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罪数関係(観念的競合) - 解答モード

強制性交等罪と殺人罪 最一小判昭和31年10月25日

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概要
殺意を有し、暴行をもって婦女を姦淫し、よって死亡させた行為は不同意性交等致死罪及び殺人罪の観念的競合となる。
判例
事案:殺意を有し、暴行をもって婦女を姦淫し、よって死亡させたという事案において、旧強姦致死罪及び殺人罪の罪数関係が問題となった。

判旨:「原審の是認した第1審判決が、同判決判示の罪となるべき事実を認定して(第1審判決の右認定、ことに殺意の点は、同判決挙示の証拠に照らし、当審においてもこれを是認することができる。)、強姦致死の点につき刑法181条、177条を、殺人の点につき同法199条を適用し、両者は同法54条1項前段の1個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるとして同法10条に基き、重い殺人罪の刑によって処断すべきであるとした法律判断は正当であって、この点に関する原審の判示は相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H19 司法 第14問 エ)
判例の立場に従って検討し、それぞれaないしcから正しいものを選びなさい。
 甲は、殺意をもって、女性乙の頸部をひもで絞めながら不同意性交し、同女を死亡させた。
a. 不同意性交等致死罪と殺人罪が成立し、両罪は観念的競合となる。
b. 不同意性交等致死罪のみが成立する。
c. 不同意性交等罪と殺人罪が成立し、両罪は観念的競合となる。

(正答)a

(解説)
判例(最判昭31.10.25)は、旧強姦致死罪の事案において、「強姦致死の点につき刑法181条、177条を、殺人の点につき同法199条を適用し、両者は同法54条1項前段の1個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるとして同法10条に基き、重い殺人罪の刑によって処断すべきである…。」としている。
したがって、甲には不同意性交等致死罪と殺人罪が成立し、両罪は観念的競合となる。

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複数の強盗行為 大判大正6年11月9日

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概要
複数人が必ず飲用する瓶の沸湯に致死性の毒薬を投入し、置いた以上はその家人の数が不明であっても、また、不特定なる場合においても致死の結果を予想すべきであり、飲用者が複数人死亡すれば1行為にして数個の殺人罪名に触るものとなる。
判例
事案:複数人が飲用する瓶の沸湯に致死性の毒薬を投入し、置いた事案において、複数の殺人罪の罪数関係が問題となった。

要旨:併合罪ノ関係アル数罪ヲ同時ニ審理シ一箇ノ判決ヲ以テ刑ノ言渡ヲ為シタルトキト雖モ各罪ニ対シ各別ニ刑ヲ量定シ之ヲ併科スル言渡ヲ為シタルトキハ其中ノ一罪ニ関スル部分ニ限リタル控訴申立ニ基キ其部分ノ一審判決ヲ取消ス場合ニ於テモ他ノ罪ニ関スル1審判決ノ部分ニハ何等ノ消長ヲ来スヘキモノニ非ス
(※原文を確認できないため、要旨のみを掲載)
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H26 司法 第11問 4)
甲は、強盗の目的で、路上を連れ立って歩いていた乙及び丙に対し、包丁の刃先を両名の方に向けながら「お前ら金を出せ。出さないと殺すぞ。」と言って脅迫し、両名からそれぞれ現金を奪った。甲には、2個の強盗罪が成立し、これらは併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(大判大6.11.9)は、飲用瓶に毒を混入し、複数人を殺害した事案において、1個の行為が複数の罪名に触れる場合、観念的競合となることを示している。
甲が乙及び丙に包丁を向けた行為について、1個の反抗抑圧行為が2個の強盗罪に触れるといえ、甲には強盗罪が2個成立し、これらは観念的競合となる。

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盗品無償譲受け罪と恐喝罪 大判昭和6年3月18日

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概要
盗品を所持している者を恐喝し、盗品であることを知ったうえで、交付を受けた場合、恐喝罪のほか盗品等関与罪に抵触する。
判例
事案:贓物と知りながら、窃盗犯を恐喝して財物の交付を受けた事案において、恐喝罪と盗品等関与罪の罪数関係が問題となった。

