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契約各論 - 解答モード

他人の財産を贈与する場合に負う義務 最二小判昭和44年1月31日

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概要
他人の財産権を贈与の目的としたときは、贈与義務者は自ら当該財産権を取得して受贈者に移転する義務を負うこととなり、贈与契約として有効に成立する。
判例
事案:他人の財産権を目的とする贈与契約が、有効に成立するかが問題となった。

判旨:「他人の財産権をもつて贈与の目的としたときは、贈与義務者はみずからその財産権を取得して受贈者に移転する義務を負うもので、贈与契約として有効に成立する。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第25問 イ)
贈与者が他人の不動産を贈与した場合において、他人の物であることを知りながら受贈者に告げなかったときは、贈与者は、その不動産の所有権を取得して受贈者に移転する義務を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.1.31)は、「他人の財産権をもつて贈与の目的としたときは、贈与義務者はみずからその財産権を取得して受贈者に移転する義務を負うもので、贈与契約として有効に成立する。」と判示している。

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贈与の履行と所有権移転登記 最二小判昭和40年3月26日

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概要
不動産の贈与契約に基づき所有権移転登記がなされたときは、その引渡しの有無を問わず、「履行の終わった」(550条)に当たる。
判例
事案:不動産の贈与契約に基づき所有権移転登記がなされた場合において、「履行の終わった」(550条)といえるかが問題となった。

判旨:「不動産の贈与契約において、該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終つたものと解すべきであり、この場合、当事者間の合意により、右移転登記の原因を形式上売買契約としたとしても、右登記は実体上の権利関係に符合し無効ということはできないから、前記履行完了の効果を生ずるについての妨げとなるものではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第22問 3)
判例によれば、書面によらない不動産の贈与において、受贈者に登記を移転すれば、引渡しが未了でも、贈与者は贈与を撤回することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.3.26)は、「不動産の贈与契約において、該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終つたものと解すべきであ」ると判示している。そして、550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と規定している。したがって、書面によらない不動産の贈与において、受贈者に登記を移転すれば、引渡しが未了でも、贈与者は贈与を撤回することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 司法 第24問 オ)
登記された建物が書面によらずに贈与された場合、贈与者は、受贈者への目的物の引渡し及び所有権移転登記の双方がされるまでは、贈与契約を解除することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.3.26)は、「不動産の贈与契約において、該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終つたものと解すべきであ」ると判示している。そして、550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と規定している。そうすると、登記された建物が書面によらずに贈与された場合、贈与者は、受贈者への所有権移転登記をすれば、目的物の引き渡しをしていなくても、贈与契約を解除することができなくなる。

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書面による贈与契約の撤回 最二小判昭和60年11月29日

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概要
贈与が書面によってされたといえるためには、贈与の意思表示自体が書面によっていることを必要としないことはもちろん、書面が贈与の当事者間で作成されたこと、又は書面に無償の趣旨の文言が記載されていることも必要とせず、書面に贈与がされたことを確実に看取しうる程度の記載があれば足りる。
判例
事案:贈与が書面によってされたといえるためには、どの程度の記載が必要とされるかが問題となった。

判旨:「民法550条が書面によらない贈与を取り消しうるものとした趣旨は、贈与者が軽率に贈与することを予防し、かつ、贈与の意思を明確にすることを期するためであるから、贈与が書面によつてされたといえるためには、贈与の意思表示自体が書面によつていることを必要としないことはもちろん、書面が贈与の当事者間で作成されたこと、又は書面に無償の趣旨の文言が記載されていることも必要とせず、書面に贈与がされたことを確実に看取しうる程度の記載があれば足りるものと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H22 司法 第22問 4)
判例によれば、贈与において、受贈者にあてた書面がなければ、贈与者は書面によらない贈与として、これを撤回することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.11.29)は、「贈与が書面によつてされたといえるためには、贈与の意思表示自体が書面によつていることを必要としないことはもちろん、書面が贈与の当事者間で作成されたこと、又は書面に無償の趣旨の文言が記載されていることも必要とせず、書面に贈与がされたことを確実に看取しうる程度の記載があれば足りるものと解すべきである。」と判示している。したがって、贈与において、受贈者に充てた書面がなくても、贈与がされたことを確実に看取しうる程度の記載がされた書面があれば、書面による贈与となる。
そして、550条は、「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。」と規定しているところ、この規定を反対解釈すれば、書面による贈与は、各当事者が解除することはできないということとなる。したがって、本肢においては、贈与者は必ずしも贈与を撤回することができるとはいえない。

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死因贈与の方式 最三小判昭和32年5月21日

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概要
死因贈与の方式については、遺贈に関する規定の準用はない。
判例
事案:死因贈与の方式について、遺贈に関する規定の準用があるかが問題となった。

判旨:「民法554条の規定は、贈与者の死亡によつて効力を生ずべき贈与契約(いわゆる死因贈与契約)の効力については遺贈(単独行為)に関する規定に従うべきことを規定しただけで、その契約の方式についても遺言の方式に関する規定に従うべきことを定めたものではないと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第24問 ウ)
判例によると、死因贈与の贈与者は、いつでも、その全部又は一部を撤回することができるが、その撤回は、遺言の方式に従ってしなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭32.5.21)は、「民法554条の規定は、贈与者の死亡によって効力を生ずべき贈与契約(いわゆる死因贈与契約)の効力については遺贈(単独行為)に関する規定に従うべきことを規定しただけで、その契約の方式についても遺言の方式に関する規定に従うべきことを定めたものではないと解すべきである。」と判示している。そうすると、554条は、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と規定し、1024条は、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」と規定しているところ、遺言の方式に従う旨規定されている部分は、死因贈与に準用されない。したがって、死因贈与の贈与者は、いつでも、その全部又は一部を撤回することができるところ、その撤回は、遺言の方式に従う必要はない。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 司法 第24問 ア)
死因贈与は、書面によることを要せず、当事者の合意のみで成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭32.5.21)は、「民法554条の規定は、贈与者の死亡によって効力を生ずべき贈与契約(いわゆる死因贈与契約)の効力については遺贈(単独行為)に関する規定に従うべきことを規定しただけで、その契約の方式についても遺言の方式に関する規定に従うべきことを定めたものではないと解すべきである。」と判示している。そうすると、遺贈は遺言の方式によってなされ(964条参照)、967条本文は、「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。」と規定しているが、当該規定は554条により死因贈与に準用されない。したがって、死因贈与は、書面によることを要せず、当事者の合意のみで成立する(549条参照)。

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死因贈与の撤回 最一小判昭和47年5月25日

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概要
死因贈与の撤回については、遺言の取消に関する1022条が、その方式に関する部分を除いて準用される。
判例
事案:死因贈与を取り消す場合において、1022条が準用されるかどうかが問題となった。

判旨:「死因贈与については、遺言の取消に関する民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。けだし、死因贈与は贈与者の死亡によつて贈与の効力が生ずるものであるが、かかる贈与者の死後の財産に関する処分については、遺贈と同様、贈与者の最終意思を尊重し、これによつて決するのを相当とするからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H29 司法 第25問 オ)
書面によって死因贈与がされたとしても、贈与者は、生前、いつでもその贈与を撤回することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.5.25)は、「死因贈与については、遺言の取消に関する民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。」と判示している。そして、1022条は、「遺言者は、いつでも、…その遺言の全部又は一部を撤回することができる」と規定している。したがって、書面によって死因贈与がされたとしても、贈与者は、生前、いつでもその贈与を撤回することができる。

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他人物売買の解除と買主の使用利益返還義務 最二小判昭和51年2月13日

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概要
売買契約に基づき目的物の引渡を受けていた買主は、旧561条により同契約を解除した場合でも、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還しなければならない。
判例
事案:他人の権利の売買契約が旧561条により解除された場合において、目的物の引渡しを受けていた買主が、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還しなければならないかが問題となった。

判旨:「売買契約が解除された場合に、目的物の引渡を受けていた買主は、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還すべき義務を負うものであり、この理は、他人の権利の売買契約において、売主が目的物の所有権を取得して買主に移転することができず、民法561条の規定により該契約が解除された場合についても同様であると解すべきである。けだし、解除によつて売買契約が遡及的に効力を失う結果として、契約当事者に該契約に基づく給付がなかつたと同一の財産状態を回復させるためには、買主が引渡を受けた目的物を解除するまでの間に使用したことによる利益をも返還させる必要があるのであり、売主が、目的物につき使用権限を取得しえず、したがつて、買主から返還された使用利益を究極的には正当な権利者からの請求により保有しえないこととなる立場にあつたとしても、このことは右の結論を左右するものではないと解するのが、相当だからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 0.0%

(H28 司法 第24問 イ)
甲土地の売買契約がAを売主、Bを買主として締結され、AからBに甲土地の引渡しがされたが、甲土地がCの所有であった場合において、Aが甲土地の権利をCから取得してBに移転することができないことを理由にBが甲土地の売買契約を解除したときは、Bは、Aに対し、その解除までの間の甲土地の使用利益を返還しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.2.13)は、「売買契約が解除された場合に、目的物の引渡を受けていた買主は、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還すべき義務を負うものであり、この理は、他人の権利の売買契約において、売主が目的物の所有権を取得して買主に移転することができず、民法561条の規定により該契約が解除された場合についても同様であると解すべきである。けだし、解除によって売買契約が遡及的に効力を失う結果として、契約当事者に該契約に基づく給付がなかったと同一の財産状態を回復させるためには、買主が引渡を受けた目的物を解除するまでの間に使用したことによる利益をも返還させる必要がある」と判示している。
改正民法下における561条は、「他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。」と定めるにとどまり、解除権の発生を認めていないが、売主が同条に定める義務を履行せず、あるいは履行不能となった場合には、541条、542条による解除が可能となる。そして、上記判例の理解は、改正民法下における、売主が561条が定める義務に違反した場合の541条、542条による解除の場合にも同様に妥当すると解されている。
したがって、Aが甲土地の権利をCから取得してBに移転することができないことを理由にBが甲土地の売買契約を解除したときは、Bは、Aに対し、その解除までの間の甲土地の使用利益を返還しなければならない。

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手付契約の解釈 最三小判昭和24年10月4日

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概要
違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約束があったとしても、それだけでは手付による解除の留保を規定する557条1項の適用は排除されない。
判例
事案:違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約束があった場合において、557条1項の適用が排除されるかが問題となった。

判旨:「違約の場合手附の没収又は倍返しをするという約束は民法の規定による解除の留保を少しも妨げるものではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第21問 ア)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。XY間の売買契約書に、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約定があったとしても、それだけでは手付による解除を排除する意思表示があったとはいえない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭24.10.4)は、本肢と同種の事案において、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約束があったとしても、それだけでは手付による解除の留保を規定する557条1項の適用は排除されない旨判示している。したがって、XY間の売買契約書に、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約定があったとしても、それだけでは手付による解除を排除する意思表示があったとはいえない。

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解約手付と主張立証責任 最一小判昭和29年1月21日

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概要
売買の手付は、特別の意思表示がない限り、いわゆる解約手付(557条1項)と推定され、これと異なる効力を有する手付であることを主張しようとするものは、当該特別の意思表示が存在することを主張立証しなければならない。
判例
事案:売買の手付が、いわゆる解約手付(557条1項)と推定されるのかが問題となった。

判旨:「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第21問 イ)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。Yが手付を放棄して売買契約を解除したと訴訟において主張するためには、YがXとの間で売買契約に付随して解約手付の趣旨で手付金を交付する合意をしたことを主張する必要がある。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」と判示している。したがって、売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付されれば、当該手付はいわゆる解約手付(557条1項)と推定されるから、Yが手付を放棄して売買契約を解除したと訴訟において主張するためには、YがXとの間で売買契約に付随して解約手付の趣旨で手付金を交付する合意をしたことを主張する必要はない。


全体の正答率 : 50.0%

(H20 司法 第21問 エ)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。Xが手付による解除の抗弁を訴訟において主張する場合、Yは、XとYが解除権の留保をしない旨の合意をしたこと、又は、X若しくはYがXの解除の意思表示に先立ち履行に着手したことを再抗弁とすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」と判示している。したがって、Xが手付による解除の抗弁を訴訟において主張する場合、Yは、XとYが解除権の留保をしない旨の合意をしたことを再抗弁とすることができる。よって、本肢前段は正しい。
一方、557条1項は、「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」と規定している。したがって、Yが再抗弁とすることができるのは、Y自身が解除の意思表示に先立ち履行に着手したことに限られ、Xが解除の意思表示に先立ち履行に着手したことを再抗弁とすることはできない。よって、本肢後段は誤っている。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第24問 ア)
売買契約において交付された手付は、解約手付と推定される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。」と判示している。

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解約手付と解除権 最大判昭和40年11月24日

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概要
「履行に着手した」(557条1項ただし書)とは、債務の内容たる給付の実行に着手したこと、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す。
判例
事案:「履行に着手した」(557条1項ただし書)の要件は、どのような行為がなされた場合に認められるかが問題となった。

判旨:「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第24問 2)
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。甲土地は乙土地の一部であったが、Aが乙土地から甲土地を分筆する登記手続をしたときは、Bは、本契約を手付により解除することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭40.11.24)は、「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」と判示している。Aが乙土地から甲土地を分筆する登記手続をしたときは、当該行為は履行の提供をするために書くことのできない前提行為であるといえるから、「履行に着手した」(557条1項ただし書)といえる。したがって、Bは、本契約を手付により解除することはできない。


