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株式 総則 - 解答モード

条文
第104条(株主の責任)
 株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。
過去問・解説

(H19 司法 第36問 1)
「構成員は、出資の限度でのみ責任を負う。」という説明は、株式会社及び合同会社には当てはまるが、民法上の組合には当てはまらない。なお、「構成員」とは、株式会社にあっては株主を、合同会社にあっては社員を、民法上の組合にあっては組合員をそれぞれ指すものとし、また、定款又は組合契約には特別の定めがないものとする。

(正答)

(解説)
104条、「株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。」と規定しており、567条4項は、「設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第1項第5号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。」と規定している。したがって、株式会社及び合同会社の構成員は、出資の限度でのみ責任を負う。これに対し、民法上の組合における組合員は、組合の債務について、組合の債権者の選択に従い、自己の損失分担の割合又は等しい割合で直接の責任を負う(民法675条2項)。

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条文
第105条(株主の権利)
① 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。        
 一 剰余金の配当を受ける権利
 二 残余財産の分配を受ける権利
 三 株主総会における議決権
② 株主に前項第1号及び第2号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。        
過去問・解説

(H21 司法 第2問 1)
株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の株式会社の定款の定めは、その効力を有しない。

(正答)

(解説)
会社法105条2項は、株主に前項第1号(剰余金の配当を受ける権利)及び第2号(残余財産の分配を受ける権利)に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない旨定めている。


(R2 予備 第17問 1)
株式会社は、株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨を定款で定めることができない。

(正答)

(解説)
105条2項は、「剰余金の配当を受ける権利」及び「残余財産の分配を受ける権利」の「全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。」と規定している。        

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条文
第106条(共有者による権利の行使)
 株式が2以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者1人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
過去問・解説

(H21 司法 第38問 ア)
株式が2以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者1人を定め、会社の同意を得なければ、当該株式についての権利を行使することができない。

(正答)

(解説)
106条本文によれば、「当該株式についての権利を行使する者1人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知」することにより、準共有株式についての権利を行使することができるから、会社の同意は不要である。


(H22 司法 第40問 3)
株式、新株予約権又は社債が2以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式、新株予約権又は社債についての権利を行使する者1人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、株式会社が同意しない限り、当該権利を行使することができない。

(正答)

(解説)
106条本文は、「株式が2以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者1人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。」と規定しており、新株予約権及び社債についても同様の規定が存在する(237条、686条)。


(R3 司法 第19問 イ)
共有に属する株式につき株主総会における議決権を行使する者については、株主総会の都度、権利行使者の指定及び通知がされなければならない。

(正答)

(解説)
権利行使者の指定及び通知(106条本文)は一度で足り、株主総会の都度に必要とされるものではない。

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条文
第107条(株式の内容についての特別の定め)
① 株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。                
 一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。        
 二 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。        
 三 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。        
② 株式会社は、全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは、当該各号に定める事項を定款で定めなければならない。                
 一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 次に掲げる事項        
  イ 当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨
  ロ 一定の場合においては株式会社が第136条又は第137条第1項の承認をしたものとみなすときは、その旨及び当該一定の場合
 二 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項        
  イ 株主が当該株式会社に対して当該株主の有する株式を取得することを請求することができる旨
  ロ イの株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類(第681条第1号に規定する種類をいう。以下この編において同じ。)及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
  ハ イの株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
  ニ イの株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
  ホ イの株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等(株式、社債及び新株予約権をいう。以下同じ。)以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
  ヘ 株主が当該株式会社に対して当該株式を取得することを請求することができる期間
 三 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項        
  イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を取得する旨及びその事由
  ロ 当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨
  ハ イの事由が生じた日にイの株式の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する株式の一部の決定の方法
  ニ イの株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
  ホ イの株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
  ヘ イの株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのニに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのホに規定する事項
  ト イの株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
過去問・解説

(H29 予備 第17問 ア)
譲渡制限株式に関しては、相続その他の一般承継による当該株式の取得について取締役会の承認を要する旨を定款で定めることができる。

(正答)

(解説)
107条1項柱書及び1号によれば、株式の内容についての特別の定めとして、定款により、「その発行する全部の株式の内容」として「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」を定めることができるが、174条は、「株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。」と規定している。したがって、譲渡制限株式に関して、相続その他の一般承継による当該株式の取得について取締役会の承認を要する旨を定款で定めることはできない。


