現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
契約総則(契約の解除 540条~548条) - 解答モード
催告期間経過後の弁済の提供と解除権の行使 大判大正6年7月10日
概要
判例
判旨:「民法第541条ノ規定ニ従ヒ相当ノ期間ヲ定メテ債務ノ履行ヲ催告シタル場合ニ於テ若シ其期間内ニ履行ナキトキハ茲ニ解除権ヲ発生スルニ止マリ其解除権ノ行使ナキ間ハ契約ハ尚ホ依然トシテ存続スルヲ原則トスルヲ以テ其期間内ニ履行ナキノ一事ヲ以テ当然解除セラルヘキ特別ノ事由ナキ限リハ債権者ハ尚ホ債務ノ履行ヲ請求スルコトヲ得ルト同時ニ債務者モ亦其債務ヲ履行スルコトヲ妨ケサルモノト謂ハサル可カラス故ニ原則トシテハ其期間経過後解除権行使前ニ於ケル債務ノ履行ハ債権者之ヲ拒ムコトヲ得サルモノニシテ既ニ其履行アリタルトキハ解除権ヲ行使スルコトヲ得サルモノト解スルヲ当然トス。」
過去問・解説
(H18 司法 第27問 イ)
売主が、売買目的物の引渡しの提供をした上、相当期間を定めて代金の支払を催告した場合、催告期間の経過後、解除権行使前に、買主から弁済の提供を受けたとしても、売主は、これを拒絶して解除権を行使することができる。
代物弁済と原債権の解除による遡及効 最三小判昭和60年12月20日
概要
判例
判旨:「本件代物弁済契約は、本件賃借権譲渡契約に基づく譲渡代金債務の一部の支払に代える目的でされたものであることが明らかであり、右譲渡契約は、被上告人のした右解除の意思表示により適法に解除され、これによって右譲渡代金債務は遡及的に消滅し、代物弁済契約による本件不動産の所有権移転の効果も遡って失われたものというべきである。」
過去問・解説
(H29 司法 第22問 エ)
AのBに対する1000万円の債務(以下「本件債務」という。)について、AB間でA所有の甲土地で代物弁済をする合意をした。代物弁済がされて一旦甲土地の所有権がBに移転した後、本件債務の発生原因となった契約が解除された場合でも、甲土地の所有権はBに帰属する。
履行遅滞にする催告と解除権を行使するための催告を二重にする必要があるか 大判大正6年6月27日
概要
判例
判旨:「債権者カ民法第541条ニ依リ契約ノ解除権ヲ有スルニハ債務ノ不履行即チ債務者ノ付遅滞ヲ前提トスヘキハ勿論ナリト雖モ履行期ノ定メナキ債務ニ在リテハ債務者ヲ遅滞ニ付スルカ為メノ催告ヲ為シタル後更ニ同条所定ノ催告ヲ為スコトヲ要スルモノニ非スシテ債務者カ其過失ニ因ルト否トヲ問ハス債務ヲ履行セサルニ当リ債務者ハ相当ノ期間ヲ定メテ履行ヲ催告シ遅滞ニ付スルト同時ニ其期間内ニ履行ナキトキニ契約ヲ解除シ得ルモノト解スルヲ相当トス蓋シ履行期ノ定メナキ債務ハ契約成立ト同時ニ履行期ニアルモノニシテ債務者ニ履行遅滞ノ責ヲ負ハシムルニハ債権者ノ履行催告ヲ必要ト為スニ止ルモノナレハ債権者カ履行ノ準備ニ要スル期間ヲ定メテ催告ヲ為シ其催告ノ債務者ニ到達シタル以上ハ其日ヨリ債務者ノ遅滞始マリ債務者ハ其期間内ニ債務ヲ履行シ又ハ履行セサルコトヲ得ヘク債務ヲ履行セスシテ期間ヲ経過セハ遅滞ノ効果ニ依リ契約ヲ解除セラルル結果ヲ見ルハ当然ニシテ必スシモ時ヲ異ニシテ2回ノ催告ヲ為スノ要ナシ。」
過去問・解説
(H25 司法 第20問 1)
解除の要件としての催告は、相手方が履行遅滞に陥った後にしなければならないから、期限の定めのない債務の履行遅滞を理由に契約を解除するには、あらかじめ履行の請求をすることによって当該債務を履行遅滞に陥れた後、改めてその履行の催告をする必要がある。
期間内の履行と契約の解除 大判明治45年5月4日
概要
判例
判旨:「期間ヲ定メテ契約履行ノ催告ヲ為スト同時ニ其期間内ニ履行ナキトキハ契約ヲ解除スル旨ノ意思表示ヲ為スハ法律ノ禁止スル所ニアラサレハ此場合ニハ其期間ノ経過ニ因リ契約解除権発生スルト同時ニ契約解除セラルルモノニシテ既ニ当院判例ノ存スル所ナリ(明治43年12月9日同年オ第294号事件判決)。」
過去問・解説
(H24 共通 第6問 オ)
契約の一方当事者に債務不履行があった場合において、催告期間内に履行しなければ契約を解除する旨の意思表示を他方当事者がしたときは、その催告期間内に履行がなければ、改めて解除の意思表示をしなくても、解除の効果は発生する。