全体の正答率 : 50.0%

(H19 司法 第24問 4)
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。Aが本契約を結んだ翌日、甲土地の売却代金を購入代金に充てる資金計画の下で、Cの所有する土地をCから購入する契約を結んだ場合、Bは、本契約を手付により解除することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭40.11.24)は、「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」と判示している。本肢においては、Aが本契約を結んだ翌日、甲土地の売却代金を購入代金に充てる資金計画の下で、Cの所有する土地をCから購入する契約を結んているところ、当該行為は、履行行為の一部を成す行為でも、履行の提供をするために書くことのできない前提行為でもない。したがって、Aの当該行為をもって、「履行に着手した」(557条1項ただし書)とはいえず、Bは、本契約を手付により解除することができる。

該当する過去問がありません

特定物の他人物売買契約の所有物の移転時期 大判大正8年7月5日

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概要
売買の目的物が他人所有の特定物である場合、売主が後日その物の所有権を取得したときには、当事者の何らの意思表示を要せず、その物は当然に直ちに買主の所有に帰する。
判例
事案:売買の目的物が他人所有の特定物である場合において、売主が後日その物の所有権を取得したとき、その物の所有権は当然に買主に帰属することとなるかが問題となった。

判旨:「他人ノ物ヲ自己ノ所有ニ属スルモノト誤信シ之ヲ第三者ニ売却シタル場合ハ民法第562条ニ規定セル売主カ契約ノ当時其売却シタル権利ノ自己ニ属セサルコトヲ知ラサリシ場合ニ該当スルカ故ニ同法第560条ニ従ヒ売主ハ其権利ヲ取得シテ之ヲ買主ニ移転スルノ義務ヲ有スルモノニシテ而テ其売買ノ目的タル物カ他人所有ノ特定物ナル場合ニ売主カ後日其物ノ所有権ヲ取得スルニ至リタルトキハ当事者ニ於テ更ニ何等ノ意思表示ヲ為スコトヲ要セス其物ハ当然直ニ買主ノ所有ニ帰スルモノトス蓋シ売買ニ因リテ所有権ヲ移転スルニハ売買契約ノ外尚所有権ノ移轂ヲ目的トスル物権契約ヲ締結スルコトヲ必要トスル法制ニ在リテハ叙上ノ場合ニ売主ハ更ニ買主ニ対シ所有権ヲ移轂スヘキ意思表示ヲ為スコトヲ要スルハ当然ナレトモ我民法ノ如ク特定物ニ関スル所有権ハ売買ノ意思表示ニ依リテ直ニ買主ニ移転スヘキ法制ノ下ニ在リテハ上記売買ノ目的タル第三者所有ノ特定物ノ所有権カ売主ニ帰属スルニ至リタルトキハ売買ノ効力ハ直ニ実現シ其物ノ所有権ハ何等ノ意思表示ヲ為スコトナク当然直ニ買主ニ移轂スル。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第27問 エ)
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した。甲不動産の所有権は売買契約成立時にBからCに移転するが、BがAから所有権を取得することができないため売買契約が解除された場合は、甲不動産の所有権はCからAに直接復帰する。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.7.5)は、売買の目的物が他人所有の特定物である場合、売主が後日その物の所有権を取得したときには、当事者の何らの意思表示を要せず、その物は当然に直ちに買主の所有に帰する旨判示している。したがって、Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合には、甲不動産の所有権は、当該売買契約成立時ではなく、BがAから甲不動産の所有権を取得したときに初めてBからCに移転する。

該当する過去問がありません

特定物の他人物売買契約の所有物の移転時期 最二小判昭和40年11月19日

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概要
他人物売買(561条)の売主が目的物の所有権を後日他人から取得した時は、特段の約定がない限り、同目的物の所有権は、なんらの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転する。
判例
事案:他人物売買(561条)の売主が目的物の所有権を後日他人から取得した場合において、当該目的物の所有権が、当然に買主に移転するかが問題となった。

判旨:「AよりCへの本件物件の所有権…移転の時期、方法につき特段の約定ないし意思表示がない限り…、Bが昭和36年7月8日Aより本件物件の所有権を取得すると同時にCがBより本件物件の所有権を取得…するに至つたものと解すべきである(被控訴人の所有権取得につき、大審院大正8年(オ)第114号大正8年7月5日判決、民録25輯1258頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H25 司法 第9問 2)
売主が他人の不動産を売り渡した後にその所有権を取得したときは、買主は、売主がその不動産の所有権を取得した後これを買主に移転する意思を表示した時に、その不動産の所有権を取得する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.11.19)は、他人物売買(561条)の売主が目的物の所有権を後日他人から取得した時は、特段の約定がない限り、同目的物の所有権は、なんらの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転する旨判示している。

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他人の権利の売主をその権利者が相続した場合と売主としての履行義務 最大判昭和49年9月4日

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概要
他人の権利の売主が死亡し、その権利者において当該売主を相続した場合には、当該権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有するから、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、履行義務を拒否することができる。
判例
事案:他人の権利の売主をその権利者が相続した場合において、当該権利者が、相続により承継した売主としての履行義務を拒否することができるかが問題となった。

判旨:「他人の権利の売主が死亡し、その権利者において売主を相続した場合には、権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、そのために権利者自身が売買契約を締結したことになるものでないことはもちろん、これによつて売買の目的とされた権利が当然に買主に移転するものと解すべき根拠もない。また、権利者は、その権利により、相続人として承継した売主の履行義務を直ちに履行することができるが、他面において、権利者としてその権利の移転につき諾否の自由を保有しているのであつて、それが相続による売主の義務の承継という偶然の事由によつて左右されるべき理由はなく、また権利者がその権利の移転を拒否したからといつて買主が不測の不利益を受けるというわけでもない。それゆえ、権利者は、相続によつて売主の義務ないし地位を承継しても、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有し、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右売買契約上の売主としての履行義務を拒否することができるものと解するのが、相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第27問 イ)
A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された場合において、Bが死亡し、AがBを単独で相続したときは、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭49.9.4)は、 他人の権利の売主が死亡し、その権利者において当該売主を相続した場合には、当該権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有するから、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、履行義務を拒否することができる旨判示している。したがって、A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された場合において、Bが死亡し、AがBを単独で相続したときであっても、信義則に反すると認められるような特段の事情が見受けられない本肢においては、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことができる。

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借地権付建物売買における土地の瑕疵担保責任は売主にあるか 最三小判平成3年4月2日

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概要
建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、土地賃貸人が修繕義務を負担すべき敷地の欠陥は、当該売買契約の目的物である建物の隠れた瑕疵には当たらない。
判例
事案:敷地賃借権付き建物の売買における敷地の欠陥が、当該売買契約の目的物である建物の隠れた瑕疵に当たるかが問題となった。

判旨:「建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。けだし、右の場合において、建物と共に売買の目的とされたものは、建物の敷地そのものではなく、その賃借権であるところ、敷地の面積の不足、敷地に関する法的規制又は賃貸借契約における使用方法の制限等の客観的事由によって賃借権が制約を受けて売買の目的を達することができないときは、建物と共に売買の目的とされた賃借権に瑕疵があると解する余地があるとしても、賃貸人の修繕義務の履行により補完されるべき敷地の欠陥については、賃貸人に対してその修繕を請求すべきものであって、右敷地の欠陥をもって賃貸人に対する債権としての賃借権の欠陥ということはできないから、買主が、売買によって取得した賃借人たる地位に基づいて、賃貸人に対して、右修繕義務の履行を請求し、あるいは賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があるとして瑕疵担保責任を追求することは格別、売買の目的物に瑕疵があるということはできないのである。なお、右の理は、債権の売買において、債務の履行を最終的に担保する債務者の資力の欠如が債権の瑕疵に当たらず、売主が当然に債務の履行について担保責任を負担するものではないこと(民法569条参照)との対比からしても、明らかである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H28 司法 第24問 ウ)
建物とその敷地の賃借権とが売買契約の目的とされた場合には、敷地に欠陥があり、賃貸人がその欠陥について修繕義務を負担するときであっても、買主は、売主に対し、その欠陥が売買の目的物の隠れた瑕疵に該当することを理由として瑕疵担保責任を追及することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平3.4.2)は、「建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。」と判示している。したがって、建物とその敷地の賃借権とが売買契約の目的とされた場合において、敷地に欠陥があり、賃貸人がその欠陥について修繕義務を負担するときは、買主は、売主に対し、その欠陥が売買の目的物の隠れた瑕疵に該当することを理由として瑕疵担保責任を追及することはできない。

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数量指示売買において数量が多すぎた場合における代金増額請求の可否 最三小判平成13年11月27日

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概要
いわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、売主は565条の類推適用を根拠として代金の増額を請求することはできない。
判例
事案:いわゆる数量指示売買において数量が超過する場合において、565条を類推適用して売主が代金の増額を請求することができるかどうかが問題となった。

判旨:「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H18 司法 第1問 4)
数量指示売買において数量が多すぎた場合、売主は、民法の担保責任の規定の類推適用を根拠として代金増額を請求することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第26問 4)
売買の目的物である土地の実際に有する数量を確保するため、売主が一定の面積を契約において表示し、かつ、この面積を基礎として代金が定められた売買において、実際の面積が超過する場合、売主は、契約締結時にその超過の事実を知らなかったときは、買主に対する意思表示により、超過した部分の割合に応じて代金の増額を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H25 共通 第24問 ウ)
判例によれば、数量を指示してした土地の売買において数量が超過する場合には、売主は、数量が不足する場合の代金の減額に関する民法の規定の類推適用により、代金の増額を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。

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譲渡する意思のない売買契約 最一小判昭和25年10月26日

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概要
他人物売買において、その目的物の所有者が、売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、したがって売主が目的物を取得し買主に移転することができないような場合であっても、当該他人物売買契約は有効に成立する。
判例
事案:他人物売買において、その目的物の所有者が、売買成立当時から当該目的物を他に譲渡する意思がなく、したがって売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合でも、当該他人物売買契約は有効に成立するかが問題となった。

判旨:「他人の物の売買にあっては、その目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従って売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合であってもなおその売買契約は有効に成立するものといわなければならない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第27問 ア)
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合において、BC間の売買契約が成立した当時からAに甲不動産を他に譲渡する意思がなく、したがってBにおいて甲不動産を取得しCに移転することができないような場合であっても、なおその売買契約は有効に成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭25.10.26)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買にあっては、その目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従って売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合であってもなおその売買契約は有効に成立するものといわなければならない。」と判示している。

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目的物を引き渡した後の574条の適用 大判昭和2年12月27日

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概要
574条は、代金支払の場所につき別段の定めがなく、かつ、目的物の引渡しと同時に代金を支払うべき関係が存在する場合に限って適用されるから、買主が目的物の引渡しを受けた後においては、同条は適用されない。
判例
事案:売買契約において、買主が目的物の引き渡しを受けた後でも、574条が適用されるかが問題となった。

判旨:「民法第574条ハ代金支払ノ場所ニ付別段ノ定ナキ場合ノ規定ニシテ目的物ノ引渡ト同時ニ代金ヲ支払フヘキ関係カ猶現存スル場合ニ限リ其ノ適用アリ既ニ目的物ノ引渡ヲ了シタル後ニ於テハ其ノ適用ナキモノト解スルヲ正当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H26 共通 第23問 ア)
買主は、目的物の引渡しを先に受けた場合でも、目的物の引渡しを受けた場所において代金を支払わなければならない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭2.12.27)は、574条は、代金支払の場所につき別段の定めがなく、かつ、目的物の引渡しと同時に代金を支払うべき関係が存在する場合に限って適用されるから、買主が目的物の引渡しを受けた後においては、同条は適用されない旨判示している。そうすると、買主が目的物の引渡しを先に受けた場合における買主の代金支払の場所については、一般原則である484条1項が適用されることになる。
そして、同項は、「弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。」と規定しており、売買代金の支払は、同項における「その他の弁済」に当たる。したがって、買主が、目的物の引渡しを先に受けた場合には、目的物の引渡しを受けた場所ではなく、売主の現在の住所において、代金を支払わなければならない。

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代金支払後の売主の果実収受権 大判昭和7年3月3日

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概要
既に買主から代金の支払いを受けておきながら、引き渡すべき目的物を買主に引き渡さず占有している売主は、当該目的物から生じる果実を取得することはできない。
判例
事案:売主が買主から代金の支払いを受けた場合において、それ以降も売主が当該目的物から生じる果実を取得することができるかが問題となった。

判旨:「売主ヲシテ代金ノ利用ト果実ノ取得トノ二重ノ利益ヲ獲得セシムルカ如キハ其ノ法意ニ適合セサルモノト云フヘク従テ既ニ代金ノ支払ヲ受ケナカラ尚且引渡スヘキ目的物ヲ引渡サスシテ占有スル売主ハ其ノ目的物ヨリ生スル果実ヲ取得シ得サルモノト為スヲ以テ右法条ノ律意ニ副フモノト云フヘシ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H26 共通 第23問 イ)
売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、引渡しまでは、これを使用し果実を取得することができるが、買主が代金を支払った後は、果実を取得することはできない。

(正答)

(解説)
判例(大連判大13.9.24)は、売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、その引渡しをするまで当該目的物を使用し、その果実を収取することができる旨判示している。したがって、本肢前段は正しい。
そして、判例(大判昭7.3.3)は、既に買主から代金の支払いを受けておきながら、引き渡すべき目的物を買主に引き渡さず占有している売主は、当該目的物から生じる果実を取得することはできない旨判示している。したがって、本肢後段も正しい。

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目的物の引渡しを遅滞している場合における果実収取権 大連判大正13年9月24日

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概要
売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、その引渡しをするまで当該目的物を使用し、その果実を収取することができる。
判例
事案:売主が目的物の引渡しを遅滞している場合において、当該売主が当該目的物から生じる果実を収受することが認められるかどうかが問題となった。

