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公務の執行を妨害する罪 - 解答モード

職務の適法性 最二小判昭和27年3月28日

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概要
所得税に関する調査等をする職務を有する収税官吏が、所得税法63条により帳簿書類等の検査をするにあたって、法定の検査章を携帯していなかったとしても、納税義務者等において右検査章の不携帯を理由として右収税官吏の検査を拒んだような事実のない以上、これに対して暴行又は脅迫を加えたときは公務執行妨害罪を構成する。
判例
事案:収税官吏が検査章を携帯せずに物件検査行為をした事案において、これに対する公務執行妨害罪の成否が問題となった。

判旨:「所得税法63条は、収税官吏は、所得税に関する調査について必要があるときは、納税義務者その他同条各号所定の者に質問し又はその者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査することができると規定しているから、所得税の調査等に関する職務を担当する収税官吏は、所得調査という行政目的を達成するためには、同条所定の者に質問し、又は同条所定の物件を検査する権能を法律上認められているものといわなければならない。所得税法施行規則63条は収税官吏は所得税法63条の規定により帳簿書類その他の物件を検査するときは、大蔵大臣の定める検査章を携帯しなければならないと規定しているが、この規定は、専ら、物件検査の性質上、相手方の自由及び権利に及ぼす影響の少なからざるを顧慮し、収税官吏が右の検査を為すにあたり、自らの判断により又は相手方の要求があるときは、右検査章を相手方に呈示してその権限あるものであることを証することによって、相手方の危惧の念を除去し、検査の円滑な施行を図るため、特に検査章の携帯を命じたものであって、同条は単なる訓示規定と解すべきではなく、殊に相手方が検査章の呈示を求めたのに対し、収税官吏が之を携帯せず又は携帯するも呈示しなかった場合には、相手方はその検査を拒む正当の理由があるものと認むべきである。しかし、さればといって、収税官吏の前記検査権は右検査章の携帯によって始めて賦与されるものでないことは前記のとおりであるから、相手方が何等検査章の呈示を求めていないのに収税官吏において偶々これを携帯していなかったからといって直ちに収税官吏の検査行為をその権限外の行為であると解すべきではない。即ち、所得税に関する調査等をする職務を有する収税官吏が所得調査のため所得税法63条により同条所定の物件を検査するにあたって、検査章を携帯していなかったとしても、その一事を以て、右収税官吏の検査行為を公務の執行でないということはできない。従って、之に対して暴行又は脅迫を加えたときは公務執行妨害罪に該当するものといわなければならない。」
過去問・解説

(R2 司法 第8問 オ)
甲は、税務調査を免れるため、同調査のため甲方に来た所轄税務署職員乙の顔面を殴った。その際、乙は、規則により調査時に携帯が義務付けられている検査章を携帯していなかったが、甲がその呈示を求めることはなかった。乙に規則違反があった以上、乙の調査は職務の権限外の行為であり、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭27.3.28)は、「所得税に関する調査等をする職務を有する収税官吏が所得調査のため所得税法63条により同条所定の物件を検査するにあたって、検査章を携帯していなかったとしても、その一事を以て、右収税官吏の検査行為を公務の執行でないということはできない。」としている。
乙は、規則により調査時に携帯が義務付けられている検査章を携帯していなかったものの、これのみをもって公務の執行ではないということにはならない。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。

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「職務を執行するにあたり」の時間的範囲 最三小判昭和45年12月22日

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概要
駅の助役が、その職務行為である点呼の執行を終了した直後に、その点呼を行なった場所およびその出入口付近で暴行を受けた場合には、同助役がその後同所から数10メートル離れた助役室において事務引継という職務行為を執行することになっているときであっても、右暴行は95条1項にいう「職務ヲ執行スルニ当リ」加えられたものとは認められない。
判例
事案:国鉄職員たる駅の助役に対する暴行の事案において、95条1項にいう「職務ヲ執行スルニ当リ」加えられたものとは認められるかが問題となった。