判旨:「贓物ヲ所持スル者ヲ恐喝シテ其ノ情ヲ知リナカラ之カ交付ヲ受クル行為ハ恐喝罪ノ外尚贓物収受ノ罪名ニモ触ルルモノトス」
過去問・解説
全体の正答率 : 50%

(R1 司法 第7問 5)
甲は、乙が窃取した財物と知りながら、乙を恐喝してその財物の交付を受けた。甲には、盗品等無償譲受け罪と恐喝罪が成立し、これらは併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭6.3.18)は、「贓物ヲ所持スル者ヲ恐喝シテ其ノ情ヲ知リナカラ之カ交付ヲ受クル行為ハ恐喝罪ノ外尚贓物収受ノ罪名ニモ触ルルモノトス」として、盗品無償譲受け罪と恐喝罪の両罪が成立することを示している。
そして、恐喝して財物の交付を受けるという1個の行為によって行われているから観念的競合となる。
したがって、甲には、盗品等無償譲受け罪と恐喝罪が成立し、これらは観念的競合になる。

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収賄罪と盗品等無償譲受け罪 最三小判昭和23年3月16日

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概要
197条の罪が成立するには公務員が収受した金品が盗品等であっても差つかえない(盗品等と知りながら収受した場合は収賄罪と盗品等関与罪との2罪が成立するわけである)。
判例
事案:公務員に賄賂として供与した金員が賍物であった事案において、収賄罪と盗品等関与罪の罪数関係が問題となった。

判旨:「しかし刑法第197条の罪が成立する為めには公務員が収受した金品が臓物であっても差支へない(臓物と知りながら収受した場合は収賄罪と臓物収受罪との2罪が成立するわけである)。(大審院明治44年(れ)第349号同年3月30日言渡判決参照)されば本件に於て被告人が原審相被告人乙に其職務上の不正行為に対する謝礼として交付した金員が仮令所論のように臓物であったとしても之が為めに贈賄罪の成立に少しも影響を及ぼすことはない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H24 予備 第8問 ア)
公務員が、電化製品を盗品であると知りながら、賄賂として収受した。収賄罪と盗品等無償譲受罪が成立し、観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭23.3.16)は、公務員に賄賂として供与した金員が賍物であった事案において、「刑法第197条の罪が成立する為めには公務員が収受した金品が臓物であっても差支へない(臓物と知りながら収受した場合は収賄罪と臓物収受罪との2罪が成立するわけである)。」として、贓物を客体とする収賄罪も成立するとしている。
公務員が盗品であると知りつつ、賄賂として当該盗品を収受した場合には、財物の収受という1個の行為により生じるものであるから、収賄罪と盗品等無償譲受罪が成立し、観念的競合となる。

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恐喝罪と傷害罪 最二小判昭和23年7月29日

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概要
恐喝の手段として用いられた暴行により、被害者が負傷した場合、恐喝罪と傷害罪の観念的競合になる。
判例
事案:恐喝により財物の交付を受けるとともに、手段たる暴行により障害の結果が生じた事案において、恐喝罪と傷害罪の罪数関係が問題となった。

判旨:「本件公訴事実中の第2は被告人が第1事実において示すようにVを短刀を以て畏怖させた上同人から金員を交付させた際、右短刀で同人の左側鼠蹊部を突刺して全治3週間を要する切刺傷を加えたと云うのである。そこで、右第1と第2との各事実が凡て証明されるならば、被告人は恐喝罪と傷害罪とにつき刑法第54条第1項前段の規定を適用して処断されなければならない。けだし、傷害行為は恐喝行為とは別個に、これの事前若しくは事後においてなされたのではなく、傷害行為がただちに恐喝行為の手段としてなされたと言うからである。しかるに、原判決は、被告人の恐喝行為は脅迫を手段としたのであって暴行を手段としたのではないと認定すると共に、被告人に暴行又は傷害の故意を認むべき証拠なしとして傷害事実の成立を否定し、この点について無罪の言渡をした。しかし、この措置は明かに誤っていると言わなくてはならない。暴行又は傷害の故意のないと言うことから、ただちに傷害事実を全面的に否定することはできない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H21 司法 第20問 イ)
Ⅱ.甲は、乙から金品を喝取しようと企て、乙に対し、反抗を抑圧するに至らない程度の暴行を加えて加療約2週間を要する傷害を負わせ、畏怖した同人から現金1万円を喝取した。
【事例】Ⅱでは、甲を懲役20年に処することができる。