判旨:「民法第575条第1項ニハ未タ引渡ササル売買ノ目的物カ果実ヲ生シタルトキハ其ノ果実ハ売主ニ属ストアリテ引渡ヲ為ササル事由ニ付何等ノ区別ヲ設ケサルノミナラス元来同条ハ売買ノ目的物ニ付其ノ引渡前ニ果実ヲ生シ若ハ売主カ目的物ヲ使用シタル場合ニ買主ヨリ売主ニ対シテ其ノ果実若ハ使用ノ対価ヲ請求スルコトヲ得セシムルトキハ売主ヨリ買主ニ対シテ目的物ノ管理及保存ニ要シタル費用ノ償還並代金ノ利息ヲ請求シ得ルコトトナリ相互間ニ錯雑ナル関係ヲ生スルニヨリ之ヲ避ケントスルノ趣旨ニ外ナラサルヲ以テ此ノ趣旨ヨリ推考スルモ同条ハ売買ノ目的物ノ引渡ニ付期限ノ定アリテ売主カ其ノ引渡ヲ遅滞シタルトキト雖其ノ引渡ヲ為ス迄ハ之ヲ使用シ且果実ヲ収得スルコトヲ得ヘキト同時ニ代金ノ支払ニ付期限ノ定アリテ買主カ其ノ支払ヲ遅滞シタルトキハ勿論同時履行ノ場合ニ於テ買主カ目的物ノ受領ヲ拒ミ遅滞ニ付セラレタルトキト雖目的物ノ引渡ヲ受クル迄ハ代金ノ利息ヲ支払フコトヲ要セサルモノト謂ハサルヘカラス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H21 司法 第3問 2)
売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、引渡しまで果実を収取することができる。

(正答)

(解説)
判例(大連判大13.9.24)は、売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、その引渡しをするまで当該目的物を使用し、その果実を収取することができる旨判示している。

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借主の指示する第三者に金銭を交付した場合における金銭消費貸借契約 大判昭和11年6月16日

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概要
金銭消費貸借は、貸主が借主の指示する第三者に金銭を交付することによっても成立する。
判例
事案:金銭消費貸借は、貸主が借主の指示する第三者に金銭を交付することによっても成立するかが問題となった。

判旨:「Aハ公正証書作成当時Cニ対シ金4500円ノ約束手形債務ヲ負担シ居タルトコロCヨリ其ノ支払ヲ請求セラレタルヲ以テ其ノ弁済ノ為メBヨリ金融ヲ得ント欲シBトノ間ニ昭和5年11月20日A主張ノ約旨ノ下ニ金4000円ヲ貸借スル旨ノ合意成立シタルヲ以テ公正証書ヲ作成スルト同時ニAヨリBニ委嘱シAノ交付ヲ受クヘキ金4000円ハ前記手形債務ノ弁済トシテ直接Cニ交付セシムルコトトシBハ之ニ基キ昭和6年2月3日金4000円ヲCニ交付シ茲ニBトAトノ間ニ消費貸借ノ完成シタル…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 共通 第23問 イ)
貸主が借主の指示する第三者に金銭を交付した場合であっても、金銭消費貸借は効力を生ずる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭11.6.16)は、金銭消費貸借は、貸主が借主の指示する第三者に金銭を交付することによっても成立する旨判示している。

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旧債務に付着していた同時履行の抗弁権と準消費貸借契約 大判昭和8年2月24日

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概要
準消費貸借契約(588条)において、旧債務に付着していた同時履行の抗弁権が消滅するか否かは、当事者の意思を解釈し、新旧債務の同一性を維持する意思の有無によって判断する。
判例
事案:同時履行の抗弁権が付着している債務を目的とする準消費貸借契約が締結された場合において、当該同時履行の抗弁権が消滅するか否かの判断基準が問題となった。

判旨:「売買契約ニ於ケル代金債務ヲ準消費貸借ノ目的ト為シタル場合ニ於テハ其ノ基本タル売買契約ノ不履行ヲ理由トシテ準消費貸借金ノ支払ヲ拒ムコト即チ同時履行ノ抗弁ヲ為シ得ルヤ否ヤハ当該準消費貸借カ其ノ当事者間ノ意思ニ因リ代金債務ヲ消滅セシメ新ナル貸金債務ヲ発生セシメタルモノナリヤ又ハ代金債務ハ依然トシテ存続セシメ其ノ同一性ヲ維持シツツ唯爾後ハ消費貸借ノ規定ニ従ヒテ之ヲ律セントスルモノナリヤニ依リ決セラルヘキ問題ニシテ…準消費貸借成立ノ場合ニハ基本タル売買契約ニ於ケル抗弁権ハ喪失スルモノナリト一概ニ断定シ能ハサルナリ。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第23問 1)
旧債務に付着していた同時履行の抗弁権が消滅するか否かは、準消費貸借契約を締結した当事者において、新旧債務の同一性を維持する意思があるか否かによって決定される。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.2.24)は、準消費貸借契約(588条)において、旧債務に付着していた同時履行の抗弁権が消滅するか否かは、当事者の意思を解釈し、新旧債務の同一性を維持する意思の有無によって判断する旨判示している。

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将来金員を貸与する旨の契約と準消費貸借契約 最一小判昭和40年10月7日

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概要
当事者間において将来金員を貸与する旨の契約が締結された場合には、その将来発生する貸金債務を目的として準消費貸借契約を締結することができ、その後金員が貸与され、当該貸金債務が発生した時には、当該準消費貸借契約は当然にその効力を生ずる。
判例
事案:将来発生する金銭債務を目的として準消費貸借契約が締結された場合において、当該契約が有効かどうかが問題となった。

判旨:「当事者間において将来金員を貸与することあるべき場合、これを準消費貸借の目的とすることを約しうるのであつて、その後該債務が生じたとき、その準消費貸借契約は当然に効力を発生するものと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第23問 3)
将来において発生する金銭債務を目的としても、準消費貸借契約は成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭40.10.7)は、「当事者間において将来金員を貸与することあるべき場合、これを準消費貸借の目的とすることを約しうるのであって、その後該債務が生じたとき、その準消費貸借契約は当然に効力を発生する者と解すべきである。」と判示している。

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準消費貸借契約と旧債務の不存在 最二小判昭和43年2月16日

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概要
準消費貸借契約は目的とされた旧債務が存在しない以上その効力を有しない。
判例
事案:準消費貸借契約の目的とされた旧債務が存在しない場合において、当該準消費貸借契約は有効に成立するかが問題となった。

判旨:「準消費貸借契約は目的とされた旧債務が存在しない以上その効力を有しない…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第23問 5)
準消費貸借契約は、目的とされた旧債務が存在しないときにはその効力を生じない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.2.16)は、「準消費貸借契約は目的とされた旧債務が存在しない以上その効力を有しない…。」と判示している。

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使用貸借契約と解除に必要となる相当な期間 最三小判昭和34年8月18日

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概要
適当な家屋を見付けるまでの一時的住居として使用収益することを目的として締結された建物の使用貸借契約は、適当な家屋を見付けるに必要と思われる期間を経過した場合には、たとえ現実に適当な家屋が見つかる以前でも、貸主において解約することができる。
判例
事案:適当な家屋を見付けるまでの一時的住居として使用収益することを目的として、建物の使用貸借契約が締結された場合において、適当な家屋を見付けるに必要と思われる期間を経過したときには、たとえ現実に適当な家屋が見つかる以前でも、貸主において解約することができるかが問題となった。

判旨:「本件使用貸借については、返還の時期(民法597条1項)の定めはないけれども、使用、収益の目的(同条第2項)が定められているものと解すべきである。そして、「使用、収益の目的」は、当事者の意思解釈上、適当な家屋を見付けるまでの一時的住居として使用収益するということであると認められるから、適当な家屋を見付けるに必要と思われる期間を経過した場合には、たとえ現実に見付かる以前でも民法597条2項但書により貸主において告知し得べきものと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 共通 第27問 エ)
Aを貸主、Bを借主とするA所有の甲建物の使用貸借契約が締結されている。AB間の使用貸借契約が、返還の時期は定めていないが、Bが他の適当な建物に移るまでのしばらくの間、Bが住居として使用することを目的としていた場合において、Bが現実に適当な建物を見つけることができなくても、それに必要な期間を経過したときは、Aは、使用貸借契約の解約をすることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.8.18)は、本肢と同種の事案において、「適当な家屋を見付けるに必要と思われる期間を経過した場合には、たとえ現実に見付かる以前でも民法597条2項但書により貸主において告知し得べきものと解すべきである。」と判示している。この判例の理解は、改正民法下における597条2項、598条1項の貸主の解約についても妥当すると解されている。
したがって、AB間の使用貸借契約が、返還の時期は定めていないが、Bが他の適当な建物に移るまでのしばらくの間、Bが住居として使用することを目的としていた場合において、Bが現実に適当な建物を見つけることができなくても、それに必要な期間を経過したときは、Aは、使用貸借契約の解約をすることができる。

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建物の貸借関係が使用貸借であると認められた事例 最一小判昭和41年10月27日

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概要
建物の借主がその建物等につき賦課される租税公課を負担しても、それが使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特別の事情のないかぎり、借主の貸主に対する関係を使用貸借と認めることを妨げない。
判例
事案:建物の借主がその建物等につき賦課される公租公課を負担している場合においても、建物の賃借関係を使用貸借と認めることができるかが問題となった。

判旨:「建物の借主がその建物等につき賦課される公租公課を負担しても、それが使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特別の事情のないかぎり、この負担は借主の貸主に対する関係を使用貸借と認める妨げとなるものではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H20 司法 第24問 1)
賃貸借契約は有償契約であり、賃料を伴う点で使用貸借と区別することができるから、借主が金銭を支払うことを約束して契約を締結すれば、その額の多寡にかかわらず賃貸借契約が成立する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭41.10.27)は、「建物の借主がその建物等につき賦課される公租公課を負担しても、それが使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特別の事情のないかぎり、この負担は借主の貸主に対する関係を使用貸借と認める妨げとなるものではない。」と判示している。したがって、借主が金銭を支払うことを約束して契約を締結したとしても、その額の多寡にかかわらず賃貸借契約が成立することとなるとは限らない。


全体の正答率 : 50.0%

(H26 司法 第24問 イ)
判例によれば、建物の借主がその建物に課される公租公課に相当する額を全て負担している場合には、特別の事情のない限り、当該建物の貸借関係を使用貸借と認めることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭41.10.27)は、「建物の借主がその建物等につき賦課される公租公課を負担しても、それが使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特別の事情のないかぎり、この負担は借主の貸主に対する関係を使用貸借と認める妨げとなるものではない。」と判示している。

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賃借人の登記請求権 大判大正10年7月11日

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概要
不動産の賃借人は、特約のない限り、賃貸人に対して賃貸借の登記を請求する権利を有しない。
判例
事案:不動産についての賃貸借契約が締結された場合において、その賃借人が、賃貸人に対して賃貸借の登記を請求する権利を有するかが問題となった。

判旨:「不動産ノ賃貸借ニ付キテ登記ヲ為スコトハ民法第605条ノ認許スル所ナレトモ賃借人ハ登記ニ関スル特約ヲ為サスシテ唯賃貸借契約ノミニ依リ当然登記請求権ヲ有スルヤ否ヤニ至リテハ直接ニ之ヲ規定シタル注文ナシ然レトモ不動産ノ賃貸借ト雖モ其性質ニ於テハ当事者間ニ債権関係ヲ発生スルニ止マリ唯其登記ヲ為シタル場合ニ於テ爾後其不動産ニ付キ物権ヲ取得シタルモノニ対シテモ契約上ノ効力ヲ生スルニ過キサレハ賃貸借ノ登記ナルモノハ法律カ契約本来ノ効力ニ付キ一種ノ変態的拡張ヲ認ムルノ要件ナリト謂ウヘク其要件ヲ履践スルト否トハ賃貸借本来ノ効力範囲ニ属セスシテ当事者カ任意ニ処分シ得ヘキ事項ナレハ賃借人ハ賃貸借ノ登記ヲ為スコトノ特約存セサル場合ニ於テハ特別ノ規定ナキ限リ賃貸人ニ対シテ賃貸借ノ本登記請求権ハ勿論其仮登記ヲ為ス権利ヲモ有セサルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R2 予備 第3問 エ)
Aは、Bが所有する甲建物を賃借してその引渡しを受けた。この場合、Aは、Bに対し、当然に賃借権の設定登記を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大10.7.11)は、不動産の賃借人は、特約のない限り、賃貸人に対して賃貸借の登記を請求する権利を有しない旨判示している。したがって、Aが、Bの所有する甲建物を賃借してその引渡しを受けた場合において、Aは、Bに対し、当然には賃借権の設定登記を請求することができない。

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土地賃借人の建物の転貸 大判昭和8年12月11日

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概要
土地賃借人が土地上に建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容することは、土地の転貸借に当たらない。
判例
事案:土地賃借人が土地上に建物を建築した場合において、その後当該賃借人が当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容することが、土地の転貸借に当たるかが問題となった。