反対給付の提供をしないでした催告に基づく解除の効力 最三小判昭和29年7月27日
概要
判例
判旨:「本件においては、売買の残代金支払と所有権移転登記、建物明渡並に動産引渡とは同時履行の関係にあるものと言うべきであり、反対給付の提供なき上告人の右残代金支払の催告は被上告人を遅滞に陥らしめるに足らず、従つてこの催告に基く解除は効力を生じ得ないものである。」
過去問・解説
(H27 司法 第21問 ウ)
売買契約における双方の債務の履行期が同じである場合において、その履行期が経過したときであっても、一方の当事者は、自己の債務について弁済又はその提供をしなければ、債務不履行に基づく契約の解除をすることができない。
(H27 予備 第11問 オ)
AがA所有の宝石を代金100万円でBに売却した際、その宝石の代金債務と宝石の引渡債務の履行期を同一とすることがAB間で合意された。BがAに対して宝石の引渡債務の履行遅滞に基づく損害賠償を求める訴えを提起した場合、Bが宝石の代金債務の弁済の提供をしていないときは、Bの請求は全部棄却される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭29.7.27)は、「売買の残代金支払と…動産引渡とは同時履行の関係にあるものと言うべきであり、反対給付の提供なき上告人の右残代金支払の催告は被上告人を遅滞に陥らしめるに足ら」ないと判示している。本肢においては、AがA所有の宝石を代金100万円でBに売却した際、その宝石の代金債務と宝石の引渡債務の履行期を同一とすることがAB間で合意されているから、Aの宝石の引渡債務と、Bの宝石の代金債務とは、同時履行の関係にある。したがって、BがAに対して宝石の引渡債務の履行遅滞に基づく損害賠償を求める訴えを提起した場合において、Bが宝石の代金債務の弁済の提供をしていないときは、Aの宝石の引渡債務は未だ履行遅滞に陥っていないから、Bの請求は全部棄却される。
催告に際して履行がなければ解除する旨の通知の必要性 最一小判昭和48年4月19日
概要
判例
判旨:「民法541条にいわゆる催告の内容は、一定期間内に履行すべき旨を示せば足り、履行がなければ契約を解除する旨を附言する必要はないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H29 共通 第24問 ウ)
売主が目的物を引き渡したが、買主が代金を履行期の経過後も支払わない場合において、売主が買主に対して相当の期間を定めて債務の履行の催告をしたとしても、売主がその催告に際して履行がなければ解除する旨の通知をしていないときは、売主は、相当期間の経過後も当該売買契約を解除することができない。
停止条件と解除 大判明治43年12月9日
概要
判例
判旨:「契約当事者ノ一方カ民法第541条ニ依リ為ス所ノ契約解除ハ必スシモ催告ヲ為スニ方リ定メタル期間内ニ相手方カ債務ヲ履行セサルヲ待テ始メテ為スコトヲ得ルモノニ非ス其期間内ニ履行セサルコトヲ条件トシテ催告ト共ニ為シタル解除ノ意思表示モ亦有効ナリトス何トナレハ是レ法律ノ禁スル所ニ非サルノミナラス其意思表示ハ其条件成就シ解除権ノ発生スルニ至テ始メテ其効力ヲ生シ其前ニ遡リテ効力ヲ生スルニ非サレハ解除権発生後ニ於テ為シタルト債務者ノ利害上何等択ム所ナケレハナリ。」
過去問・解説
(H22 司法 第5問 エ)
相当の期間を定めて催告をするのと同時に、その期間内に履行されないことを停止条件として解除の意思表示をしても、その解除は無効である。
催告の方法 大判昭和15年9月3日
概要
判例
判旨:「民法第541条所定ノ契約解除ノ前提タル履行ノ催告自体ニ不履行ノ場合契約ヲ解除スヘキ旨ノ警告ヲ包含スルコトヲ要スルモノニ非サルコトハ同法条ノ文言ニ徴スルモ明白ナリ蓋シ当事者ノ一方ヨリ履行ノ催告ヲ受ケナカラ相当期間内ニ其ノ債務ヲ履行セサル相手方ハ之カ為契約ヲ解除セラルルコトアルヘキコトヲ自ラ予期セサルヘカラサルヤ固ヨリ当然ナレハナリ。」
金銭債務の履行の請求と金額の明示の必要性 大判昭和9年6月2日
概要
判例
