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担保物権(抵当権④(法定地上権) 388条) - 解答モード
土地と建物を所有する者が土地に抵当権を設定した後に建物を第三者に売り渡した場合における法定地上権の成否 大連判大正12年12月14日
概要
判例
判旨:「土地及其ノ上ニ存スル建物ノ所有者カ土地又ハ建物ノミヲ抵当ト為シ其ノ一カ抵当権ニ基キ競売セラレ二者其ノ所有者ヲ異ニスルニ至リタル場合ニ於テ建物ノ所有者ハ土地使用ノ権利ナキノ故ヲ以テ建物ヲ収去スルヲ免レスト為サンカ建物ノ利用ヲ害シ一般経済上不利ナルコト論ヲ俟タス民法第388条ハ此ノ不利ヲ避ケンカ為ニ建物所有者ニ地上権ヲ附与シタルモノナレハ土地ノミヲ抵当ト為シタル場合ニ於テハ同条ニ依リ地上権ヲ有スヘキ者ハ競売ノ時ニ於ケル建物所有者ナラサルヘカラス其ノ抵当権設定者タルト否トハ問フ所ニ非ス。」
過去問・解説
(H21 司法 第15問 4)
Aが所有する土地上に、A所有の建物が建てられ、続けて、土地にBのための抵当権が設定され、さらに、AがDに対し建物を譲渡するとともに、AD間で土地の賃貸借契約が締結された後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権が成立する。
借地人が借地上の建物に一番抵当権を設定した後に土地の所有権を取得し、建物に二番抵当権を設定した場合における法定地上権 大判昭和14年7月26日
概要
判例
判旨:「法定地上権ニ関スル民法第388条立法ノ趣旨ハ畢意競売ノ結果土地ト建物トカ其ノ所有者ヲ異ニスルニ至リタル場合依然建物ヲ建物トシテ其ノ敷地上ニ存置セシメ以テ之カ所有者並国家経済上ノ利益ヲ保護スルト共ニ延テ抵当権ノ効力ヲ全フセシメントノ律意ニ他ナラスト解スヘク従テ苟クモ本件建物カAニ対シ其ノ抵当権設定アリタル当時ニ於テ該建物所在ノ本件宅地並右建物カ何レモ抵当債務者タルBノ所有ニ属シ居タルコト上掲ノ如クナル以上仮令原審認定ノ如ク本件競売カ他ノ抵当権者即未タ宅地カ右Cノ所有ニ属セサル当時設定セラレタル抵当権者Dノ申立ニ因リタル場合ト雖モ仍前示法条ノ適用アルヘキト同時ニ縦ヘ右競売当時土地ト建物トカ其ノ所有者ヲ異ニスルニ至リタル場合ト雖モ右法条ノ適用ヲ左右スルニ足ラサルヤ多ク疑ヲ容ルヘカラス蓋シ民法第388条ニ所謂競売ノ場合中ヨリ如上ノ場合ヲ除外スヘキモノトセンカ為メニ前示立法ノ目的ハ之ヲ貫徹スルニ由ナキコト敢テ多言ヲ俟タサルヘケレハナリ。」
過去問・解説
(R4 司法 第15問 エ)
A所有の甲土地を賃借してその土地上に乙建物を所有していたBが、乙建物に第1順位の抵当権を設定した後、甲土地をAから譲り受け、次いで乙建物に第2順位の抵当権を設定した。その後、第1順位の抵当権が実行され、Cが乙建物を取得したときは、法定地上権が成立する。
建物に保存登記がなされていない場合の法定地上権 大判昭和14年12月19日
概要
判例
判旨:「民法第388条ハ土地及其ノ地上ノ建物ヲ所有スル者カ土地又ハ建物ノミニ付キ抵当権ヲ設定シタルトキハ競売ノ結果其ノ所有者ヲ異ニスルノ結果ヲ生スヘク斯ル場合ニ於テハ建物ハ之ヲ該地上ヨリ収去スルコトヲ要シ建物トシテ之ヲ利用スルノ由ナキニ至ルヲ以テ国家経済上ノ見地ヨリ建物ノ所有者ノ為メニ地上権ヲ設定シタルモノト見做シ建物トシテノ利用ヲ全タカラシメントスル趣旨ニ出テタルモノナリ而シテ本件ノ場合ノ如ク土地ノミニ付キ抵当権ヲ取得シタル者ハ最初抵当権ノ設定ヲ受ケタルモノナルト後日其ノ権利ヲ譲受ケタルモノナルトヲ問ハス該地上ニ建物ノ存在シタル事実ハ之ヲ了知セルコトヲ通常ノ事例トスル力故ニ競売ノ場合ニ於テ建物ヲ所有スル何人カカ其ノ土地ニ付キ地上権ヲ取得スヘキコトハ当然予期スヘキ所ニシテ斯ル土地ヲ競落シタルモノモ亦同様ナリト謂ハサルヘカラス即チ甲タルト乙タルトヲ問ハス競売ノ当時該建物ヲ所有スル何人カカ存在シ地上権ヲ取得スヘキコトハ之ヲ予期セサルヘカラス然ルニ所有権保存登記ナルモノハ特定ノ所有者カ其ノ所有権ヲ第三者ニ対抗スルノ手段ナレハ建物ニ付キ所有権保存登記ノ存スルト否トハ叙上ノ場合ニ於ケル地上権ノ取得トハ自ラ別個ノ問題ナリト謂フヘク土地ノ抵当権者又ハ競落人ハ保存登記ノ欠缺ヲ主張スルニ付キ正当ノ利益ヲ有セサルモノナリ之ヲ要スルニ抵当権設定当時又ハ其ノ移転登記ノ当時建物ニ付所有権保存登記ノ存セサルコトハ競売ノ場合ニ於テ建物ノ所有者カ地上権ヲ取得スルノ妨ケトナルヘキモノニアラス故ニ論旨ハ理由ナシ。」
過去問・解説
(H26 司法 第15問 3)
Aが所有する甲土地上に、A所有の乙建物が存在し、その後、甲土地にBのための抵当権が設定され、抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になった場合、Aが乙建物の所有権の登記をしていなかったときは、甲土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。