判旨:「轉貸ハ賃借人カ賃借物ヲ第三者ニ賃貸スル關係ヲ指稱スルモノナルヲ以テ土地ノ賃借人カ其ノ地上ニ建設シタル建物ヲ賃貸シ其ノ敷地トシテ土地ノ利用ヲ許容スル場合ノ如キハ之ヲ土地ノ轉貸借ト目スヘキモノニ非サル…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(H20 司法 第24問 3)
建物所有を目的とする土地の賃借人が、当該土地上に建物を建築した後、賃貸人の承諾を得ずに建物を第三者に賃貸し、第三者が実際に建物の使用を開始した場合には、土地の賃貸人は、土地の賃借人に対し、土地の無断転貸を理由として土地の賃貸借契約を解除することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.12.11)は、土地賃借人が土地上に建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容することは、土地の転貸借に当たらない旨判示している。したがって、建物所有を目的とする土地の賃借人が、当該土地上に建物を建築した後、賃貸人の承諾を得ずに建物を第三者に賃貸し、第三者が実際に建物の使用を開始したとしても、土地の転貸借には当たらない。よって、土地の賃貸人は、土地の賃借人に対し、土地の無断転貸(612条1項)を理由として土地の賃貸借契約を解除すること(同条2項)ができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第24問 ア)
Aが所有する土地をAから建物所有目的で賃借したBが、同土地上に自ら建築して所有する建物をCに賃貸して引き渡した。BがCに対し建物を賃貸することをAが承諾していない場合において、Aは、この建物賃貸がBのAに対する背信行為でないと認められる特別の事情のあるときを除き、Cに対し建物の明渡しを請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.12.11)は、土地賃借人が土地上に建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容することは、土地の転貸借に当たらない旨判示している。したがって、Aが所有する土地をAから建物所有目的で賃借したBが、同土地上に自ら建築して所有する建物をCに賃貸して引き渡しているものの、これは土地の転貸借には当たらない。よって、そもそも612条1項、2項が適用される余地はないため、BがCに対し建物を賃貸することをAが承諾しているか否か、この建物賃貸がBのAに対する背信行為でないと認められる特別の事情があるか否かにかかわらず、Aは、Cに対し建物の明け渡しを請求することができない。


全体の正答率 : 100.0%

(H24 共通 第26問 エ)
建物所有を目的とする土地賃貸借の賃借人が、当該土地上に建物を建築し、土地の賃貸人の承諾なくして当該建物を第三者に賃貸し、使用収益させることは、土地の無断転貸に該当する。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.12.11)は、土地賃借人が土地上に建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容することは、土地の転貸借に当たらない旨判示している。したがって、建物所有を目的とする土地賃貸借の賃借人が、当該土地上に建物を建築し、土地の賃貸人の承諾なくして当該建物を第三者に賃貸し、使用収益させることは、土地の無断転貸(612条1項)に該当しない。

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建物の売主と敷地の賃借権譲渡の承諾を取得する義務 最一小判昭和47年3月9日

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概要
賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、売主は、買主に対し、その建物の敷地の賃借権をも譲渡したものであり、それに伴い、その賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負う。
判例
事案:賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合において、売主は、買主に対し、当該建物の敷地の賃借権を譲渡したこととなり、当該敷地の賃貸人から賃借権の譲渡につき承諾を得る義務を負うのかが問題となった。

判旨:「賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、その売主は買主に対し建物の所有権とともにその敷地の賃借権をも譲渡したものと解すべきであり、そして、それに伴い、右のような特約または慣行がなくても、特別の事情のないかぎり、建物の売主は買主に対しその敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである。けだし、建物の所有権は、その敷地の利用権を伴わなければ、その効力を全うすることができないものであるから、賃借地上にある建物の所有権が譲渡された場合には、特別の事情のないかぎり、それと同時にその敷地の賃借権も譲渡されたものと推定するのが相当であるし、また、賃借権の譲渡は賃貸人の承諾を得なければ賃貸人に対抗することができないのが原則であるから、建物の所有権とともにその敷地の賃借権を譲渡する契約を締結した者が右賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得ることは、その者の右譲渡契約にもとづく当然の義務であると解するのが合理的であるからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H26 共通 第23問 オ)
賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合、売主は、その建物の敷地を目的とする賃借権の譲渡につき賃貸人の承諾を得て、敷地の賃借権を買主に移転する義務を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.3.9)は、「賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、その売主は買主に対し建物の所有権とともにその敷地の賃借権をも譲渡したものと解すべきであり、そして、それに伴い、…特約または慣行がなくても、特別の事情のないかぎり、建物の売主は買主に対しその敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである。」と判示している。

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裁判上の和解と信頼関係破壊 最二小判昭和51年12月17日

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概要
家屋の賃借人が賃料の支払を1か月分でも怠ったときは、賃貸借契約は当然解除となり、賃借人は賃貸人に対し直ちに右家屋を明け渡す旨を定めた訴訟上の和解条項が存在する場合において、賃借人が賃料の支払いを怠ったとしても、賃貸借契約当事者間の信頼関係が賃借人の賃料の支払遅滞を理由に解除の意思表示を要することなく契約が当然に解除されたものとみなすのを相当とする程度にまで破壊されたとはいえず、したがって、契約の当然解除の効力を認めることが合理的とはいえないような特別の事情がある場合は、当該賃料の支払遅滞による契約の当然解除の効力を認めることはできない。
判例
事案:家屋の賃借人が賃料の支払を1か月分でも怠ったときは、賃貸借契約は当然解除となり、賃借人は賃貸人に対し直ちに右家屋を明け渡す旨を定めた訴訟上の和解条項が存在する場合において、賃借人が賃料の支払いを怠ったときには、例外なく、当該賃料の支払い遅滞による契約の当然解除の効力を認めることができるかが問題となった。

判旨:「賃貸借契約については、それが当事者間の信頼関係を基礎とする継続的債権関係であることにともなう別個の配慮を要するものがあると考えられる。すなわち、家屋の賃借人が賃料の支払を1か月分でも怠つたときは、賃貸借契約は当然解除となり、賃借人は賃貸人に対し直ちに右家屋を明け渡す旨を定めた訴訟上の和解条項は、和解成立に至るまでの経緯を考慮にいれても、いまだ右信頼関係が賃借人の賃料の支払遅滞を理由に解除の意思表示を要することなく契約が当然に解除されたものとみなすのを相当とする程度にまで破壊されたとはいえず、したがつて、契約の当然解除の効力を認めることが合理的とはいえないような特別の事情がある場合についてまで、右賃料の支払遅滞による契約の当然解除の効力を認めた趣旨の合意ではないと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第27問 オ)
Aは、自己の所有する建物をBに賃貸したが、Bが賃料の支払を遅滞したため、Bに対して賃料の支払を請求し、AB間で、Bが以後賃料の支払を1か月分でも怠ったときには賃貸借契約は当然解除となる旨の和解契約が成立した。この場合、その後に賃料の不払があったときは、Bは、信頼関係の不破壊を主張して解除の効力を争うことができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.12.17)は、本肢と同種の事案において、「家屋の賃借人が賃料の支払を1か月分でも怠つたときは、賃貸借契約は当然解除となり、賃借人は賃貸人に対し直ちに右家屋を明け渡す旨を定めた訴訟上の和解条項は、和解成立に至るまでの経緯を考慮にいれても、いまだ右信頼関係が賃借人の賃料の支払遅滞を理由に解除の意思表示を要することなく契約が当然に解除されたものとみなすのを相当とする程度にまで破壊されたとはいえず、したがつて、契約の当然解除の効力を認めることが合理的とはいえないような特別の事情がある場合についてまで、右賃料の支払遅滞による契約の当然解除の効力を認めた趣旨の合意ではないと解するのが相当である。」と判示している。したがって、AB間で、Bが以後賃料の支払を1か月分でも怠ったときには賃貸借契約は当然解除となる旨の和解契約が成立した場合において、その後に賃料の不払があったとき、Bは、信頼関係の不破壊を主張して解除の効力を争うことができる。

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賃借物の第三者使用と契約の解除 最二小判昭和28年9月25日

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概要
賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に目的物を使用収益させた場合であっても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、612条2項の解除権は発生しない。
判例
事案:賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用収益させた場合において、賃貸人は、例外なく612条2項により賃貸借契約を解除しうるかが問題となった。

判旨:「元来民法612条は、賃貸借が当事者の個人的信頼を基礎とする継続的法律関係であることにかんがみ、賃借人は賃貸人の承諾がなければ第三者に賃借権を譲渡し又は転貸することを得ないものとすると同時に、賃借人がもし賃貸人の承諾なくして第三者をして賃借物の使用収益を為さしめたときは、賃貸借関係を継続するに堪えない背信的所為があつたものとして、賃貸人において一方的に賃貸借関係を終止せしめ得ることを規定したものと解すべきである。したがつて、賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用収益を為さしめた場合においても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、同条の解除権は発生しないものと解するを相当とする。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H30 司法 第25問 オ)
Aは、Bに対し、Aの所有する甲建物を賃料月額10万円で賃貸し、甲建物をBに引き渡した。その後、Bは、Cに対し、甲建物を賃料月額12万円で賃貸し、甲建物をCに引き渡した。AがBC間の賃貸借を承諾していなかった場合、Aは、当然にAB間の賃貸借を解除することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭28.9.25)は、「賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用収益を為さしめた場合においても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、同条の解除権は発生しないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、AがBC間の賃貸借を承諾していなかった場合においても、Aは、BのCに対する甲建物の転貸がAに対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、AB間の賃貸借を解除することができないのであるから、Aは、当然にはAB間の賃貸借を解除することができない。

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第三者から明渡しを求められた賃借人の賃料支払拒絶権 最二小判昭和50年4月25日

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概要
所有権ないし賃貸権限を有しない者から不動産を貸借した賃借人は、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡しを請求することができる第三者からその明渡しを求められた場合には、559条で準用する576条が適用され、それ以後、賃貸人に対する賃料の支払を拒絶することができる。
判例
事案:所有権ないし賃貸権限を有しない者から不動産を貸借した賃借人が、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡しを請求することができる第三者からその明渡しを求められた場合において、それ以降、賃貸人に対する賃料の支払を拒絶することができるかが問題となった。

判旨:「所有権ないし賃貸権限を有しない者から不動産を貸借した者は、その不動産につき権利を有する者から右権利を主張され不動産の明渡を求められた場合には、貸借不動産を使用収益する権原を主張することができなくなるおそれが生じたものとして、民法559条で準用する同法576条により、右明渡請求を受けた以後は、賃貸人に対する賃料の支払を拒絶することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H28 共通 第22問 ウ)
判例によれば、AがB所有の甲建物を賃貸権限を有しないCから賃借している場合において、BがAに甲建物の明渡しを求めたときは、Aは、甲建物を使用収益することができなくなるおそれが生じたものとして、Cに対し、それ以降の賃料の支払を拒絶することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.4.25)は、「所有権ないし賃貸権限を有しない者から不動産を貸借した者は、その不動産につき権利を有する者から右権利を主張され不動産の明渡を求められた場合には、貸借不動産を使用収益する権原を主張することができなくなるおそれが生じたものとして、民法559条で準用する同法576条により、右明渡請求を受けた以後は、賃貸人に対する賃料の支払を拒絶することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、AがB所有の甲建物を賃貸権限を有しないCから賃借している場合において、BがAに甲建物の明渡しを求めたときは、Aは、甲建物を使用収益することができなくなるおそれが生じたものとして、Cに対し、それ以降の賃料の支払を拒絶することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H30 予備 第11問 ア)
所有者の承諾を得ずにされた他人物賃貸借の賃借人は、後日、所有者からその明渡しの請求を受けたときは、それ以後、賃貸人に対して賃料の支払を拒むことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.4.25)は、「所有権ないし賃貸権限を有しない者から不動産を貸借した者は、その不動産につき権利を有する者から右権利を主張され不動産の明渡を求められた場合には、貸借不動産を使用収益する権原を主張することができなくなるおそれが生じたものとして、民法559条で準用する同法576条により、右明渡請求を受けた以後は、賃貸人に対する賃料の支払を拒絶することができるものと解するのが相当である。」と判示している。

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対抗力のある賃借権が設定された不動産の譲渡がされた場合における賃借人に対する承継の通知 最一小判昭和33年9月18日

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概要
対抗力のある賃貸借が設定された賃貸建物が譲渡された場合、譲受人は建物の所有権取得と同時に当然賃貸借を承継し、賃借人に対して承継の通知をする必要はない。
判例
事案:対抗力のある賃貸借が設定された賃貸建物が譲渡された場合において、譲受人が当該賃貸借を承継するためには、賃借人に対して承継の通知をしなければならないかが問題となった。 

判旨:「建物の所有権取得と同時に当然賃貸借を承継するものであって、その承継の通知を要しない…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 予備 第11問 ウ)
対抗力のある賃借権が設定された不動産の譲渡がされた場合において、新所有者が旧所有者の賃貸人としての地位を承継するには、賃借人に対して承継の通知をしなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.9.18)は、対抗力のある賃貸借が設定された賃貸建物が譲渡された場合、譲受人は建物の所有権取得と同時に当然賃貸借を承継し、賃借人に対して承継の通知をする必要はない旨判示している。したがって、対抗力のある賃借権が設定された不動産の譲渡がされた場合において、新所有者が旧所有者の賃貸人としての地位を承継するには、賃借人に対して承継の通知をする必要はない。

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債務不履行による賃貸借の解除と賃貸人の承諾のある転貸借 最三小判平成9年2月25日

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概要
賃貸借が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する。
判例
事案:原賃貸人が賃借人の債務不履行を理由として原賃貸借契約を解除した場合において、原賃貸人の承諾のある転貸借契約が、いつの時点で終了するのかが問題となった。

