同一人に帰属し、後順位抵当権が設定されたことによって法定地上権が成立するものとすると、一番抵当権者が把握した担保価値を損なわせることになるからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第15問 ウ)
A所有の甲土地を賃借してその土地上にBが乙建物を所有していたところ、Aが甲土地に第1順位の抵当権を設定した後、甲土地をBに譲渡し、次いでBが甲土地に第2順位の抵当権を設定した。その後、第2順位の抵当権が実行され、Cが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平2.1.22)は、本肢と同種の事案において、「土地について一番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には、土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても、その後に抵当権が実行され、土地が競落されたことにより一番抵当権が消滅するときには、地上建物のための法定地上権は成立しないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、第2順位の抵当権が実行され、Cが甲土地を取得したとしても、法定地上権は成立しない。

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共有持分と法定地上権 最三小判平成6年12月20日

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概要
地上建物の共有者のうちの1人である土地共有者の債務を担保するため、土地共有者の全員が共同して各持分に抵当権を設定した場合に、抵当権の実行により当該土地共有者1人だけについて388条本文の事由が生じたとしても、他の共有者らがその持分に基づく土地に対する使用収益権を事実上放棄し、右土地共有者の処分にゆだねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法定地上権は成立しない
判例
事案:地上建物の共有者の1人である土地共有者の債務を担保するため、土地共有者の全員が各持分に共同して抵当権を設定した場合において、当該抵当権が実行されたとき、法定地上権が成立するかか問題となった。

判旨:「共有者は、各自、共有物について所有権と性質を同じくする独立の持分を有しているのであり、かつ、共有地全体に対する地上権は共有者全員の負担となるのであるから、土地共有者の1人だけについて民法388条本文により地上権を設定したものとみなすべき事由が生じたとしても、他の共有者らがその持分に基づく土地に対する使用収益権を事実上放棄し、右土地共有者の処分にゆだねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法定地上権は成立しないといわなければならない(最高裁昭和26年(オ)第285号同29年12月23日第一小法廷判決・民集8巻12号2235頁、最高裁昭和41年(オ)第529号同44年11月4日第三小法廷判決・民集23巻11号1968頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R3 司法 第7問 ウ)
AとBが、甲建物及びその敷地である乙土地をそれぞれ共有していたところ、乙土地のAの共有持分に抵当権が設定された。その後、その抵当権が実行され、Cがそれを買い受けた場合、甲建物のために乙土地上に地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.12.20)は、本肢と同種の事案において、「土地共有者の1人だけについて民法388条本文により地上権を設定したものとみなすべき事由が生じたとしても、他の共有者らがその持分に基づく土地に対する使用収益権を事実上放棄し、右土地共有者の処分にゆだねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法定地上権は成立しないといわなければならない…。」と判示している。したがって、本肢においても、乙土地のAの共有持分に設定された抵当権が実行され、Cがそれを買い受けたとしても、甲建物のために乙土地上に地上権は成立しない。

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共同抵当権と法定地上権 最三小判平成9年2月14日

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概要
所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後建に物が取り壊され、土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しない。
判例
事案:所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に建物が取り壊されて新建物が建築された場合においても、法定地上権が成立するか問題となった。

判旨:「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。けだし、土地及び地上建物に共同抵当権が設定された場合、抵当権者は土地及び建物全体の担保価値を把握しているから、抵当権の設定された建物が存続する限りは当該建物のために法定地上権が成立することを許容するが、建物が取り壊されたときは土地について法定地上権の制約のない更地としての担保価値を把握しようとするのが、抵当権設定当事者の合理的意思であり、抵当権が設定されない新建物のために法定地上権の成立を認めるとすれば、抵当権者は、当初は土地全体の価値を把握していたのに、その担保価値が法定地上権の価額相当の価値だけ減少した土地の価値に限定されることになって、不測の損害を被る結果になり、抵当権設定当事者の合理的な意思に反するからである。なお、このように解すると、建物を保護するという公益的要請に反する結果となることもあり得るが、抵当権設定当事者の合理的意思に反してまでも右公益的要請を重視すべきであるとはいえない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第15問 5)
Aが所有する土地上に、A所有の甲建物が建てられ、続けて、土地と甲建物にBのための抵当権が共同抵当として設定され、さらに、甲建物が取り壊されて同土地上にA所有の乙建物が新しく建築された後、乙建物に抵当権が設定されないまま、土地の抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に乙建物のための法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.2.14)は、本肢と同種の事案において、「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。」と判示している。
本肢においては、新しく建築された乙建物に抵当権が設定されないまま、土地の抵当権が実行されているため、「特段の事情」は存しない。したがって、土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。


全体の正答率 : 50.0%

(H26 司法 第15問 4)
Aが所有する甲土地上に、A所有の乙建物が建てられ、その後、甲土地と乙建物にBのための第1順位の共同抵当権がそれぞれ設定され、さらに、乙建物が取り壊されて甲土地上にA所有の丙建物が建てられた場合、その後、丙建物にBのための第1順位の共同抵当権が設定され、甲土地の抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になったときであっても、甲土地に丙建物のための法定地上権は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.2.14)は、本肢と同種の事案において、「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。」と判示している。
本肢においては、新たに建てられた丙建物の所有者は、土地の所有者と同一のAであり、かつ、丙建物が建築された時点で甲土地に第1順位の抵当権を有していたBが、丙建物についても第1順位の共同抵当権の設定を受けているから、「特段の事情」が存するといえる。したがって、この場合において、甲土地の抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になったときは、甲土地に丙建物のための法定地上権が成立する。


全体の正答率 : 50.0%

(H30 共通 第14問 ア)
Aが所有する甲土地及びその上の乙建物にBのために共同抵当権が設定された後、乙建物が取り壊され、甲土地上に新たにAが所有する丙建物が建築されて、丙建物につきCのために抵当権が設定された場合において、甲土地に対するBの抵当権の実行によりDが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.2.14)は、本肢と同種の事案において、「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。」と判示している。
本肢においては、新たに建築された丙建物につき、甲土地の抵当権者Bではなく、Cのために抵当権が設定されているにすぎないから、「特段の事情」は存しない。したがって、この場合において、甲土地に対するBの抵当権の実行によりDが甲土地を取得したとしても、法定地上権が成立する。

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法定地上権成立の可否 最二小判平成19年7月6日

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概要
土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なることになった場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立する。
判例
事案:土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なることになった場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときには、法定地上権が成立するかが問題となった。