土地の共有と法定地上権 最一小判昭和29年12月23日
概要
判例
判旨:「元来共有者は、各自、共有物について所有権と性質を同じくする独立の持分を有しているのであり、しかも共有地全体に対する地上権は共有者全員の負担となるのであるから、共有地全体に対する地上権の設定には共有者全員の同意を必要とすること原判決の判示前段のとおりである。換言すれば、共有者中一部の者だけがその共有地につき地上権設定行為をしたとしても、これに同意しなかつた他の共有者の持分は、これによりその処分に服すべきいわれはないのであり、結局右の如く他の共有者の同意を欠く場合には、当該共有地についてはなんら地上権を発生するに由なきものといわざるを得ないのである。
そして、この理は民法388条のいわゆる法定地上権についても同様であり偶々本件の如く、右法条により地上権を設定したものと看做すべき事由が単に土地共有者の1人だけについて発生したとしても、これがため他の共有者の意思如何に拘わらずそのものの持分までが無視さるべきいわれはないのであつて、当該共有土地については地上権を設定したと看做すべきでないものといわなければならない。…けだし同条が建物の存在を全うさせようとする国民経済上の必要を多分に顧慮した規定であることは疑を容れないけれども、しかし同条により地上権を設定したと看做される者は、もともと当該土地について所有者として完全な処分権を有する者に外ならないのであつて、他人の共有持分につきなんら処分権を有しない共有者に他人の共有持分につき本人の同意なくして地上権設定等の処分をなし得ることまでも認めた趣旨でないことは同条の解釈上明白だからである。」
過去問・解説
(H30 共通 第14問 オ)
AとBが共有する甲土地上にAが所有する乙建物があるところ、Aが甲土地の共有持分について抵当権を設定した場合において、抵当権の実行によりCがその共有持分を取得したときは、法定地上権が成立する。
抵当権の実行と法定地上権 最二小判昭和36年2月10日
概要
判例
判旨:「民法388条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要するものであつて、抵当権設定後土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないものと解するを相当とする。然るに本件建物は本件土地に対する抵当権設定当時完成していなかつたことは原審の確定するところであり、また被上告人が本件建物の築造を予め承認した事実があつても、原判決認定の事情に照し本件抵当権は本件土地を更地として評価して設定されたことが明らかであるから、民法388条の適用を認むべきではな…い。」
過去問・解説
(H21 司法 第15問 1)
Aが所有する土地に、その更地としての評価に基づき、Bのための抵当権が設定され、続けて、土地上にA所有の建物が建てられた後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権は成立しない。
(H26 司法 第15問 1)
Aが所有する甲土地に、その更地としての評価に基づき、Bのための抵当権が設定され、その後、甲土地上にA所有の乙建物が建てられた後、抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になった場合、Bが抵当権設定時、甲土地上にA所有の乙建物が建てられることをあらかじめ承諾していたとしても、甲土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭36.2.10)は、「民法388条により法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において地上に建物が存在することを要するものであつて、抵当権設定後土地の上に建物を築造した場合は原則として同条の適用がないものと解するを相当とする。…被上告人が本件建物の築造を予め承認した事実があつても、…本件抵当権は本件土地を更地として評価して設定されたことが明らかであるから、民法388条の適用を認むべきではな…い。」と判示している。したがって、Aが所有する甲土地に、その更地としての評価に基づき、Bのための抵当権が設定されている以上、その後、甲土地上にA所有の乙建物が建てられた後、抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になった場合において、Bが抵当権設定時、甲土地上にA所有の乙建物が建てられることをあらかじめ承諾していたとしても、甲土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。