判旨:「95条1項の定める公務執行妨害罪の要件について考えるに、右条項の趣旨とするところは、公務員そのものについて、その身分ないし地位を特別に保護しようとするものではなく、公務員によって行なわれる公務の公共性にかんがみ、その適正な執行を保護しようとするものであるから、その保護の対象となるべき職務の執行というのは、漫然と抽象的・包括的に捉えられるべきものではなく、具体的・個別的に特定されていることを要するものと解すべきである。そして、右条項に『職務ヲ執行スルニ当り』と限定的に規定されている点からして、ただ漠然と公務員の勤務時間中の行為は、すべて右職務執行に該当し保護の対象となるものと解すべきではなく、右のように具体的・個別的に特定された職務の執行を開始してからこれを終了するまでの時間的範囲およびまさに当該職務の執行を開始しようとしている場合のように当該職務の執行と時間的に接着しこれと切り離し得ない一体的関係にあるとみることができる範囲内の職務行為にかぎって、公務執行妨害罪による保護の対象となるものと解するのが相当である。以上と異なり、職務の執行を抽象的・包括的に捉え、しかも『職務ヲ執行スルニ当り』を広く漫然と公務員の勤務時間中との意味に解するときは、公務の公共性にかんがみ、公務員の職務の執行を他の妨害から保護しようとする刑法95条1項の趣旨に反し、これを不当に拡張し、公務員そのものの身分ないし地位の保護の対象とする不合理な結果を招来することとなるを免れないからである。」
過去問・解説

(H23 予備 第8問 2)
甲は、飲食店Aで無銭飲食した後、A店店員の通報を受けて同店に臨場した制服の警察官乙の姿を認めるや、乙から事情聴取を受ける前に、その場から逃走する目的で乙を1回殴り、乙がひるんだ隙に同店から逃げた。甲には公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.12.22)は、「具体的・個別的に特定された職務の執行を開始してからこれを終了するまでの時間的範囲およびまさに当該職務の執行を開始しようとしている場合のように当該職務の執行と時間的に接着しこれと切り離し得ない一体的関係にあるとみることができる範囲内の職務行為にかぎって、公務執行妨害罪による保護の対象となる…。」としている。
乙は通報を受けて同店に臨場しており、乙から事情聴取を受ける直前というのは、職務の執行と時間的に接着しこれと切り離し得ない一体的関係にあるということができる。
したがって、甲には公務執行妨害罪が成立する。


(H28 司法 第10問 4)
甲は、警ら中の制服警察官乙が職務質問をしようとしてきたことから、これを免れるため、乙の職務質問開始前に乙に暴行を加え、乙がひるんだ隙に逃走した。乙が職務質問を開始する前に暴行を加えたにすぎないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.12.22)は、「具体的・個別的に特定された職務の執行を開始してからこれを終了するまでの時間的範囲およびまさに当該職務の執行を開始しようとしている場合のように当該職務の執行と時間的に接着しこれと切り離し得ない一体的関係にあるとみることができる範囲内の職務行為にかぎって、公務執行妨害罪による保護の対象となる…。」としている。
甲は、警ら中の制服警察官乙が職務質問をしようとしてきたことから、その直後の職務質問開始前に乙に暴行を加えているから、職務の執行と時間的に接着しこれと切り離し得ない一体的関係にあるということができる。
したがって、甲には公務執行妨害罪が成立する。

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「職務を執行する」の意義 最一小判昭和53年6月29日

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概要
公務執行妨害罪における「職務」には、広く公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる。
判例
事案:組合員の行った違法争議行為に対しなされた組合員に対する行政処分を不当とし、局長らの耳元でガソリンの空缶を連打するなどの暴行を加え、その職務の執行を妨害したという事案において、「職務を執行する」の意義が問題になった。