判旨:「土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立するというべきである。その理由は、次のとおりである。
 上記のような場合、乙抵当権者の抵当権設定時における認識としては、仮に甲抵当権が存続したままの状態で目的土地が競売されたとすれば、法定地上権は成立しない結果となる(前掲平成2年1月22日第二小法廷判決参照)ものと予測していたということはできる。しかし、抵当権は、被担保債権の担保という目的の存する限度でのみ存続が予定されているものであって、甲抵当権が被担保債権の弁済、 設定契約の解除等により消滅することもあることは抵当権の性質上当然のことであるから、乙抵当権者としては、そのことを予測した上、その場合における順位上昇の利益と法定地上権成立の不利益とを考慮して担保余力を把握すべきものであったというべきである。したがって、甲抵当権が消滅した後に行われる競売によって、法定地上権が成立することを認めても、乙抵当権者に不測の損害を与えるものとはいえない。そして、甲抵当権は競売前に既に消滅しているのであるから、競売による法定地上権の成否を判断するに当たり、甲抵当権者の利益を考慮する必要がないことは明らかである。そうすると、民法388条が規定する「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する」旨の要件(以下「同一所有者要件」という。)の充足性を、甲抵当権の設定時にさかのぼって判断すべき理由はない。
 民法388条は、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときに法定地上権が設定されたものとみなす旨定めており、競売前に消滅していた甲抵当権ではなく、競売により消滅する最先順位の抵当権である乙抵当権の設定時において同一所有者要件が充足していることを法定地上権の成立要件としているものと理解することができる。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H24 司法 第13問 3)
建物が存する土地を目的として、先順位の甲抵当権及びこれと抵当権者を異にする後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が被担保債権の弁済により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平19.7.6)は、本肢と同種の事案において、「土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立するというべきである。」と判示している。したがって、本肢においても、甲抵当権が被担保債権の弁済により消滅した後に、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至ったのであるから、この場合は、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立する。


全体の正答率 : 100.0%

(H30 共通 第14問 ウ)
Aが所有する甲土地上にBが所有する乙建物があるところ、甲土地にCのために第1順位の抵当権が設定された後、Bが甲土地の所有権を取得し、甲土地にDのために第2順位の抵当権を設定した場合において、Cの抵当権が弁済により消滅し、その後、Dの抵当権の実行によりEが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判平19.7.6)は、本肢と同種の事案において、「土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立するというべきである。」と判示している。したがって、本肢においても、Cの抵当権が弁済により消滅し、その後、Dの抵当権の実行によりEが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。

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建物の共有者の1人がその敷地を所有する場合と法定地上権の成否 最三小判昭和46年12月21日

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概要
建物の共有者の1人がその建物の敷地たる土地を単独で所有する場合において、同人が当該土地に抵当権を設定し、この抵当権の実行により、第三者が当該土地を競落したときは、当該土地に法定地上権が成立する。
判例
事案:建物の共有者の1人がその敷地を単独で所有する場合において、同人が当該土地に抵当権を設定し、当該抵当権が実行され、第三者が当該土地を競落したとき、法定地上権が成立するかが問題となった。

判旨:「建物の共有者の1人がその建物の敷地たる土地を単独で所有する場合においては、同人は、自己のみならず他の建物共有者のためにも右土地の利用を認めているものというべきであるから、同人が右土地に抵当権を設定し、この抵当権の実行により、第三者が右土地を競落したときは、民法388条の趣旨により、抵当権設定当時に同人が土地および建物を単独で所有していた場合と同様、右土地に法定地上権が成立するものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第16問 エ)
Aが所有する甲土地に抵当権が設定された当時、甲土地の上にAとBが共有する乙建物が存在していた場合において、その抵当権の実行として甲土地の競売がされたときは、法定地上権が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.12.21)は、本肢と同種の事案において、「建物の共有者の1人がその建物の敷地たる土地を単独で所有する場合においては、同人は、自己のみならず他の建物共有者のためにも右土地の利用を認めているものというべきであるから、同人が右土地に抵当権を設定し、この抵当権の実行により、第三者が右土地を競落したときは、民法388条の趣旨により、抵当権設定当時に同人が土地および建物を単独で所有していた場合と同様、右土地に法定地上権が成立するものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Aが所有する甲土地に抵当権が設定された当時、甲土地の上にAとBが共有する乙建物が存在していた場合において、その抵当権の実行として甲土地の競売がされたときは、法定地上権が成立する。

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後順位抵当権者がいない場合における共同抵当権の配当 大判昭和10年4月23日

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概要
同一の債権の担保として共同抵当にとられた複数の土地が1人の所有にかかる場合において、後順位抵当権者がいなくとも、392条1項の規定が適用され、各土地の価格に応じて債権の負担が按分される。
判例
事案:1人の共有にかかる複数の不動産が、同一の債務の担保として共同抵当にとられた場合において、後順位抵当権者がいないとしても、392条1項の適用があるのかが問題となった。

判旨:「…民法第392条第1項ハ当該不動産ニ対シ後順位抵当権ノ存スル場合ニ限リ其ノ適用アリト為スヘキ何等ノ根拠ヲ規定自体ノ上ニ見出シ得サルノミナラス例ヘハ本件ニ於テ第三物件ノ所有者カ偶々第一第二物件ノソレト別人ナリトセンニ若シ所論ノ如キ配当方法ヲ採ルトキハ後日此等人々ノ間ニ求償ノ関係ヲ生シ(民法第351条第501条第3号第4号)徒ラニ手数ヲ重複且繁雑ナラシムル以外何等ノ得ルトコロナキハ睹易キノ道理ナリ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(R5 司法 第14問 ア)
Aは、Bに対して有するα債権の担保として、甲土地及び乙土地について第1順位の抵当権を共同抵当として有している。甲土地及び乙土地がBの所有である場合において、両土地についてAの抵当権が実行され、同時にその代価を配当すべきときは、後順位抵当権者がいないとしても、各土地の価額に応じて債権の負担を按分する。

(正答)

(解説)
判例(大判昭10.4.23)は、同一の債権の担保として共同抵当にとられた複数の土地が1人の所有にかかる場合において、後順位抵当権者がいなくとも、392条1項の規定が適用され、各土地の価格に応じて債権の負担が按分される旨判示している。したがって、甲土地及び乙土地がBの所有である場合において、両土地についてAの抵当権が実行され、同時にその代価を配当すべきときは、同項が適用されるから、後順位抵当権者がいないとしても、各土地の価額に応じて債権の負担を按分することとなる。