土地と建物の共同抵当と法定地上権 最三小判昭和37年9月4日
概要
判例
判旨:「民法388条は、土地建物の両方が同時に抵当権の目的となっている場合の規定ではないから、右の場合にも類推適用した原判決は、不当に右規定を拡張解釈したものであり、土地所有者の所有権を犯し憲法29条に違反するものであるという。しかしながら、民法388条の適用は、右のような場合でも妨げないことについては、すでに大審院判例(明治38年9月22日、同年(オ)第327号事件判決、昭和6年10月29日、同年(オ)第866号事件判決参照)の認めるところであり、本件においてこれを変更するの要をみない。」
過去問・解説
(H21 司法 第15問 3)
Aが所有する土地上に、A所有の建物が建てられ、続けて、土地と建物にBのための抵当権が共同抵当として設定された後、土地の抵当権のみが実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権が成立する。
抵当権の実行と土地と建物が同一人所有になった場合における法定地上権の成否 最二小判昭和44年2月14日
概要
判例
判旨:「本件のように、抵当権設定当時において土地および建物の所有者が各別である以上、その土地または建物に対する抵当権の実行による競落のさい、たまたま、右土地および建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、民法388条の規定が適用または準用されるいわれはなく、これと同一の判断を示した原判決…の結論は、相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第14問 ウ)
Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した。AがBに対し、甲建物を売り渡した後、抵当権が実行され、甲建物をEが買い受けた場合、法定地上権は成立しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭44.2.14)は、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合においては、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際、同土地及び建物が同一人の所有に帰していても、388条の規定は適用又は準用されず、法定地上権は成立しない旨判示している。本肢においても、Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した後、AがBに対し、甲建物を売り渡しているから、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合であるといえる。したがって、その後、抵当権が実行され、甲建物をEが買い受けた場合においては、法定地上権は成立しない。
(H21 司法 第15問 2)
Aが所有する土地上に、土地の使用借主であるDが所有する建物が建てられ、続けて、土地にBのための抵当権が設定され、さらに、Dが死亡したためDの単独相続人であるAが建物を相続した後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に建物のための法定地上権は成立しない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭44.2.14)は、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合においては、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際、同土地及び建物が同一人の所有に帰していても、388条の規定は適用又は準用されず、法定地上権は成立しない旨判示している。本肢においても、Aが所有する土地上に、土地の使用借主であるDが所有する建物が建てられ、続けて、土地にBのための抵当権が設定され、その後、さらに、Dが死亡したためDの単独相続人であるAが建物を相続したのであるから、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合であるといえる。したがって、その後、抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合においては、土地に建物のための法定地上権は成立しない。
(R4 司法 第15問 イ)