判旨:「95条1項にいう『職務ヲ執行スルニ当リ』とは、具体的・個別的に特定された職務の執行を開始してからこれを終了するまでの時間的範囲及びまさに当該職務の執行を開始しようとしている場合のように当該職務の執行と時間的に接着しこれと切り離しえない一体的関係にあるとみることができる範囲内の職務行為をいうものと解すべきである(最高裁昭和42年(あ)第2037号同45年12月22日第三小法廷判決・刑集24巻13号1812頁)が、同項にいう職務には、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれるものである(大審院明治42年(れ)第1495号同年11月19日判決・刑録15輯26巻1641頁、同44年(れ)第527号同年4月17日判決・刑録17輯9巻601頁参照)から、職務の性質によっては、その内容、職務執行の過程を個別的に分断して部分的にそれぞれの開始、終了を論ずることが不自然かつ不可能であつて、ある程度継続した一連の職務として把握することが相当と考えられるものがあり、そのように解しても当該職務行為の具体性・個別性を失うものではないのである。」
過去問・解説

(H18 司法 第1問 ウ)
判例の立場に従って次の【事例】の甲の罪責について検討し、後記の【罪名】のうち、その罪名に係る犯罪が成立するか。
【事例】
 執行猶予中の甲は、居酒屋で飲食中、隣のテーブルの男Aと口論になり、Aの顔面をこぶしで殴打して鼻骨骨折等の傷害を負わせたが、店員らに現行犯逮捕され、K警察署の司法警察員に引き渡された。そして、司法警察員Xから、犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げられ、弁解の機会を与えられた。その際、甲は単純な事件なので起訴されることはないと思い、事実関係を争わなかった。そこで、Xは「傷害事件を起こしたことは間違いありません。弁解はありません。」などと供述録取書に録取して読み聞かせたところ、甲は間違いない旨を申し立てて署名・指印した。そのとき、Xは上司から呼出しを受けたため、供述録取書にXの署名・押印及び契印をしないまま、取調室前の廊下にいた同僚の司法警察員Yに甲の監視を依頼して、取調室から出て行った。
 甲がYに傷害事件の見通しを尋ねたところ、Yは「被害者の傷害の程度も重いので、軽く考えない方がいいかもしれない。」などと答えた。甲はYの話を聞き、実刑になり刑務所に収容されるかもしれないと思い、憤激のあまり、Yに対し「ばか野郎。お前らはうそつきだ。」などと怒号し、前記の供述録取書を破り捨てた上、制止するために立ちふさがったYの顔面をこぶしで殴打して転倒させた。その後、甲はK警察署から逃げ出し、隣町に住む友人乙の居宅に逃げ込んだ。
 甲は乙に対し、Aが傷害を負ったことを隠し、単に暴行事件を起こして任意の取調べを受けている際に警察署から逃げ出してきたなどとうそを交えて話した上、かくまってくれるように頼んだところ、乙は甲の話を信じ、自宅の物置小屋に甲をかくまったが、その数時間後、警察官に発見された。
【罪名】
 公務執行妨害(刑法第95条第1項)

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.6.29)は、「95条1項にいう『職務ヲ執行スルニ当リ』とは、具体的・個別的に特定された職務の執行を開始してからこれを終了するまでの時間的範囲及びまさに当該職務の執行を開始しようとしている場合のように当該職務の執行と時間的に接着しこれと切り離しえない一体的関係にあるとみることができる範囲内の職務行為をいうものと解すべきである…が、同項にいう職務には、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれるものである…。」としている。
Yの甲を監視する職務は、広く警察官という公務員が取り扱う職務であるから、「職務を執行する」に当たる。
したがって、Yの顔面をこぶしで殴打して転倒させた甲には、公務執行妨害罪が成立する。

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「職務を執行するにあたり」の意義 最一小決平成元年3月10日

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概要
県議会委員長が委員会の休憩を宣言して退出しようとした場合であっても、なお審議に関して生じた紛議に対処するなどの職務に従事していたと認められる本件においては、その際委員長に対して加えられた暴行は公務執行妨害罪を構成する。
判例
事案:休憩宣言後の県議会委員長に暴行したという事案において、公務執行妨害罪の成否が問題となった。