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抵当権の放棄と異時配当 大判昭和11年7月14日

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概要
甲不動産と乙不動産に共同抵当権を有している共同抵当権者が乙不動産の抵当権を放棄した場合、当該共同抵当権者は、もし当該放棄がなければ甲不動産の後順位抵当権者が乙不動産について392条2項により代位できた金額分、甲不動産について優先弁済を受けられなくなる。
判例
事案:共同抵当権者が、後順位抵当権の存在する1つの抵当権を放棄した場合、抵当権を放棄していない不動産から全額の配当を受けることができるか問題となった。

判旨:「抵当権ノ一部(即チ同一債権ノ担保タル数個ノ抵当不動産中ノ或モノニ対スル抵当権)ヲ抛棄シタリトテ其ノ残部ノ抵当権(即チ爾余ノ不動産ニ対スル抵当権)ハ勿論存在スルカ故ニ其ノ行使ヲ為シ得サルノ道理無シ唯本件ノ如キ場合ニ於テハ抵当権ヲ実行シ競売代金ノ配当ヲ為スニ当リ先順位抵当権者ハ其ノ抛棄ノ目的タル抵当物件ノ価額ニ準シ次順位抵当権者ニ対シ優先弁済ヲ受クルヲ得サルハ必シモ多言ヲ俟タス這ハ民法第392条及第504条ノ法意ヲ類推スルニ依リテ知ルヲ得ヘシ例ヘハAハ其ノ債権ノ為メ甲及乙不動産ニ対シ一番抵当権ヲ有シBハ其ノ債権ノ為メ甲不動産ニ対シ二番抵当権ヲ有ストセムニAカ乙不動産ニ対スル抵当権ヲ抛棄シタルトキハ他日甲不動産ニ対スル抵当権ヲ実行シ其ノ競売代金ヲ配当スル場合ニ若シ右ノ抛棄無カリシナラハBカ民法第392条第2項ニ依リ乙不動産ニ付キ代位ヲ為スヲ得ヘカリシ限度ニ於テAハBニ対シ優先弁済ヲ受クルヲ得サルモノトス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H28 司法 第15問 4)
Aは、Bに対する600万円の債権を担保するため、B所有の甲土地及び乙土地に、第1順位の共同抵当権を有している。Cは、Bに対する400万円の債権を担保するため、甲土地に、第2順位の抵当権を有している。競売の結果として債権者に配当することが可能な金額は、甲土地につき500万円、乙土地につき1000万円であり、また、各債権者が有する債権の利息及び損害金は考慮しないものとする。Aが乙土地に設定された抵当権を放棄した後に、甲土地に設定された抵当権が実行された場合、Aは200万円の配当を受け、Cは300万円の配当を受けることができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭11.7.14)は、本肢と同様の事案において、甲不動産と乙不動産に共同抵当権を有している共同抵当権者が乙不動産の抵当権を放棄した場合、当該共同抵当権者は、もし当該放棄がなければ甲不動産の後順位抵当権者が乙不動産について392条2項により代位できた金額分、甲不動産について優先弁済を受けられなくなる旨判示している。
 本肢において、Aが乙土地について抵当権を放棄していない場合において、まず甲土地につき抵当権が実行され、次いで乙土地について抵当権が実行されたときには、392条2項が適用される結果、まず、同項前段により、Aが甲土地から500万円の配当を受けることになり、次に、Bは同項後段により、同時配当であればAが乙土地から配当を受けた400万円から、Aの抵当権の残りである100万円を差し引いた300万円についてAに代位して配当を受けることができるといえる。
 そうすると、Aが乙土地に設定された抵当権を放棄した後に、甲土地に設定された抵当権が実行された場合は、Aは甲土地について300万円分優先配当を受けられなくなるといえる。したがって、同抵当権の実行により、Aは200万円の配当を受け、Cは300万円の配当を受けることができるといえる。

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共同抵当権の目的不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合の後順位抵当権者の民法392条2項後段による代位の可否 最二小判平成4年11月6日

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概要
共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属し、甲不動産に後順位の抵当権が設定されている場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、後順位抵当権者は、392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者が同条1項の規定に従い乙不動産から弁済を受けることができた金額に満つるまで、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができる。
判例
事案:共同抵当権の目的不動産が同一の物上保証人の所有に属する場合において、片方の不動産の抵当権が実行された場合に、当該不動産の後順位抵当権者が、392条2項後段の規定に基づいて、先順位の共同抵当権者に代位して、他方の不動産に対する抵当権を行使することができるかが問題となった。

判旨:「共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属し、甲不動産に後順位の抵当権が設定されている場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、後順位抵当権者は、民法392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者が同条1項の規定に従い乙不動産から弁済を受けることができた金額に満つるまで、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができると解するのが相当である。けだし、後順位抵当権者は、先順位の共同抵当権の負担を甲・乙不動産の価額に準じて配分すれば甲不動産の担保価値に余剰が生ずることを期待して、抵当権の設定を受けているのが通常であって、先順位の共同抵当権者が甲不動産の代価につき債権の全部の弁済を受けることができるため、後順位抵当権者の右の期待が害されるときは、債務者がその所有する不動産に共同抵当権を設定した場合と同様、民法392条2項後段に規定する代位により、右の期待を保護すべきものであるからである。甲不動産の所有権を失った物上保証人は、債務者に対する求償権を取得し、その範囲内で、民法500条、501条の規定に基づき、先順位の共同抵当権者が有した一切の権利を代位行使し得る立場にあるが、自己の所有する乙不動産についてみれば、右の規定による法定代位を生じる余地はなく、前記配分に従った利用を前提に後順位の抵当権を設定しているのであるから、後順位抵当権者の代位を認めても、不測の損害を受けるわけではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H25 司法 第21問 イ)
同一の物上保証人が所有する甲土地及び乙土地に第1順位の共同抵当権が設定されている場合において、甲土地の代価のみが先に配当されたときは、甲土地について第2順位の抵当権を有していた者は、当該配当によりその被担保債権の全額について弁済を受けた場合を除き、共同抵当に関する民法の規定に定める限度で、乙土地に設定された第1順位の抵当権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.11.6)は、本肢と同種の事案において、「共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属し、甲不動産に後順位の抵当権が設定されている場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、後順位抵当権者は、民法392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者が同条1項の規定に従い乙不動産から弁済を受けることができた金額に満つるまで、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができると解するのが相当である。」と判示している。したがって、甲土地について第2順位の抵当権を有していた者は、当該配当によりその被担保債権の全額について弁済を受けた場合を除き、共同抵当に関する民法の規定(392条2項後段)に定める限度で、乙土地に設定された第1順位の抵当権を行使することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 司法 第14問 オ)
Aは、Bに対して有するα債権の担保として、甲土地及び乙土地について第1順位の抵当権を共同抵当として有している。甲土地及び乙土地がCの所有であって、甲土地には第2順位の抵当権者Dがいる場合において、Aが甲土地のみについて抵当権を実行し、その代価からα債権の全部の弁済を受けたときは、Dは、乙土地についてAに代位してその抵当権を行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.11.6)は、本肢と同種の事案において、「共同抵当権の目的たる甲・乙不動産が同一の物上保証人の所有に属し、甲不動産に後順位の抵当権が設定されている場合において、甲不動産の代価のみを配当するときは、後順位抵当権者は、民法392条2項後段の規定に基づき、先順位の共同抵当権者が同条1項の規定に従い乙不動産から弁済を受けることができた金額に満つるまで、先順位の共同抵当権者に代位して乙不動産に対する抵当権を行使することができると解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、甲土地及び乙土地が物上保証人Cの所有であって、甲土地には第2順位の抵当権者Dがいる場合において、Aが甲土地のみについて抵当権を実行しているから、Aがその代価からα債権の全部の弁済を受けたときは、Dは、392条2項後段の規定に従い、乙土地についてAに代位してその抵当権を行使することができる。