判旨:「民法第541条カ債務ノ不履行ヲ原因トスル契約解除ノ前提トシテ相当ノ期間ヲ定メタル履行ノ催告ヲ必要ト為シタル所以ノモノハ之ニ依リテ債務者ニ履行ヲ為スノ機会ヲ与ヘ契約解除ニ因ル不利益ヲ免ルルコトヲ得セシメント欲シタルモノニ外ナラサルカ故ニ該催告ハ債権者カ履行ヲ求ムル債務ノ内容ヲ債務者ニ知ラシムル程度ノモノタレハ足リ給付ノ目的カ金銭ナル場合ニ於テモ其ノ金額ノ如キハ必スシモ之ヲ明示スルコトヲ要スルモノニ非スト解スルヲ相当トス。」
解除権の行使と返済の提供の継続 大判昭和36年6月22日
概要
判例
判旨:「Aは…催告において指定した履行期である…日に同時履行の関係において自己の負担する債務すなわち所有権移転登記をするについて必要な書類をととのえた上でB宅に赴き、残代金の支払を求めたが全額の支払を拒絶されたので、契約解除の意思表示をしたというのであるから、Aは右意思表示をなすについての履行の提供をなし了つたものというべく、従つて本件契約解除には所論の欠点ありというを得ない。所論は、…履行期日には何ら履行の提供はなかつたというが、本件のような場合は、…催告において指定された履行期日にBの履行の提供あれば足るのであつて、それ以前のことは問うところではないのである。」
過去問・解説
(H25 司法 第20問 2)
双務契約上の債務が同時履行の関係に立つ場合において、一方の当事者が相当の期間を定めて催告をしたときは、その当事者は、当該期間中弁済の提供を継続しなければ契約を解除することはできない。
目的物の返還及び賃料の支払いの択一的な催告 最三小判昭和40年3月9日
概要
判例
判旨:「本件土地賃貸借契約は…期間の満了によつて終了しているとして、…本件土地の明渡を求め、かつ、…賃料…同額の損害金の支払を求める趣旨のものであり、第2次的に、もし本件土地賃貸借契約が存続しているとすれば、…9年間分の賃料…支払を求める旨の催告をするものであることを当事者間に争いのない事実として確定したうえ、右第2次的になされた賃料の催告も、その履行を求めている債務の内容は明白であつて何らあいまいな点はなく、これによつて上告人Aとしては何ら不利益を受けることはないから、催告としての効力に欠けるところはないと判断しているのである。そして、この判断は、Aが右予備的催告に応じて前示賃料を提供してもBにおいてこれを受領する意思があると認められないような特段の事情が認定されていない原判示のもとでは、正当というべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第23問 エ)
賃貸人が、賃貸借契約の終了を原因とする賃貸借目的物の返還を請求しつつ、仮に賃貸借契約が存続しているとすれば一定額の賃料を支払うべき旨を催告しても、この催告は無効である。
特約よりも短い期間を指定してした催告 最三小判昭和44年4月15日
概要
判例
判旨:「債務不履行を理由とする契約解除の前提としての催告に定められた期間が相当でない場合であつても、債務者が催告の時から相当の期間を経過してなお債務を履行しないときには、債権者は契約を解除することができるものと解すべきである。」
過去問・解説
(H21 司法 第26問 エ)
履行遅滞による契約の解除をするに先立ち、期間を定めて履行の催告をしたが、その期間が不相当に短かった場合であっても、催告時と解除時の間に相当な期間が経過していれば、解除は有効である。
遺産分割協議と541条による解除の可否 最一小判平成元年2月9日
概要
判例
判旨:「共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の1人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときであつても、他の相続人は民法541条によつて右遺産分割協議を解除することができないと解するのが相当である。けだし、遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、しかも、このように解さなければ民法909条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになるからである。」
過去問・解説
(H28 共通 第33問 ア)
共同相続人であるAとBの間で遺産分割協議が成立した場合において、Aがその協議において負担した債務を履行しないときであっても、BはAの債務不履行を理由に遺産分割協議を解除することはできない。