(正答)

(解説)
54条1項は、「1個の行為が2個以上の罪名に触れ…るときは、その最も重い刑により処断する。」と規定し、204条は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の拘禁刑又は50円以下の罰金に処する。」と規定し、249条1項は、「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する。」と規定している。
これについて、判例(最判昭23.7.29)は、「傷害行為は恐喝行為とは別個に、これの事前若しくは事後においてなされたのではなく、傷害行為がただちに恐喝行為の手段としてなされたと言うからである。」として、恐喝の手段としての暴行により傷害を負わせた場合、観念的競合になるとしている。
甲は、乙に対し、反抗を抑圧するに至らない程度の暴行を加えて加療約2週間を要する傷害を負わせ、畏怖した同人から現金1万円を喝取した各行為にそれぞれ恐喝罪と傷害罪が成立し、観念的競合となり、最も重い罪である傷害罪で処断することになる。
したがって、刑の長期の上限は、15年であるから、甲を懲役20年に処することはできない。


全体の正答率 : 100%

(R1 司法 第7問 3)
甲は、乙を恐喝して乙から財物の交付を受け、その恐喝の手段として用いられた暴行により乙に傷害を負わせた。甲には、恐喝罪と傷害罪が成立し、これらは併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭23.7.29)は、「傷害行為は恐喝行為とは別個に、これの事前若しくは事後においてなされたのではなく、傷害行為がただちに恐喝行為の手段としてなされたと言うからである。」として、恐喝の手段としての暴行により傷害を負わせた場合、観念的競合になるとしている。
甲は、乙を恐喝して乙から財物の交付を受け、その恐喝の手段として用いられた暴行により、乙に傷害を負わせている。
したがって、甲には恐喝罪と傷害罪が成立し、これらは観念的競合となる。

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往来妨害罪と傷害罪 最三小判昭和36年1月10日

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概要
124条2項の「前項ノ罪ヲ犯シ因テ人ヲ死傷ニ致シタル者ハ傷害ノ罪ニ比較シ重キニ従テ処断ス」という規定の趣旨は、人の身体を傷害した場合には204条の刑と比較し、死に至らした場合には205条の刑と比較し、それぞれ重きに従って処断するというにある。
判例
事案:災害査定を通過させる目的で、橋を損壊し往来の妨害した際、橋上の通行人らを橋下の河原に墜落させ死傷結果を生じさせた事案において、往来妨害罪と傷害罪等の罪数関係が問題となった。

判旨:「刑法124条の趣旨とするところは、往来の妨害を生ぜしめた結果人の身体を傷害した場合には同法204条の刑と比較し、因って死に致した場合には同法205条の刑と比較し、それぞれ重きに従って処断するというにあることが明らかであるから、原判決に所論の違法はない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H23 司法 第6問 1)
甲は、夜間、車道上にロープを張って、車道を閉塞したところ、自動二輪車を運転して同所を通り掛かった乙がこれに気付かないまま同ロープに引っ掛かり、転倒して負傷した。この場合、甲に乙が負傷をすることについて故意があれば、甲には往来妨害罪と傷害罪が成立し、両罪は牽連犯となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭36.1.10)は、「刑法124条の趣旨とするところは、往来の妨害を生ぜしめた結果人の身体を傷害した場合には同法204条の刑と比較し、因って死に致した場合には同法205条の刑と比較し、それぞれ重きに従って処断するというにある…。」として、傷害結果に対する故意を持って、往来妨害罪の行為によって致傷結果を生じさせた場合、往来妨害罪と傷害罪が成立するとしている。
甲には、乙が負傷をすることについて故意があるから、甲には往来妨害罪と傷害罪が成立し、夜間車道上にロープを張るという1個の行為により生じているため、両罪は観念的競合となる。

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1個の放火行為による複数の建造物の焼損 大判大正2年3月7日

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概要
1個の放火行為により複数の住宅が焼損した場合1個の放火罪が成立する。
判例
事案:1個の放火行為により複数の住宅が焼損した事案において、罪数関係が問題となった。