判旨:「賃貸人の承諾のある転貸借においては、転借人が目的物の使用収益につき賃貸人に対抗し得る権原(転借権)を有することが重要であり、転貸人が、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除され、転借人が転借権を賃貸人に対抗し得ない事態を招くことは、転借人に対して目的物を使用収益させる債務の履行を怠るものにほかならない。そして、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合において、賃貸人が転借人に対して直接目的物の返還を請求したときは、転借人は賃貸人に対し、目的物の返還義務を負うとともに、遅くとも右返還請求を受けた時点から返還義務を履行するまでの間の目的物の使用収益について、不法行為による損害賠償義務又は不当利得返還義務を免れないこととなる。他方、賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上、転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして、転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復することは、もはや期待し得ないものというほかはなく、転貸人の転借人に対する債務は、社会通念及び取引観念に照らして履行不能というべきである。したがって、賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H24 共通 第26問 イ)
建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て当該建物を転貸した場合において、原賃貸借が賃借人(転貸人)の賃料不払を理由とする解除により終了したときは、転貸借は、原賃貸借の賃貸人が転借人に対して当該建物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.2.25)は、「賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 共通 第16問 エ)
AがBに建物を賃貸し、BがAの承諾を得てCに同建物を転貸した場合において、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由とする解除により終了したときは、AがCに建物の返還を請求しても、Aが転貸借を承諾していた以上、BC間の転貸借契約におけるBのCに対する債務は履行不能とはならない。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.2.25)は、「賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である。」と判示している。したがって、AがBに建物を賃貸し、BがAの承諾を得てCに同建物を転貸した場合において、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由とする解除により終了したときは、AがCに建物の返還を請求した時点で、BC間の転貸借契約におけるBのCに対する債務は履行不能となる。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第27問 ウ)
賃貸人の承諾を得て建物の転貸借がされた場合において、賃貸借契約が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了したときは、転貸借契約は、原則として賃貸人が転借人に対して建物の明渡しを請求した時に終了する。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.2.25)は、「賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である。」と判示している。

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転借権の対抗 大判昭和10年9月30日

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概要
原賃貸借契約が期間満了により終了した場合、転借人は、原賃貸人に対して、転借権を対抗することができない。
判例
事案:原賃貸借契約が期間満了により終了した場合において、転借人は、原賃貸人に対して、転借権を対抗することができるかが問題となった。

判旨:「賃借人カ賃借物ヲ第三者ニ転貸シタル場合ニ於テ賃貸人カ其ノ転貸借ヲ承諾セサルトキハ之ヲ以テ賃貸人ニ対抗スルコトヲ得サルニ過キスシテ其ノ転貸借ハ無効トナルモノニ非ス従テ賃貸人ノ承諾ニ因リ適法ニ転貸借カ行ハレタル後ニ於テ転貸借ノ終了スルニ先チ賃貸借カ賃貸人ト賃借人トノ合意ニ因リ解除セラレ若ハ賃貸借カ期間満了ニ因リ終了シタルトキハ爾後転貸借ハ当然其ノ効力ヲ失フニ非スシテ之ヲ賃貸人ニ対抗スルコトヲ得サルニ過キサルモノトス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R5 司法 第27問 オ)
Bが、Aの承諾を得て甲をCに転貸していた場合において、AB間の賃貸借の期間が満了し、その賃貸借が更新されなかったときは、Aは、Cに対して、所有権に基づいて甲の引渡しを請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭10.9.30)は、原賃貸借契約が期間満了により終了した場合、転借人は、原賃貸人に対して、転借権を対抗することができない旨判示している。Bが、Aの承諾を得て甲をCに転貸していた場合において、AB間の賃貸借の期間が満了し、その賃貸借が更新されなかったときは、Cは、Aに対して、転借権を対抗することができないから、Aは、Cに対して、所有権に基づいて甲の引渡しを請求することができる。

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土地の賃貸借契約の合意解除と建物の賃借人 最一小判昭和38年2月21日

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概要
土地賃貸人から土地を賃借している借地人が、当該土地上に建物を建ててこれを第三者に賃貸している場合において、土地賃貸人と賃借人との間で土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できない。
判例
事案:土地賃貸人から土地を賃借している借地人が、当該土地上に建物を建ててこれを第三者に賃貸している場合において、土地賃貸借が合意解除されたとき、土地賃貸人は、当該解除を当該土地上の建物の賃借人に対抗できるかが問題となった。

判旨:「本件借地契約は、右の如く、調停により地主たるAと借地人たるBとの合意によつて解除され、消滅に至つたものではあるが、原判決によれば、前叙の如く、Bは、右借地の上に建物を所有しており、昭和30年3月からは、Cがこれを賃借して同建物に居住し、家具製造業を営んで今日に至つているというのであるから、かかる場合においては、たとえAとBとの間で、右借地契約を合意解除し、これを消滅せしめても、特段の事情がない限りは、Aは、右合意解除の効果を、Cに対抗し得ないものと解するのが相当である。なぜなら、AとCとの間には直接に契約上の法律関係がないにもせよ、建物所有を目的とする土地の賃貸借においては、土地賃貸人は、土地賃借人が、その借地上に建物を建築所有して自らこれに居住することばかりでなく、反対の特約がないかぎりは、他にこれを賃貸し、建物賃借人をしてその敷地を占有使用せしめることをも当然に予想し、かつ認容しているものとみるべきであるから、建物賃借人は、当該建物の使用に必要な範囲において、その敷地の使用收益をなす権利を有するとともに、この権利を土地賃貸人に対し主張し得るものというべく、右権利は土地賃借人がその有する借地権を抛棄することによつて勝手に消滅せしめ得ないものと解するのを相当とするところ、土地賃貸人とその賃借人との合意をもつて賃貸借契約を解除した本件のような場合には賃借人において自らその借地権を抛棄したことになるのであるから、これをもつて第三者たるCに対抗し得ないものと解すべきであり、このことは民法398条、538条の法理からも推論することができるし、信義誠実の原則に照しても当然のことだからである。(昭和9年3月7日大審院判決、民集13巻278頁、昭和37年2月1日当裁判所第一小法廷判決、最高裁判所民事裁判集58巻441頁各参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第24問 イ)
Aが所有する土地をAから建物所有目的で賃借したBが、同土地上に自ら建築して所有する建物をCに賃貸して引き渡した。AとBが土地の賃貸借を解除する旨の合意をした場合において、Aは、特別の事情のない限り、Cに対し土地の賃貸借の終了を主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭38.2.21)は、本肢と同種の事案において、土地賃貸人から土地を賃借している借地人が、当該土地上に建物を建ててこれを第三者に賃貸している場合において、土地賃貸人と賃借人との間で土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できない旨判示している。したがって、AとBが土地の賃貸借を解除する旨の合意をした場合において、Aは、特別の事情のない限り、Cに対し土地の賃貸借の終了を主張することができない。

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賃貸借契約の解除と賃借人に対する催告の要否 最三小判昭和51年12月14日

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概要
賃貸人が賃料延滞を理由として土地賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、地上建物の借家人に対して延滞賃料の支払の機会を与える必要はない。
判例
事案:賃貸人が賃料延滞を理由として土地賃貸借契約を解除する場合において、地上建物の借家人に対して延滞賃料の支払の機会を与える必要があるかが問題となった。

判旨:「賃貸人が賃料延滞を理由として土地賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、地上建物の借家人に対して右延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第24問 ウ)
Aが所有する土地をAから建物所有目的で賃借したBは、同土地上に自ら建築して所有する建物をCに賃貸して引き渡した。AがBの賃料不払を理由に土地の賃貸借を解除した場合において、Cは、Aが土地の賃料の支払をCに対し催告しなかったことを理由に、土地の賃貸借の終了を否定することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭51.12.14)は、本肢と同種の事案において、「賃貸人が賃料延滞を理由として土地賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、地上建物の借家人に対して右延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではない。」と判示している。したがって、AがBの賃料不払を理由に土地の賃貸借を解除した場合において、Cは、Aが土地の賃料の支払をCに対し催告しなかったことを理由に、土地の賃貸借の終了を否定することができない。

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賃貸建物の所有権移転と敷金の承継 最一小判昭和44年7月17日

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概要
建物賃貸借契約において建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継される。
判例
事案:建物賃貸借契約において建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合において、旧賃貸人に差し入れられた敷金の帰趨が問題となった。

判旨:「敷金は、賃貸借契約終了の際に賃借人の賃料債務不履行があるときは、その弁済として当然これに充当される性質のものであるから、建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H20 司法 第25問 1)
建物賃貸借契約において、当該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があった場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.7.17)は、「建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H22 司法 第23問 イ)
判例によれば、賃貸借の目的物が譲渡され、その譲受人が賃貸人たる地位を承継した場合において、その承継前に、賃借人が従前の賃貸人に対して賃貸借契約上の未履行の債務を負担していたときには、敷金は従前の賃貸人に対する上記債務の弁済に充当され、残額があれば、その返還債務が譲受人に承継される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.7.17)は、「建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H26 司法 第26問 1)
建物の賃貸借契約において、目的建物の譲受人が賃貸人たる地位を承継した場合、敷金は譲渡人に対する賃貸借契約上の債務があればこれに充当された上で譲受人に承継されるため、賃借人は、賃貸借契約が終了し目的建物を明け渡したときは、譲受人に対し、敷金の返還を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.7.17)は、「建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである。」と判示している。したがって、建物の賃貸借契約において、目的建物の譲受人が賃貸人たる地位を承継した場合、敷金は譲渡人に対する賃貸借契約上の債務があればこれに充当された上で譲受人に承継されるため、賃借人は、賃貸借契約が終了し目的建物を明け渡したときは、譲受人に対し、敷金の返還を請求することができる。


全体の正答率 : 100.0%

(H28 司法 第25問 オ)
建物賃貸借契約において、当該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位の承継があった場合は、承継の時点で旧賃貸人に対する未払の賃料債務があっても、旧賃貸人に差し入れられた敷金全額についての権利義務関係が新賃貸人に承継される。

(正答)

(解説)
解説(最判昭44.7.17)は、「建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第26問 オ)
AはBからその所有する甲建物を賃借してBに敷金を交付した。BがCに甲建物を譲渡し、Cが賃貸人たる地位を承継した場合において、AがBに対して賃貸借契約上の未履行の債務を負担していたときは、敷金はその債務の弁済に充当され、残額があれば、その返還に係る債務がCに承継される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.7.17)は、「建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである。」と判示している。したがって、BがCに甲建物を譲渡し、Cが賃貸人たる地位を承継した場合において、AがBに対して賃貸借契約上の未履行の債務を負担していたときは、敷金はその債務の弁済に充当され、残額があれば、その返還に係る債務がCに承継される。

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土地賃借権の移転と敷金の承継 最二小判昭和53年12月22日

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概要
土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場合であっても、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、敷金交付者において賃貸人との間で敷金をもって新賃借人の債務の担保とすることを約し又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、新賃借人に承継されない。
判例
事案:土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場合において、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係が新賃借人に承継されるかどうかが問題となった。

判旨:「土地賃貸借における敷金契約は、賃借人又は第三者が賃貸人に交付した敷金をもつて、賃料債務、賃貸借終了後土地明渡義務履行までに生ずる賃料額相当の損害金債務、その他賃貸借契約により賃借人が賃貸人に対して負担することとなる一切の債務を担保することを目的とするものであつて、賃貸借に従たる契約ではあるが、賃貸借とは別個の契約である。そして、賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転され賃貸人がこれを承諾したことにより旧賃借人が賃貸借関係から離脱した場合においては、敷金交付者が、賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務不履行の担保とすることを約し、又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、右敷金をもつて将来新賃借人が新たに負担することとなる債務についてまでこれを担保しなければならないものと解することは、敷金交付者にその予期に反して不利益を被らせる結果となつて相当でなく、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は新賃借人に承継されるものではないと解すべきである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H20 司法 第25問 3)
土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場合であっても、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、敷金交付者において賃貸人との間で敷金をもって新賃借人の債務の担保とすることを約し又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、新賃借人に承継されない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.12.22)は、「賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転され賃貸人がこれを承諾したことにより旧賃借人が賃貸借関係から離脱した場合においては、敷金交付者が、賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務不履行の担保とすることを約し、又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、右敷金をもつて将来新賃借人が新たに負担することとなる債務についてまでこれを担保しなければならないものと解することは、敷金交付者にその予期に反して不利益を被らせる結果となつて相当でなく、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は新賃借人に承継されるものではないと解すべきである。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H26 司法 第26問 2)
土地の賃貸借契約において、目的土地上の建物の所有権が土地賃借権とともに譲渡され、その土地賃借権の譲渡について賃貸人の承諾がある場合、敷金についての権利関係も土地賃借権とともに移転するため、土地賃借権の譲受人は、契約が終了し目的土地を明け渡したときは、賃貸人に対し、譲渡人が差し入れていた敷金の返還を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.12.22)は、「賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転され賃貸人がこれを承諾したことにより旧賃借人が賃貸借関係から離脱した場合においては、敷金交付者が、賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務不履行の担保とすることを約し、又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、右敷金をもつて将来新賃借人が新たに負担することとなる債務についてまでこれを担保しなければならないものと解することは、敷金交付者にその予期に反して不利益を被らせる結果となつて相当でなく、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は新賃借人に承継されるものではないと解すべきである。」と判示している。したがって、土地の賃貸借契約において、目的土地上の建物の所有権が土地賃借権とともに譲渡され、その土地賃借権の譲渡について賃貸人の承諾がある場合であっても、上記特段の事情のない限り、敷金についての権利関係は土地賃借権とともに移転しないため、土地賃借権の譲受人は、契約が終了し目的土地を明け渡したときは、賃貸人に対し、譲渡人が差し入れていた敷金の返還を請求することができない。

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残っている賃料債務と敷金の充当 最一小判平成14年3月28日

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概要
敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する。
判例
事案:敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたとき、賃料債権が敷金の充当によりその限度で消滅するかが問題となった。