解除と登記 最一小判昭和33年6月14日
概要
②545条1項ただし書の「第三者」が同ただし書によって保護されるためには、当該第三者が所有権を取得した場合においては、その所有権について対抗要件を具備していることが必要である。
判例
②545条1項ただし書の「第三者」が同ただし書によって保護されるためには、取得した所有権についての対抗要件を備える必要があるのかが問題となった。
判旨:①「いわゆる遡及効を有する契約の解除が第三者の権利を害することを得ないものであることは民法545条1項但書の明定するところである。合意解約は右にいう契約の解除ではないが、それが契約の時に遡つて効力を有する趣旨であるときは右契約解除の場合と別異に考うべき何らの理由もないから、右合意解約についても第三者の権利を害することを得ないものと解するを相当とする。」
②「しかしながら、右いずれの場合においてもその第三者が本件のように不動産の所有権を取得した場合はその所有権について不動産登記の経由されていることを必要とするものであつて、もし右登記を経由していないときは第三者として保護するを得ないものと解すべきである。けだし右第三者を民法177条にいわゆる第三者の範囲から除外しこれを特に別異に遇すべき何らの理由もないからである。してみれば、被上告人の主張自体本件不動産の所有権の取得について登記を経ていない被上告人は原判示の合意解約について右にいわゆる権利を害されない第三者として待遇するを得ないものといわざるを得ない」
過去問・解説
(H19 司法 第11問 1)
AからB、BからCへ土地が順次売却された後、AB間の売買契約が合意解除された場合、Cは、所有権移転登記を経由していなくても、その所有権の取得をAに対し主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.6.14)は、「いわゆる遡及効を有する契約の解除が第三者の権利を害することを得ないものであることは民法545条1項但書の明定するところである。合意解約は右にいう契約の解除ではないが、それが契約の時に遡つて効力を有する趣旨であるときは右契約解除の場合と別異に考うべき何らの理由もないから、右合意解約についても第三者の権利を害することを得ないものと解するを相当とする。」と判示した上で、「しかしながら、右いずれの場合においてもその第三者が本件のように不動産の所有権を取得した場合はその所有権について不動産登記の経由されていることを必要とするものであつて、もし右登記を経由していないときは第三者として保護するを得ないものと解すべきである。」と判示している。そして、545条1項ただし書の「第三者」とは、解除以前において契約の目的物につき別個の新たな権利関係を取得した者、すなわち、解除前の第三者に限定される。
本肢においては、AからB、BからCへ土地が順次売却された後、AB間の売買契約が合意解除されているから、Cは同ただし書の「第三者」に当たる。しかし、Cが所有権移転登記を経由していない場合には、その所有権の取得をAに対し主張することができない。
(H23 司法 第28問 2)
AがBに不動産を売却し、さらにBがCに当該不動産を売却した後、AB間の売買契約をAが解除した場合において、Cが保護されるためには、Cは、自己の権利の取得について登記を備えていることを要する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭33.6.14)は、「遡及効を有する契約の解除が第三者の権利を害することを得ないものであることは民法545条1項但書の明定するところである。」と判示した上で、「その第三者が本件のように不動産の所有権を取得した場合はその所有権について不動産登記の経由されていることを必要とするものであつて、もし右登記を経由していないときは第三者として保護するを得ないものと解すべきである。」と判示している。そして、545条1項ただし書の「第三者」とは、解除以前において契約の目的物につき別個の新たな権利関係を取得した者、すなわち、解除前の第三者に限定される。
本肢においては、AがBに不動産を売却し、さらにBがCに当該不動産を売却した後、AB間の売買契約をAが解除したのであるから、Cは同ただし書の「第三者」に当たる。したがって、Cが保護されるためには、Cは、自己の権利の取得について登記を備えていることを要する。