判旨:「人ノ住宅ヲ焼燬スルトキハ個人ノ財産的法益ヲ侵害スルト同時ニ静謐ナル公共的法益ヲ侵害スルヲ以テ法律ハ右公共的法益侵害ニ重キヲ置キ財産ニ対スル罪ト其規定ヲ異ニシ放火罪トシテ之ヲ処分スルモノナレハ単一ナル放火行為ヲ以テ2箇ノ住宅ヲ焼燬スルモ単一ナル放火罪トシテ之ヲ処分スヘキモノトス」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H18 司法 第12問 ウ)
甲は、乙の住居に放火してその建物を全焼させたが、さらに、隣接する丙の住居にも燃え移らせてその建物を半焼させた。甲には、(e.2個の現住建造物等放火罪が成立し、両罪は併合罪である・f.1個の現住建造物等放火罪が成立する)。

(正答)f

(解説)
判例(大判大2.3.7)は、「人ノ住宅ヲ焼燬スルトキハ個人ノ財産的法益ヲ侵害スルト同時ニ静謐ナル公共的法益ヲ侵害スルヲ以テ法律ハ右公共的法益侵害ニ重キヲ置キ財産ニ対スル罪ト其規定ヲ異ニシ放火罪トシテ之ヲ処分スルモノナレハ単一ナル放火行為ヲ以テ2箇ノ住宅ヲ焼燬スルモ単一ナル放火罪トシテ之ヲ処分スヘキモノトス」として、1個の放火行為により複数の住宅が焼損した場合、1個の放火罪が成立するとしている。
甲は、乙の住居に放火する1個の放火行為によって乙及び丙の住居を焼損させているから、1個の現住建造物等放火罪が成立する。


全体の正答率 : 100%

(H30 司法 第16問 ウ)
甲は、乙が住居に使用する家屋及びこれに隣接する丙が住居に使用する家屋を燃やそうと考え、乙の家屋に放火してその火を丙の家屋に燃え移らせ、乙及び丙の各家屋を共に全焼させた。甲には1個の現住建造物等放火罪(第108条)が成立する。

(正答)

(解説)
判例(大判大2.3.7)は、「1箇所の行為であってふたつの罪名にあたるものではなく、単純な一罪すなわち放火罪としてこれを処分したことは正当」と解している。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第5問 ア)
甲は、Aが居住するA所有の家屋に放火し、同家屋を全焼させた上、同家屋に隣接するBが居住するB所有の家屋にも火を燃え移らせて同家屋を全焼させた。この場合、甲には2個の現住建造物等放火罪が成立し、これらは観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(大判大2.3.7)は、「人ノ住宅ヲ焼燬スルトキハ個人ノ財産的法益ヲ侵害スルト同時ニ静謐ナル公共的法益ヲ侵害スルヲ以テ法律ハ右公共的法益侵害ニ重キヲ置キ財産ニ対スル罪ト其規定ヲ異ニシ放火罪トシテ之ヲ処分スルモノナレハ単一ナル放火行為ヲ以テ2箇ノ住宅ヲ焼燬スルモ単一ナル放火罪トシテ之ヲ処分スヘキモノトス」として、1個の放火行為により複数の住宅が焼損した場合、1個の放火罪が成立するとしている。
甲は、Aの住居に放火する1個の放火行為によってA及びBの家屋を焼損させているから、1個の現住建造物等放火罪が成立する。

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現住建造物放火罪と殺人罪 東京地判平成2年5月15日

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概要
建造物内の被害者を殺害するために建造物に放火したが殺害の目的を遂げなかった場合、現住建造物放火罪と殺人未遂罪の観念的競合となる。
判例
事案:建造物内の被害者を殺害するために建造物に放火したが殺害の目的を遂げなかった事案において、現住建造物放火罪と殺人未遂罪の罪数関係が問題になった。