(H29 予備 第17問 イ)
譲渡制限株式に関しては、当該株式を従業員以外の者に譲渡する場合に限り、取締役会の承認を要する旨を定款で定めることができる。

(正答)

(解説)
107条2項1号ロは、「全部の株式の内容」として「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」を定める場合において、「一定の場合においては株式会社が第136条又は第137条第1項の承認をしたものとみなすときは、その旨及び当該一定の場合」を定款で定めなければならないと規定している。したがって、譲渡制限株式に関しては、当該株式を従業員以外の者に譲渡する場合に限り、取締役会の承認を要する旨を定款で定めることができる。

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条文
第108条(異なる種類の株式)
① 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第9号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。                
 一 剰余金の配当        
 二 残余財産の分配        
 三 株主総会において議決権を行使することができる事項        
 四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。        
 五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。        
 六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。        
 七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。        
 八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第478条第8項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの        
 九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。次項第9号及び第112条第1項において同じ。)又は監査役を選任すること。        
② 株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる2以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。                
 一 剰余金の配当 当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容        
 二 残余財産の分配 当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、当該残余財産の種類その他残余財産の分配に関する取扱いの内容        
 三 株主総会において議決権を行使することができる事項 次に掲げる事項        
  イ 株主総会において議決権を行使することができる事項
  ロ 当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときは、その条件
 四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 当該種類の株式についての前条第2項第1号に定める事項        
 五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項        
  イ 当該種類の株式についての前条第2項第2号に定める事項
  ロ 当該種類の株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
 六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項        
  イ 当該種類の株式についての前条第2項第3号に定める事項
  ロ 当該種類の株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
 七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること 次に掲げる事項        
  イ 第171条第1項第1号に規定する取得対価の価額の決定の方法
  ロ 当該株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは、その条件
 八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの 次に掲げる事項        
  イ 当該種類株主総会の決議があることを必要とする事項
  ロ 当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときは、その条件
 九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること 次に掲げる事項        
  イ 当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数
  ロ イの定めにより選任することができる取締役又は監査役の全部又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは、当該他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数
  ハ イ又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後のイ又はロに掲げる事項
  ニ イからハまでに掲げるもののほか、法務省令で定める事項
③ 前項の規定にかかわらず、同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額その他法務省令で定める事項に限る。)の全部又は一部については、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。この場合においては、その内容の要綱を定款で定めなければならない。                
過去問・解説

(H18 司法 第38問 3)
会社が種類株式を発行するには、定款で、株式の内容など一定の事項を定めることを要する。

(正答)

(解説)
108条は、1項柱書本文において「株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる。」と規定した上で、2項において「株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる2以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。」と規定している。したがって、会社が種類株式を発行するには、定款で、株式の内容など一定の事項を定めることを要する。


(H21 司法 第39問 3)
指名委員会等設置会社においては、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類の株式を発行することができない。

(正答)

(解説)
108条1項は、異なる種類の株式について、本文において「株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第9号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。」と規定している。したがって、指名委員会等設置会社においては、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類の株式を発行することができない。


(H21 司法 第39問 4)
株式会社は、定款に定めることにより、株主総会のあらゆる決議事項について議決権を行使することができない種類の株式を発行することができる。

(正答)

(解説)
108条1項3号は、種類株式の内容の一つとして「株主総会において議決権を行使することができる事項」を掲げており、その一環として、株主総会のあらゆる決議事項について議決権を行使することができない種類の株式(これを「無議決権株式」という。)を発行することもできる。


(H23 共通 第39問 5)
優先株式を取得請求権付株式とすることはできるが、その取得の対価を普通株式とすることはできない。

(正答)

(解説)
108条2項5号によると、取得請求権付株式の取得の対価について「当該種類株式の株式1株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその計算方法」と規定するにとどまり、優先株式を取得請求権付株式とする場合におけるその取得の対価を普通株式とすることを制限していない。


(H24 司法 第38問 エ)
会社法上の公開会社において、ある種類の株式の内容として、その種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することとする旨は、定款で定めることができる。

(正答)

(解説)
108条1項は、柱書において「株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第9号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。」と規定した上で、9号において「当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役…を選任すること」を掲げている。したがって、会社法上の公開会社において、ある種類の株式の内容として、その種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することとする旨は、定款で定めることはできない。