(H25 司法 第10問 エ)
甲土地がAからB、BからCに順次売却された後、AB間の売買契約が合意により解除された場合、Cは、Aに対し、所有権移転登記をしなくても甲土地の所有権取得を主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.6.14)は、「いわゆる遡及効を有する契約の解除が第三者の権利を害することを得ないものであることは民法545条1項但書の明定するところである。合意解約は右にいう契約の解除ではないが、それが契約の時に遡つて効力を有する趣旨であるときは右契約解除の場合と別異に考うべき何らの理由もないから、右合意解約についても第三者の権利を害することを得ないものと解するを相当とする。」と判示した上で、「しかしながら、右いずれの場合においてもその第三者が本件のように不動産の所有権を取得した場合はその所有権について不動産登記の経由されていることを必要とするものであつて、もし右登記を経由していないときは第三者として保護するを得ないものと解すべきである。」と判示している。そして、545条1項ただし書の「第三者」とは、解除以前において契約の目的物につき別個の新たな権利関係を取得した者、すなわち、解除前の第三者に限定される。
本肢においては、甲土地がAからB、BからCに順次売却された後、AB間の売買契約が合意により解除されているから、Cは同ただし書の「第三者」に当たる。しかし、Cは、Aに対し、所有権移転登記をしなければ甲土地の所有権取得を主張することができない。
(H30 司法 第10問 イ)
AがA所有の甲土地をBに売却し、その代金が未払である間に、AからBへ所有権移転登記がされた後、Bが、Bの代金未払の事実を知っているCに甲土地を売却し、その旨の所有権移転登記がされた場合において、AがBの履行遅滞によりAB間の売買契約を解除したときは、Cは、Aに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.6.14)は、「遡及効を有する契約の解除が第三者の権利を害することを得ないものであることは民法545条1項但書の明定するところである。」と判示した上で、「その第三者が本件のように不動産の所有権を取得した場合はその所有権について不動産登記の経由されていることを必要とするものであつて、もし右登記を経由していないときは第三者として保護するを得ないものと解すべきである。」と判示している。そして、545条1項ただし書の「第三者」とは、解除以前において契約の目的物につき別個の新たな権利関係を取得した者、すなわち、解除前の第三者に限定される。さらに、同ただし書の「第三者」として保護されるためには、主観的要件は要求されない。
本肢においては、AがA所有の甲土地をBに売却し、その代金が未払である間に、AからBへ所有権移転登記がされた後、Bが、Cに甲土地を売却し、その後AがBの履行遅滞によりAB間の売買契約を解除しているから、Cは同ただし書の「第三者」に当たる。そして、BからCへの甲土地の売却について、所有権移転登記がされているから、Cは、Aに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができる。Cが、Bの代金未払の事実を知っていることは、結論に影響を及ぼさない。
(R1 司法 第24問 ウ)
AとBは、平成31年4月1日、A所有の中古自転車(以下「甲」という。)を、同月10日引渡し、同月20日代金支払の約定でBに売却する旨の売買契約を締結した。Aは、Bに対し、平成31年4月10日、甲を引き渡したが、Bは、同月20日を経過しても代金を支払わず、同月21日、事情を知らないCに甲を売却し、引き渡した。この場合において、Aが相当の期間を定めて催告してもBが代金を支払わないときは、Aは、Bとの間の売買契約を解除し、Cに対し、甲の返還を求めることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.6.14)は、「遡及効を有する契約の解除が第三者の権利を害することを得ないものであることは民法545条1項但書の明定するところである。」と判示した上で、「その第三者が本件のように不動産の所有権を取得した場合はその所有権について不動産登記の経由されていることを必要とするものであつて、もし右登記を経由していないときは第三者として保護するを得ないものと解すべきである。」と判示している。この判例の理解は、売買契約の目的物が動産である場合にも妥当すると解されている。そして、545条1項ただし書の「第三者」とは、解除以前において契約の目的物につき別個の新たな権利関係を取得した者、すなわち、解除前の第三者に限定される。