判旨:「公務執行妨害罪の成否に関する所論にかんがみ検討すると、原判決の認定によれば、熊本県議会公害対策特別委員会委員長Aは、同委員会の議事を整理し、秩序を保持する職責を有するものであるが、昭和50年9月25日同委員会室で開催された委員会において、水俣病認定申請患者協議会代表者から陳情を受け、その事項に関して同委員会の回答文を取りまとめ、これを朗読したうえ、昼食のための休憩を宣するとともに、右陳情に関する審議の打切りを告げて席を離れ同委員会室西側出入口に向かおうとしたところ、同協議会構成員らが右打切りに抗議し、そのうちの1名が、同委員長を引きとめるべく、その右腕などをつかんで引っ張る暴行を加え、同委員長がこれを振り切って右の出入口から廊下に出ると、右構成員らの一部や室外で待機していた同協議会構成員らも加わつて合計約2、30名が、同委員長の退去を阻止すべく、同委員長を取り囲み、同委員会室前廊下などにおいて、同委員長に対し、押す、引くなどしたばかりか、体当たりし、足蹴りにするなどの暴行を加えたというのである。右の事実関係のもとにおいては、A委員長は、休憩宣言により職務の執行を終えたものではなく、休憩宣言後も、前記職責に基づき、委員会の秩序を保持し、右紛議に対処するための職務を現に執行していたものと認めるのが相当であるから、同委員長に対して加えられた前記暴行が公務執行妨害罪を構成することは明らかであり、これと同旨の原判断は正当である…。」
過去問・解説

(H25 共通 第16問 ア)
甲は、県議会の議事が紛糾し、議長乙が休憩を宣言して壇上から降りようとした際、乙の顔面をげんこつで殴った。甲に公務執行妨害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決元.3.10)は、本肢と同種の事案において、「委員会において、…昼食のための休憩を宣するとともに、…出入口に向かおうとしたところ、…暴行を加えたという…事実関係のもとにおいては、A委員長は、休憩宣言により職務の執行を終えたものではなく、休憩宣言後も、前記職責に基づき、委員会の秩序を保持し、右紛議に対処するための職務を現に執行していたものと認めるのが相当であるから、同委員長に対して加えられた前記暴行が公務執行妨害罪を構成する…。」としている。
議長乙が休憩を宣言していたとしても、乙は秩序維持のための職務を現に執行していたものといえる。
したがって、議長乙が休憩を宣言して壇上から降りようとした際、乙の顔面をげんこつで殴った甲には、公務執行妨害罪が成立する。

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公務執行妨害罪の成否 最一小判昭和27年12月25日

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概要
外国の領事館員は、刑法上の「公務員」にあたらない。
判例
事案:米国領事館から旅券を騙取しようとしたという事案において、アメリカ領事館員は、刑法上の「公務員」に当たるかが問題となった。

判旨:「判示の米国領事館員のごときは、刑法7条、従って同法157条2項にいわゆる公務員とはいえないから、右判示行為は、刑法157条2項の未遂罪にも該当しないものといわなければならない。」
過去問・解説

(H25 共通 第16問 イ)
甲は、日本国内にある外国の大使館の職員乙がその大使館の業務に従事していた際、乙の腹部を足で蹴った。甲に公務執行妨害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭27.12.25)は、「米国領事館員のごときは、刑法7条、従って同法157条2項にいわゆる公務員とはいえない…。」としている。
したがって、日本国内にある外国の大使館の職員乙は公務員に当たらないから、甲に公務執行妨害罪は成立しない。


(R2 司法 第8問 エ)
甲は、日本国内にある外国大使館の職員乙がその大使館の業務に従事していた際に、同人の顔面を殴った。乙は「公務員」に当たらないので、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭27.12.25)は、「米国領事館員のごときは、刑法7条、従って同法157条2項にいわゆる公務員とはいえない…。」としている。
したがって、日本国内にある外国大使館の職員乙は、公務員に当たらないから、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