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根抵当権と極度額 最一小判昭和48年10月4日

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概要
根抵当権者は、後順位担保権者など配当を受けることのできる第三者がなく、競売代金に余剰が生じた場合においても、極度額を越える部分について、当該競売手続においては、その交付を受けることができない。
判例
事案:根抵当権者が、後順位担保権者など配当を受けることのできる第三者がなく、競売代金に余剰が生じた場合において、極度額を越える部分について、当該競売手続においてその交付を受けることができるかが問題となった。

判旨:「根抵当権についての極度額の定めは、単に後順位担保権者など第三者に対する右優先弁済権の制約たるにとどまらず、さらに進んで、根抵当権者が根抵当権の目的物件について有する換価権能の限度としての意味を有するものであって、その結果、根抵当権者は、後順位担保権者など配当をうけることのできる第三者がなく、 競売代金に余剰が生じた場合でも、極度額を越える部分について、当該競売手続に おいてはその交付をうけることができないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第15問 ウ)
根抵当権者は、根抵当権を実行した場合、当該競売手続において極度額を超える部分について配当を受けることはない。

(正答)

(解説)
判例(最判平48.10.4)は、「根抵当権についての極度額の定めは、単に後順位担保権者など第三者に対する右優先弁済権の制約たるにとどまらず、さらに進んで、根抵当権者が根抵当権の目的物件について有する換価権能の限度としての意味を有するものであって、その結果、根抵当権者は、後順位担保権者など配当をうけることのできる第三者がなく、 競売代金に余剰が生じた場合でも、極度額を越える部分について、当該競売手続に おいてはその交付をうけることができないものと解するのが相当である。」と判示している。

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構成部分の変動する集合動産と譲渡担保の目的 最一小判昭和54年2月15日

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概要
構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうる。
判例
事案:構成部分の変動する集合動産に譲渡担保が設定できるか問題となった。

判旨:「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R1 司法 第16問 オ)
構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.2.15)は、「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 予備 第3問 ウ)
複数の物の上に1つの物権の効力が及ぶことはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.2.15)は、「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、複数の物の上に1つの、物権である譲渡担保権の効力が及ぶことがある。

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譲渡担保権の設定と不法占拠者に対する動産の返還請求 最三小判昭和57年9月28日

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概要
譲渡担保の設定者は、正当な権原なく目的物件を占有する者に対し、その返還を請求することができる。
判例
事案:譲渡担保の目的物件を正当な権限なく占有する者がある場合において、譲渡担保権設定者が、当該占有者に対してその返還を請求することができるかが問題となった。

判旨:「譲渡担保は、債権担保のために目的物件の所有権を移転するものであるが、右所有権移転の効力は債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ認められるのであつて、担保権者は、債務者が被担保債務の履行を遅滞したときに目的物件を処分する権能を取得し、この権能に基づいて目的物件を適正に評価された価額で 確定的に自己の所有に帰せしめ又は第三者に売却等することによって換価処分し、 優先的に被担保債務の弁済に充てることができるにとどまり、他方、設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和39年(オ)第440号同41年4月28日第一小法廷判決・民集20巻4号900頁、同昭和42年(オ)第1279号同46年3月26日第一小法廷判決・民集25巻2号208頁、同昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、前記のような譲渡担保の趣旨及び効力に鑑み、右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第14問 オ)
動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合、その設定者は、正当な権原なくその動産を占有する者に対し、その動産の返還を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.9.28)は、譲渡担保権「設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから…、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、…右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 共通 第16問 ウ)
設定者は、被担保債権が弁済されない限り、正当な権原なく目的物を占有する者に対し、その明渡しを請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.9.28)は、譲渡担保権「設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから…、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、…右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、譲渡担保権設定者は、被担保債権が弁済されていなくとも、正当な権限なく目的物を占有する者に対し、その明渡しを請求することができる。

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譲渡担保権により担保される債権の範囲 最三小判昭和61年7月15日

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概要
譲渡担保権によって担保される債権の範囲は、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由に定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する374条又は根抵当権に関する398条の3の規定に準ずる制約を受けない。
判例
事案:譲渡担保権によって担保される債権の範囲について、抵当権に関する規定に準ずる制約を受けるかが問題となった。

判旨:「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条の3の規定に準ずる制約を受けないものと解すべきである…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第16問 ウ)
譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、設定契約の当事者間において元本、利息及び遅延損害金について自由に定めることができ、抵当権の場合におけるような制限はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭61.7.15)は、「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条の3の規定に準ずる制約を受けないものと解すべきである…。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R2 共通 第14問 オ)
譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、設定契約の当事者間において元本、利息及び遅延損害金について自由に定めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭61.7.15)は、「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ」ると判示している。

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帰属清算型の譲渡担保における清算金の有無及び額の確定時期 最一小判昭和62年2月12日