A所有の甲土地を賃借してその土地上に乙建物を所有していたBが乙建物に抵当権を設定した後、Aが乙建物の所有権を取得した。その後、抵当権が実行されCが乙建物を取得したときは、法定地上権が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭44.2.14)は、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合においては、その土地又は建物に対する抵当権の実行による競落の際、同土地及び建物が同一人の所有に帰していても、388条の規定は適用又は準用されず、法定地上権は成立しない旨判示している。本肢においても、A所有の甲土地を賃借してその土地上に乙建物を所有していたBが乙建物に抵当権を設定した後、Aが乙建物の所有権を取得しているから、抵当権設定当時に、土地及び建物の所有者が異なる場合であるといえる。したがって、その後、抵当権が実行されCが乙建物を取得したとしても、法定地上権は成立しない。
先順位抵当設定当時更地だった場合における後順位抵当権者の抵当権実行と法定地上権 最三小判昭和47年11月2日
概要
判例
判旨:「土地の抵当権設定当時、その地上に建物が存在しなかったときは、民法388条の規定の適用はないものと解すべきところ、土地に対する先順位抵当権の設定当時、その地上に建物がなく、後順位抵当権設定当時には建物が建築されていた場合に、後順位抵当権者の申立により土地の競売がなされるときであっても、右土地は先順位抵当権設定当時の状態において競売されるべきものであるから、右建物のため法定地上権が成立するものではないと解される。また、右の場合において、先順位抵当権者が建物の建築を承認した事実があっても、そのような当事者の個別的意思によって競売の効果をただちに左右しうるものではなく、土地の競落人に対抗しうる土地利用の権原を建物所有者に取得させることはできないというべきであって、右事実によって、抵当権設定後に建築された建物のため法定地上権の成立を認めることはできないものと解すべきである。」
過去問・解説
(H26 司法 第15問 2)
Aが所有する甲土地に、Bのための第1順位の抵当権が設定され、その後、Bの承諾を受けて甲土地上にA所有の乙建物が建てられ、さらに、甲土地にCのための第2順位の抵当権が設定された後、Cの申立てに基づいて甲土地の抵当権が実行された結果、Dが甲土地の所有者になった場合、甲土地に乙建物のための法定地上権が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭47.11.2)は、本肢と同種の事案において、「土地の抵当権設定当時、その地上に建物が存在しなかったときは、民法388条の規定の適用はないものと解すべきところ、土地に対する先順位抵当権の設定当時、その地上に建物がなく、後順位抵当権設定当時には建物が建築されていた場合に、後順位抵当権者の申立により土地の競売がなされるときであっても、右土地は先順位抵当権設定当時の状態において競売されるべきものであるから、右建物のため法定地上権が成立するものではないと解される。」と判示している。したがって、本肢においても、甲土地に乙建物のための法定地上権が成立することはない。
(H30 共通 第14問 イ)
Aが所有する更地の甲土地に第1順位の抵当権が設定された後、甲土地上にAが所有する乙建物が建築され、甲土地に第2順位の抵当権が設定された場合において、第2順位の抵当権の実行によりBが甲土地を取得したときは、法定地上権は成立しない。
所有権移転登記をしないうちに地上建物に抵当権を設定した場合の法定地上権 最二小判昭和53年9月29日
概要
判例
判旨:「…Aが本件建物…につきB…のために抵当権を設定した当時、右建物及びその敷地である本件土地…は、ともにAの所有に属していたが、本件土地については所有権移転登記を経由していなかったというのである。右事実関係のもとにおいて、抵当権の実行により本件建物を競落したCが法定地上権を取得するものとした原審の判断は、正当として是認することができ(最高裁昭和45年(オ)第989号同48年9月18日第三小法廷判決・民集27巻8号1066頁参照)、原判決に所論の違法はない。」
過去問・解説
(H30 共通 第14問 エ)
Aが甲土地及びその上の乙建物を所有しているが、甲土地の所有権移転登記をしていなかったところ、乙建物に抵当権が設定され、抵当権の実行によりBが乙建物を取得したときは、法定地上権は成立しない。
(R4 司法 第15問 オ)
Aが甲土地及びその土地上の乙建物を所有していた。この場合において、甲土地の登記名義が前所有者Bのままであったとしても、乙建物に抵当権が設定され、抵当権の実行によりCが乙建物を取得したときは、法定地上権が成立する。