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職務執行妨害罪における「暴行」と間接暴行 最二小決昭和34年8月27日

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概要
司法巡査が覚せい剤取締法違反の現行犯人甲を逮捕する現場で証拠物として適法に差押え整理のため同所に置いた覚せい剤注射液入りアンプルを、被告人乙が足で踏付けて損壊したときは公務執行妨害罪が成立する。
判例
事案:公務員の身体に対して間接的に物理力が行使されているにとどまる間接暴行の事案において、職務執行妨害罪の「暴行」が認められるかが問題となった。

判旨:「95条1項の公務執行妨害罪が成立するには、いやしくも公務員の職務の執行に当りその執行を妨害するに足る暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問うところではない…。」
過去問・解説

(H25 共通 第16問 ウ)
甲は、警察官乙から捜索差押許可状に基づき自宅の捜索を受け、覚せい剤入りの注射器を差し押さえられた際、乙の眼前で同注射器を足で踏み付けて壊した。甲に公務執行妨害罪が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(最決昭34.8.27)は、本肢と同種の事案において、「95条1項の公務執行妨害罪が成立するには、いやしくも公務員の職務の執行に当りその執行を妨害するに足る暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問うところではない…。」として、間接暴行も「暴行」に該当することを認めている。
したがって、警察官乙の眼前で同注射器を足で踏み付けて壊した行為は、暴行に該当するから、甲に公務執行妨害罪が成立する。


(H27 共通 第18問 1)
【事例】
 甲は、A方から高価な壺を盗み出した。Aは、これに気付いて甲を追い掛けたが、甲は、逃げ切って帰宅し、盗んだ上記壺を自宅のテーブルに置いていた。警察官は、甲の本件窃盗事件の捜査を開始した。

警察官は、甲を立会人として本件窃盗事件に係る捜索差押許可状に基づき甲方を捜索中、テーブルに上記壺が置かれているのを発見し、これを差し押さえようとして手を伸ばしたところ、甲は、腹立ち紛れにその壺を取り上げ、その場で床にたたき付けて粉々に割った。公務執行妨害罪が成立するか。

(正答)

(解説)
判例(最決昭34.8.27)は、本肢と同種の事案において、「95条1項の公務執行妨害罪が成立するには、いやしくも公務員の職務の執行に当りその執行を妨害するに足る暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問うところではない…。」として、間接暴行も「暴行」に該当することを認めている。
したがって、警察官が差押えのため手を伸ばしたところ、甲がその目の前でその壺を取り上げ、その場で床にたたき付けた行為も暴行に当たるとして、甲に公務執行妨害罪が成立する。


(R2 司法 第8問 イ)
甲は、警察官乙らが捜索差押許可状に基づき甲方の捜索に来た際、乙らにより甲方玄関ドアの鍵が開けられる前に、居室内にあった覚醒剤入りの注射器を足で踏み付けて壊した。甲の行為は、公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たらないので、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最決昭34.8.27)は、本肢と同種の事案において、「95条1項の公務執行妨害罪が成立するには、いやしくも公務員の職務の執行に当りその執行を妨害するに足る暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問うところではない…。」として、間接暴行も「暴行」に該当することを認めている。
甲は、警察官乙らにより甲方玄関ドアの鍵が開けられる前に、居室内にあった覚醒剤入りの注射器を足で踏み付けて壊したにすぎず、間接的に不法な有形力の行使があったとすら認められない。
したがって、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

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職務執行妨害罪における「暴行」の意義 最三小判昭和37年1月23日

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概要
職務執行妨害罪の「暴行」とは、公務員に対し、直接であると間接であるとを間わず不法な攻撃を加えることをいう。
判例
事案:県教職員組合の組合活動に従事していた被告人が、A教諭が組合活動に非協力的であると憤慨し、暴行を加え、Aの職務の執行を妨害したという事案において、職務執行妨害罪における「暴行」の意義が問題となった。

判旨:「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいうのであって、被告人の本件所為が右の暴行にあたることは明らかである。」
過去問・解説