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概要
譲渡担保が帰属清算型である場合、債権者の支払うべき清算金の有無及びその額は、債権者が債務者に対し清算金の支払い若しくはその提供をした時若しくは目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨の通知をした時、又は債権者において目的不動産を第三者に売却等をした時を基準として、確定される。
判例
事案:帰属清算型の譲渡担保において、清算金の有無及びその額の確定時期が問題となった。

判旨:「帰属清算型の譲渡担保においては、債務者が債務の履行を遅滞し、債権者が債務者に対し目的不動産を確定的に自己の所有に帰せしめる旨の意思表示をしても、債権者が債務者に対して清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をしない限り、債務者は受戻権を有し、債務の全額を弁済して譲渡担保権を消滅させることができるのであるから、債権者が単に右の意思表示をしただけでは、未だ債務消滅の効果を生ぜず、したがって清算金の有無及びその額が確定しないため、債権者の清算義務は具体的に確定しないものというべきである。もっとも、債権者が清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をせず、かつ、債務者も債務の弁済をしないうちに、債権者が目的不動産を第三者に売却等をしたときは、債務者はその時点で受戻権ひいては目的不動産の所有権を終局的に失い、同時に被担保債権消滅の効果が発生するとともに、右時点を基準時として清算金の有無及びその額が確定されるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第16問 ウ)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。譲渡担保が帰属清算型の場合は、清算金の有無及びその額は、BがAに対し、清算金の支払若しくはその提供をした時、又は目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨を通知した時を基準として確定される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭62.2.12)は、譲渡担保が帰属清算型である場合、債権者の支払うべき清算金の有無及びその額は、債権者が債務者に対し清算金の支払い若しくはその提供をした時若しくは目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨の通知をした時、又は債権者において目的不動産を第三者に売却等をした時を基準として、確定される旨判示している。

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譲渡担保の目的不動産の譲渡と受戻し 最三小判平成6年2月22日

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概要
譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない。
判例
事案:譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を第三者に譲渡した場合において、なお譲渡担保権設定者が債務を弁済して目的不動産を受戻すことができるかが問題となった。

判旨:「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得するから、債権者がこの権能に基づいて目的物を第三者に譲渡したときは、原則として、譲受人は目的物の所有権を確定的に取得し、債務者は、清算金がある場合に債権者に対してその支払を求めることができるにとどまり、残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできなくなるものと解するのが相当である(最高裁昭和46年(オ)第503号同49年10月23日大法廷判決・民集28巻7号1473頁、最高裁昭和60年(オ)568号同62年2月12日第一小法廷判決・民集41巻1号67頁参照)。この理は、譲渡を受けた第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合であっても異なるところはない。けだし、そのように解さないと、権利関係の確定しない状態が続くばかりでなく、譲受人が背信的悪意者に当たるかどうかを確知し得る立場にあるとは限らない債権者に、不測の損害を被らせるおそれを生ずるからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第16問 ア)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Aが弁済期に債務を弁済しないため、Bが目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記がされた場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者であるときは、Aは残債務を弁済して目的不動産を受け戻し、譲受人に対し、所有権の回復を主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。したがって、Aが弁済期に債務を弁済しないため、Bが目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記がされた場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者であったとしても、Aは残債務を弁済して目的不動産を受け戻し、譲受人に対し、所有権の回復を主張することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第16問 エ)
債務者が債務の履行を遅滞したときは、帰属清算型の譲渡担保であっても、譲渡担保権者は、目的不動産を処分する権限を取得する。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.2.22)は、「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得する…。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第14問 ウ)
不動産の譲渡担保において、債務者が弁済期にその譲渡担保権に係る債務を弁済しない場合、譲渡担保権者がその不動産を譲渡したときは、譲受人は確定的にその不動産の所有権を取得し、債務者は債務を弁済してその不動産を受け戻すことができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R1 司法 第16問 ア)
債務者が弁済期に債務の弁済をしなかった場合において、不動産の譲渡担保権者が目的不動産を譲渡したときは、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであっても、債務者は、残債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。


全体の正答率 : 50.0%

(R2 共通 第14問 ア)
所有する土地に譲渡担保権を設定した債務者は、債務の弁済期が経過した後は、債権者が担保権の実行を完了する前であっても、債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。この判例に基づけば、弁済期後であっても目的不動産が譲渡されていなければ、譲渡担保を設定した債務者は、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができるといえる。本肢においては、債務の弁済期が経過しているものの、債権者が担保権の実行を完了する前であり、目的土地を第三者に譲渡していないため、債務者は、債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことができる。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 共通 第16問 オ)
譲渡担保権者は、被担保債権について不履行があったときは、設定者との間で帰属清算の合意がされていたとしても、目的物を処分する権限を取得する。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.2.22)は、「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得する…。」と判示している。

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譲渡担保権者と抵当権消滅請求 最二小判平成7年11月10日

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概要
譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、旧378条の「第三取得者」には該当せず、抵当権を滌除することができない。
判例
事案:譲渡担保権実行前の譲渡担保権者が、抵当権を滌除できるかが問題となった。

判旨:「譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者には該当せず、抵当権を滌除することができないものと解するのが相当である。けだし、滌除は、抵当不動産を適宜に評価した金額を抵当権者に弁済することにより抵当権の消滅を要求する権限を抵当不動産の第三取得者に対して与え、抵当権者の把握する価値権と第三取得者の有する用益権との調整を図ることなどを目的とする制度であるが、抵当権者にとっては、抵当権実行時期の選択権を奪われ、増価による買受け及び保証の提供などの負担を伴うものであるところから、民法378条が滌除権者の範囲を「抵当不動産ニ付キ所有権、地上権又ハ永小作権ヲ取得シタル第三者」に限定していることにかんがみれば、右規定にいう滌除権者としての「所有権ヲ取得シタル第三者」とは、確定的に抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られるものと解すべきである。そして、不動産について譲渡担保が設定された場合には、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ目的不動産の所有権移転の効力が生じるにすぎず、譲渡担保権者が目的不動産を確定的に自己の所有とするには、自己の債権額と目的不動産の価額との清算手続をすることを要し、他方、譲渡担保設定者は、譲渡担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的不動産を受け戻し、その完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁、最高裁昭和56年(オ)第1209号同57年9月28日第三小法廷判決・裁判集民事137号255頁、最高裁平成元年(オ)第1351号同5年2月26日第二小法廷判決・民集47巻2号1653頁)、このような譲渡担保の趣旨及び効力にかんがみると、担保権を実行して右の清算手続を完了するに至らない譲渡担保権者は、いまだ確定的に目的不動産の所有権を取得した者ではなく、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者ということができないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R2 共通 第12問 エ)
債務者Aは債権者BのためにAの所有する不動産甲に抵当権を設定し、その旨の登記がされた。甲について、その後、Aから譲渡担保権の設定を受けたDは、譲渡担保権の実行前であっても、抵当権消滅請求をすることにより、Bの抵当権を消滅させることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平7.11.10)は、抵当権の滌除について、「担保権を実行して…清算手続を完了するに至らない譲渡担保権者は、いまだ確定的に目的不動産の所有権を取得した者ではなく、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者ということができない…。」と判示しており、改正民法下における抵当権消滅請求(379条)の「第三取得者」についても同様に解されている。したがって、Aから譲渡担保権の設定を受けたDは、譲渡担保権の実行前は、379条の「第三取得者」に当たらないため、抵当権消滅請求をすることができず、Bの抵当権を消滅させることができない。