判旨:「賃貸借契約における敷金契約は、授受された敷金をもって、賃料債権、賃貸借終了後の目的物の明渡しまでに生ずる賃料相当の損害金債権、その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することとなるべき一切の債権を担保することを目的とする賃貸借契約に付随する契約であり、敷金を交付した者の有する敷金返還請求権は、目的物の返還時において、上記の被担保債権を控除し、なお残額があることを条件として、残額につき発生することになる(最高裁昭和46年(オ)第357号同48年2月2日第二小法廷判決・民集27巻1号80頁参照)。これを賃料債権等の面からみれば、目的物の返還時に残存する賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当により当然に消滅することになる。このような敷金の充当による未払賃料等の消滅は、敷金契約から発生する効果であって、相殺のように当事者の意思表示を必要とするものではないから、民法511条によって上記当然消滅の効果が妨げられないことは明らかである。
 また、抵当権者は、物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前は、原則として抵当不動産の用益関係に介入できないのであるから、抵当不動産の所有者等は、賃貸借契約に付随する契約として敷金契約を締結するか否かを自由に決定することができる。したがって、敷金契約が締結された場合は、賃料債権は敷金の充当を予定した債権になり、このことを抵当権者に主張することができるというべきである。
 以上によれば、敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 66.6%

(H19 司法 第14問 5)
抵当権者が、物上代位権を行使して、抵当不動産の賃貸借契約に基づく未払の賃料債権の全額を差し押えた場合、当該不動産の賃借人と賃貸人の間で敷金が授受されていて、かつ、賃貸借契約が終了し、賃借人が不動産を明け渡したとしても、敷金は未払の賃料に充当されない。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.28)は、「敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する…。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H26 司法 第26問 3)
建物の賃貸借契約において、契約が終了し目的建物が明け渡された後に敷金の返還請求がされた場合、賃料の未払があるときは、敷金が当然に充当されるため、賃貸人が賃借人に相殺の意思表示をする必要はない。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.28)は、「敷金の充当による未払賃料等の消滅は、敷金契約から発生する効果であって、相殺のように当事者の意思表示を必要とするものではない…。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H20 司法 第25問 4)
敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたとしても、それまでに生じた賃料債権が、敷金の充当によって消滅することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.28)は、「敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する…。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(H29 司法 第12問 オ)
抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした場合には、その後に賃貸借契約が終了し、抵当不動産が明け渡されたとしても、抵当不動産の賃借人は、抵当権者に対し、敷金の充当によって当該賃料債権が消滅したことを主張することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.28)は、「敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する…。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R3 共通 第11問 イ)
AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され、その登記がされている。AのBに対する賃料債権についてCが物上代位権を行使して差押えをした場合において、BがCに賃料を支払わないままAB間の賃貸借契約が終了し、Bが甲建物をAに明け渡した。この場合において、BがAにあらかじめ敷金を預託していたときは、Cが差し押さえた賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する。

(正答)

(解説)
判例(最判平14.3.28)は、本肢と同種の事案において、「敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する…。」と判示している。したがって、本肢においても、BがAにあらかじめ敷金を預託していたときは、Cが差し押さえた賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する。

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借地上の建物に譲渡担保権が設定されている場合における土地賃貸借契約の解除 最一小判平成9年7月17日

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概要
借地上の建物につき借地人から譲渡担保権の設定を受けた者が、建物の引渡しを受けて使用又は収益をする場合には、いまだ譲渡担保権が実行されておらず、譲渡担保権設定者による受戻権の行使が可能であるとしても、借地について612条1項にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解するのが相当であり、他に信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情がない限り同条2項により賃貸借契約の解除ができる。
判例
事案:借地上の建物につき借地人から譲渡担保権の設定を受けた者が、建物の引渡しを受けて使用又は収益をする場合において、借地の貸主が借地の賃貸借契約を612条2項に基づいて解除することができるか問題となった。

判旨:「地上建物につき譲渡担保権が設定された場合であっても、譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用又は収益をするときは、いまだ譲渡担保権が実行されておらず、譲渡担保権設定者による受戻権の行使が可能であるとしても、建物の敷地について民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解するのが相当であり、他に賃貸人に対する信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情のない限り、賃貸人は同条2項により土地賃貸借契約を解除することができるものというべきである。けだし、(1)民法612条は、賃貸借契約における当事者間の信頼関係を重視して、賃借人が第三者に賃借物の使用又は収益をさせるためには賃貸人の承諾を要するものとしているのであって、賃借人が賃借物を無断で第三者に現実に使用又は収益させることが、正に契約当事者間の信頼関係を破壊する行為となるものと解するのが相当であり、(2)譲渡担保権設定者が従前どおり建物を使用している場合には、賃借物たる敷地の現実の使用方法、占有状態に変更はないから、当事者間の信頼関係が破壊されるということはできないが、(3)譲渡担保権者が建物の使用収益をする場合には、敷地の使用主体が替わることによって、その使用方法、占有状態に変更を来し、当事者間の信頼関係が破壊されるものといわざるを得ないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H21 司法 第16問 オ)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。目的不動産が、Aが第三者から賃借する土地上の建物であり、Bが当該建物の引渡しを受けて現実に使用収益をする場合であっても、いまだ譲渡担保権が実行されておらず、Aによる受戻権の行使が可能な状態にあれば、敷地について賃借権の譲渡又は転貸は生じていないから、土地賃貸人は、賃借権の無断譲渡又は無断転貸を理由として土地賃貸借契約の解除をすることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.7.17)は、本肢と同種の事案において、「地上建物につき譲渡担保権が設定された場合であっても、譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用又は収益をするときは、いまだ譲渡担保権が実行されておらず、譲渡担保権設定者による受戻権の行使が可能であるとしても、建物の敷地について民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解するのが相当であり、他に賃貸人に対する信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情のない限り、賃貸人は同条2項により土地賃貸借契約を解除することができるものというべきである。」と判示している。したがって、Aの債権者であるBのために設定された譲渡担保権の目的不動産が、Aが第三者から賃借する土地上の建物であり、Bが当該建物の引渡しを受けて現実に使用収益をする場合は、いまだ譲渡担保権が実行されておらず、Aによる受戻権の行使が可能な状態にあるとしても、敷地について賃借権の譲渡又は転貸が生じているといえるから、他に賃貸人に対する信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情のない限り、土地賃貸人は、賃借権の無断譲渡又は無断転貸を理由として土地賃貸借契約の解除をすることができる。

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転借人の失火によって当該建物が焼失した場合における転貸人の責任 大判昭和4年6月19日

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概要
転貸借について原賃貸人が承諾をした場合においても、転借人の故意又は過失で建物に損害が発生したときは、転貸人は原賃貸人に対して責任を負う
判例
事案:転貸借について原賃貸人が承諾をした場合において、転借人の故意又は過失で建物に損害が発生したとき、転貸人が原賃貸人に対して責任を負うか問題となった。

判旨:「転貸借契約ソノモノノ当然有効ナルハ猶他人ノ物ノ売買契約ソノモノノ有効ナルト撰フトコロナシト雖転貸借契約ノ履行トシテ賃借人即転貸人カ転借人ヲシテ現実ニ物ヲ使用セシムルコトハ賃貸人ノ承諾無キ限リ濫ニ之ヲ為スヲ得ス何者凡ソ賃貸借ナルモノハ賃借人ソノ人ニ対スル信用ニ基キテ成立スルモノナルカ故ニ賃借人ニ於テ擅ニ他人ヲシテ賃借物ヲ使用セシムルコトハ此ノ契約ノ本質上之ヲ認ム可カラサルヲ以テナリ故ニ此ノ承諾ナルモノハ申込ニ対スル承諾トハ全然其ノ趣ヲ異ニシ一ノ許諾即許可ノ義ニ外ナラス之レアレハ即賃借人カ他人ヲシテ目的物ヲ使用セシムルコトカ適法ト為リ賃貸人ニ於テハ又民法第612条ノ解除権ヲ有セサルニ至ルニ過キス之ニ依リテ以テ賃貸人ト転借人トノ間ニ何等ノ賃借関係モ成立スルニ非ス(唯法律上或種ノ請求権即例ヘハ賃貸借終了ノ場合ニ於ケル返還請求権カ直接ニ発生スルニ止ル)又右ノ承諾ニ依リ賃貸人ト賃借人間ノ契約関係ニモ毫末ノ影響ヲ及ホスコト無ク賃貸借ハ依然トシテ存続スルヲ以テ従テ又賃借人ニ於テ善良ナル管理者ノ注意ヲ用ヰテ目的物ヲ保管スヘキ義務ノ如キモ亦何等渝ルトコロアルヲ見ス則チ爾リト雖現実ニ物ヲ使用シツツアル者ハ転借人ソノ人ナルヲ以テ其ノ故意若ハ過失ニ依リ物ヲ滅失毀損シタルトキハ縦令転貸借ニ付賃貸人ノ承諾アリ又転貸人ソノ人ニ於テ何等責ムヘキ事情無キ場合ト雖転貸人トシテ其ノ責ニ任セサルヲ得ス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H23 司法 第17問 2)
建物の転貸借において、転借人の失火によって当該建物が焼失した場合、転貸借について賃貸人の承諾があれば、転貸人は、賃貸人に対する損害賠償義務を負わない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭4.6.19)は、転貸借について原賃貸人が承諾をした場合においても、転借人の故意又は過失で建物に損害が発生したときは、転貸人は原賃貸人に対して責任を負う旨判示している。したがって、建物の転貸借において、転借人の失火によって当該建物が焼失した場合、転貸借について賃貸人の承諾があっても、転貸人は、賃貸人に対する損害賠償義務を負う。


全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第25問 オ)
Aは、Bとの間で、Aが所有する2階建ての甲建物を月額50万円の賃料で賃貸する旨の契約を締結し、甲建物をBに引き渡した。その後、Bは、Aの承諾を得て、Cとの間で、甲建物を月額50万円の賃料で転貸する旨の契約を締結し、甲建物をCに引き渡した。それからしばらくして甲建物の屋根の不具合により雨漏りが発生し、Cは、甲建物の2階部分を使用することができなくなった。判例によれば、甲建物の屋根の不具合がCの責めに帰すべき事由によって生じた場合、Aは、Bに対し、甲建物の屋根の不具合により生じた損害の賠償を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭4.6.19)は、本肢と同種の事案において、転貸借について原賃貸人が承諾をした場合においても、転借人の故意又は過失で建物に損害が発生したときは、転貸人は原賃貸人に対して責任を負う旨判示している。したがって、甲建物の屋根の不具合が転借人であるCの責めに帰すべき事由によって生じた場合であっても、原賃貸人Aは、転貸人Bに対し、甲建物の屋根の不具合により生じた損害の賠償を請求することができる。

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土地賃借人の土地上の建物の賃貸 大判昭和8年12月11日

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概要
土地賃借人が土地上に建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容することは、土地の転貸借に当たらず、建物賃借権の範囲に、敷地の賃借権は含まれない。
判例
事案:土地賃借人が土地上に建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容した場合において、それが土地の転貸借に当たり、建物賃借権の範囲に、敷地の賃借権が含まれるといえるかが問題となった。

判旨:「轉貸ハ賃借人カ賃借物ヲ第三者ニ賃貸スル關係ヲ指稱スルモノナルヲ以テ土地ノ賃借人カ其ノ地上ニ建設シタル建物ヲ賃貸シ其ノ敷地トシテ土地ノ利用ヲ許容スル場合ノ如キハ之ヲ土地ノ轉貸借ト目スヘキモノニ非サル…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H24 司法 第12問 5)
甲土地を所有するAがBのために甲土地を目的とする地上権を設定してその旨の登記がされ、Bが甲土地上に乙建物を建ててCに賃貸したときは、その後、BがAから甲土地の所有権を取得したときでも、地上権は消滅しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.12.11)は、土地賃借人が土地上に建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容することは、土地の転貸借に当たらず、建物賃借権の範囲に、敷地の賃借権は含まれない旨判示している。そうすると、本肢においても、Cの建物賃借権の範囲に、Bが有する甲土地を目的とする地上権は含まれていないといえる。
ここで、179条1項は、「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。」と規定しているところ、上記の通り、Bが有する甲土地を目的とする地上権は、Cの建物賃借権の目的となっているとはいえない。したがって、BがAから甲土地の所有権を取得したときは、甲土地について所有権及び地上権がともにBに帰属したといえ、かつ、同項ただし書は適用されないから、同項本文により、地上権は消滅する。


全体の正答率 : 100.0%

(R4 司法 第7問 オ)
Aがその所有する甲土地にBのために地上権を設定し、Bが甲土地上に建築した乙建物をCに賃貸していた場合において、Aが死亡し、BがAを単独相続したときは、Bの地上権は消滅する。

(正答)

(解説)
判例(大判昭8.12.11)は、土地賃借人が土地上に建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸し、その敷地として土地の利用を許容することは、土地の転貸借に当たらず、建物賃借権の範囲に、敷地の賃借権は含まれない旨判示している。そうすると、本肢においても、Cの乙建物賃借権の範囲に、Bが有する甲土地を目的とする地上権は含まれていないといえる。
ここで、179条1項は、「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。」と規定しているところ、上記の通り、Bが有する甲土地を目的とする地上権は、Cの乙建物賃借権の目的となっているとはいえない。したがって、Aが死亡し、BがAを単独相続したことによって、BがAから甲土地の所有権を取得したときは、甲土地について所有権及び地上権がともにBに帰属したといえ、かつ、同項ただし書は適用されないから、同項本文により、Bの地上権は消滅する。

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賃料自動改定特約がある場合の賃料減額請求の可否 最二小判平成20年2月29日

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概要
建物賃貸借契約について賃料自動増額特約が定められていた場合においても、借地借家法32条1項の適用は排除されず、同項本文に基づき賃料減額請求をすることができる。
判例
事案:建物賃貸借契約について賃料自動増額特約が定められていた場合において、借地借家法32条1項本文に基づき賃料減額請求をすることができるかが問題となった。