(H20 司法 第4問 ア)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、丙が付近道路に止めていたパトカーの発進を阻止するため、自己が運転していた自動車を、同パトカーが発進することの障害となる位置に移動して駐車させた。このため、丙は、職務質問後、乙を直ちに最寄りの警察署に任意同行することができなかった。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.1.23)は、「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいう…。」としている。
甲は、パトカーが発進することの障害となる位置に移動して駐車させたにすぎず、不法な攻撃すなわち公務員に向けられた有形力の行使があったとはいえない。
したがって、甲に公務執行妨害罪は成立しない。


(H20 司法 第4問 ウ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。 
甲は、職務質問を受けている乙の左手をつかんで引っ張り、その場から走って逃走したところ、これを追いかけた丙が、走りながら、乙の右手をつかもうとして手を伸ばしたが、乙の右手をつかめずにバランスを崩して道路上に転倒した。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.1.23)は、「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいう…。」としている。
甲は、職務質問を受けている乙の左手をつかんで引っ張ったにすぎず、不法な攻撃すなわち公務員丙に向けられた有形力の行使があったとはいえない。
したがって、甲に公務執行妨害罪は成立しない。


(H23 予備 第8問 3)
甲は、パトロールカーに乗って警ら中の警察官乙を認めるや、以前乙によって逮捕されたことを恨んでいたので、乙の乗っていたパトロールカーに石を投げ付けて同車のフロントガラスに命中させ、同ガラスにひび割れを生じさせた。甲には、器物損壊罪が成立するが、公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.1.23)は、「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいう…。」としている。
乙の乗るパトロールカーに石を投げる行為は、乙に対する間接的な不法な有形力の行使であるといえるから、暴行に当たる。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。


(H28 司法 第10問 3)
甲は、制服警察官乙から職務質問を受けている丙の右手をつかんで引っ張り、その場から一緒に走って逃走したところ、これを追い掛けた乙が、走りながら、丙の肩をつかもうとして手を伸ばしたが、その肩をつかめずにバランスを崩して路上に転倒した。甲の丙に対する行為は乙に対する暴行とはいえないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭37.1.23)は、「95条にいわゆる暴行とは、公務員の身体に対し直接であると間接であるとを問わず不法な攻撃を加えることをいう…。」としている。
甲は、職務質問を受けている丙の左手をつかんで引っ張ったにすぎず、不法な攻撃すなわち公務員乙に向けられた有形力の行使があったとはいえない。
したがって、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

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「暴行」の程度・客体 最一小判昭和41年3月24日

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概要
公務執行妨害罪の成立には、公務員が職務の執行をなすに当り、その職務の執行を妨害するに足りる暴行脅迫がなされることを要するけれども、その暴行脅迫は、必ずしも直接に当該公務員自身に対して加えられることを要せず当該公務員の指揮に従いその手足となり、その職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対してなされるものでもよい。
判例
事案:強制執行の際執行官の補助者に対して妨害したという事案において、暴行脅迫の程度およびその客体が問題となった。

判旨:「95条1項に規定する公務執行妨害罪の成立には、公務員が職務の執行をなすに当り、その職務の執行を妨害するに足りる暴行脅迫がなされることを要するけれども、その暴行脅迫は、必ずしも直接に当該公務員の身体に対して加えられる場合に限らず、当該公務員の指揮に従いその手足となりその職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対してなされた場合もこれに該当すると解するを相当とする。」
過去問・解説

(H25 共通 第16問 オ)
甲は、執行官から確定判決に基づき居室明渡しの強制執行を受けていた際、執行官の補助者であった民間人乙の頭部を棒で殴った。公務執行妨害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭41.3.24)は、「95条1項に規定する公務執行妨害罪の成立には、…必ずしも直接に当該公務員の身体に対して加えられる場合に限らず、当該公務員の指揮に従いその手足となりその職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対してなされた場合もこれに該当する…。」としている。
甲は、直接に公務員たる執行官に有形力を行使したわけではないものの、その職務の執行に密接不可分の関係において関与する、補助者であった民間人乙に対して暴行を加えている。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。