本肢においては、AとBは、平成31年4月1日、A所有の甲を、Bに売却する旨の売買契約を締結し、Bは、同月21日、事情を知らないCに甲を売却しているから、この場合において、Aが、Bとの間の売買契約を解除するときは、Cは同ただし書の「第三者」に当たる。そして、Cは、Bから、甲の引渡しを受けているため、対抗要件を備えている(178条)。したがって、Aは、Bとの間の売買契約を解除しても、Cに対し、甲の返還を求めることができない。
(R2 司法 第7問 ウ)
A所有の甲土地をAがBに売却し、更にBがCに売却し、それぞれその旨の登記がされた場合において、その後、AがAB間の売買契約をBの甲土地の代金不払を理由に解除したときは、Aは、Bの代金不払の事実を知らないCに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭33.6.14)は、「遡及効を有する契約の解除が第三者の権利を害することを得ないものであることは民法545条1項但書の明定するところである。」と判示した上で、「その第三者が本件のように不動産の所有権を取得した場合はその所有権について不動産登記の経由されていることを必要とするものであつて、もし右登記を経由していないときは第三者として保護するを得ないものと解すべきである。」と判示している。そして、545条1項ただし書の「第三者」とは、解除以前において契約の目的物につき別個の新たな権利関係を取得した者、すなわち、解除前の第三者に限定される。
本肢においては、A所有の甲土地をAがBに売却し、更にBがCに売却し、それぞれその旨の登記がされた場合において、その後、AがAB間の売買契約をBの甲土地の代金不払を理由に解除したのであるから、Cは同ただし書の「第三者」に当たり、所有権移転登記も備えている。したがって、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
土地賃借権が抵当権の目的となっている場合における賃料不払いによる賃借権の解除 最一小判昭和48年11月29日
概要
判例
判旨:「賃借人の賃料不払による土地賃貸借契約の解除については、借地上の建物の抵当権者は民法545条の第三者に該当しないと解すべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第14問 オ)
Aは土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した。Aは、甲建物に対する抵当権設定後、長期にわたりBに対する賃料の支払を怠った。土地賃借権は、従たる権利として抵当権の目的となっているから、Bは土地賃貸借契約を解除することができない。
催告後相当期間の経過後にした解除の効力 最一小判昭和31年12月6日
概要
判例
判旨:「債務者が遅滞に陥ったときは、債権者が期間を定めず履行を催告した場合であっても、その催告の時から相当の期間を経過してなお債務を履行しないときは契約を解除することができると解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(昭和27年(オ)248号、同29年12月21日第三小法廷判決、集8巻12号2213頁)。そして、本件においては、原審は本件債務の履行の催告期限たる昭和24年12月31日と、解除のときたる同25年1月10日との間の日数が、本件契約解除の前提として相当の期間であると判断したが、この判断は当審においても是認することができる。それ故、これを理由として本件解除を有効とした原判決は上記判例と同趣旨に出でたものであつて、所論の違法は認められない。」