判旨:「借地借家法32条1項の規定は、強行法規であり、賃料自動改定特約によってその適用を排除することはできないものである(最高裁昭和28年(オ)第861号同31年5月15日第三小法廷判決・民集10巻5号496頁、最高裁昭和54年(オ)第593号同56年4月20日第二小法廷判決・民集35巻3号656頁、最高裁平成14年(受)第689号同15年6月12日第一小法廷判決・民集57巻6号595頁参照)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第27問 イ)
建物賃貸借契約に賃料自動増額特約が定められていたときは、賃借人は、賃貸人に対し賃料減額請求権を行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平20.2.29)は、「借地借家法32条1項の規定は、強行法規であり、賃料自動改定特約によってその適用を排除することはできないものである…。」と判示している。そして、借地借家法32条1項本文は、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」と規定している。
したがって、建物賃貸借契約に賃料自動増額特約が定められていたとしても、賃借人は、賃貸人に対し、借地借家法32条1項に基づき賃料減額請求権を行使することができる。

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完成した建物の所有権の帰属 最二小判昭和46年3月5日

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概要
建物建築の請負契約において、注文者の所有または使用する土地の上に請負人が材料全部を提供して建築した建物の所有権は、原則として、建物引渡のときに請負人から注文者に移転する。
判例
事案:請負人が材料全部を提供して建物を建築した場合において、当該建物の所有権の帰属が問題となった。

判旨:「建物建築の請負契約において、注文者の所有または使用する土地の上に請負人が材料全部を提供して建築した建物の所有権は、建物引渡の時に請負人から注文者に移転するのを原則とする…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H27 司法 第26問 イ)
判例によれば、建物の建築を目的とする請負契約の請負人は、自ら材料を提供したか、注文者が材料を提供したかにかかわらず、完成した建物の所有権を取得する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.3.5)は、「建物建築の請負契約において、注文者の所有または使用する土地の上に請負人が材料全部を提供して建築した建物の所有権は、建物引渡の時に請負人から注文者に移転するのを原則とする…。」と判示している。この判例は、完成した建物の所有権の帰属について、材料の供給者を基準として判断していると解される。したがって、判例によれば、建物の建築を目的とする請負契約の請負人は、自ら材料を提供したか、注文者が材料を提供したかにかかわらず、完成した建物の所有権を取得するとはいえない。

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建物建築工事の注文者と元請負人との間に出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合と一括下請負人が自ら材料を提供して築造した出来形部分の所有権の帰属 最三小判平成5年10月19日

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概要
建物建築工事の注文者と元請負人との間に、請負契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合には、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する。
判例
事案:建物建築工事の注文者と元請負人との間に出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合において、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとき、当該出来形部分の所有権は、注文者と下請負人のどちらに帰属するかが問題となった。

判旨:「建物建築工事請負契約において、注文者と元請負人との間に、契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合に、当該契約が中途で解除されたときは、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、当該出来形部分の所有権は注文者に帰属すると解するのが相当である。けだし、建物建築工事を元請負人から一括下請負の形で請け負う下請契約は、その性質上元請契約の存在及び内容を前提とし、元請負人の債務を履行することを目的とするものであるから、下請負人は、注文者との関係では、元請負人のいわば履行補助者的立場に立つものにすぎず、注文者のためにする建物建築工事に関して、元請負人と異なる権利関係を主張し得る立場にはないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H29 共通 第37問 ア)
建物建築工事請負契約において、注文者と請負人との間に、契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合に、当該契約が中途で解除されたときは、その請負人が下請負人に当該工事を請け負わせ、下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、当該出来形部分の所有権は注文者に帰属する。

(正答)

(解説)
判例(最判平5.10.19)は、「建物建築工事請負契約において、注文者と元請負人との間に、契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合に、当該契約が中途で解除されたときは、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、当該出来形部分の所有権は注文者に帰属すると解するのが相当である。」と判示している。


全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第28問 ア)
注文者Aが請負人Bに甲建物の建築を請け負わせた。請負契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権はAに帰属する旨の約定がある場合において、請負契約が中途で解除されたときは、Bから一括して当該工事を請け負ったCが自ら材料の全部を提供して出来形部分を築造したとしても、特段の事情のない限り、当該出来形部分の所有権は、Aに帰属する。

(正答)

(解説)
判例(最判平5.10.19)は、本肢と同種の事案において、「建物建築工事請負契約において、注文者と元請負人との間に、契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合に、当該契約が中途で解除されたときは、元請負人から一括して当該工事を請け負った下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても、注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り、当該出来形部分の所有権は注文者に帰属すると解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、Bから一括して当該工事を請け負ったCが自ら材料の全部を提供して出来形部分を築造したとしても、上記のような特段の事情のない限り、当該出来形部分の所有権は、Aに帰属する。

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請負契約に基づき建築された建物所有権の原始的な帰属先 最二小判昭和44年9月12日

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概要
請負契約において、注文者が棟上げの時までに報酬の半額以上を支払い、なお、工事の進行に応じ、残段位金の支払いをしてきたという事情がある場合においては、建築された建物の所有権は、引渡しを待つまでもなく、完成と同時に原始的に注文者に帰属する。
判例
事案:請負契約において、注文者が棟上げの時までに報酬の半額以上を支払い、なお、工事の進行に応じ、残段位金の支払いをしてきたという事情がある場合において、建築された建物の所有権が、注文者と請負人どちらに原始的に帰属するかが問題となった。

判旨:「本件建物を含む四戸の建物の建築を注文したAは、これを請け負ったBに対し、全工事代金の半額以上を棟上げのときまでに支払い、なお、工事の進行に応じ、残代金の支払をして来たというのであるが、右のような事実関係のもとにおいては、特段の事情のないかぎり、建築された建物の所有権は、引渡をまつまでもなく、完成と同時に原始的に注文者に帰属するものと解するのが相当である…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R6 司法 第28問 ウ)
注文者Aが請負人Bに甲建物の建築を請け負わせた。Bが材料の全部を提供して建築を行い、Aが棟上げの時までに報酬の半額以上を支払い、その後、工事の進行とともに残報酬の支払をしていたときは、甲建物の所有権は、特段の事情のない限り、その完成と同時に原始的にAに帰属する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.9.12)は、本肢と同種の事案において、請負契約において、注文者が棟上げの時までに報酬の半額以上を支払い、なお、工事の進行に応じ、残段位金の支払いをしてきたという事情がある場合においては、建築された建物の所有権は、引渡しを待つまでもなく、完成と同時に原始的に注文者に帰属する旨判示している。したがって、Bが材料の全部を提供して建築を行い、Aが棟上げの時までに報酬の半額以上を支払い、その後、工事の進行とともに残報酬の支払をしていたときは、甲建物の所有権は、特段の事情のない限り、その完成と同時に原始的にAに帰属する。

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請負契約の報酬債権全額につき瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって同時履行の抗弁を主張することの可否 最三小判平成9年2月14日

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概要
請負契約において、仕事の目的物に瑕疵(現:仕事の目的物の品質に関する契約不適合)があり、注文者が請負人に対して瑕疵の修補に代わる損害の賠償を求めた場合、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等に鑑み、注文者が当該瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬残債権全額の支払を拒むことが信義則に反すると認められるときは、両債権は全体において同時履行関係にある。
判例
事案:請負契約において、仕事の目的物に瑕疵(現:仕事の目的物の品質に関する契約不適合)があり、注文者が請負人に対して瑕疵の修補に代わる損害の賠償を求めた場合に、注文者は、瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬残債権全額の支払を拒むことができるかが問題となった。

判旨:「請負契約において、仕事の目的物に瑕疵があり、注文者が請負人に対して瑕疵の修補に代わる損害の賠償を求めたが、契約当事者のいずれからも右損害賠償債権と報酬債権とを相殺する旨の意思表示が行われなかった場合又はその意思表示の効果が生じないとされた場合には、民法634条2項により右両債権は同時履行の関係に立ち、契約当事者の一方は、相手方から債務の履行を受けるまでは、自己の債務の履行を拒むことができ、履行遅滞による責任も負わないものと解するのが相当である。しかしながら、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等に鑑み、右瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬残債権全額の支払を拒むことが信義則に反すると認められるときは、この限りではない。そして、同条1項但書は『瑕疵カ重要ナラサル場合ニ於テ其修補カ過分ノ費用ヲ要スルトキ』は瑕疵の修補請求はできず損害賠償請求のみをなし得ると規定しているところ、右のように瑕疵の内容が契約の目的や仕事の目的物の性質等に照らして重要でなく、かつ、その修補に要する費用が修補によって生ずる利益と比較して過分であると認められる場合においても、必ずしも前記同時履行の抗弁が肯定されるとは限らず、他の事情をも併せ考慮して、瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬残債権全額との同時履行を主張することが信義則に反するとして否定されることもあり得るものというべきである。けだし、右のように解さなければ、注文者が同条1項に基づいて瑕疵の修補の請求を行った場合と均衡を失し、瑕疵ある目的物しか得られなかった注文者の保護に欠ける一方、瑕疵が軽微な場合においても報酬残債権全額について支払が受けられないとすると請負人に不公平な結果となるからである(なお、契約が幾つかの目的の異なる仕事を含み、瑕疵がそのうちの一部の仕事の目的物についてのみ存在する場合には、信義則上、同時履行関係は、瑕疵の存在する仕事部分に相当する報酬額についてのみ認められ、その瑕疵の内容の重要性等につき、当該仕事部分に関して、同様の検討が必要となる)。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R6 司法 第28問 イ)
注文者Aが請負人Bに甲建物の建築を請け負わせた。Bが建築を完成しAに引き渡した甲建物の品質が請負契約の内容に適合しない場合において、Aがその不適合を理由として修補に代わる損害賠償を請求したときは、Aは、特段の事情のない限り、その提供を受けるまで、損害相当額を限度として報酬の支払を拒むことができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平9.2.14)は、平成29年改正前民法下の事案において、「請負契約において、仕事の目的物に瑕疵があり、注文者が請負人に対して瑕疵の修補に代わる損害の賠償を求めたが、契約当事者のいずれからも右損害賠償債権と報酬債権とを相殺する旨の意思表示が行われなかった場合又はその意思表示の効果が生じないとされた場合には、民法634条2項により右両債権は同時履行の関係に立ち、契約当事者の一方は、相手方から債務の履行を受けるまでは、自己の債務の履行を拒むことができ、履行遅滞による責任も負わないものと解するのが相当である。しかしながら、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等に鑑み、右瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬残債権全額の支払を拒むことが信義則に反すると認められるときは、この限りではない。」と判示している。
したがって、Bが建築を完成しAに引き渡した甲建物の品質が請負契約の内容に適合しない場合において、Aがその不適合を理由として修補に代わる損害賠償を請求したときは、Aは、特段の事情のない限り、その提供を受けるまで、損害相当額を限度とするにとどまらず、報酬全額の支払を拒むことができる。

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代位弁済権と相殺 最二小判昭和47年12月22日

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概要
委任者は、受任者が650条2項前段の規定に基づき委任者に対して有する代弁済請求権を受働債権とし、委任者が受任者に対して有する金銭債権を自働債権として相殺をすることはできない。
判例
事案:委任者が受任者に対して債権を有する場合において、当該債権を自働債権とし、受任者が650条2項に基づき委任者に対して有する代弁済請求権を受働債権として相殺をすることができるかが問題となった。

判旨:「委任者は、受任者が同法650条2項前段の規定に基づき委任者をして受任者に代わつて第三者に弁済をなさしめうる権利を受働債権とし、委任者が受任者に対して有する金銭債権を自働債権として相殺することはできないと解するのが相当であり、大審院の判例(大正14年(オ)第603号同年9月8日判決・民集4巻458頁)の結論は、今なお、これを変更する必要はない。なんとなれば、委任契約は、通常、委任者のために締結されるものであるから、委任者は受任者に対しなんらの経済的負担をかけず、また損失を被らせることのないようにはかる義務を負うものであるところ、同条項は、受任者が自己の名で委任事務を処理するため第三者に対して直接金銭債務を負担した場合には、委任者は、受任者の請求があるときは、受任者の負う債務を免れさせるため、受任者に代わつて第三者に対してその債務を弁済する義務を負うことを定めているのであり、受任者の有するこの代弁済請求権は、通常の金銭債権とは異なる目的を有するものであつて、委任者が受任者に対して有する金銭債権と同種の目的を有する権利ということはできない。したがつて、委任者が受任者に対する既存の債権をもつて受任者の代弁済請求権と相殺することは、同法505条1項の相殺の要件を欠くものとして許されないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H28 共通 第26問 ウ)
受任者がその委任事務処理の必要上負担した債務を委任者に対し受任者に代わって弁済することを請求する権利については、委任者がこれを受働債権として相殺することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭47.12.22)は、「委任者は、受任者が同法650条2項前段の規定に基づき委任者をして受任者に代わつて第三者に弁済をなさしめうる権利を受働債権とし、委任者が受任者に対して有する金銭債権を自働債権として相殺することはできない…。」と判示している。

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委任者の死亡によっても委任は終了しないという合意の可否 最三小判平成4年9月22日

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概要
委任者の死亡によっても委任契約を終了させない旨の合意は、有効である。
判例
事案:委任者の死亡によっても委任は終了しないという合意が存する場合において、当該合意が有効といえるかが問題となった。