(H28 司法 第10問 2)
甲は、税務署の職員乙が甲宅において税務調査をしていたところ、乙の近くでその調査を補助していた民間人である丙に対し、「殺すぞ。」などと危害を加える旨申し向け、これにより乙の職務の執行を一時中断させた。甲は乙を直接脅迫したものではないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭41.3.24)は、「95条1項に規定する公務執行妨害罪の成立には、…必ずしも直接に当該公務員の身体に対して加えられる場合に限らず、当該公務員の指揮に従いその手足となりその職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対してなされた場合もこれに該当する…。」としている。
甲は、公務員たる税務署の職員乙に有形力を行使したわけではないものの、その職務の執行に密接不可分の関係において関与する、乙の調査を補助していた民間人である丙に対して、「殺すぞ。」などと危害を加える旨申し向けている。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。

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職務執行妨害罪の「暴行又は脅迫」の程度 最一小判平成元年3月9日

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概要
罵声を浴びせながら一方的に抗議する過程において、丸めた紙を相手方の顔面付近に突きつけてその先端をあごに触れさせ、相手方の座っているいすを揺さぶった行為及び相手方がいすから立ち上がるのを阻止するためその手首を握った行為は、いずれも公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たる。
判例
事案:丸めた紙を相手方の顔面付近に突きつけてその先端をあごに触れさせ、相手方の座っているいすを揺さぶり、相手方がいすから立ち上がるのを阻止するためその手首を握ったという事案において、公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たるかが問題となった。

判旨:「被告人甲は、新運用方式の内容の説明を聞くため、また、被告人乙は、右融資制度に基づく融資申込みをするため、それぞれ右県民サロン室に赴き、融資申込みの受付事務の職務に従事していた兵庫県同和局企画調整課企画調整係長A(当時45年)から、新運用方式に基づく融資手続などの説明を受けているうち、やがてその説明に対する不満をあらわにして、同人に対し、こもごも『ぼけ』『どあほ』などと罵声を浴びせながら一方的に抗議し、同日午後2時ないし3時ころ、被告人甲は、激高した態度で所携のパンフレットを丸めてAの座っていたいすのメモ台部分を数回たたいた上、丸めた右パンフレットを同人の顔面付近に2、3回突きつけ、少なくとも1回その先端をあごに触れさせ、更に、約2回にわたり、同人が座っていたいすのメモ台部分を両手で持って右いすの前脚を床から持ち上げては落とすことによりその身体を揺さぶり、また、被告人乙は、Aがいすのメモ台部分に両手をついて立ち上がりかけたところ、これを阻止するため、その右手首を握ったというのである。 右事実を前提として、原判決における法令の解釈適用について検討すると、原判決が認定した被告人両名の右各行為は、被告人らが罵声を浴びせながら一方的に抗議する過程でなされたものであることをも考慮すれば、いずれも公務執行妨害罪にいう暴行に当たるものというべきであるから、これらが同罪にいう暴行に当たらないとした原判断は、刑法95条1項の解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。」
過去問・解説

(R2 司法 第8問 ア)
甲は、市役所の生活保護係職員乙による生活保護に関する説明に不満を抱き、同人に罵声を浴びせながら抗議するとともに、丸めたパンフレットを同人の顔面付近に2、3回突き付け、そのうち1回はパンフレットの先端が同人の顎に触れ、さらに、約2回にわたり、乙が座っている椅子を両手で持って椅子の前脚を床から持ち上げては落とすことによりその身体を揺さぶった。甲の行為は、公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たらないので、甲に公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.3.9)は、本肢と同種の事案において、「被告人Aは…罵声を浴びせながら一方的に抗議し…丸めた右パンフレットを同人の顔面付近に2、3回突きつけ、少なくとも1回その先端をあごに触れさせ、更に、約2回にわたり、同人が座っていたいすの…前脚を床から持ち上げては落とすことによりその身体を揺さぶ…ったというのである。…いずれも公務執行妨害罪にいう暴行に当たる…。」としている。
したがって、甲の行為は、公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たり、公務執行妨害罪が成立する。