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清算金支払請求権と受戻権 最二小判平成8年11月22日

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概要
譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない。
判例
事案:譲渡担保権設定者が受戻権を放棄して清算金の支払請求ができるか問題となった。

判旨:「譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできないものと解すべきである。けだし、譲渡担保権設定者の清算金支払請求権は、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的物を自己に帰属させ又は換価処分する場合において、その価額から被担保債権額を控除した残額の支払を請求する権利であり、他方、譲渡担保権設定者の受戻権は、譲渡担保権者において譲渡担保権の実行を完結するまでの間に、弁済等によって被担保債務を消滅させることにより譲渡担保の目的物の所有権等を回復する権利であって、両者はその発生原因を異にする別個の権利であるから、 譲渡担保権設定者において受戻権を放棄したとしても、その効果は受戻権が放棄されたという状況を現出するにとどまり、右受戻権の放棄により譲渡担保権設定者が 清算金支払請求権を取得することとなると解することはできないからである。また、このように解さないと、譲渡担保権設定者が、受戻権を放棄することにより、本来譲渡担保権者が有している譲渡担保権の実行の時期を自ら決定する自由を制約し得ることとなり、相当でないことは明らかである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H23 司法 第16問 イ)
譲渡担保権の設定者は、被担保債権が弁済期を経過した後においては、譲渡担保の目的物についての受戻権を放棄し、譲渡担保権者に対し、譲渡担保の目的物の評価額から被担保債権の額を控除した金額の清算金を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。


全体の正答率 : 50.0%

(R1 司法 第16問 イ)
債務者は、被担保債権の弁済期後は、譲渡担保の目的物の受戻権を放棄することにより、譲渡担保権者に対し清算金の支払を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 共通 第16問 ア)
設定者は、被担保債権について不履行があった後は、譲渡担保権者に対し、受戻権を放棄することにより、清算金の支払を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。

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譲渡担保権者の清算義務 最一小判昭和46年3月25日

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概要
貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば、同不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは債務の弁済に代えて確定的に債権者に同不動産の所有権を移転させるとの合意の基に、債権者に所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に弁済をしないときの譲渡担保権者の清算義務と設定者の目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係となる。
判例
事案:譲渡担保契約が締結され、債務者が弁済期に債務を弁済すれば同不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは債務の弁済に代えて確定的に債権者に同不動産の所有権を移転させるとの合意の基に、債権者に同不動産の所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に弁済をしないときは、譲渡担保権者の清算義務と設定者の目的物引渡義務とは、同時履行の関係となるのかが問題となった。

判旨:「貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保形式の契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば不動産は債務者に返還するが、弁済をしないときは右不動産を債務の弁済の代わりに確定的に自己の所有に帰せしめるとの合意のもとに、自己のため所有権移転登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合においては、目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価することによって具体化する右物件の価額から、自己の債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するのである。そして、この担保目的実現の手段として、債務者に対し右不動産の引渡ないし明渡を求める訴を提起した場合に、債務者が右清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、債権者の右請求は、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である(最高裁判所昭和43年(オ)第371号、同45年9月24日第一小法廷判決)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第16問 エ)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Bが、譲渡担保権の実行として、Aに対し目的不動産の引渡しを求める訴えを提起したのに対し、Aが清算金の支払と引換えにその履行をすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、Bの請求は、Aへの清算金の支払と引換えにのみ認容される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.3.25)は、 貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば、同不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは債務の弁済に代えて確定的に債権者に同不動産の所有権を移転させるとの合意の基に、債権者に所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に弁済をしないときの譲渡担保権者の清算義務と設定者の目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係となる旨判示している。本肢においても、Aの債権者であるBのために譲渡担保権が設定され、所有権移転登記が経由されている。そうすると、譲渡担保権者Bの清算義務と設定者Aの目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係になる。
ここで、同時履行の関係にある2つの債務について、片方の債務の履行の請求を求める訴えが提起された場合において、相手方から同時履行の抗弁が主張されたときには、引換給付判決がなされる。したがって、Bが、譲渡担保権の実行として、Aに対し目的不動産の引渡しを求める訴えを提起したのに対し、Aが清算金の支払と引換えにその履行をすべき旨を主張し同時履行の抗弁を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、Bの請求は、Aへの清算金の支払と引換えにのみ認容される。

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借地上の建物に譲渡担保権が設定された場合の効力と、清算金額算定に際しての建物の適正評価額 最三小判昭和51年9月21日

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概要
債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、特段の事情がない限り、譲渡担保権の効力は土地の賃借権にも及び、担保権の実行により債権者又は第三者が建物を取得した場合には、これに随伴して土地の賃借権も債権者又は第三者に譲渡される。
判例
事案:債務者がその借地上に建物を所有しており、当該建物に同債務者が譲渡担保権を設定している場合において、当該譲渡担保権の効力が、当該建物の存する土地の賃借権にも及ぶかが問題となった。