一番抵当権設定当時は土地と建物の所有者が異なっていたが、二番抵当権が設定された当時は双方の所有者が同一となった場合における法定地上権 最二小判平成2年1月22日
概要
判例
判旨:「土地について一番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には、土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても、その後に抵当権が実行され、土地が競落されたことにより一番抵当権が消滅するときには、地上建物のための法定地上権は成立しないものと解するのが相当である。けだし、民法388条は、同一人の所有に属する土地及びその地上建物のいずれか又は双方に 設定された抵当権が実行され、土地と建物の所有者を異にするに至った場合、土地について建物のための用益権がないことにより建物の維持存続が不可能となることによる社会経済上の損失を防止するため、地上建物のために地上権が設定されたものとみなすことにより地上建物の存続を図ろうとするものであるが、土地について 一番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり、法定地上権成立の要件が充足されていない場合には、一番抵当権者は、法定地上権の負担のないものとして、土地の担保価値を把握するのであるから、後に土地と地上建物が同一人に帰属し、後順位抵当権が設定されたことによって法定地上権が成立するものとすると、一番抵当権者が把握した担保価値を損なわせることになるからである。」
過去問・解説
(R4 司法 第15問 ウ)
A所有の甲土地を賃借してその土地上にBが乙建物を所有していたところ、Aが甲土地に第1順位の抵当権を設定した後、甲土地をBに譲渡し、次いでBが甲土地に第2順位の抵当権を設定した。その後、第2順位の抵当権が実行され、Cが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。
共有持分と法定地上権 最三小判平成6年12月20日
概要
判例
判旨:「共有者は、各自、共有物について所有権と性質を同じくする独立の持分を有しているのであり、かつ、共有地全体に対する地上権は共有者全員の負担となるのであるから、土地共有者の1人だけについて民法388条本文により地上権を設定したものとみなすべき事由が生じたとしても、他の共有者らがその持分に基づく土地に対する使用収益権を事実上放棄し、右土地共有者の処分にゆだねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法定地上権は成立しないといわなければならない(最高裁昭和26年(オ)第285号同29年12月23日第一小法廷判決・民集8巻12号2235頁、最高裁昭和41年(オ)第529号同44年11月4日第三小法廷判決・民集23巻11号1968頁参照)。」
過去問・解説
(R3 司法 第7問 ウ)
AとBが、甲建物及びその敷地である乙土地をそれぞれ共有していたところ、乙土地のAの共有持分に抵当権が設定された。その後、その抵当権が実行され、Cがそれを買い受けた場合、甲建物のために乙土地上に地上権が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.12.20)は、本肢と同種の事案において、「土地共有者の1人だけについて民法388条本文により地上権を設定したものとみなすべき事由が生じたとしても、他の共有者らがその持分に基づく土地に対する使用収益権を事実上放棄し、右土地共有者の処分にゆだねていたことなどにより法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法定地上権は成立しないといわなければならない…。」と判示している。したがって、本肢においても、乙土地のAの共有持分に設定された抵当権が実行され、Cがそれを買い受けたとしても、甲建物のために乙土地上に地上権は成立しない。
共同抵当権と法定地上権 最三小判平成9年2月14日
概要
判例
判旨:「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。けだし、土地及び地上建物に共同抵当権が設定された場合、抵当権者は土地及び建物全体の担保価値を把握しているから、抵当権の設定された建物が存続する限りは当該建物のために法定地上権が成立することを許容するが、建物が取り壊されたときは土地について法定地上権の制約のない更地としての担保価値を把握しようとするのが、抵当権設定当事者の合理的意思であり、抵当権が設定されない新建物のために法定地上権の成立を認めるとすれば、抵当権者は、当初は土地全体の価値を把握していたのに、その担保価値が法定地上権の価額相当の価値だけ減少した土地の価値に限定されることになって、不測の損害を被る結果になり、抵当権設定当事者の合理的な意思に反するからである。なお、このように解すると、建物を保護するという公益的要請に反する結果となることもあり得るが、抵当権設定当事者の合理的意思に反してまでも右公益的要請を重視すべきであるとはいえない。」