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職務執行妨害罪の暴行、脅迫と結果発生の要否 最三小判昭和33年9月30日

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概要
①公務執行妨害罪は公務員が職務を執行する際、これに対して暴行または脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りる。
②職務執行中の警察官に対する投石行為は、たとえそれが只1回であっても、95条1項の暴行に該当する。
判例
事案:検挙又は警備をしていた警察官に対して投石したという事案において、①職務執行妨害罪の暴行、脅迫と結果発生の要否、②職務執行中の警察官に対する投石行為が95条1項の暴行に該当するかが問題となった。

判旨:「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。(昭和24年(れ)第2898号、同25年10月20日第二小法廷判決集4巻10号2115頁参照)。そして投石行為はそれが相手に命中した場合は勿論、命中しなかった場合においても本件のような状況の下に行われたときは、暴行であることはいうまでもなく、しかもそれは相手の行動の自由を阻害すべき性質のものであることは経験則上疑を容れないものというべきである。されば本件被告人等の各投石行為はその相手方である前記各巡査の職務執行の妨害となるべき性質のものであり、従って公務執行妨害罪の構成要件たる暴行に該当すること明らかである。そうだとすれば被告人等の各投石行為がたとえ只1回の瞬間的なものであったとしても、かかる投石行為があったときは、前説示のとおり、直ちに公務執行妨害罪の成立があるものといわなければならない。」
過去問・解説

(H20 司法 第4問 イ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、丙に対し、こぶし大の石1個を投げたが、丙の頭部をかすめたにすぎず、職務質問に現実の支障は発生しなかった。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲の投石行為で石が丙の頭部をかすめたにすぎず、職務質問に現実の支障は発生しなかったが、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。


(H20 司法 第4問 オ)
甲は、友人の乙から、同人が殺人を犯したことを打ち明けられていたが、ある日、乙が路上で警察官丙の職務質問を受けているのを見て、乙が殺人事件で逮捕されようとしているものと思い、その逮捕を免れさせようと考えた。次の甲の行為について、公務執行妨害罪が成立するか。
甲は、乙を逃走させるため、丙の背部をいきなり足で蹴って転倒させたが、乙は観念していたので逃走しなかった。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲が警察官丙の背部を足で蹴って転倒させたところ、乙は観念していたので逃走しなかったために現実の支障は発生していないが、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。


(H23 予備 第8問 5)
甲は、警察官乙により、逮捕状を示されて逮捕されそうになった際、逮捕を免れるため、乙に暴行を加えて抵抗したものの、結局、その場で、前記逮捕状により逮捕された。甲には公務執行妨害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲は、逮捕を免れるため、警察官乙に暴行を加えて抵抗したものの、結局その場で逮捕されているから現実の支障は発生していないが、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。


(H25 共通 第16問 エ)
甲は、無許可のデモ行進に参加していた際、これを解散させようとした警察官乙に向かって石を1回投げ、その石は乙の頭部付近をかすめたが、乙には命中しなかった。公務執行妨害罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲の投石行為で石が乙の頭部をかすめたにすぎず、警察官乙には命中しなかったが、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。


(H28 司法 第10問 5)
甲は、制服警察官乙から丙が職務質問を受けているのを見て、これをやめさせようと拳大の石塊を乙に向けて投げ、その臀部に命中させたが、乙が職務質問を中断することはなかった。現実に乙の職務の執行を妨害するに至っていないから、甲には公務執行妨害罪は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.30)は、「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであって、その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」としている。
甲は、拳大の石塊を警察官乙に向けて投げその臀部に命中させたものの、乙が職務質問を中断することはなかったものの、結果の発生は不要である。
したがって、甲に公務執行妨害罪が成立する。

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