判旨:「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及び、債権者が担保権の実行としての換価処分により建物の所有権をみずから確定的に取得し又は第三者にこれを取得させたときは、これに随伴して土地の賃借権もまた債権者又は第三者に譲渡されると解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第16問 ア)
債務者である土地の賃借人が、借地上に所有している建物を譲渡担保の目的物とした場合において、譲渡担保権の効力は、土地の賃借権に及ぶので、譲渡担保権者が担保権を実行し、これにより第三者がその建物の所有権を取得したときは、これに伴い土地の賃借権も第三者に譲渡される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.9.21)は、「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及び、債権者が担保権の実行としての換価処分により建物の所有権をみずから確定的に取得し又は第三者にこれを取得させたときは、これに随伴して土地の賃借権もまた債権者又は第三者に譲渡されると解すべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R2 共通 第14問 エ)
土地の賃借人が借地上に所有する建物に譲渡担保権を設定した場合、その効力が土地の賃借権に及ぶことはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.9.21)は、「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及」ぶと判示している。

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譲渡担保権者の債権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において設定者が第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることの可否 最二小判平成18年10月20日

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概要
不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができるが、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできない。
判例
事案:譲渡担保権者の債権者が、被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において、設定者が、差し押さえ登記後に債務の全額を弁済して、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができるか問題となった。

判旨:「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。なぜなら、設定者が債務の履行を遅滞したときは、譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、被担保債権の弁済期後は、設定者としては、目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ、譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も、譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって、目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では、差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。上記と異なり、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。なぜなら、弁済期前においては、譲渡担保権者は、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず、目的不動産を処分する権能を有しないから、このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R1 司法 第16問 エ)
譲渡担保の被担保債権の弁済期後に目的不動産が譲渡担保権者の債権者によって差し押さえられ、その旨の登記がされた場合、債務者は、その後に被担保債権に係る債務の全額を弁済しても、差押債権者に対し、目的不動産の所有権を主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 共通 第16問 イ)
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者の債権者が目的物を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、その後に被担保債権を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。

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集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力と目的動産の滅失 最一小判平成22年12月2日

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概要
集合物譲渡担保権は目的動産の価値を担保するためのものであるから、その効力は、譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権にも及ぶが、集合物譲渡担保は営業の継続を前提とするから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、当該請求権に対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されない。
判例
事案:集合物譲渡担保権が設定されている場合において、その目的物が滅失したとき、当該譲渡担保権の効力が損害填補のための損害保険金請求権にも及ぶか問題となった。

判旨:「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H27 司法 第14問 オ)
集合動産の譲渡担保権者は、その譲渡担保権の設定者が通常の営業を継続している場合であっても、その目的とされた動産が滅失したときは、その損害をてん補するために設定者に支払われる損害保険金の請求権に対して物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平22.12.2)は、「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 50.0%

(R2 共通 第14問 ウ)
債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後、商品が滅失し、その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したときは、Aが営業を継続しているか否かにかかわらず、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平22.12.2)は、「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」と判示している。
債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後、商品が滅失し、その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したとき、Aが営業を継続している場合には、当該保険金請求権に対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない本肢においては、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができない。したがって、Aが営業を継続しているか否かにかかわらず、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができるとはいえない。

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売買代金の支払いと譲渡担保権の設定 最二小判平成30年12月7日

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概要
所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。
判例
事案:継続的な売買契約において目的物の所有権が売買代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合において、買主が保管する目的物を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者が、売買代金が完済されていない目的物について、上記売主に対して上記譲渡担保権を主張できるかが問題となった。

判旨:「本件売買契約は、金属スクラップ等を反復継続して売却するものであり、本件条項は、その売買代金の支払を確保するために、目的物の所有権がその完済をもってAからBに移転し、その完済まではAに留保される旨を定めたものである。 
 本件売買契約では、毎月21日から翌月20日までを1つの期間として、期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され、1つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は、上記の方法で額が算定された当該期間の売買代金の完済までAに留保されることが定められ、これと異なる期間の売買代金の支払を確保するためにAに留保されるものではない。上記のような定めは、売買代金の額が期間ごとに算定される継続的な動産の売買契約において、目的物の引渡しからその完済までの間、その支払を確保する手段を売主に与えるものであって、その限度で目的物の所有権を留保するものである。
 また、Aは、Bに対して金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが、これは、AがBに本件売買契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解され、このことをもって上記金属スクラップ等の所有権がBに移転したとみることはできない。
 以上によれば、本件動産の所有権は、本件条項の定めどおり、その売買代金が完済されるまでAからBに移転しないものと解するのが相当である。したがって、本件動産につき、Cは、Aに対して本件譲渡担保権を主張することができない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R4 司法 第12問 エ)
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときは、その後Bが代金の支払を怠ったとしても、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平30.12.7)は、所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときであっても、その後Bが甲の代金の支払いを怠ったのであれば、甲の所有権は未だ所有権留保権者たるAのもとにあるから、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることができる。

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集合動産譲渡担保の設定者による目的物である動産の処分 最一小判平成18年7月20日

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概要
構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保の設定者が目的物である動産を処分した場合、それが通常の営業の範囲内における処分であれば、当該処分の相手方が目的物の所有権を承継取得することができるが、それが通常の営業の範囲を超えるものであるときは、譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められるときでない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない。
判例
事案:構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保の設定者が目的物である動産を処分した場合において、処分の相手方が当該動産の所有権を承継取得することができるかが問題となった。

判旨:「構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保においては、集合物の内容が譲渡担保設定者の営業活動を通じて当然に変動することが予定されているのであるから、譲渡担保設定者には、その通常の営業の範囲内で、譲渡担保の目的を構成する動産を処分する権限が付与されており、この権限内でされた処分の相手方は、当該動産について、譲渡担保の拘束を受けることなく確定的に所有権を取得することができると解するのが相当である。…他方、対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該処分は上記権限に基づかないものである以上、譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできないというべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第14問 イ)
対抗要件を備えた集合動産譲渡担保権の設定者が、その目的とされた動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をし、その動産を占有改定の方法により買主に引き渡した場合、買主はその動産の所有権を取得することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平18.7.20)は、「対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該処分は上記権限に基づかないものである以上、譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできないというべきである。」としている。したがって、対抗要件を備えた集合動産譲渡担保権の設定者が、その目的とされた動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした本肢においても、買主がその動産を占有改定の方法により引渡しを受けたにとどまり、いまだ当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合ではない以上、買主はその動産の所有権を承継取得することができない。
また、判例(最判昭35.2.11)は、「無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法192条によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かかる状態に一般外観上変更を来たさないいわゆる占有改定の方法による取得をもつては足らないものといわなければならない…。」と判示している。したがって、本肢においても、買主は占有改定の方法により占有を取得しているに過ぎないため、即時取得(192条)は成立せず、買主はその動産の所有権を即時取得により取得することもできない。