(H25 司法 第38問 イ)
会社は、その発行する一部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設けることはできない。

(正答)

(解説)
108条1項4号は、種類株式の内容の一つとして、「譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」を掲げている。したがって、会社は、その発行する一部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定款の定めを設けることができる。


(H27 予備 第17問 3)
会社は、既存の株式とは別に、剰余金の配当に関する優先株式を新たに発行し、既存の株式の株主に優先して優先株式の株主に剰余金の配当をすることができるとの規定は、株主平等原則の例外である。

(正答)

(解説)
108条1項1号は、種類株式の内容の一つとして「剰余金の配当」を掲げており、その一環として、剰余金の配当に関する優先株式を発行することができる。109条1項は、「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」と規定しているため、株式の内容に応じて株主ごとに異なる取り扱うことをすることは、株主平等原則の例外には当たらない。したがって、会社は、既存の株式とは別に、剰余金の配当に関する優先株式を新たに発行し、既存の株式の株主に優先して優先株式の株主に剰余金の配当をすることができるとの規定は、株主平等原則の例外に当たらない。


(R1 司法 第17問 ア)
会社法上の公開会社は、株主に対してその有する当該種類の株式の数にかかわらず同額の剰余金の配当をすることを内容とする種類の株式を発行することはできない。

(正答)

(解説)
108条1項1号は、種類株式の内容の一つとして「剰余金の配当」を掲げており、その一環として、剰余金の配当に関する優先株式を発行することができる。もっとも、同じ種類の株式を有する株主間には株主平等の原則(109条1項)が適用される。そして、454条2項は、剰余金の配当について内容の異なる2以上の種類の株式を発行しているときは、株式会社は、当該種類の株式の内容に応じ、「株主に対する配当財産の割当てに関する事項」として、「ある種類の株式の株主に対して配当財産の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類」(1号)及び「前号に掲げる事項のほか、配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容」(2号)を定めることができると規定しており、同じ種類の株式の株主についてその保有株式数にかかわらず同額の剰余金の配当をすることを許容していない。したがって、会社法上の公開会社において、株主に対してその有する当該種類の株式の数にかかわらず同額の剰余金の配当をすることを内容とする種類の株式を発行することは、株主平等の原則(109条1項、454条2項2号)に反し許されない。


(R1 司法 第17問 ウ)
指名委員会等設置会社は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類の株式を発行することができない。

(正答)

(解説)
108条1項は、異なる種類の株式について、本文において「株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる。」と規定する一方で、但書において「ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第9号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。」と規定している。したがって、指名委員会等設置会社は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することを内容とする種類の株式を発行することができない。


(R1 予備 第17問 エ)
株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない議決権制限株式の株主であっても、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会においては、議決権を有する。

(正答)

(解説)
108条1項3号は、種類株式の内容の一つとして「株主総会において議決権を行使することができる事項」を掲げており、その一環として、株主総会のあらゆる決議事項について議決権を行使することができない種類の株式(これを「無議決権株式」という。)を発行することもできる。もっとも、「株主総会」において議決権の行使が制限されるにとどまり、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会においては、議決権の行使は制限されない。したがって、株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない議決権制限株式の株主であっても、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会においては、議決権を有する。

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条文
第109条(株主の平等)
① 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
② 前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第105条第1項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
③ 前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第5編の規定を適用する。
過去問・解説

(H27 予備 第17問 5)
会社法上の公開会社でない会社は、残余財産の分配を受ける権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いをする旨を定款で定めることができる。

(正答)

(解説)
109条は、1項において「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」と規定する一方で、2項において「前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第105条第1項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。」と規定している。そして、105条1項2号は、「残余財産の分配を受ける権利」を掲げている。したがって、会社法上の公開会社でない会社は、残余財産の分配を受ける権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いをする旨を定款で定めることができる。


(R6 予備 第17問 ア)
会社法上の公開会社は、ある種類の株式の株主が当該種類の株式1株につき複数個の議決権を有することを内容とする種類の株式を発行することができる。

(正答)