判旨:「自己の死後の事務を含めた法律行為等の委任契約がAとBとの間に成立したとの原審の認定は、当然に、委任者Aの死亡によっても右契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものというべく、民法653条の法意がかかる合意の効力を否定するものでないことは疑いを容れないところである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H19 司法 第26問 エ)
委任者の死亡によっても委任は終了しないという合意は、有効である。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.9.22)は、「自己の死後の事務を含めた法律行為等の委任契約がAとBとの間に成立したとの原審の認定は、当然に、委任者Aの死亡によっても右契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものというべく、民法653条の法意がかかる合意の効力を否定するものでないことは疑いを容れないところである。」と判示している。したがって、委任者の死亡によっても委任は終了しないという合意は、有効である。


全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第26問 エ)
委任者が死亡しても委任が終了しないこととする当事者間の特約がある場合、委任は、委任者が死亡しても当然には終了しない。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.9.22)は、「自己の死後の事務を含めた法律行為等の委任契約がAとBとの間に成立したとの原審の認定は、当然に、委任者Aの死亡によっても右契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものというべく、民法653条の法意がかかる合意の効力を否定するものでないことは疑いを容れないところである。」と判示している。したがって、委任者が死亡しても委任が終了しないこととする当事者間の特約がある場合、委任は、委任者が死亡しても当然には終了しない。

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期限の利益 大判昭和9年9月15日

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概要
銀行定期預金の期限は、当事者双方のために定められたものといえ、当該預金については、当事者双方が期限の利益を有する。
判例
事案:銀行定期預金について、当事者の双方が期限の利益を有するが問題となった。

判旨:「定期預金ノ返還期カ当事者双方ノ利益ノ為ニ定メラレタルモノナル場合ニアリテモ債務者タル預リ主ハ其ノ返還期迄ノ約定利息ヲ支払フ等債権者タル預金者カ返還期ノ未到来ニ依リテ享クヘキ利益ノ喪失ヲ填補スルニ於テハ其ノ返還期ニ付自己ノ有スル利益ヲ一方的ニ抛棄スルコトヲ得ルモノト謂ハサルヘカラス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H19 司法 第4問 エ)
有償の金銭消費寄託契約においては、当事者の双方が期限の利益を有する。

(正答)

(解説)
判例(大判昭9.9.15)は、銀行定期預金の期限は、当事者双方のために定められたものといえ、当該預金については、当事者双方が期限の利益を有する旨判示している。銀行定期預金は、有償の金銭消費寄託契約に当たるため、有償の金銭消費寄託契約においては、当事者の双方が期限の利益を有するといえる。

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振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合における振込みに係る普通預金契約の成否 最二小判平成8年4月26日

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概要
振込依頼人から受取人の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは、両者の間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立し、振込依頼人は、受取人に対し、当該金額と同額の不当利得返還請求権を有するにとどまる。
判例
事案:振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合において、受取人と銀行との間に、当該振込金額相当の普通預金契約が成立するかが問題となった。

判旨:「振込依頼人から受取人の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは、振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立し、受取人が銀行に対して右金額相当の普通預金債権を取得するものと解するのが相当である。けだし、前記普通預金規定には、振込みがあった場合にはこれを預金口座に受け入れるという趣旨の定めがあるだけで、受取人と銀行との間の普通預金契約の成否を振込依頼人と受取人との間の振込みの原因となる法律関係の有無に懸からせていることをうかがわせる定めは置かれていないし、振込みは、銀行間及び銀行店舗間の送金手続を通して安全、安価、迅速に資金を移動する手段であって、多数かつ多額の資金移動を円滑に処理するため、その仲介に当たる銀行が各資金移動の原因となる法律関係の存否、内容等を関知することなくこれを遂行する仕組みが採られているからである。」
 「また、振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しないにかかわらず、振込みによって受取人が振込金額相当の預金債権を取得したときは、振込依頼人は、受取人に対し、右同額の不当利得返還請求権を有することがあるにとどま…る。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(R2 司法 第18問 ア)
AはB銀行に預金口座を開設し、金銭を預け入れた。Cが、B銀行のDの預金口座に振込みをするつもりで、誤ってAの預金口座への100万円の振込みをCの取引銀行に依頼し、その振込みが実行された場合、Cは、B銀行に対し、100万円の支払を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平8.4.26)は、本肢と同種の事案において、「振込依頼人から受取人の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは、振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず、受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立し、受取人が銀行に対して右金額相当の普通預金債権を取得するものと解するのが相当である。」と判示した上で、「振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しないにかかわらず、振込みによって受取人が振込金額相当の預金債権を取得したときは、振込依頼人は、受取人に対し、右同額の不当利得返還請求権を有することがあるにとどま…る。」と判示している。したがって、Cは、Aに対して100万円の不当利得返還請求をすることができるにとどまり、B銀行に対し、100万円の支払を請求することはできない。

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共同相続人の1人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することの可否 最一小判平成21年1月22日

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概要
預金者が死亡した場合、その共同相続人の1人は、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる。
判例
事案:預金者が死亡した場合において、その共同相続人の1人が、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるかが問題となった。

判旨:「預金者が死亡した場合、その共同相続人の1人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(同法264条、252条但書)というべきであり、他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(R2 司法 第18問 イ)
AはB銀行に預金口座を開設し、金銭を預け入れた。Aが死亡してEとFがAを相続した場合、Eは単独で、B銀行に対し、A名義の預金口座の取引経過の開示を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平21.1.22)は、本肢と同種の事案において、「預金者が死亡した場合、その共同相続人の1人は…共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(同法264条、252条但書)…。」と判示している。252条ただし書は、民法改正により252条5項に改められたが、この判例の理解は、改正民法下においても妥当すると解されている。したがって、Aが死亡してEとFがAを相続した場合、Eは単独で、B銀行に対し、A名義の預金口座の取引経過の開示を求めることができる。

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一部の組合員が損失を分担しない旨の合意の有効性 大判明治44年12月26日

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概要
組合契約において、ある組合員が損失を分担しない旨の合意がされた場合、当該合意は有効である。
判例
事案:組合契約において、ある組合員が損失を分担しない旨の合意がされた場合、当該合意が有効であるかが問題となった。

判旨:「組合契約ニ於テ或組合員カ毫モ利益ノ分配ヲ受ケサルコトヲ定メタルトキハ其契約ハ組合ノ性質ニ反スルカ故ニ無効タリト雖モ之ニ反シテ損失ヲ生シタルトキハ或組合員ノミカ之ヲ負担シ他ヲシテ其負担ヲ為サシメサルコトヲ約シタリトモ其組合員ハ利益アルトキ其分配ヲ受クルニ於テハ此ノ如キ契約ハ組合契約ノ性質ニ反スルモノニアラス。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%

(H25 司法 第28問 ウ)
組合契約において、ある組合員が損失を分担しない旨を合意した場合、その組合員は、他の組合員に対し、当該合意の効力を主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判明44.12.26)は、組合契約において、ある組合員が損失を分担しない旨の合意がされた場合、当該合意は有効である旨判示している。したがって、組合契約において、ある組合員が損失を分担しない旨を合意した場合、その組合員は、他の組合員に対し、当該合意の効力を主張することができる。

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やむを得ない事由と任意の脱退と組合契約 最三小判平成11年2月23日

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概要
やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定は、効力を有しない。
判例
事案:組合契約において、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の約定がされた場合、当該約定が有効であるかが問題となった。

判旨:「民法678条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相当である。けだし、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約は、組合員の自由を著しく制限するものであり、公の秩序に反するものというべきだからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H25 司法 第28問 イ)
組合契約において、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨を合意した場合、その合意は無効である。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.2.23)は、「民法678条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、組合契約において、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨を合意した場合、その合意は無効である。


全体の正答率 : 100.0%

(R5 予備 第12問 オ)
組合契約において、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の約定がされた場合、その約定は無効である。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.2.23)は、「民法678条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、組合契約において、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の約定がされた場合、その約定は無効である。

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組合解散後に死亡した組合員の相続人と残余財産分配請求権 最一小判昭和33年2月13日

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概要
組合解散後に死亡した組合員の相続人は、残余財産分配請求権を相続する。
判例
事案:組合員が組合解散後に死亡した場合において、当該組合員の相続人が、残余財産分配請求権を相続するかが問題となった。

判旨:「民法が、組合員の死亡を脱退の原因とした所以のものは、死亡した組合員の相続人をして、当然に組合員たる権利義務を承継せしめることが、組合員相互間の信頼関係を破ることとなるのを慮かつたものであつて、右は、組合の存続を前提とした規定と解するを相当とする。本件におけるごとく、既に解散した組合にあつては、もとより組合の存続を前提としないのであるから、死亡を脱退の原因として持分の払戻およびこれと表裏をなす残存組合員の持分の増加を認める必要なく、死亡者の有した残余財産の分配請求権の相続を認めれば足りる…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H25 司法 第28問 エ)
組合解散後に死亡した組合員の相続人は、残余財産分配請求権を相続しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.2.13)は、「既に解散した組合にあつては、もとより組合の存続を前提としないのであるから、死亡を脱退の原因として持分の払戻およびこれと表裏をなす残存組合員の持分の増加を認める必要なく、死亡者の有した残余財産の分配請求権の相続を認めれば足りる…。」と判示している。したがって、組合解散後に死亡した組合員の相続人は、残余財産分配請求権を相続する。

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係争物と関係のない物を給付する和解契約 最二小判昭和27年2月8日

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概要
当事者が和解においてその互譲の方法として、係争物と関係のない物を給付することを約することも許される。
判例
事案:当事者が和解において、係争物と関係のない物を給付することを約することが許されるかが問題となった。

判旨:「和解は「当事者ガ互ニ譲歩ヲ為シテ其間ニ有スル争ヲ止ムルコトヲ約スル」契約であり右譲歩の方法については法律は制限を設けていないのである。したがつて当事者が和解において譲歩の方法として、係争物に関係なき物の給付を約することは毫も和解の本質に反するものではない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第27問 ア)
AがBに対してAB間の売買契約に基づく甲不動産の引渡しを請求したが、Bがこれを拒否したため争いを生じた場合には、AB間で、BがAに対して係争物とは全く関係のない乙不動産を譲り渡す旨の和解契約を締結することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭27.2.8)は、「当事者が和解において譲歩の方法として、係争物に関係なき物の給付を約することは毫も和解の本質に反するものではない。」と判示している。したがって、AB間で、BがAに対して係争物とは全く関係のない乙不動産を譲り渡す旨の和解契約を締結することも許される。

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重要な錯誤と裁判上の和解 最一小判昭和33年6月14日

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概要
裁判上の和解について重要な部分に錯誤があった場合においては、錯誤による取消しを主張することができる。
判例
事案:裁判上の和解について、錯誤による取消しを主張できる場合があるかが問題となった。

判旨:「本件和解は、本件請求金額62万9777円50銭の支払義務あるか否かが争の目的であつて、当事者である原告(被控訴人、被上告人)、被告(控訴人、上告人)が原判示のごとく互に譲歩をして右争を止めるため仮差押にかかる本件ジヤムを市場で一般に通用している…苺ジヤムであることを前提とし、これを1箱当り3千円(1罐平均62円50銭相当)と見込んで控訴人から被控訴人に代物弁済として引渡すことを約したものであるところ、本件ジヤムは、原判示のごとき粗悪品であつたから、本件和解に関与した被控訴会社の訴訟代理人の意思表示にはその重要な部分に錯誤があつた…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H24 司法 第3問 3)
裁判上の和解は、裁判所の関与の下にされるものであるから、これについて錯誤による取消しを主張することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭33.6.14)は、裁判上の和解について重要な部分に錯誤があった場合においては、錯誤による取消しを主張することができる旨判示している。

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賭博による債務の履行のために交付された第三者振出の小切手の支払につき所持人と振出人との間に成立した和解契約の効力 最二小判昭和46年4月9日

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概要
賭博により生じた債務の履行のため、第三者が振り出した小切手が交付された場合において、当該小切手の所持人と振出人との間で、当該小切手金の支払いに関して和解契約が成立したとき、当該和解契約は公序良俗に反するものとして無効となる。
判例
事案:賭博による債務の履行のため、第三者が振り出した小切手が交付された場合において、当該小切手の所持人と振出人との間で、当該小切手金の支払いに関する和解契約が成立したとき、当該和解契約が有効といえるかが問題となった。

判旨:「AとBとの間で、AがCから交付を受けたB振出にかかる本件小切手金の支払に関して和解契約が成立し、BからAに対して金55万円を支払う旨を約したが、右小切手は、賭博によつてCが負うことになつた金銭給付義務の履行のために、同人からAに交付されたものであつたというのである。してみれば、本来、AがBに対して右小切手金の支払を求めることは、公序良俗に違反するものとして許されないところというべく、右和解上の金銭支払の約束も、実質上、その金額の限度でAをして賭博による金銭給付を得させることを目的とするものであることが明らかであるから、同じく、公序良俗違反の故をもつて、無効とされなければならない。このことは、右合意が、論旨のいう創設的なものとして、すなわち、小切手金支払債務の存否と無関係に金銭支払義務を負担すべきものとする趣旨でなされたものとしても、異なるところはない。右契約の実質に存する不法性は、当事者の合意によつて払拭しうるものではないからである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100.0%

(H30 司法 第27問 ウ)
Aは、Bとの賭博に負けたため、Cに事情を話して小切手を振り出させ、これらの経緯を知るBに交付したところ、BC間で、小切手の支払金額につき争いが生じ、和解契約が成立した。この場合、BC間の和解契約は公序良俗に反し無効である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.4.9)は、本肢と同種の事案において、賭博により生じた債務の履行のため、第三者が振り出した小切手が交付された場合において、当該小切手の所持人と振出人との間で、当該小切手金の支払いに関して和解契約が成立したとき、当該和解契約は公序良俗に反するものとして無効となる旨判示している。したがって、本肢においても、BC間の和解契約は公序良俗に反し無効である。

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