過去問・解説
(H21 司法 第15問 5)
Aが所有する土地上に、A所有の甲建物が建てられ、続けて、土地と甲建物にBのための抵当権が共同抵当として設定され、さらに、甲建物が取り壊されて同土地上にA所有の乙建物が新しく建築された後、乙建物に抵当権が設定されないまま、土地の抵当権が実行された結果、Cが土地の所有者になった場合、土地に乙建物のための法定地上権が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平9.2.14)は、本肢と同種の事案において、「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。」と判示している。
本肢においては、新しく建築された乙建物に抵当権が設定されないまま、土地の抵当権が実行されているため、「特段の事情」は存しない。したがって、土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。
(H26 司法 第15問 4)
Aが所有する甲土地上に、A所有の乙建物が建てられ、その後、甲土地と乙建物にBのための第1順位の共同抵当権がそれぞれ設定され、さらに、乙建物が取り壊されて甲土地上にA所有の丙建物が建てられた場合、その後、丙建物にBのための第1順位の共同抵当権が設定され、甲土地の抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になったときであっても、甲土地に丙建物のための法定地上権は成立しない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平9.2.14)は、本肢と同種の事案において、「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。」と判示している。
本肢においては、新たに建てられた丙建物の所有者は、土地の所有者と同一のAであり、かつ、丙建物が建築された時点で甲土地に第1順位の抵当権を有していたBが、丙建物についても第1順位の共同抵当権の設定を受けているから、「特段の事情」が存するといえる。したがって、この場合において、甲土地の抵当権が実行された結果、Cが甲土地の所有者になったときは、甲土地に丙建物のための法定地上権が成立する。
(H30 共通 第14問 ア)
Aが所有する甲土地及びその上の乙建物にBのために共同抵当権が設定された後、乙建物が取り壊され、甲土地上に新たにAが所有する丙建物が建築されて、丙建物につきCのために抵当権が設定された場合において、甲土地に対するBの抵当権の実行によりDが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平9.2.14)は、本肢と同種の事案において、「所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、右土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと解するのが相当である。」と判示している。
本肢においては、新たに建築された丙建物につき、甲土地の抵当権者Bではなく、Cのために抵当権が設定されているにすぎないから、「特段の事情」は存しない。したがって、この場合において、甲土地に対するBの抵当権の実行によりDが甲土地を取得したとしても、法定地上権が成立する。
法定地上権成立の可否 最二小判平成19年7月6日
概要
判例
判旨:「土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立するというべきである。その理由は、次のとおりである。
上記のような場合、乙抵当権者の抵当権設定時における認識としては、仮に甲抵当権が存続したままの状態で目的土地が競売されたとすれば、法定地上権は成立しない結果となる(前掲平成2年1月22日第二小法廷判決参照)ものと予測していたということはできる。しかし、抵当権は、被担保債権の担保という目的の存する限度でのみ存続が予定されているものであって、甲抵当権が被担保債権の弁済、 設定契約の解除等により消滅することもあることは抵当権の性質上当然のことであるから、乙抵当権者としては、そのことを予測した上、その場合における順位上昇の利益と法定地上権成立の不利益とを考慮して担保余力を把握すべきものであったというべきである。したがって、甲抵当権が消滅した後に行われる競売によって、法定地上権が成立することを認めても、乙抵当権者に不測の損害を与えるものとはいえない。そして、甲抵当権は競売前に既に消滅しているのであるから、競売による法定地上権の成否を判断するに当たり、甲抵当権者の利益を考慮する必要がないことは明らかである。そうすると、民法388条が規定する「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する」旨の要件(以下「同一所有者要件」という。)の充足性を、甲抵当権の設定時にさかのぼって判断すべき理由はない。