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動産の購入代金の立替払いと所有権留保 最三小判平成21年3月10日

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概要
動産の購入代金を立替払した者が、立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、買主との契約上、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有、使用する権原を有さず、その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは、所有権を留保した者は、第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について、上記弁済期が到来するまでは、特段の事情がない限り、撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、留保された所有権が担保権の性質を有するからといって、上記弁済期が経過した後は、撤去義務や不法行為責任を免れない。
判例
事案:動産の購入代金を立替払し立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保している者がある場合において、当該留保所有権者が、第三者の土地上にあり、土地の所有権の行使を妨害している当該動産について、撤去義務や不法行為責任を負うかが問題となった。

判旨:「本件立替払契約によれば、Xが本件車両の代金を立替払することによって 取得する本件車両の所有権は、本件立替金債務が完済されるまで同債務の担保としてXに留保されているところ、Xは、Yが本件立替金債務について期限の利益を喪失しない限り、本件車両を占有、使用する権原を有しないが、Yが期限の利益を喪失して残債務全額の弁済期が経過したときは、Yから本件車両の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができることになる。
 動産の購入代金を立替払する者が立替金債務が完済されるまで同債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、所有権を留保した者(以下、「留保所有権者」といい、留保所有権者の有する所有権を「留保所有権」という。)の有する権原が、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期(以下「残債務弁済期」という。)の到来の前後で上記のように異なるときは、留保所有権者は、残債務弁済期が到来するまでは、当該動産が第三者の土地上に存在して第三者の土地所有権の行使を妨害しているとしても、特段の事情がない限り、当該動産の撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、残債務弁済期が経過した後は、留保所有権が担保権の性質を有するからといって上記撤去義務や不法行為責任を免れることはないと解するのが相当である。なぜなら、上記のような留保所有権者が有する留保所有権は、原則として、残債務弁済期が到来するまでは、当該動産の交換価値を把握するにとどまるが、残債務弁済期の経過後は、当該動産を占有し、処分することができる権能を有するものと解されるからである。もっとも、残債務弁済期の経過後であっても、留保所有権者は、原則として、当該動産が第三者の土地所有権の行使を妨害している事実を知らなければ不法行為責任を問われることはなく、上記妨害の事実を告げられるなどしてこれを知ったときに不法行為責任を負うと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第12問 オ)
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。この場合において、AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金の支払を遅滞し、期限の利益を喪失した状態で、甲をC所有の土地に無断で放置したとしても、Cは、Aに対して甲の撤去を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.3.10)は、動産の購入代金を立替払した者が、立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、買主との契約上、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有、使用する権原を有さず、その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは、所有権を留保した者は、第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について、上記弁済期が到来するまでは、特段の事情がない限り、撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、留保された所有権が担保権の性質を有するからといって、上記弁済期が経過した後は、撤去義務や不法行為責任を免れない旨判示している。したがって、Bが代金の支払を遅滞し、期限の利益を喪失した状態で、甲をC所有の土地に無断で放置した場合には、Cは、甲の所有権を留保したAに対して甲の撤去を請求することができる。

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所有権留保特約と権利の濫用 最二小判昭和50年2月28日

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概要
自動車の販売につき、サブディーラーが、まずディーラー所有の自動車をユーザーに売却し、その後当該売買を完成するためディーラーからその自動車を買い受けるという方法がとられていた場合において、ディーラーが、サブディーラーとユーザーとの自動車売買契約の履行に協力しておきながら、その後当該サブディーラーにその自動車を売却するにあたって所有権留保特約を付し、サブディーラーの代金不払を理由に同人との売買契約を解除したうえ、留保された所有権に基づき、既にサブディーラーに代金を完済して自動車の引渡を受けているユーザーにその返還を請求することは、権利の濫用として許されない。
判例
事案:ディーラーが、サブディーラーとユーザーの間の自動車売買契約について協力しておきながら、当該サブディーラーから自動車を買い受けた当該ユーザーに対し、当該ディーラーが当該サブディーラーとの間の自動車売買契約に付した所有権留保特約に基づきその自動車の引渡を請求した場合、当該請求が権利の濫用になるかどうかが問題となった。

判旨:「Aは、ディーラーとして、サブディーラーであるBが本件自動車をユーザーであるCに販売するについては、前述のとおりその売買契約の履行に協力しておきながら、その後Bとの間で締結した本件自動車の所有権留保特約付売買について代金の完済を受けないからといつて、すでに代金を完済して自動車の引渡しを受けたCに対し、留保された所有権に基づいてその引渡しを求めるものであり、右引渡請求は、本来AにおいてサブデイーラーであるBに対してみずから負担すべき代金回収不能の危険をユーザーであるCに転嫁しようとするものであり、自己の利益のために代金を完済したCに不測の損害を蒙らせるものであつて、権利の濫用として許されないものと解するを相当とする。」
過去問・解説
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(H18 司法 第16問 エ)
甲動産を所有するAが、これをBに売り、さらにBがCに譲渡したが、AはBから代金の支払を受けていない。A・B間の売買契約において、甲動産の所有権はBがAに代金を完済した時にBへ移転する旨が定められていた場合、Aは、甲動産をBがCに転売することに協力していたときであっても、Bに代金を支払って甲動産の引渡しを受けたCに対し、所有権に基づき甲動産の返還を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.2.28)は、「Aは、ディーラーとして、サブディーラーであるBが本件自動車をユーザーであるCに販売するについては、前述のとおりその売買契約の履行に協力しておきながら、その後Bとの間で締結した本件自動車の所有権留保特約付売買について代金の完済を受けないからといつて、すでに代金を完済して自動車の引渡しを受けたCに対し、留保された所有権に基づいてその引渡しを求めるものであり、右引渡請求は、本来AにおいてサブデイーラーであるBに対してみずから負担すべき代金回収不能の危険をユーザーであるCに転嫁しようとするものであり、自己の利益のために代金を完済したCに不測の損害を蒙らせるものであつて、権利の濫用として許されないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Aが、甲動産をBがCに転売することに協力していたという事情の存する本肢においては、Aは、A・B間の売買契約において、甲動産の所有権はBがAに代金を完済した時にBへ移転する旨が定められていた場合であっても、Bに代金を支払って甲動産の引渡しを受けたCに対し、所有権に基づき甲動産の返還を請求することは、権利の濫用として許されない。

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