(解説)
109条は、1項において「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」と規定する一方で、2項において「前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第105条第1項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。」と規定している。そして、105条1項3号は、株主総会における議決権」を掲げている。したがって、会社法上の公開会社でない会社は、ある種類の株式の株主が当該種類の株式1株につき複数個の議決権を有することを内容とする種類の株式を発行することができる。しかし、109条2項は、会社法上の公開会社には適用されないから、会社法上の公開会社がある種類の株式の株主が当該種類の株式1株につき複数個の議決権を有することを内容とする種類の株式を発行することは、株主平等の原則(109条1項)に反し許されない。

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条文
第111条(定款の変更の手続の特則)
① 種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式の内容として第108条第1項第6号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。        
② 種類株式発行会社がある種類の株式の内容として第108条第1項第4号又は第7号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合には、当該定款の変更は、次に掲げる種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては、当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。        
 一 当該種類の株式の種類株主
 二 第108条第2項第5号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の種類株主
 三 第108条第2項第6号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の種類株主
過去問・解説

(R6 予備 第25問 オ)
種類株式発行会社は、ある種類の株式の発行後に定款を変更して、当該種類の株式の内容として、当該種類株式発行会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができる旨の定款の定めを設けようとする場合には、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。

(正答)

(解説)
108条1項6号は、異なる種類の株式の内容の一つとして「当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること」を掲げており、111条1項は、「種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式の内容として第108条第1項第6号に掲げる事項についての定款の定めを設け…ようとするときは、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。」と規定している。したがって、種類株式発行会社は、ある種類の株式の発行後に定款を変更して、当該種類の株式の内容として、当該種類株式発行会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができる旨の定款の定めを設けようとする場合には、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。

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条文
第113条(発行可能株式総数)
① 株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。        
② 定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。        
③ 次に掲げる場合には、当該定款の変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍を超えることができない。        
 一 公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合
 二 公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合
④ 新株予約権(第236条第1項第4号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第282条第1項の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式(株式会社が有する自己の株式をいう。以下同じ。)を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。        
過去問・解説

(H28 予備 第19問 ア)
甲株式会社は、会社法上の公開会社でない取締役会設置会社であり、これまで新株予約権を発行したことがない。甲株式会社の発行可能株式総数は1万株で、発行済株式の総数は8500株(自己株式500株を含む。)である。甲株式会社は、募集新株予約権について、新株予約権の目的である株式の数を10株、新株予約権を行使することができる期間の初日を割当日の1年後の日、募集新株予約権の数を300個と決定し、新株予約権300個を発行することができる。

(正答)

(解説)
113条4項は、「新株予約権(第236条第1項第4号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第282条第1項の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式…を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。」と規定している。
本肢の事例では、「発行可能株式総数」は1万株、「発行済株式…の総数」は8000株であるから、新株予約権の目的である株式の数を10株とする場合、発行できる新株予約権は200個に限られるとも思える。しかし、113条4項は、「新株予約権(第236条第1項第4号の期間の初日が到来していないものを除く。)」と規定しているため、同条4項の要件の基準時は「当該新株予約権を行使することができる期間」(236条1項4号)の初日が到来した時点である。したがって、本肢の事例において、甲株式会社は、募集新株予約権について、新株予約権の目的である株式の数を10株、新株予約権を行使することができる期間の初日を割当日の1年後の日、募集新株予約権の数を300個と決定し、新株予約権300個を発行することができる。


(R1 予備 第17問 オ)
定款で定めた各種類の株式の発行可能種類株式総数の合計数は、定款で定めた発行可能株式総数と一致していなければならない。

(正答)

(解説)
本肢のルールを定める規定は存在しない(113条、114条参照)。したがって、定款で定めた各種類の株式の発行可能種類株式総数の合計数は、定款で定めた発行可能株式総数と一致していなくてもよい。


(R6 予備 第17問 イ)
株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。

(正答)

(解説)
113条1項は、「株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。」と規定している。


(R6 予備 第17問 ウ)
株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数を減少する場合には、変更後の発行可能株式総数を当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数未満とすることができる。

(正答)

(解説)
113条2項は、「定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。」と規定している。


(R6 予備 第17問 エ)
会社法上の公開会社は、定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数を当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍以下としなければならない。

(正答)

(解説)
113条3項は、柱書において「次に掲げる場合には、当該定款の変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍を超えることができない。」と規定した上で、1号において「公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合」を掲げている。したがって、会社法上の公開会社は、定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数を当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍以下としなければならない。これを、4倍ルールという。