判旨:「被告人は、前記のとおり、自宅を焼燬して、子供3名を焼死させた上、自殺しようと決意し、平成2年1月16日午前0時10分ころ、前記所在の自宅2階居間兼寝室において、就寝中の長男C(当時12歳)、二男D(当時10歳)及び長女E(当時5歳)の周囲の床などに灯油約30リットルを撒布した上、同室内に置かれていた炬燵の掛布団に所携のライターで点火して火を放ち、その火を同室の柱、鴨居などに燃え移らせ、よって、Fほか12名が現に住居として使用している鉄骨造陸屋根5階建事務所兼居宅(建坪87・55平成方メートル)の2階居間兼寝室(約17平成方メートル)及び同室の天井等の一部を焼燬したが、放火直後憐憫の情から右Cら3名の殺害を翻意し同人らを避難させたため、殺害の目的を遂げなかったものである。
 …被告人の判示行為のうち、現住建造物等放火の点は刑法108条に、各殺人未遂の点はいずれも同法203条、199条にそれぞれ該当するところ、右は1個の行為で4個の罪名に触れる場合であるから、同法54条1項前段、10条により一罪として犯情の最も重い現住建造物等放火罪の刑で処断することとし…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H29 予備 第8問 2)
甲は、乙が居住する乙所有の家屋を燃やそうと考え、同家屋に放火し全焼させたところ、同家屋内で就寝中の乙が焼死した。甲が乙を殺そうと考えて同家屋に放火した場合でも、甲には、法定刑に死刑を含む現住建造物等放火罪のみが成立する。

(正答)

(解説)
裁判例(東京地判平2.5.15)は、本肢と同種の事案において、「現住建造物等放火の点は刑法108条に、各殺人未遂の点はいずれも同法203条、199条にそれぞれ該当するところ…同法54条1項前段…により一罪として犯情の最も重い現住建造物等放火罪の刑で処断する…。」として、現住建造物等放火罪と殺人罪の観念的競合となるとしている。
甲は、乙が居住する乙所有の家屋を燃やそうと考え、同家屋に放火し全焼させ同家屋内で就寝中の乙が焼死しているから、甲には現住建造物等放火罪と殺人罪が成立し、これらは観念的競合になる。


全体の正答率 : 100%

(R2 共通 第14問 3)
甲が住宅内にいる乙を殺害する目的で放火し、住宅が焼失した上、乙が死亡した場合、甲には、殺人罪は成立せず、現住建造物等放火罪のみが成立する。

(正答)

(解説)
裁判例(東京地判平2.5.15)は、本肢と同種の事案において、「現住建造物等放火の点は刑法108条に、各殺人未遂の点はいずれも同法203条、199条にそれぞれ該当するところ…同法54条1項前段…により一罪として犯情の最も重い現住建造物等放火罪の刑で処断する…。」として、現住建造物等放火罪と殺人罪の観念的競合となるとしている。
甲は、住宅内にいる乙を殺害する目的で放火し、住宅が焼失した上、乙が死亡しているから、甲には現住建造物等放火罪と殺人罪が成立し、これらは観念的競合になる。

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公務執行妨害罪と傷害罪 最三小判昭和28年4月14日

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概要
公務執行妨害罪と傷害罪が54条1項前段の関係にある場合に傷害罪所定の罰金刑で処断するのは54条1項前段の規定の解釈を誤ったもので違法である。
判例
事案:公務執行妨害罪と傷害罪が54条1項前段の関係にある事案において、傷害罪所定の罰金刑で処断することは適法であるかが問題になった。