民法388条は、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときに法定地上権が設定されたものとみなす旨定めており、競売前に消滅していた甲抵当権ではなく、競売により消滅する最先順位の抵当権である乙抵当権の設定時において同一所有者要件が充足していることを法定地上権の成立要件としているものと理解することができる。」
過去問・解説
(H24 司法 第13問 3)
建物が存する土地を目的として、先順位の甲抵当権及びこれと抵当権者を異にする後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が被担保債権の弁済により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平19.7.6)は、本肢と同種の事案において、「土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立するというべきである。」と判示している。したがって、本肢においても、甲抵当権が被担保債権の弁済により消滅した後に、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至ったのであるから、この場合は、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立する。
(H30 共通 第14問 ウ)
Aが所有する甲土地上にBが所有する乙建物があるところ、甲土地にCのために第1順位の抵当権が設定された後、Bが甲土地の所有権を取得し、甲土地にDのために第2順位の抵当権を設定した場合において、Cの抵当権が弁済により消滅し、その後、Dの抵当権の実行によりEが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平19.7.6)は、本肢と同種の事案において、「土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立するというべきである。」と判示している。したがって、本肢においても、Cの抵当権が弁済により消滅し、その後、Dの抵当権の実行によりEが甲土地を取得したときは、法定地上権が成立する。
建物の共有者の1人がその敷地を所有する場合と法定地上権の成否 最三小判昭和46年12月21日
概要
判例
判旨:「建物の共有者の1人がその建物の敷地たる土地を単独で所有する場合においては、同人は、自己のみならず他の建物共有者のためにも右土地の利用を認めているものというべきであるから、同人が右土地に抵当権を設定し、この抵当権の実行により、第三者が右土地を競落したときは、民法388条の趣旨により、抵当権設定当時に同人が土地および建物を単独で所有していた場合と同様、右土地に法定地上権が成立するものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R6 司法 第16問 エ)
Aが所有する甲土地に抵当権が設定された当時、甲土地の上にAとBが共有する乙建物が存在していた場合において、その抵当権の実行として甲土地の競売がされたときは、法定地上権が成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.12.21)は、本肢と同種の事案において、「建物の共有者の1人がその建物の敷地たる土地を単独で所有する場合においては、同人は、自己のみならず他の建物共有者のためにも右土地の利用を認めているものというべきであるから、同人が右土地に抵当権を設定し、この抵当権の実行により、第三者が右土地を競落したときは、民法388条の趣旨により、抵当権設定当時に同人が土地および建物を単独で所有していた場合と同様、右土地に法定地上権が成立するものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Aが所有する甲土地に抵当権が設定された当時、甲土地の上にAとBが共有する乙建物が存在していた場合において、その抵当権の実行として甲土地の競売がされたときは、法定地上権が成立する。