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条文
第118条(新株予約権買取請求)
① 次の各号に掲げる定款の変更をする場合には、当該各号に定める新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。        
 一 その発行する全部の株式の内容として第107条第1項第1号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更 全部の新株予約権
 二 ある種類の株式の内容として第108条第1項第4号又は第7号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 当該種類の株式を目的とする新株予約権
② 新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者は、前項の規定による請求(以下この節において「新株予約権買取請求」という。)をするときは、併せて、新株予約権付社債についての社債を買い取ることを請求しなければならない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権について別段の定めがある場合は、この限りでない。        
③ 第1項各号に掲げる定款の変更をしようとする株式会社は、当該定款の変更が効力を生ずる日(以下この条及び次条において「定款変更日」という。)の20日前までに、同項各号に定める新株予約権の新株予約権者に対し、当該定款の変更を行う旨を通知しなければならない。        
④ 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。        
⑤ 新株予約権買取請求は、定款変更日の20日前の日から定款変更日の前日までの間に、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の内容及び数を明らかにしてしなければならない。        
⑥ 新株予約権証券が発行されている新株予約権について新株予約権買取請求をしようとするときは、当該新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、その新株予約権証券を提出しなければならない。ただし、当該新株予約権証券について非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第114条に規定する公示催告の申立てをした者については、この限りでない。        
⑦ 新株予約権付社債券(第249条第2号に規定する新株予約権付社債券をいう。以下この項及び次条第8項において同じ。)が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権について新株予約権買取請求をしようとするときは、当該新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、その新株予約権付社債券を提出しなければならない。ただし、当該新株予約権付社債券について非訟事件手続法第114条に規定する公示催告の申立てをした者については、この限りでない。        
⑧ 新株予約権買取請求をした新株予約権者は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その新株予約権買取請求を撤回することができる。        
⑨ 株式会社が第1項各号に掲げる定款の変更を中止したときは、新株予約権買取請求は、その効力を失う。        
⑩ 第260条の規定は、新株予約権買取請求に係る新株予約権については、適用しない。        
過去問・解説

(H28 予備 第19問 イ)
甲株式会社は、会社法上の公開会社でない会社である。甲株式会社が新株予約権の発行後に定款を変更して会社法上の公開会社となる場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、甲株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。

(正答)

(解説)
118条1項は、柱書において「次の各号に掲げる定款の変更をする場合には、当該各号に定める新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」と規定した上で、1号において「その発行する全部の株式の内容として第107条第1項第1号に掲げる事項についての定めを設ける定款の変更 全部の新株予約権」と規定することにより、公開会社が非公開会社になる場合における新株予約権買取請求権を認めている。これに対し、非公開会社から公開会社になる場合における新株予約権買取請求権は認められていない。したがって、甲株式会社が新株予約権の発行後に定款を変更して会社法上の公開会社となる場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、甲株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができない。


(R3 予備 第17問 オ)
株式会社がある種類の株式の内容として譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要することの定めを設ける定款の変更をする場合には、当該種類の株式を目的とする新株予約権を有する新株予約権者は、当該株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。

(正答)

(解説)
118条1項は、柱書において「次の各号に掲げる定款の変更をする場合には、当該各号に定める新株予約権の新株予約権者は、株式会社に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」と規定した上で、2号において「ある種類の株式の内容として第108条第1項第4号…に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 当該種類の株式を目的とする新株予約権」と規定することにより、種類株式の内容として「譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」の定めを設ける定款の変更をする場合について、新株予約権買取請求権を認めている。

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条文
(株主等の権利の行使に関する利益の供与)
第120条 株式会社は、何人に対しても、株主の権利、当該株式会社に係る適格旧株主(第847条の2第9項に規定する適格旧株主をいう。)の権利又は当該株式会社の最終完全親会社等(第847条の3第1項に規定する最終完全親会社等をいう。)の株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。以下この条において同じ。)をしてはならない。
2 株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしたものと推定する。株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において、当該株式会社又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも、同様とする。
3 株式会社が第1項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。この場合において、当該利益の供与を受けた者は、当該株式会社又はその子会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは、その返還を受けることができる。
4 株式会社が第1項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役を含む。以下この項において同じ。)として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。ただし、その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
5 前項の義務は、総株主の同意がなければ、免除することができない。
過去問・解説