判旨:「54条1項前段の1個の行為にして数個の罪名に触れる場合において、『最モ重キ刑ヲ以テ処断ス』と定めているのは、その数個の罪名中もっとも重い刑を定めている法条によって処断するという趣旨と共に、他の法条の最下限の刑よりも軽く処断することはできないという趣旨を含むと解するを相当とする。いいかえれば数個の罪について刑を定めるには、各法条中の法定刑の最上限も最下限も共に重い刑の範囲内において処断すべきものとする趣旨である。本件において、第1審判決が公務執行妨害の罪と傷害の罪とを刑法54条1項前段の1所為数法の関係において処断するにあたり、もっとも重い刑を定めた傷害の罪の法条によって処断したのは正当であるが、公務執行妨害の罪の刑が3年以下の懲役又は禁錮と定められ罰金の定めがないのにかかわらず、傷害の罪にその定めがあるのに従って、被告人を罰金2万円に処したのは、刑法54条1項の解釈を誤ったものであり違法たるを免れない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H23 予備 第8問 1)
甲は、警察官乙から職務質問を受けた際、乙に対して暴行を加えて傷害を負わせた。甲に乙に対する公務執行妨害罪が成立する場合、同罪と傷害罪は観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.4.14)は、本肢と同種の事案において、「第1審判決が公務執行妨害の罪と傷害の罪とを刑法54条1項前段の1所為数法の関係において処断するにあたり、もっとも重い刑を定めた傷害の罪の法条によって処断したのは正当である…。」として、公務執行妨害罪と傷害罪が観念的競合の関係にあることを認めている。
甲は、警察官乙から職務質問を受けた際、乙に対して1個の暴行を加えて公務を妨害し、乙に傷害を負わせているから、公務執行妨害罪と傷害罪が成立し、これらは観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第20問 エ)
【事 例】
甲は、高齢女性Aから同人名義のキャッシュカード(以下「カード」という。)を不正に入手するため、甲が警察官を装いAに電話をかけ、これからA方を訪れる警察官の確認を受けながらカードを封筒に入れ、同封筒をA方において保管する必要があるとうそを言い、警察官に成り済ました乙(25歳、男性)がA方を訪れ、隙を見て同封筒を別の封筒とすり替えて持ち去り、カードを丙に渡して甲に届けさせる計画(以下「本件計画」という。)を考え、乙に本件計画の実行を指示し、乙はこれを承諾した。某日午前9時頃、本件計画に基づき、甲がAに電話をかけて上記うそを言い、乙は、同日午前9時15分頃、A方を訪ね、Aにカードを封筒に入れるよう求めた。しかし、乙の態度を不審に思ったAが、乙に身分証の提示を求めたので、乙は、逮捕を免れるとともに本件計画どおりにカードを手に入れるため、Aを手拳で多数回殴り、恐怖で抵抗できないAからカードを奪って持ち去った。同日午前9時20分頃、乙は、甲に電話で、本件計画どおりカードを入手したと伝えた。同日午前9時30分頃、甲は、丙に電話をかけ、本件計画の内容を初めて説明し、乙からカードを受け取って甲に届けるよう依頼し、丙はこれを承諾した。丙は、同日午前11時頃、乙と合流し、カードを受け取って乙と別れ、自動車でA方から約50キロメートル離れた甲方に向かったが、同日午後0時30分頃、甲方付近で降車した際、制服警察官BからA方での事件とは関係なく職務質問を受けた。その際、丙は、Bを殴り、Bに全治2週間を要する打撲傷を負わせ、その隙に上記自動車で逃走し、同日午後1時頃、甲と合流して甲にカードを届けた。その後、丙の交際相手丁は、丙が上記一連の犯行を行い、警察から捜査されていることを認識しつつ、丙を丁の自宅にかくまった。

【記 述】
丙がBを殴って負傷させた行為には、公務執行妨害罪と傷害罪が成立し、これらは観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.4.14)は、本肢と同種の事案において、「第1審判決が公務執行妨害の罪と傷害の罪とを刑法54条1項前段の1所為数法の関係において処断するにあたり、もっとも重い刑を定めた傷害の罪の法条によって処断したのは正当である…。」として、公務執行妨害罪と傷害罪が観念的競合の関係にあることを認めている。
丙は、警察官B職務質問を受けた際、Bを殴り公務を妨害し、Bに全治2週間を要する打撲傷を負わせているから、公務執行妨害罪と傷害罪が成立し、これらは観念的競合となる。

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公務執行妨害罪と傷害罪 最三小決昭和43年9月17日

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概要
傷害の手段として監禁がなされたものであっても、その行為の性質からみて、両者が通常手段結果の関係にあるものとは認められないから、54条1項の牽連犯にはあたらない。
判例
事案:暴力団組員である被告人4名が、同組員の被害者を取り囲んでタクシーに乗せ、同人の逃走を不能にして組事務所に連れ込み、同人の左小指を切断したという事案において、傷害罪と監禁罪の罪数関係が問題となった。

判旨:「傷害の手段として監禁がなされたものであっても、その行為の性質からみて、両者が通常手段結果の関係にあるものとは認められないから、刑法54条1項の牽連犯にはあたらないものとした原判決の判断は相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0%

(H25 司法 第2問 4)
甲は、自己の所属する暴力団の配下組員Aに指を詰めさせることとし、嫌がるAを無理やり普通乗用自動車に乗せて組事務所に連行し、約1時間半にわたってAを監視したが、その間に、組事務所内において、Aの左腕を押さえ付け、包丁でAの小指を切断した。甲には監禁致傷罪が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭43.9.17)は、本肢と同種の事案において、「傷害の手段として監禁がなされたものであっても、その行為の性質からみて、両者が通常手段結果の関係にあるものとは認められないから、刑法54条1項の牽連犯にはあたらない…。」として、傷害の手段として監禁がなされても、監禁致傷罪は成立せず、監禁罪と傷害罪がそれぞれ成立するとしている。
甲は、Aを無理やり自動車に乗せて組事務所に連行し、約1時間半にわたってAを監視し、包丁でAの小指を切断しているから、Aの小指切断の結果は監禁から生じたものとはいえない。
したがって、甲には傷害罪及び監禁罪が成立する。

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無免許運転の罪と酒酔い運転の罪 最大判昭和49年5月29日

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概要
54条1項前段の規定は、1個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう1個の行為とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。被告人が同一の日時場所において、無免許で、かつ、酒に酔い正常な運転ができないおそれのある状態で普通乗用自動車を運転した所為につき、右無免許運転の罪と酒酔い運転の罪とは観念的競合の関係にある。
判例
事案:無免許でかつ酒に酔いながら自動車を運転した事案において、無免許運転の罪と酒酔い運転の罪の罪数関係が問題となった。

判旨:「刑法54条1項前段の規定は、1個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう1個の行為とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。
 …被告人が本件自動車を運転するに際し、無免許で、かつ、酒に酔った状態であったことは、いずれも車両運転者の属性にすぎないから、被告人がこのように無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為であって,それが道路交通法118条1項1号、64条及び同法117条の2第1号、65条1項の各罪に同時に該当するものであるから、右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当であり…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H20 司法 第17問 2)
甲は、脇見しながら自動車を運転したため、自車前方で信号待ちのため停車していた乙運転の自動車に気付くのが遅れ、同車に自車を追突させ、その衝撃で乙運転の自動車を前方に押し出し、同車の前方に停車中の丙運転の自動車に追突させ、これにより乙が死亡し、丙は傷害を負った。甲には、乙に対する自動車運転過失致死罪及び丙に対する自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、乙運転の自動車に衝突して、乙運転の自動車を前方に押し出し、同車の前方に停車中の丙運転の自動車に追突させ、乙死亡丙傷害の結果を引き起こしており、これらは自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為であるといえる。
したがって、甲には、乙に対する自動車運転過失致死罪及び丙に対する自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は観念的競合となる。


全体の正答率 : 0%

(H22 司法 第16問 4)
甲は、自己の運転する自動車を脇見運転により通行人乙に衝突させて同人を死亡させた上、慌ててその場から逃走しようとして安全確認を怠って自車をUターンさせたため、折から対向車線を走行してきた丙運転の自動車に自車を衝突させて同人に傷害を負わせた。甲には、自動車運転過失致死罪と自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、追突行為とUターンという2つの行為を行っており、これらは、社会的見解上1個のものとはいえない。
したがって、甲には、自動車運転過失致死罪と自動車運転過失傷害罪が成立し、両罪は併合罪となる。


全体の正答率 : 100%

(H27 共通 第17問 1)
甲は、酒に酔った状態で、自動車を無免許で運転した。甲には酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、本肢と同種の事案において、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
したがって、甲には、酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(R1 司法 第7問 2)
甲は、乙ら3名をその面前で同時に恐喝して3名全員からそれぞれ財物を出させ、その3名分の財物の交付を乙から一括して受けた。甲には、3個の恐喝罪が成立し、これらは併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
甲は、1つの恐喝行為によって、乙ら3名全員からそれぞれ財物を出させ、その3名分の財物の交付を乙から一括して受けており、これらは自然的観察のもとで社会的見解上1個のものとの評価を受ける場合であるといえる。
したがって、甲には、3個の恐喝罪が成立し、これらは観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(R5 司法 第5問 エ)
甲は、酒に酔った状態で、自動車を無免許で運転した。この場合、甲には酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.5.29)は、本肢と同種の事案において、「無免許で、かつ、酒に酔った状態で自動車を運転したことは、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の車両運転行為…。」とした上で、「右両罪は刑法54条1項前段の観念的競合の関係にあると解するのが相当…。」としている。
したがって、甲には、酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。

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1つの幇助行為と複数の正犯行為 最一小決昭和57年2月17日