(H18 司法 第40問 イ)
株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益を供与したときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し財産上の利益の供与をしたものとみなされる。

(正答)

(解説)
120条2項は、「株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益を供与したときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益を供与したものと推定する。」と規定しており、みなす(擬制する)とは規定していない。したがって、株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益を供与したときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し財産上の利益の供与をしたもの推定されるにとどまる。


(H19 司法 第42問 ウ)
取締役が株主の権利行使に関して利益を供与した場合には、当該取締役は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したとしてもなお、供与した利益の価額に相当する額を会社に対し支払う義務を負う。

(正答)

(解説)
120条4項但書は、「ただし、その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。」と規定しており、「当該利益の供与をした取締役」の責任は無過失責任であるとしている。したがって、取締役が株主の権利行使に関して利益を供与した場合には、当該取締役は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したとしてもなお、供与した利益の価額に相当する額を会社に対し支払う義務を負う。


(H24 共通 第45問 オ)
会社がその計算において株主の権利の行使に関し財産上の利益の供与をした場合、それに関与した取締役は、自らその財産上の利益の供与をしたときを除き、その職務を行うにつき注意を怠らなかったことを証明することにより、その供与した利益の価額に相当する額を会社に対し支払う義務を免れる。

(正答)

(解説)
120条4項但書は、「ただし、その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。」と規定しており、「当該利益の供与をした取締役」の責任は無過失責任であるとしている。したがって、会社がその計算において株主の権利の行使に関し財産上の利益の供与をした場合、それに関与した取締役は、自らその財産上の利益の供与をしたときを除き、その職務を行うにつき注意を怠らなかったことを証明することにより、その供与した利益の価額に相当する額を会社に対し支払う義務を免れる。


(H25 司法 第39問 イ)
会社が、自己の計算において、特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をした場合には、その会社は、株主の権利の行使に関する利益の供与をしたものと推定される。

(正答)

(解説)
120条は、1項において「株式会社は、何人に対しても、株主の権利…の行使に関し、財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。…)をしてはならない。」と規定した上で、2項において「株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益を供与したときは、当該株式会社は、株主の権利の行使に関し、財産上の利益を供与したものと推定する。」と規定している。したがって、会社が、自己の計算において、特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をした場合には、その会社は、株主の権利の行使に関する利益の供与をしたものと推定される。


(H25 司法 第39問 ウ)
株主が、自己の計算において、株主総会における議決権の行使に関し、他の株主に対して財産上の利益の供与をした場合には、株主の権利の行使に関する利益の供与に該当する。

(正答)

(解説)
120条1項は、「株式会社は、何人に対しても、株主の権利…の行使に関し、財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。…)をしてはならない。」と規定している。したがって、株主が、自己の計算において、株主総会における議決権の行使に関し、他の株主に対して財産上の利益の供与をした場合には、「財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。…)」という要件を欠くため、株主の権利の行使に関する利益の供与に該当しない。


(H25 司法 第39問 エ)
取締役が株主の権利の行使に関する利益の供与をした場合には、その利益の供与をすることに関与した他の取締役は、その職務を行うについて注意を怠ったかどうかにかかわらず、会社に対し、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。

(正答)

(解説)
120条4項は、本文において「株式会社が第1項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役…として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。」と規定する一方で、但書において「ただし、その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。」と規定している。したがって、取締役が株主の権利の行使に関する利益の供与をした場合には、その利益の供与をすることに関与した他の取締役は、「当該利益の供与をした取締役」を除き、その職務を行うについて注意を怠った場合に限り、会社に対し、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。


(H25 司法 第39問 オ)
会社から株主の権利の行使に関する利益の供与を受けた者が取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人でない場合には、その者に対してその利益の返還を求める株主代表訴訟は、提起することができない。

(正答)

(解説)
120条3項前段は、「株式会社が第1項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。」と規定しており、供与された利益を返還する義務を負う者を取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人に限定していない。したがって、会社から株主の権利の行使に関する利益の供与を受けた者が取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人でない場合であっても、その者に対してその利益の返還を求める株主代表訴訟は、提起することができる。


(R3 予備 第22問 1)
株式会社が当該株式会社の計算において株主の権利の行使に関して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をした取締役は、当該株式会社に対し、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。

(正答)

(解説)
120条4項本文は、「株式会社が第1項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役…として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。」と規定している。

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