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概要
①幇助犯、教唆犯の個数は、正犯の罪のそれに従って決定される。
②幇助罪が数個成立する場合において、それらが54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かは、幇助行為それ自体についてみるべきである。
判例
事案:1つの幇助行為により複数の犯行が行われ、幇助罪の個数と複数の幇助行為が認められた事案において、複数の幇助行為の罪数関係が問題となった。

判旨:「幇助罪は正犯の犯行を幇助することによって成立するものであるから、成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定されるものと解するのが相当である。…被告人は、正犯らが2回にわたり覚せい剤を密輸入し、2個の覚せい剤取締法違反の罪を犯した際、覚せい剤の仕入資金にあてられることを知りながら、正犯の1人から渡された現金等を銀行保証小切手にかえて同人に交付し、もって正犯らの右各犯行を幇助したというのであるから、たとえ被告人の幇助行為が1個であっても、2個の覚せい剤取締法違反幇助の罪が成立すると解すべきである。
 …幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべきである。被告人の幇助行為は1個と認められるから、たとえ正犯の罪が併合罪の関係にあっても、被告人の2個の覚せい剤取締法違反幇助の罪は観念的競合の関係にあると解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(H22 司法 第16問 1)
甲は、乙が丙の住居及び丁の住居に侵入することを決意しているのを知り、乙に対し、侵入用具としてドライバー1本を貸与し、その翌日、乙はこれを利用して丙の住居及び丁の住居にそれぞれ侵入した。甲には、2個の住居侵入罪の従犯が成立し、両罪は観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.2.17)は、「成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定される…。」とした上で、「幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべき…。」としている。
甲には、正犯乙の住居侵入罪の個数に従って2個の住居侵入罪の幇助犯が成立する。他方、甲は、乙に対して侵入用具としてドライバー1本を貸与するという1個の幇助行為しか行っていないから、これらは観念的競合となる。
したがって、甲には、2個の住居侵入罪の従犯が成立し、両罪は観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(H26 司法 第11問 2)
甲は、乙が強盗を行うつもりであることを知りながら、乙に模造拳銃1丁を貸し与えたところ、乙は、2店のコンビニエンスストアで、同模造拳銃を使ってそれぞれ強盗を行った。甲には、2個の強盗幇助罪が成立し、これらは併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.2.17)は、「成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定される…。」とした上で、「幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべき…。」としている。
甲には、正犯乙の強盗罪の個数に従って2個の強盗罪の幇助犯が成立する。
甲は、乙が強盗を行うつもりであることを知りながら、乙に模造拳銃1丁を貸し与えたという1個の幇助行為しか行っていないから、これらは観念的競合となる。
したがって、甲には、2個の強盗幇助罪が成立し、これらは観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(H27 共通 第17問 3)
甲は、乙がX及びYを殺害するつもりでいることを知ったことから、凶器としてナイフ1本を乙に手渡したところ、乙は、同ナイフを用いてX及びYを殺害した。甲には2個の殺人幇助の罪が成立し、これらは併合罪となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.2.17)は、「成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定される…。」とした上で、「幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべき…。」としている。
甲には、正犯乙の殺人罪の個数に従って2個の殺人罪の幇助犯が成立する。甲は、乙がX及びYを殺害するつもりでいることを知りながら、凶器としてナイフ1本を乙に手渡したという1個の幇助行為しか行っていないから、これらは観念的競合となる。
したがって、甲には2個の殺人幇助の罪が成立し、これらは観念的競合となる。


全体の正答率 : 100%

(R3 司法 第7問 イ)
甲は、乙がA及びBをバットで順次殴打して両名を負傷させた際、これに先立ち、乙の意図を知りながら、乙にバットを手渡してそれらの犯行を幇助した。この場合、甲には、A及びBに対する2個の傷害罪の幇助犯が成立し、これらは観念的競合となる。

(正答)

(解説)
判例(最決昭57.2.17)は、「成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従って決定される…。」とした上で、「幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては、幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべき…。」としている。
甲には、正犯乙の傷害罪の個数に従って2個の傷害罪の幇助犯が成立する。甲は、乙の意図を知りながら、乙にバットを手渡したという1個の幇助行為しか行っていないから、これらは観念的競合となる。
したがって、甲には2個の傷害罪の幇助犯が成立し、これらは観念的競合となる。

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